赫奕たる 4月 下旬 編



4月21日(土) なんとなく幸せ

        本日の授業にて。とある現代文のクラスで漢字の書き取りをやらせた。ある漢字のテキストの問題をやらせて、その後
        練習用紙を配り、3回ずつ練習して提出するように指示をした。するとみんな何も文句も言わず、だひたすらカリカリ
        書き始めた。ちょっとびっくり。昔なら、同じことをやらせようとすると「えーーっ!面倒くさいーっ!やだーっ。」の
        大合唱。それでも何とかやらせたとしても、ただ写すだけにもかかわらずあっちこっち間違えていたり、適当に間引き
        して(笑)少なくしか書かないやつがいたり、挙げ句には全然やる気がなくて、ただひたすら喋りながらノロノロやって
        全然終わらない奴もけっこういた。そういう大変な時代を(^^;)くぐり抜けてきた私としては、シーンとしてただひたすら
        黙々と漢字練習する姿にはとってもびっくりした。『うちの学校も変わった...(感涙)』まぁ、昔からだいたい
        作業ものはよくやる傾向はあったのだが、それでもなだめすかし、何とかやってきた歴史がある。それがクラス誰一人
        文句も言わず手を抜くこともなく、黙々と取り組む姿。感激。学校が良くなってきたと実感できるのはこういう瞬間なの
        ですね。

        さてそんな感慨に耽る間もなく、まだまだたまっている事務仕事を黙々とこなす土曜日(泣)しかし本当に学校って
        事務仕事多いですね。教員になるまでは考えもしないくらいの膨大さ。しかしそんな忙しさの中でほっと一息つく
        レストタイム。そう、掲示板にも書かれていた、3月に行った長崎への学年解散旅行の折り、有田に寄ってみんなで
        体験したろくろ実習(笑)その時作ったコーヒーカップが焼き上がって届きました。うーん、自分の作った
        コーヒーカップで飲むコーヒーのおいしいことよ。至福の時。こういう思い出に残る品って、意外と淡泊な扱いをして
        いたんですけれど、ちょっと見直しました。ちょっと良いかも。

O−TEACHER、自慢の逸品(笑)


4月23日(月) 古典でコテンコテン(爆)

        古典は難しい。私も高校時代苦労した。意味もなく用言の活用とか覚えて、わけもわからず暗記していて全然身になって
        いなかった。その私が教えているという皮肉。まぁ、逆にいえばなぜわからなくなるか、どこで嫌いになるかという
        ポイントを身をもってわかっているだけに、教えやすいというのはあるが...。生徒には言っている。日本語だと思う
        からわからなくなる。外国語だ、辞書で意味調べして訳を考える。つまり作業としては英語と同じ。日本語だと思うから
        油断してわからなくなるのだと。

        しかし...まだまだ落とし穴はあった。まだ1年生は古典の、導入の導入のもっとも初歩段階。文法事項なんてまだ
        ほっぽいといて、今日は古語辞典をどう使うか、簡単な意味調べのやり方を伝授した。しかしこれも結構難しい。終止形に
        して調べるなんて、言うは簡単だがまだ慣れない生徒には難しい。例えばこんなのが出てきた。「わろかりなんと思いて…」
        なんて文章。これの「わろかり」を調べる。これは終止形が「悪し(わろし)」なんてことは、慣れてないと出来るわけが
        ない。でも調べるときは「わろかり」で出ていないので「悪し」で調べなければならない。「悪し」が、なぜ「悪かり」に
        なるかなんて、説明しだしたら大変なことになる。とりあえず生徒には「悪し」で調べろ、これが元の形だからとしか言って
        いない。そこまではまだ何とかなる。「寝たるよしにて…」のところで「よし」を調べさせた。ところが当てて聞いてみると
        出るわ出るわ、違う答え。この場合の「よし」は「由」で、「ふり、ようす、そぶり」の意味だが、それが出てこない。
        同音異義がたくさんあり、例えば「良し」や「善し」、はたまた副詞の「縦し」や間助の「よし」やら、たくさんあって、
        なかなか区別が付かない。たとえ「由」と判別できても、辞書には意味として@理由、原因、口実A方法Bふり、ようす、
        そぶりC縁、縁故、つてDいきさつ、事情E〜とのこと、〜の趣旨F由緒、いわれG風情、趣...と永遠と出でくる。
        これじゃあ選べるはずがない。ここでだいたい古典が嫌いになっていくのだ。だって調べたってわからないから。こういう
        のを、ひとつひとつ教えていく、これが大変なのですよ。

        そしてさらに深い落とし穴(泣)

