驕慢たる 7月 下旬 編
7月21日(金) 就職組始動!
いよいよ夏休み!...とは言っても別に仕事がないわけではない(泣)というより授業が
ないだけであって仕事はまだまだある。その中で最大のものは...3年担任としては、
就職指導!もちろん進路指導として大学組や専門学校組も色々あるのだが、就職の子たちは
いきなり本番なのだ。
さて高校生の就職というと、世間一般の人にはなかなかわかりづらいかもしれないが、
だいたいこんな感じである。7/1から各学校宛に求人票が送られてくる。それを一覧にして
就職希望者に入りたい会社を選ばせる。昨今の不況の折り、求人数自体が少ないから、当然
良い会社は希望者が重複する。大学生みたいに色々な会社を回っていくつも内定をもらう、と
いうことが、高校生の場合出来ない。一人一社で会社訪問し、ダメなら次に回る、いくつも
掛け持ちして回るということが出来ないのだ。だから会社選びは非常に重要。だから
4月当初から、事前に去年の求人票を見ながら、だいぶ企業研究を重ねてきたのだ。そして
重複したところを成績・欠席・人物で判定し、一人一社に確定する。そしていよいよアポを
取り、会社訪問の日時を決める。高校生の場合は学校優先なので、会社訪問は夏休みに入って
からが原則。だいたい7月中が多い。もちろん就職協定では9/15以降が正式な入社試験に
なっているが、大学生と同じように、会社訪問=見学・面接、つまり大多数がこれで内内定の
感触が、企業側からもらえる。いちおうOKなら、正式な9月の試験までお役ご免。でももし
会社側から「いい子なんですけど、今回はご縁がなかったということで...」と言われたら
×ということで次の会社選び。昨年度は1社目で決まる子が少なく、2、3社目でやっとという
子も多かった。7/19にアポを取り、会社訪問が7月下旬、OKか×かがわかるのが
8月上旬、ダメならそこで2社目を探し再度アポ取り、でもそろそろお盆で会社も休みに
なるので、面接は8/10前後、結果が分かるのが20日頃。もしダメで3社目ともなると
8月下旬...。だから3社目まで行くと夏休みなんて事実上なくなるのだ!当然担任は
これに付き合って、アポ取りやら調査書発行やら、事務手続きをすべて行うので、夏休みは
ほとんどこれ一色(泣)
というわけで、うちのクラスの娘たちだが、就職組は全部で7人いる。幸いみんな成績や
出欠が良かったので、第1希望の会社を受けられることになったのだが、これからが大変。
アポを取ってみると、F山の26日を皮切りに、27,28、29、31日には3人!と
連日会社訪問となった。それまでに履歴書を書かせなければならないのだが、これがまた
なかなか書けない。志望動機がきちんと書けないのだ。自分が選んだ会社なのに、
志望動機が出てこない。「先生ー、わかんなーい!」仕方ないのでとりあえず自分で書いた
やつを添削してやるが、もう文章がめちゃくちゃ(泣)始めは一つ一つ添削していたが、
あまりに添削しすぎてかえって変な文章に。もう仕方がないので、本人の意をくみ取り
大幅に書き直してやる。やれやれ。また履歴書の清書では、A野やM丸が失敗して再度
書き直しとなるし...。また面接で聞かれる質問事項をまとめた、面接対策プリント
では、Y利香やK玉、I村にアドバイスする。特にY利香は、「それはこんなふうに
答えたらいいんじゃない?」と言うと「先生、もう一回言って!」だから俺の言った言葉を
そのまま書き写してどうする!そしてF山は面接練習で予想外のことを聞かれると、
パニくっているし、会社までの行き方がわからないと、会社までの地図をコピーして
あげたりと、もうあきれるほど手が掛かる、うちの娘たち。でも何とかみんな受かって
欲しい。お互い今が大変だけど、これも社会出るための大事な第一歩なのだから。
というわけでこんなことがもしかすると夏休み中続くかも...。おお怖わ(^^;)
7月24日(月) 集中力!
本日も就職組の面倒。今週の後半から、うちのクラスの就職7人衆が会社訪問なので、色々と
忙しい。まずは面接練習。ところがこの面接練習、てんでなっていないのだ。もう悲しくなる
ぐらい。前回あれほど指示したのに一向に改善の余地なし(泣)よく世間ではマニュアル通りの
パターン化した面接は、個性がなく画一的で良くないと言われるが、それはみんなきちんと
できているからの話。ところがうちの娘たちは、そのお決まりのお約束面接すらできないのだ!
