雀躍たる 6月 中旬 編



6月12日(月) ひとつの選択

        今日、うちのクラスで一人の子が辞めた。事情は色々あるのだが、結局退学する道を選んだ。
        うちの学校は、以前には県下随一を争うぐらい退学者が多い学校だった。教育困難校と呼ばれ
        各中学校で色々問題ある子がたくさん入学してきて、結局高校生活もきちんと続けられず
        どんどん辞めていった時期があった。以前担任をやっていたときは、1年間で15人も辞めた
        こともあった。もちろん1クラスで。だから言い方は悪いが、辞めることに関しては、色々と
        専門家になってしまった。家庭的の事情、経済的なこと、人間関係のもつれ、対人的トラブル、
        学業不振、不登校、遊びたくて...等々、様々なケースがあった。しかしどれも共通する
        のは、学校だけの範疇では解決できないことが多かったのだ。家庭内離婚やリストラによる
        授業料の滞納、友人との仲違い等々、様々な原因で、学校から心が離れていく。もちろん
        担任として、学校を続けることを望むのだが、高校生ぐらいになると、本人の意思という
        ものがとても強く作用する。まさか首に縄を付けて学校へ登校させるわけにも行かず、自然と
        学校外へと関心が移っていく。そういうケースを嫌というほど扱ってきた。

        そして今回の件もその一例。色々と話し合ったが、やはり自分で生きていく道を選んでいった。
        親の方も色々説得したが、本人の意志が固く、やはり辞めることになった。残念ではあるが
        新しい道で頑張って欲しい。ただ今はそう祈るのみ。でもやっぱり生徒が辞めるというのは
        寂しいもの。でも初めて自分の意志で決めた選択だから、幸多からんことを願うのみ。


6月13日(火) 三者面談エレジー1

        昨日から始まった三者面談。もう死にそうです(笑)来週の水曜日まで半日授業になり、その
        午後の時間を使って面談があるわけです。まぁ、三年生のこの時期ですから、当然話題は
        進路関係のことになるのですが、それでも色々と話すことがあり、そして次から次へと
        面談していると、もうへとへとになります。向こうはわずか30分程度で色々相談しに
        くるけど、今日なんかは連続11人で、水飲む暇もトイレ行く暇もないぐらいやりました。
        もうパニックってしまってほとんど意識なし(笑)いやー大変です。それでもわざわざ来て
        いただいたのですから、適当に話すわけにもいかず(当たり前)中味の濃い話をすれば
        するほど、時間がずれ込んでしまい、エンドレスになってしまうのです。やれやれ。

        昨日も8人ほどやったのですが、進路別に固めて順番を決めたもので、昨日はプーの日(笑)
        ようするに進学もしない、学校で斡旋する就職もしない、プーたろうで、フリーターとして
        生きていく、と言って何も決めていない生徒ばかり。親を交えて、本当にそんな進路で
        いいのか?と面談したのです。どの親もみんなちゃんと就職して欲しそうだったのですが
        娘たちは「べつにバイトでいい。」と言い張り、進展なし。親もほとほと困っている様子。
        「先生からも何か言ってやってください。」の連呼。こちらだって「親からきちんと
        説得してください。」(笑)どちらのいうことも聞き耳持たず、ただ遊びたいというだけ。
        そんな不毛な三者面談を何人も繰り返していると、そりゃあ疲れますよ(^^;)

        で、今日は2日目。就職&専門学校志望の子たちが中心の日。こちらの方はまだ自分の
        進みたい道が決まっているので話はしやすかった。それでも親の方が情報不足で、具体的な
        就職の段取りとか、専門学校の具体的な内容とか知らない人が多かった。この場で始めて
        娘の行きたい学校を聞いた親もいて、そんなに授業料が高くては無理よ、なんて話が
        始まったり...。家で娘の進路希望について全然聞いていないところもあって、ここで
        話していくことも度々。というよりまともに会話というかコミュニケーションがとれて
        いなくて、その意志の疎通が出来ていない状態を、担任を介在して何とかしようという
        親子もあったりと、本当に色々でした。だからけっこう疲れるのです。

        また色々な親子関係が存在し、現在の親子関係のあり方が浮き彫りにされるようで、
        興味深くもある。子供の言いなり甘甘お父さん、暴君的に一方的に自分の意志を
        通そうとする母親、もうすっかりあきらめてしまって放任しっぱなしの母親等々。
        正常な親子関係ってどういうんだろうと考え込んでしまう場でもあります。ひとり
        マシンガン・トークのように一方的に喋る親や他の子と比較してばかりいる親。ある意味
        そんな親を持つ子供の方に同情することも多々あり。うーむ。色々あるのだ。
        とりあえずネタに困らない面談ではありましたが(笑)


