高校に入った頃、学校の帰りに夏井川でメダカを捕まえた。ガラスの花瓶に
入れて飼っていたらしばらくして卵を産み稚魚が泳ぎだしたのには驚いた。
そんなことがきっかけになって、高校時代は熱帯魚を飼っていた。最初に魚
を描いたのはその頃だった。社会人になって油彩を習い始めて、また魚の絵を
描きだした。高校時代に水槽を眺めて過ごした頃への郷愁かも知れない。
描き進めるうちに水槽の魅力は、華やかに泳ぐ魚にあるのか、水槽の緑が作
り出す景色にあるのかと考えるようになった。
ともあれ、水草の茂みの中に生まれたばかりの稚魚を見つけたときは、なんだ
かワクワクしてうれしい。
(1993年7月)