要するに型どおりの面接ができない。普段からこういうオフィシャルなものにほとんど無縁で
過ごしてきたため、挨拶、敬語、入退室の礼儀などが、まったくなっていない。声が小さい、
敬語が使えない、礼もせず入室してくる、椅子にはダラッと座る等々。もうこういうこと
ひとつひとつのマナーというか礼儀を知らずに育ったため、今ここにツケが回ってきている。
「だって先生、今時そんな言い方しないよ。」だからそれはお前たちの友達同士ではだろ!
世間一般では言うの!そんなことが度々。うーむ、こういう不作法や言葉遣いについて、
いちいち言ってこなかった、我々教師や親の責任なのだろうか...。おまけにちょっと
突っ込んだ質問や予想外の展開になると、全然答えられずお手上げ。こういう臨機応変さは
確かに一朝一夕で身に付くものではないけど、もう少し何とかうまく対応できるように
なって欲しいと思った。
「高校時代の成績はどのくらいでしたか?」
「はい、本を読むのが好きだったので、国語が得意でした。」
これって全然質問とかみ合っていませんよね?生徒に練習用に渡した面接質問例一覧には
「高校時代の得意な科目と不得意な科目は?」って載っているけど、そうは聞いていないで
しょ!「成績は5段階で平均して4ぐらいでした。」とか、「学年順位で30番ぐらい
でした。」と答えるべきでしょ。それがもうパニくっていてこんな珍答続出。でもあまり
注意するとへこむし...。やれやれ。
そして中には会社訪問に持っていく履歴書を清書している奴らもいたのですが、もうこれが
何度もミスをする。いちおう仮のものですが、緊張感を持たせるため、清書用として書かせて
いるのですが、必ずどこかミスをする。もちろんペン書きですから修正液で直すなんて許され
ない。ところがA野は4枚、M山は6枚目!もうどうしてそう何度も間違える!?集中力が
足りなすぎ!いくら暑いからってそんなことでは立派な社会人になれないぞ!面倒臭がらず
できるまで何度もやり直せ!(怒)そんなことをしていると、先日大学の説明会に行ってきた
O川が、受験のことで相談しにやってきた。就職組だけでなく大学組も、受験時期が早まった
せいで、始動時期も早まった。AO入試の夏休み事前面談の申込書の書き方について聞きに
来た。はいはい、こちらさんは予約待ちです(笑)というぐらいこちらも忙しいのです。その
書類の書き方の指導をしていると、うちのクラスのF山が「先生、会社に持っていく書類
準備できた?」ガビーン!やばっ。書くことは書いたけど、、コピー取ったり封書に表書き
したり...すいません、忘れてました。すぐします(^^;)
「もう先生、金曜日何度もお願いしておいたじゃないですか!もう暑いからって
先生までだれないでくださいよ。集中力なさ過ぎじゃないですか?」
はい。ごもっとも(笑)

7月26日(水) 統一性とカスタマイズ
本日も面接練習に明け暮れる私と生徒たち。まぁ、それは置いておいて、その他の仕事として
進学用調査書について色々やりはじめた。この進学用調査書というのは、こんなやつで

大学や専門学校に進学する子について、相手先に提出する書類なのだ。まぁいわゆる
内申書的なものである。この調査書というやつが厄介で、実は就職者用と進学者用と書式が
違うのだ。就職者用の方は身体データが詳しかったり、推薦理由とかの欄が大きかったり
する。それに比べて進学用は、特別活動(部活とか委員会)や成績に対するコメント欄などが
幅を取っている。それぞれ進路に合わせて書き分けなければならないのだ。就職用のやつは
もうすでに会社訪問とかで、仮のものを持っていかなければ行けないので、うちのクラスの
就職希望者7人分はとっくに書き上げたのだが、進学用は全然やっていない。でも進学用は
専門学校や推薦入学組の解禁が、だいたい10月からなので、まだ余裕なのだ...。でも
そうやって余裕ぶっこいていると、意外に切羽詰まったりする。それであらかじめ比較的
時間の余裕のある、この夏休みに書いてしまおうという魂胆なのだ。じゃあ、就職用か
進学用か、どちらか一方をクラス人数分書いてしまえばいいかというと、そうもいかない。
卒業してから何年か経って、再度進学し直すとか、そういう場合もあるので、進学用は
全員書かなければならないのだ。だから就職用の調査書を書いたやつは、再度書くことに
なる。これが同じ形式なら二度手間にならずに済むのだが、統一性がないため無理...。
やれやれ。
ところがである。この調査書、どうやらコンピューターで出力できそうなのである。と
いうのも、今回から始まった、コンピューターによる成績処理システム、1学期末に
成績一覧表と通知票が、見事にコンピューター出力されたのだ。今までほとんど手書きに