         「はい、じゃあ、いいか、調べ終わったか?じゃあ、意味を聞いていくぞ。辞書に載っているとおりでいいから
          言ってくれ。えーっと、今日は23日だから出席番号23番の...Uさん、『つれづれ』の意味を答えてください。」
         「えーっと、えーっと、て、て、手持ちぃー、手持ちぃー、ぶさなたこと?」
         「えっ?何?」
         「えーっ、だってそう書いてあるよ、辞書に。『手持ちぶさなたこと』って。」
         「それって『手持ちぶさたなこと』だろ?」
         「『手持ちぶさたなこと』ってなに?」
         「そうか「無沙汰」って言葉知らないか...じゃあ、もうひとつの意味としてなんて書いてある?」
         「『退屈で所在ないさま』だって...『所在ないさま』って何様?」

        意味調べをしても、その辞書で使われている現代の言葉わからないから、全然先に進まない。こんな感じで、うちの学校では
        中間テストまで1教材で終わってしまう。ああ、風流やら日本人のわびさびが味わえるのはいつになることやら。


4月24日(火) 親心

        昨日とても嬉しい電話があった。ある一人の教え子が結婚するという報告だった。6月に挙式するというので是非出席して
        下さいという話だった(やっほー、これで6月にまた佐賀に行けます(^^;))ちょっと感無量。実はこの子、以前私が書いた
        最も思い出に残るクラスの子なのだ。3月のクラス会でもわざわざ佐賀県から来て、もうすぐ近いらしいという話を小耳に
        挟んでいたので、いよいよかと思ったのだ。

        実はこの子とは、卒業してからもう8年にもなるのだが、ずーっと連絡を取り合っている。本人曰く「私、O−TEACHERの
        ストーカーですから(笑)」という奇特な子なのだ。在学中はおとなしく目立たない真面目な女の子、そんな印象だった。
        ていうか、そのクラスはアクの強い個性的な子たちが集まっていたもので、普通の子は埋没してしまうのだ(笑)でもとても
        芯がしっかりしていて、責任感の強い、とてもよい子だった。その子が3年生の時、進路相談をしていた時のことである。
        「Mは、大学希望だったよな。どこか志望校はあるのか?」「先生、実は私、卒業と同時に佐賀へ引っ越すことになっているん
        です。父親が自分の実家へ戻ることになって、一家で転住することが決まっているんです。だから佐賀の大学へ行きたいんです。」
        この時は困りました。関東の大学ならまだ色々情報があってわかるけれど、佐賀の大学なんてとんとわからない。今でこそ
        インターネットで情報も引き出せるけど、当時は進学雑誌程度の情報しかなく、偏差値どころかその場所すらよくわからなかった
        のだ。「うーん、困ったなぁ。で、とりあえず学部はどうするんだ?」「はい、国文科へ行きたいです。」「そうか。」「はい、
        O−TEACHERに国語を習っていて、私も国語が好きになり、国語の先生になりたいと思っています。」これには驚いた。
        こんな、なんちゃって先生の授業を聞いて、そんなふうに思ってくれたなんて...。感激というよりちょっと信じられなかった
        けれど。というわけで、その後、その子は佐賀の方の大学の国文科に進み、教育実習などもうけたのだが、結局先生の夢は
        あきらめ、今は普通の公務員をやっている。その後8年たっているが、何度も手紙のやりとりをしているので、ほとんど近況と
        いうか、その後の生活の様子は知っている。以前に上京したときには彼氏の相談に乗ったり、まぁ、色々と長いつきあいが続いて
        いたのだ。

        その子がいよいよ結婚するという。感慨深い。私自身は子供はいないくせに、妙に父親の気持ちになってしまう。大切な娘を
        手放すような気持ちで、嬉しいような寂しいような...。全然そんな年ではないのだが、私には子供がいないので、ついつい
        卒業生たちを自分の息子、娘のように思えてしまう。是非幸せになって欲しい。そう思わずにはいられなかったのだ。

         「で、お前は進路どうするつもりなんだ?」
         「えー、決めてない。っうかプーでいい。」
         「それでいいのか?きちんと就職したらどうだ?けっこう今年は求人もあるし...」
         「なんかそういうの好きくないの、ワタシ。縛られるみたいで。アルバイトしていくからいいー。」
         「でもずーっとアルバイトってわけにもいかないだろう。先々不安定だし。」
         「そんときは結婚でもするもん、カレ氏と。」
         「そんな簡単なもんじゃないだろ、結婚なんて。」
         「できちゃったらするしかないでしょ?」
         「・・・・」


