傾湫倒嶽たる 5月 下旬 編



5月21日(月) コンピュータ研修会第1弾

        本日より中間考査...っても特にこのことに関しては書くことなし。もう3年近くもこの日記書いていると、テストに関しても
        面白いネタがないし(爆)ただ1限目から特別指導による別室受験の監督などもあったりして、忙しかったです。本当なら中間
        テスト中は、採点さえなければ意外と時間に余裕があるはずなのですが、今回は違います。それは今日と明日、教員向けの
        コンピュータ研修をやったからです。本日は第1日目として、「Windows入門」と「Word入門」どちらも超初心者編。講師は
        クラスがごたごたして色々大変なN先生。アシスタントは私(笑)

        さて予定では1時からやるつもりだったのですが、緊急の職員会議などが入って遅れてスタート。受講者は校長、教頭をはじめ
        6人!千客万来(笑)起動の仕方から終了の仕方まで、本当の基本からやりました。そしてワープロの方では、入力できる人が
        多かったので、文字装飾を中心に色々教えました。N先生は自分ができるせいか、説明が決行あっちこっちいって、聞いている
        初心者たちはちょっととまどったかも。そこは時々私がフォローを入れてバックアップ。初心者にはドラッグでつまづく人、
        ツールバーが出なくて困っている人、表がうまく作れない人など、こちらがうまく説明指示ができないために、とまどわせる
        ことも多く反省材料ばかり。結局時間が少しオーバーしましたが、無事保存印刷まで行きました。やれやれ。

        でも今日あたり来る人は、やる気がある熱心な教員ばかり。だから質問もするし、これはどうやればいいの?と意欲的。それ
        よりも問題なのは、全く無関心な人たち。普段全然触らず寄らず逃げている先生方も多いのだ。成績入力で自分でやらなければ
        ならないときまで、人の手を借りたり頼んだりするひとたち...。こういう人こそ是非来て欲しかったのに...。教頭曰く
        「××先生こそ指名して来てもらえよ。自分で何にもやらないんだからさ。」ならそう言って連れてきてください(笑)


5月22日(火) コンピュータ研修会第2弾

        というわけで本日は私、O−TEACHERが講師となりコンピュータ研修会第2弾!Excel&インターネットEメール編を
        やりました。ところがExcelに関してはたった二人!(泣)教頭先生と養護のO先生相手にとりあえず基本を伝授。合計やら
        平均の出し方など...。マンツーマンでやりやすかったけど、この少なさではやる気ががっくりそがれてしまいました。
        でも引き続いて行われたインターネットEメール編ではもう少し増えて都合5人。まずはコンピューター室の内だけで
        メールをやりとりしてもらったりチャットをしてもらいました(^^;)みんななかなか喜んでいました。このあたりは生徒の
        反応と同じであどけない(笑)そして次は場所を移して情報処理室で、実際のメール送受信とインターネット検索体験。
        1時間ほど前にH先生にお願いして、教務室のコンピューターから画像添付したメールを送ってもらうように依頼し、それを
        受け取らせてみました。ところが...もうH先生ったら!(笑)変な画像をつけてきたもので一同驚く(笑)

        そしていよいよメインのインターネット体験。3組に分かれて、私が提示したアドレスを打ち込み、そのホームページを
        出すというもの。ひとつはニューヨークのライブカメラ。実際の生の映像にみな感心しきり。そしてもうひとつはお笑い系の
        面白ページ。有名どころで「Webやぎの目」これで寝ている人などの写真を見て和む。そして3つめは、今流行の出会い系
        サイト!(笑)みんな興味津々。で、次のことをやろうとしているのに、教頭先生だけが熱心にいつまでも出会い系サイトを
        眺めている(笑)その後検索の仕方などを教えて終了。みんなとても面白がって、インターネットに興味津々の様子。特に
        M先生などは「これが見たい!」と勝手に検索して延々と見続けている。うーむ、みんな初めてはこうなのよね。