6月14日(水) 三者面談エレジー2

        けっこうこれを書くのははばかられるのだが、この三者面談、やはり強者親子もいる(笑)
        娘がおとなしくて、かあちゃんパワフル、というのはありがちなパターンだが、親娘とも
        メガトン級というのが存在する。私のようなおとなしい担任など(笑)意に介さず、見事
        粉砕された(笑)俗に言うおばちゃん攻撃の嵐。

          「先生、うちの娘のこの欠席数なんとかなりませんか?」
          「いやー、これはなんとも...」
          「ねぇ、先生、少しぐらい負けてくれてもいいじゃん。私立の子なんか100回欠席
           しても、内申書には0って書いてくれたってよ!」
          「そんなことは...」
          「そりゃあ、あなた無理に決まっているでしょ。でも先生?10回ぐらいは差し引いて
           もらえませんかね?可愛い生徒のためですから。」
          「いや、お母さん。それは無理ですよ。無茶言わないで下さい。」
          「去年の担任の先生は、それぐらい融通してくれたと思いますけど...。」
          「頼むよー、先生!今度からちゃんと休まずに来るからさぁ。短大に推薦してよー!」

        もう無茶苦茶である。こういう無理なことを平気で言える親娘って...。やはり
        この娘にしてこの親ありか。だいたい推薦というのは『この娘本当に良い子で、よく
        頑張っているな。推薦したいな。』と思って推薦するのが推薦じゃないですか?それを
        自分の適当な高校生活も省みず「推薦してー!」っていうのはおかしくない?

        まっ、もちろんこんな親娘はもちろん架空ですが(^^;)進路がらみの面談となると色々
        あるのですよ。誰だって自分の娘は可愛いしね。でも親の欲目だけでなく、客観的に
        見ることも大事だと思うのですが...。どう思います?


6月16日(金) 三者面談エレジー3

        実はこの三者面談週間。今週の月曜日から来週の水曜日まで設定されている。つまり
        そこまで連日半日授業。担任の先生は毎日面談で、午後は休みなく働いているが、副担任の
        先生となると...つかの間の余裕が持てる。べつに羨ましいとは思わない..ことも
        ないけど(^^;)昨年度まで2年連続副担だった身としては、そんなこと言えませんよ。でも
        実は今回、なんともう本日で面談が終わってしまったのだ!ワーイワーイ!まだあと4日も
        残して。実はおとといまで無謀とも言えるぐらい無理矢理押し詰めてしまって、一気に
        終わらせてしまったのだ。だから一日11人なんて無体な日があったのだけれど(笑)それは
        なぜかというと...そう早く終わらせて来週からの3日間の半日を満喫しよう...なんて
        ことではなくて、実は来週4日間も出張が入っているのです(泣)そのため面談が出来ないので
        無理矢理今日まで終わらせたってわけ。そしてその出張のため、授業変更もして、今週は
        3時間授業全て埋め尽くしたし...。やれやれです。こうやって自分の身体を痛める過酷な
        教師生活(泣)

        さて今日の面談者は二人だけ。それでもけっこう中身の濃い面談でした。でも今回の面談を
        通して感じたことは、生徒自身の見通しの甘さ。まっ、確かにまだ社会に出ているわけでは
        ないから、世間の厳しさはわからないのはわかるけど、それにしても甘い。「就職?別に
        自分で探すからいい。」そんなに甘くないのですよ、今の不況は!確かにバイトならあるかも
        しれないけど、きちんとした就職なんてそんなに簡単に見つかるわけない!でもそれがよく
        わかっていない。学校で斡旋する就職先が気に入らない。華やかな世界ばかり夢見ている。
        現実の厳しさ。親も肌身で体験しているだけに、面談中必死に説得するが、娘たちはどこ
        吹く風。そんなら好きにして勝手にさせれば、そして実際に厳しさを身にしみさせては?と
        言って見放すのは簡単。それをやれればこんな楽な商売はない。そこはやっぱり先生として
        少しでも火傷が小さくなるように、早め早めに気付かせること。これが仕事なのです。以前
        なら、社会の厳しさを体験して「やっぱり先生や親のいうこと聞いて、ちゃんと学校斡旋の
        就職すれば良かったわ。」と反省し、再度就職活動が出来ました。ところがこの不況。それを
        やると、気付いても結局フリーターのまま、全然就職できないということが多い。働きもせず
        いつまでも親元の世話になっている、自立できない若者を無制限に作り出すことになる。この
        ジレンマ。こういうギャップと戦いつつの三者面談でした。


6月17日(土) PA新聞は誰が作る?