近い、コンピューター後進校の我が校が、やっとたどり着いた奇跡的なシステム化だった
のだ。で、その市販の成績処理ソフトの機能のひとつに、実はこの調査書出力というものが
あるのだ!まさにシステム化!実は3年前、当時私がまだ教務部にいたときに、その機能も
見込んでこのソフトを選定したのだ。うーん、先見の明(笑)というわけで今回のこの
進学用調査書も、一気にコンピューターで出力しちゃうっぺ、と本日色々画策していた
のだ。
しかしながらというか、やっぱりというべきか、当然記載される事項をデータとして
入力しなければならない。例えば身長・体重・視力・聴力のような身体データ。そして
部活動や委員会などの特別活動の記録。次に資格欄(例えば英検三級とか)。そして
所見欄に、その人物に対するコメント等々。これらをすべて入力しなければ当然出て
こないのだ。そこではたと考えた。たかだが30人程度書くのと(もちろん他のクラス
の分までやるほど暇ではない(^^;))30人分いちいち入力するの、どっちが手間
だろうか?難しいところです。まっ、出来上がりはコンピューター出力の方が良いとは
思うけど...まっ、試しにやってみますか。ということでシコシコ入力し始めたのだ。
ところが2時間ほど打ったところで、このソフトのマニュアルを見て驚いた。どうやら
打ち出されてくる進学用調査書が、うちの学校で使っている調査書の形式と若干違うのだ。
えっ?これって全国統一じゃないの?どうやらほぼそうらしいのだが、どうもこのソフト
会社の雛形が、一昔前のものらしい。じゃあ、うちの学校と同じようにその雛形が
カスタマイズできるかというと、どうやら出来ないらしいのだ!ゲゲッ!じゃあ使えない
じゃん!こういうのってカスタマイズするには、学校の独自発注ということで、ソフト
会社は別料金でやるらしい。うーん、商売上手。進路部長に相談すると、色々問い合わせ
して、元々入っている雛形でいいかどうか確認した上で、とのこと。こういうものって
統一性が大事だとは分かるのですが、逆にカスタマイズできる自由性も欲しい。うーん、
本当に難しい。そんなわけで生徒の調査所用データを2時間打ったところで、はたして
使えるかどうかわからないので、意味もなく保留ということになりました。さてさて
なんとも無駄な時間。ならさっさと手書きで書いていた方がずっと進んでいたのに...。
7月27日(木) 傾向と対策
本日も面接指導と進学用調査書の所見書き。連日こればっか。しかし昨日から3日連続
うちのクラスの生徒が会社訪問に行っているので、『あいつちゃんとやっているかなぁ。
普段みたいにタメ口きいていないだろうなぁ。』と心配になる。親心ならぬ担任心ですか
ねぇ(笑)
で、こういう面接練習をやると、やっぱりその生徒の人柄というか度胸の良さというか
はたまた臨機応変さというか機転の利き具合がよく分かる。ふだんは真面目なんだけど、
いざ予定外のことが起こると動揺するやつ、また勉強とかは全然ダメなんだけど、こういう
一発勝負に強く度胸良くうまく切り返せるやつ...。様々なのだ。それでもやはりダメな
者も多いので、事前にリサーチを徹底させて不安を少なくさせてやる。そのひとつとして
最近大学生なんかは一般的になっているが、事前にその会社のホームページを見させて、
雰囲気というか、内容をつかませておく。何人かの生徒にはそうした。これだけでも雰囲気と
いうか社風みたいなものは感じられるので。そしてもうひとつは過去問!過去の問題ではなく
過去に聞かれた質問事項、略して過去問(笑)だいたい高校に求人を出してくる会社というのは
昔からつながりがあるところが多く、過去に何人も生徒を送っている。その卒業生たちが
実際の面接の時聞かれた質問を、進路部でファイルしてあるのだ。だから今の生徒が、とある
会社へ会社訪問に行こうとしたとき、この過去問を見て、事前にどんな質問されたか、
だいたい予想できるのだ。こういう質問事項というのも社風というか、会社によってだいぶ
違うし、同じ会社ならだいたい聞く内容は一定していることが多いので。
そこでうちのクラスのK玉さんは、本日必死に過去問を見ていた。受ける予定の会社はかなり
細かく色々な内容を聞くので、その過去問を見てビビっていた。「先生、社長の名前や社風に
ついてとか、業務内容について細かく聞かれていますよ〜!」だからそのための過去問じゃ
ないか。あらかじめ十分調べて置いて万全にしておきなさいと指示。まっ、受験と同じで
こういう傾向と対策は、就職活動にも必要なわけなのです。さてさて内内定一号は誰か
なぁ...。
7月28日(金) 面接を終えた人たち
本日も就職希望者たちの面倒。志望動機をまとめてあげたり面接練習をしつこく繰り返し