        今回人は少なかったが、コンピューターの啓蒙活動の第一歩としてはこんなもんでしょうか。また次の機会にやろうかな。
        でも準備の時間はえらくかかったのに実際来た人数は...(泣)でもこんなもんでしょうね。はい。


5月23日(水) 何もなしなし

        特に何もない一日。自分が担当する古典のテストがありましたが、まずまずの出来でほぼ予定通り。こういう試験はだいたい
        平均点がどのくらいにするかで難易度が決まり、また点数が悪いやつらが、極端に取り返しがつかないように、そこそこ
        取らせる、そういうテクニックが大切。でも一年生は初めてのテストなので、こちらも誰ができて誰ができないのかわからず
        手探りで採点。これでだいたい目星がつきました(^^;)

        本日はその他教育相談研修会などがあるのですが、ちよっと野暮用で早退中....。


5月24日(木) 採点のBGM

        テスト最終日の一番最後に我が現代文のテスト。ゆえに採点に取りかかるのが一番ラストになってしまいました。しかしそれも
        本日は超ハードスケジュール。試験監督だけならまだしも、明日は遠足で、そのための学年集会があり、当然そのための職員
        打ち合わせということで学年会議もあり、そんでもって何でこんな時にという感じの連絡調整委員会...。平の時はこんな
        会議に出なくて済んだのに、情報部長という役についたための受難(泣)だからとてもじゃないけど採点する暇がない。明日は
        遠足で無理、明後日は第四土曜日で休み、そして月曜日の1時間目から授業のため、テストを返却しなければならない...。
        なら家へ持って帰ってやれば?と言われそうだが、解答用紙を持ち帰るなんてけっこう怖い。もし何かあったら?パチンコして
        いて車中荒らしにあって盗まれたら?(ちなみにO−TEACHERはパチンコも含め賭け事はやりません)家でカレーを
        食べながら採点していて、もし解答用紙にこぼしてしまったら?(笑)というより採点した点数を学校のコンピューターに
        入力しておかなくてはならないので、やっぱり本日中にやらねばならないのです。

        昨日1年の古典2クラス分(約80人)は、集中力を使い切り、約2時間半で終了。さて本日現代文3クラス分(約100人)
        は、どれほどかかるのか?そうなってくると効率の問題で、ただぼーっとやっていてもなかなか終わらない。そこで経験的に
        一番効果的なのは、実はBGMなのだ。うまく問題にあえば意外とスムーズに捗る。特に記号問題なんて単調なものは、ノリが
        命。これはユーロビートが最適。かといって他の先生方もいるので、ガンガンユーロビートを流して採点しているといい迷惑。
        ゆえに昔はヘッドホンつけたりして、ひとり身体を揺すって採点していました(笑)しかし逆に説明問題はだめ。これは
        こちらがきちんと読みとらなければならないので、うるさい音楽は×。静かなクラシックが一番。ゆったりした気分で読み
        込める。これらの選曲がベストマッチすれば、予定より30分以上早く終わること受け合い!是非同業者たち、お試しあれ(笑)

          「って言ってO−TEACHER、さっきからCD選ぶのにもう1時間ぐらいかかっていますよ...。」
          「・・・・」


5月25日(金) カレー王遠足

        行って来ました校外学習。つまり遠足。今回は茨城にあるポティロンの森というところで飯盒炊飯でした。こういう遠足的な
        行事はどの学年も、この日に合わせてセッティング。2年生はテーブルマナー、3年生は恒例のディズニーランドという感じ。
        我が1年生は、クラスのコミュニケーションを深めるために、何か共同作業的なものを、ということでこうなりました。でも
        ただクラス別班別に、カレーや豚汁を作っても面白くない。中学時代にやっている子もいるので、もうひとひねり。そこで
        I先生発案のカレー王選手権、豚汁王選手権を行いました。材料はその場で用意され、食中毒などの危険もあるので持ち込み
        不可。ではどこで差を出すかということになり、調味料などはかまわないというので、スパイスや見栄え、トッピング、もちろん
        ごはんや野菜の煮え具合など、すべて加味しての勝負。審査員は学年主任のS先生が行いました。なんと一人で25杯すべて
        食べて一つ一つ吟味。これでお腹を壊したら労務災害か?(笑)しかしこれがまたすごかった。生徒たちがみんな頑張って
        作ってくるのに辛口の批評ばかり(^^;)自信を持って持ってくるのに酷評ばかりが続く。何もそこまで言わなくても...って
        でも本人は偉く真剣に吟味していました。本当に一つ一つ味わって、ご飯の炊き具合、野菜の固さ、香辛料の独特の味(ちなみに
        班によっては色々な香辛料を持参したり、その場でチーズなどを買って加えたり、チョコレートやガラムマサラで勝負に出たり)
        など、色々あって実に多種多彩。なかなか激戦で盛り上がりました。