        やっと三者面談も終わりホッと一息...つく暇もなく今度はPTA仕事(泣)本日は第2回目の
        PTA理事会です。土曜日ですから就業時間は12時までなのですが、もちろんそんな時間に
        帰れるわけはありません。朝からPTA関係の様々な会議が連発で、もちろんハードな
        スケジュール。やっと三者面談が終わって父兄との対面が終わると思いきや、再びPTAで
        顔合わせ(笑)

        さてこのPTA活動。どんな段取りかというと、うちの学校の場合、クラスのPTA役員になると
        自動的に3つのPTA活動に割り振られる。ひとつは生活環境委員会といって、PTAバザーや
        該当歩道に参加するもの。二つ目は教養委員会といって、バス研修旅行を企画したり、
        強歩大会という学校行事の時に豚汁を作ったりする。そしてもうひとつ。私が担当している
        広報委員会。つまりPTA新聞作り。どれもそれなりに忙しいが、やはりPTA新聞作りが、一番
        教員に負担がかかるとか(^^;)で、例年だと学期に2回の集まり1時間程度では、そりゃあ
        できるわけない。だからわざわざ他の日に集まったり、土曜日の午後遅くまで作業をしていた
        らしい。それもお母さん方は話好きで、作業する手が止まってお喋りに花が咲くこと度々。進む
        わけがないとのこと。それに付き合って一緒にやる私も難儀してしまう...。そこで少しでも
        楽をしたい私としては(笑)以前よりすべて段取ってやってしまっていた。事前にレイアウト、
        原稿依頼&回収、写真の用意等々。ほとんど一人でやりきって、今日の作業は極力短めで
        終わるようにセッティングしたのだ。だからいつもならダラダラ喋りながら午後遅くまでかかる
        作業が、原稿の校正と写真選び、及び編集後記の作成ぐらいで、あっという間に終わって
        しまった。呆気にとられるぐらいマッハの作業(笑)これで午後の牢獄から解放される(笑)

          「O−TEACHER、作業ってこれだけ?」
          「はい。予定では。」
          「何かみんな先生にやってもらっちゃって悪いみたい。」
          「いや、いいんですよ(だって早く帰りたいんだもん)」
          「例年なら午後までかかって、みんなでお茶でもしながらやるのにねぇ。」
          「いやー、わざわざ遅くまで残っていただくのも大変ですからね。」
          「私たち、ほとんど何もしていないわ。これじゃあ、PTA新聞じゃなくて
           O−TEACHER新聞ね。ほほほほ。」
          「いやー、今回は私の方でだいたいの段取りをしただけで、2学期の新聞は、みなさんが
           中心となりますから。はははは。」
          「でもこんなに時間が余っちゃってもねぇ?そうだわ。みなさん、せっかく午後まで
           時間が空いたから、やっぱりみなさんでお茶でもしません?ねぇ、先生もご一緒に。」
          「はぁ....。」

        結局日頃の鬱憤を晴らしストレス解消のため、お喋りがしたいだけなのである。そしてこのあと
        O−TEACHERの長い午後はまだまだ続くのであった(泣)


6月20日(火) ラベルと文化祭(関連なし)

        三者面談も終わりPTA新聞の段取りもつき、やっと仕事が終わったかと思いきや、再び
        20周年関係の仕事が舞い込む。20周年記念式典参加者に送る案内用のラベルを作れと。
        はいはい、やりますよ。やっぱり遊ばせてくれないのね(笑)名簿作りからやるのかと思って
        いたら、なんと総務部長のM先生が作っていてくれたのだ!わーい、これなら超楽だと
        思っていたら...えっ?この名簿の原稿ってワープロ専用機のものなの?げっ!一太郎とか
        ワードじゃないの?変換できる機種?まさかこの150人分の名前と住所、電話番号を一から
        打ち直せなんて...。よかった。一太郎4に変換できる機能があった!これならなんとか
        なる。というわけで一度一太郎4へ変換し、それをテキストファイルへ変換し、それから
        Accessへ読み込ませるという、面倒だが打ち直すよりましという、まさにシスアド的な(笑)
        仕事をする。そこでひとつの問題。余計な倍角半角文字や特殊記号、罫線がきちんと変換
        されないのだ。おかげでやっぱり手直しが必要になる(泣)これもコンピューター弊害か?
        こういうふうに無駄に修飾するとデータの変換がきちんと出来ない!これだけコンピューターが
        発達してきたのだから、特に必要なければ、文字データはテキスト形式!というマナーを
        作って欲しい。余計な修飾は必要なし!でもそんな手直しよりも、2年振りに使うAccessの
        操作の方に、実は時間がかかっていました(笑)

        そういえば文化祭の原案締め切りが今週中なのです。やるのは10月だけど調整やら
        なんやらで今学期中に決めなければならない。私的にはイチオシが「劇」なんだけど、生徒の
        多数反対にあう。前任校で2回ほどやって味を占めているのだが、今回は猛烈な反発。
        せっかくの女子クラスだから宝塚的なものでもやれば受けると思ったのに(笑)生徒たちが
        勝手に話し合っているけど、どうなることやら。

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