4月25日(水) クラスの人間関係

        今日の5時間目に、1年生のとあるクラスへ自習監督へ行った。あるワークブックをやるように指示を出し、ぼーっと教卓の
        ところでその様子を見ていた。3年生ぐらいになるとあまり騒がず、さっさとやって寝る、というパターンなのだが、1年生は
        まだ違う。中学生のノリをまだまだ引きずっていて、みんなでわいわい言いながらやっている。多分班別学習というか
        グループ学習の流れなのだろう。みんなで相談しながらやっていた。べつに悪いことではないので、あまり騒がしくならない限り
        放っておいた。

        するとやはりそろそろグループの色分けが見えてきた。類は友を呼ぶということで、ヤンキー系、真面目系、きゃぴきゃぴ系、
        部活系、オタク系など、うまく結合している(笑)ヤンキー系は、やはりお互いその臭いをかぎ分けるのか、何となく集まって
        こんなのやってられねぇよなぁという感じを出し合って、ぼそぼそ喋っている。真面目系グループは、真剣にワークの答えに
        ついて、どうやって書く?といった、勉強方向に走っている。きゃぴきゃぴ系は、その字の通り(笑)一見話し合っている
        ようだが、話題がどんどんずれていき、最終的には流行の携帯の話になっていた(笑)部活系は、1年生のパシリの辛さ、
        トレーニングのきつさについて競っていた。そしてオタク系ゾーンは、お互い目を見ずにぼそぼそ会話して聞き取れず(笑)

        まぁ、ありがちな感じのグループ化である。初めの頃は同じ中学出身同士で固まっていたが、そろそろ属性が同じグループに
        変わっている。そんな中に、やはりどのグループにも属せない数人が目に付いた。誰とも話さずじっとしている子。時々周囲を
        伺っているのだが、かといってそれぞれのグループに加わっていかない。もしかしたら明るい奴なのかもしれないけれど、
        時機を逸してしまったのか、輪の中に入っていない者が数名。そして全く他のグループというか、クラス全体に対して興味を
        示さず、孤独オーラを発している者もいた。こういうところから不登校や辞めるやつが出てくる、そういうことが感じられた。
        人間関係を作っていく、言うのは簡単だけど、なかなか大変な作業でエネルギーがいること。ここで教員が介在してもなかなか
        うまくいかない。自分で切り込んでいかないと...。一人で生きていけるほど強いなら別だが...。そんなことを自習監督
        しながら強く感じた。

        今年度からまたうちの学校には、スクールカウンセラーが常駐することになった。教員の中にも教育相談のスペシャリストも
        何人かいる。これからはこういうところにシフトする必要があるなぁと実感した。すでに1年生の中には不登校気味の奴も
        何人か出ているし。もう上の方から怒るだけでは先生なんてやっていけない時代です。教員もカウンセラーの資質が必要に
        なってきましたね。


4月26日(木) 楽な一日だと思いきや

        暇なようで忙しい一日。本日は1コマ授業やった後、午前中は身体測定でした。学校によってはスポーツテストなんかと抱き
        合わせでやるようですが、うちの場合、視力、聴力、身長、体重、座高のみ。で、私の分担は女子座高!私が計測して保健委員に
        記録させる。普通は女子の計測は女性職員が監督するものですが、手も足りないので、こういう無害なところに(体重とかでなく)
        無害な教員が(笑)配置されるらしい。それでも相変わらず、なんとかさばを読もうと必死に頑張る女子の姿は涙ぐましい。
        体重のところなんて、普段あんなに言っても脱がないルーズソックスは脱ぐし(笑)前日から食事は抜いてるし。私がやっている
        座高のところでも少しでも低くして(つまり足を長く見せたく)苦しい努力。そんなに斜めになっちゃ測れないっつうの!それでも
        結構スムーズに行き、予定より早く終了。以前なら騒いでばかりでなかなか進行しなかったものだけど、最近は言えばどんどん
        やるなぁ...(しみじみ)

        そして午後のLHRは学年集会。つい先日またまた特別指導が出たもので、学年主任から話があり、頭髪服装検査などもする。
        1年生の場合初めてなので、色々個人の事情などを聞いていくので(例えば地毛が赤いとか、天然パーマだとか)ちょっと時間が
        かかる。そしてその後自転車点検...。バタバタしています。かえって授業の方が楽だったりする。こういう行事系だと
        ずーっと拘束されるからね。私の場合、今日は授業がなかったので朝からジャージ出勤!楽々...と思ったら、急展開。
        私が副担任をやっているS先生よりお誘いが(泣)実はこのクラス、またまた2名ほど自宅謹慎に入っております。そのうちの
        一人の家庭訪問に付き合って欲しいとのこと。いいけど場所は...えーっ!あそこ?なんと学校から電車で1時間30分以上は
        かかるところ。だって隣の県ですもの。それも私の自宅と真反対方向!はい、仕方ありません。しょうがないですね、お仕事です
        から。ジャージ姿でも良ければお付き合いします。やれやれです。いちおう仕事が終わってから出かけますから、学校出るのは
        夕方ですね...交通渋滞をくぐり抜け、遠く家庭訪問へ。そこで説教して1時間以上かけてまた帰校。それからまた1時間半
        かけて自宅へ帰る....(泣)はい、お仕事お仕事。大変ですね先生も(爆)