        そして自分たちでも味わって片付けをして自由時間。昔、同じようなことをやったときは、飯盒がうまくできなくてすごく
        時間がかかった記憶がある。でも今回は竈も良く、また現地のスタッフが色々気を配ってくれて、うまくできないところには
        火の具合などを見てくれたので、おおむねうまく出来上がり時間も予定より早く終わった。でもこういうときに、うまく火を
        おこせたり、野菜を切る手際が良かったりすると、男子も女子もクラス内で株が上がる絶好のチャンス。「××くん、
        すごいよね。あんなにうまく火を熾して。」とか「○○さん、野菜の切り方、うまーい。」みたいな(笑)果たしてうまく
        クラス内の交流は深まったのだろうか?

        一方教員グループは、E先生が獅子奮迅の働き。一人で火おこしから、カレー作り、月桂樹に香辛料。完璧なカレー作りを
        作り上げた。ある意味彼がカレー王でしょう(笑)私も昔のボーイスカウトの経験が生き、見事ご飯をうまく炊けてホッと
        しました。でもこの職員のカレーに関してはちょっと一悶着あり。実は生徒の方の飯盒炊飯の代金700円(材料込み)は
        もちろん遠足代として学年費の方から出ている。ところが一緒に作っている教員のお金の方は全部自費!まぁ、確かに自分たちが
        食べるものだから、それがすじなんだろうけど、遠足で生徒の引率としていっているのに、その教員の飯盒炊飯代700円が
        自腹とはいまいち納得がいかない。学年主任が事務長に交渉したのだが、たった10人の教員の昼食代、しかも生徒と一緒に作る
        飯盒炊飯材料代を出せないと一点張りだった。生徒を引率しているのに、職員だけ自腹で他の施設のレストランで食べろという
        のか?(怒)現実問題として、生徒が飯盒炊飯やっているんだから、近くに付いていないわけには行かない。何かあったら
        大変だから。それをお金(予算)だけの問題で、ノーと言い続ける事務長の、なんて頭の固いことか!これには教員一同大怒り。
        生徒だけ作らせて、教員は他の場所で生徒をほっぽらかしで自腹で食べろなんて、できるわけないのに!別に自腹が嫌とか
        いうのではなくて、せめて引率で行っている教員への多少の補助ぐらい何とかできないという理不尽さ。お堅い頭の人がいて
        不愉快な一幕があったとのこと。

        そんなことはさておき、無事飯盒炊飯終了。早めに終わったせいで自由時間も増え、生徒達はボートに乗りに行ったり、浅い池で
        遊んだりと、なかなか楽しそうだった。こういう時にこそ、情報部長大活躍!デジカメで撮りまくりで、あちこちに出没し
        生徒に嫌がられていました(笑)そして2時半に集合し、再度バスで帰路につく。帰りのバスの中で生徒から要望があり
        ビデオを見たいとのこと。カラオケは古いのばかりで興味はないが、ビデオなら...という淡い期待だったのでしょう(笑)
        しかし出てきたのは「学校V」「ドラえもん・ねじまきシティの大冒険」「MIB(MEN IN BLACK)字幕編」の3本。どれも
        帰りの時間で見切れるものはなし。個人的には『MIBかな?』って思っていたら、生徒のリクエストは圧倒的にドラえもん。
        おいおい、高校1年生にもなってドラえもんはないだろう、って思ってみていたら意外に面白かった(^^;)担任のS先生なんて
        大笑い。