たり...。そんな中、すでに我がクラス7人中2人ほど、会社訪問が済んだ。本日2人
行っていて、月曜日に3人。月曜日組は、落ち着かなく気が気ではない。ところがすでに
終わった組は余裕綽々。これから組は「ねぇ、ねぇ、なに聞かれた?どうだった?」と
少しでも情報収集しようというか、雰囲気を知ろうと必死。それに対して終わった組は
「いやー、大変だったよ。それがさぁ...。」と、さも偉そうに先輩ぶる姿が
ほほえましい(笑)そんな面接の質問なんて、会社によって全然違うだろうからさほど参考に
ならないのに。でもお互いで情報交換している姿は、なんかいじましい。やっぱりみんな
不安なのだ。日頃どちらかというと世間の荒波にもまれていない、過保護に育ってきた
高校生たちが、いきなり人生最大の試練に立ち向かっていくのだから。そしてなぜか面接を
終わってきた子たちは、不思議なことにちょっと大人びたように見える。自分で何とか
頑張ってきたという自信がそうさせるのだろうか。みんなこうやって大人になっていくの
だなぁとしばし感慨深げ。まっ、担任としては無事みんな就職先が決まって欲しいと祈る
のみ。
さてそんなことをしながらも他の仕事もぼちぼちある。どうも夏休みだということで、急か
された雰囲気がないので、なかなかやる気が起こらない。こういう長い時間がたっぷり取れる
ときにこそやるべき仕事はあるのだが...。ついつい後回しにしてしまう。それでも先日
やっと学校のホームページ更新(笑)1ヶ月ぶり。それも高校野球の試合の様子をUP。それも
それも、このホームページで使った写真の使い回し(^^;)自分のホームページではすぐやる
くせに、学校のものとなると腰が重くて...。それでも8/1に中学生向けの体験入学が
あるから、いちおうPR用に手直ししなければまずい状況だったので、なんとかしました。
そのせいかどうか分からないけど、最近中学校の方でも、調べ学習というのでしょうか、
事前に見学に行く高校のホームページなど見ているという噂。そういえば最近カウンター数が
けっこう上がってるし...。そんなにうちの学校の雰囲気を知りたければ、このホームページを
見ればいいのに(笑)
7月31日(月) 難しい選択・厳しい決断
まだまだ就職組奮闘中。本日も3人ほど会社見学。さてそれとはべつに会社見学を終わってきた
者も何人かいる。終わったからホッとしているかというと全然そうでもない。実はここからが
重要な決断になってきたりする。例えばある子の場合は、会社の方へこちらから、会社訪問への
お礼の電話をし、そこで感触を聞いたりする。「うちの生徒、どうでしたでしょうか」と。
すると「大変良い生徒さんだったので是非9月の本試験受けていただいて、当社と長い
お付き合いをさせていただきたい。」と言われれば、ほぼ内内定で安心できる。また「今回は
ご縁がなかったということで。」と言われれば、感触なしということで、すぐ次の会社探しが
始まる。どちらにしても白黒はっきりする。
ところが最近はその辺が分からない会社も多いのだ。いっさいその辺の感触は言いません、9月の
本試験の結果次第です。というところも増えてきたのだ。またこの時期だとまだまだ他にもっと
良い子が来るかもしれないので、曖昧にぼかしてキープしておく、そんな会社もあるのだ。だから
本当に大丈夫なのか、それとも次の会社を探した方が良いのか、とても迷う者も多いのだ。
高校生の場合、大学生と違い、いくつも回ってたくさん内定をキープしておくということが出来ない。
一社ずつしかダメなのだ。だから手応えが分からないけど、9月の試験受けてみてダメだった、
なんてことになると、そこから次の会社選びが始まり、とてつもなく出遅れることになる。
だから感触がわからない。でも受けるのか?それとも確実に内内定をくれる会社に選び直すのか?
重大な選択をしなければならないのだ。こちら側としても、今までの付き合いのある会社は
何となくニュアンスがわかるのだが、新規の会社だとよくわからない。さてどうしようか?
と悩むわけなのだ。
実は今回、本日までで、うちのクラスでそういう生徒が二人出た。結果でいうと△。このまま
本試験を受けさせて一発勝負させてみるか、それとも安全策を採って他社に乗り換えるか。
こればかりは本人の人生の選択なので、私にはなんとも言いようがない。考えてみれば究極の
選択である。不景気になるとこういう感じになってしまうのだ。色々悩んだ末、他の会社を
選び直そうとしても、結局元々の求人が少ないのだから、乗り換えも難しいということに
なり、9月の本試験一発勝負をすることになった。何とか受かって欲しいなぁ。もしダメなら
9月から再び就職活動もしくはフリーターの道しかない...。これが高校生の就職の現実。
厳しい決断の時なのでした。