4月27日(金) 休み前の仕事ずくめ

        何から書いていいかわからないくらいの盛りだくさんの一日。とりあえず昨日のご報告から。昨日の放課後、お供で停学中の生徒の
        家に家庭訪問へ行って参りました。思いの外スムーズに着き、本人と保護者と色々話す。S先生はあまり考えていなかったらしく
        無言の時間が続きそうだったので、助け船を出す意味で私の方から色々話した。でもちょっと話しすぎたため、担任を差し置いて
        喋りすぎてしまい反省。これでは担任の立場が...。一緒に帰る車の中でS先生はとても落ち込んでいた。担任になって約1ヶ月。
        気を張って頑張りすぎて疲れてしまっている様子。あまり無理をしすぎない方がいいですよ。そんなに頑張らなくても生徒は
        勝手に育ちますから(笑)消耗しきった様子にちょっとかわいそうになってしまいました。でもこれも担任ロードの第1歩。
        アドバイスは出来るけど、自分で乗り越えなければならないところもある。きついだろうけどなるべくバックアップしてあげるので
        助けが欲しいときはすぐヘルプしてください。まだまだ落ち込んでいる暇はないので。

        さて本日の話題。本日健診関係あり。1年生が心電図健診とかがあるのですが、あわせて教員の方もありました。レントゲン、
        血液検査、心電図と、たった30分の間に受けねばならず、教員の方も大変。私も合間を縫いそそくさと受診。相変わらず採血の時
        血管が出ない人なので、手の甲に近いところから抜かれる。いつもだいたいそうなので、本人としては全然気にしていないのだが
        周りで見ている職員が、いちいち「O−TEACHER、痛いでしょう?」と聞いてくるので、別に慣れているから全然痛くない
        けれど、そうするとなぜ採血になれているかまでいちいち話さなければならず、面倒なので「はいはい。痛いです。」と答える
        ことにした(笑)その後心電図検査。マグロのように寝っ転がり、変な吸盤をつけられしばし脱力する。係の人に「左手だけ、もっと
        力を抜いてください。」と言われる。左だけ脱力するのってどうするの?むっ、難しい。その健診を受ける合間に、先生方が
        健診車の前で待っているのだが、普段の勇姿は垣間見られず、ぼーっと下着だけ(もちろん上だけ)で立ちつくしている姿は、まさに
        哀れとしか言いようがない。問診用紙を持ったツキノワグマの群といったところか...。だいたいどの教員も不摂生している
        人が多いので、こういう健診があると、何か言われるのではないかと思ってびびる人多いし...(^^;)みんな不健康だからねぇ(笑)

        さてその合間に(?)授業などさら〜っとやり流す。いつもおとなしいとあるクラスがやたら受けていた。別に面白い話をしている
        つもりじゃないんだけど、なぜか受けている。何がツボにはまったのだろうか?よくわからない。それがわかれば、次からやり
        やすいのに、どこが受けたかわからず疑問のまま授業終了。

        そしてまたまたその合間にデジカメ撮影隊出動。ちょっと前に書いた、県がとりまとめて作るホームページの、そこに載せる校舎外観の
        写真を撮りに外へ出る。締め切り時期も迫り、天気も危ういらしいので今日を逃すとないだろう...と思い外へ出るも玄関先に
        大きな健診車が二台も止まっていて絵にならず(泣)時間をずらして後で撮る。うーん、こういうイメージ写真は難しい。うまく
        構図を整えるのは...。

        そしてそしてその合間に、停学中で登校謹慎しているやつらのところへ顔を出したり、はたまた帰りのSHRへ行ったりと、マジで
        休む間なし。そしてとどめはまたまた家庭訪問のお仕事(泣)S先生の付き合いで再度出動。ちなみに去年担任をやっていたときは
        一度も特別指導がなかったため、家庭訪問は一度もしなかったが、今年副担任になってもうすでに3件目...。お仕事お仕事(笑)

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