        そして無事学校に着く。その場でカレー王&豚汁王の表彰をする。特別賞としてベスト煮込み賞やベスト辛み賞なども贈られ
        その班に賞品としてお菓子が与えられた。いやー、一部の生徒が朝遅刻する騒動もあったけど、全般としては○。事故がなく
        無事帰って来られれば、教員としては◎。うちに着くまでが遠足ですけどね(笑)


5月28日(月) 同じ顔をした人

        教員も長くやっているとデジャヴ現象を起こしやすくなる。なんか授業をやっていると、突然『あれ、これって昔、同じこと
        言った記憶がある。』と思う時がある。まぁ、当然同じ教材をやるときも多いから、説明の仕方が同じになって、昔言った
        説明が思い出されるのはよくある話。ひどいときになると、なんかつまらないギャグを言ったとき『あっ!ずーっと以前に
        俺、ここの部分で同じギャグ言った!そして同じように受けなかった!』なんてこともある(笑)

        それと同じように(いや、根本的に違うのかもしれないが)生徒も同じような顔を見かけることがある。『あれ?こいつって
        昔教えていた××に似ているなぁ。』なんてこと。毎年毎年100名から200名近く、それも15年以上やっているわけだから
        適当に数えても1500人以上の生徒を見てきたわけだ。そんだけ見ていれば、当然似たような顔のやつを見かけても不思議じゃ
        ないのかもしれない。でも今年はちょっと違う。今年入ってきた1年生の中に、以前教えていた生徒と似ているやつが異様に
        多い気がするのだ。そりゃあ、毎年一人や二人『雰囲気が似てる...』なんてレベルは多いのだが、今年に限って言えば
        私的には極似のやつが4人ほどいる。でも意外に調べてみると、過去教えたことのあるやつの弟や妹だったり、よく聞くと親戚
        だったり...なんて例がないわけではない。でも今年の4人は、全然つながりもなく、前任校で教えた子にみんなよく似ている。
        名字や住んでいる地区もバラバラだし、どう考えても血縁関係なんかなさそう。でもすんごく似ているのだ。といっても誰も
        同意してくれるわけでもなく、個人的に思っているだけなのだが...。でも本当に似ているなぁ...。怖いぐらい。

        だから授業に行ってそいつの顔を見ると、その昔の生徒のことを毎度思い出すのだ。『ああ、あいつはこんなやつだったなぁ。』
        なんて。今日もテスト返しの時「今回、出来が悪かったなぁ。もっとできるはずだろ。」なんて言ってしまい、「?」と怪訝な
        顔をされてしまった。やばっ、出来るのはその昔の生徒だった!ついつい間違えてしまった!入ってきたばかりの生徒だから
        出来るか出来ないかなんて、今回初めてわかることなのに...。

        よく世間では、自分と同じ顔をしたやつが3人はいると言われるが、こういうケースなんじゃないかなぁと思ったりする。
        そういえばよく生徒に「O−TEACHERって、なんか誰かに似ているよね。きゃはは。」とよく言われる。私に似た残りの
        3人はいったいどこで笑われているのだろう(笑)


5月29日(火) 小論文指導

        また補習を依頼された。うちの学校の場合、授業とは別の進学補習や不振者補習は、定期的には行っていない。その都度、
        必要があるときに、各担当者が個別に開設していたり、行っている場合がほとんどである。ただその中で唯一、進路指導部が
        窓口になって、希望者に小論文の補習だけ、きちんとした形で毎年行われている。近年特に進学者に対しては小論文対策が重要に
        なり、その出来具合で合否が左右されるケースも間々ある。以前あまり出来が良くない生徒に対して、K先生が徹底して
        小論文指導をした。毎回毎回、それこそ取っ組み合いになるかというぐらい口論しつつ、小論文指導をしていた。そのおかげで
        その子は、大学進学なんてとても学力的に無理と思われていたのだが、奇跡的に合格したのだ。小論文一本に絞っていた
        おかげで。もちろん両親も本人も大喜び。それ以来、うちの学校では小論文指導が盛んになり、進路部主導で実践される
        ようになった経緯がある。

        でも考えてみると、小論文指導なんて、誰でも出来るというわけではない。いかに書くかなんてそう易々と教えられることでもない。
        当然ある程度教える方も絞られてくる。まぁ、当然国語科の先生方はある意味プロフェッショナルだから、その指導担当に
        白羽の矢が当たるのはうなづけるが、近年人数が増えてきたせいもあり、社会科の先生方も加わってきた。

        さて、その小論文指導、当然私も毎年お願いされる。まぁ、これも仕事ですから当然やりますが、今年に限って言えば希望者が
        とても増えた。例年分担して3、4人ずつ個別指導という感じなのだが、今年は私の担当する生徒は何と7人もいる。でもこれでも
        少ない方。多い先生は11人という人も。こういう小論文指導は、一斉授業やって、ああだこうだ説明するっていうものじゃ
        ないから、一人一人書かせて添削して、色々アドバイスしてまた書かせる、こういう作業を数限りなくやっていくのが普通。
        去年あたりも一人につき10回以上書かせた記憶がある。今年もそのペースでやると、延べ70回の指導、つまり600字程度の
        小論文を70回以上は読んで添削することになる。まぁ、途中で脱落したりするやつもいるので、多少は減るが、でもほぼ
        授業以外でこれらの作業が入ってくる。大変な負担なんだけど、でも仕方がない。生徒のためだから。

        で、まず第1回目として、まず私が担当する生徒を呼んで、やり方について説明したり、進路希望について(当然出題傾向も
        違うので)聞いたりした。このあたりでよーく本人たちから、どの程度の意識なのか聞いておかないと失敗する。こっちは
        大学受験用だと思ってバシバシ指導していると、実は専門学校の志望動機を書くぐらいのことを望んでいたりすることもある。
        だからよく聞いてから始めないととんでもないことになる。今回も受講者から聞いてみると、だいたいは専門学校の簡単な
        作文程度がほとんどで、数人、大学用の小論文が必要とわかった。でもまずはお手並み拝見ということで、「私の性格」という
        タイトルを出して書かせてくることにした。一見簡単な題だが、はたしてどれほど自分を客観的に見られているかということを
        はかる狙いもある。さてさてどう書いてくるか。


5月30日(水) 小説の面白さ

        今、3年の現代文で、鷺沢萠の「指」という小説をやっている。ある一人の少年の心理を描いた掌編である。なんか私みたいな
        おやぢになってくると『ほおー、もう教科書に「鷺沢萠」あたりが載るようになってきたんだなぁ。』と思ってしまう。どうも
        教科書に載っている教材というのは、古い作家の定番のものという感覚があり、例えば芥川龍之介の「羅生門」とか中島敦の
        「山月記」、夏目漱石の「こころ」など、いつの時代でもやるものというか、古びない名作が必ず載っているという意識があった。
        それでも他教科に比べて教科書の内容を変えやすい国語は、どんどん新しい作家の作品が載るようになってきている。もちろん
        鷺沢萠もそう。自分より年下の作家が教科書に載る日が来るなんて信じられない(笑)おかげで教材研究が大変。新進気鋭の
        作家だったりすると、まだ文学的評価も定着していなかったりする。まぁ、こういう作風の作家です、なんて説明していると
        途中から作風がガラッと変わってしまって、おいおい的なものがある。だからすでに死んだ作家の作品が昔は多かったのだが。

        だからそういう新しい作家の作品をやるときは、その作家の他の作品なども沢山読んで、どういうタイプの作家か、どういう
        意図でこの作品を書いたか、どういうテーマをよく書いている人か、そういうリサーチというか、下調べがとても大変なのだ。
        今回も鷺沢萠をやるにあたって、以前に2冊ほど読んだことはあった。でもほとんど記憶にない(^^;)そのため本屋へ行って
        また2冊ほど買い込んで読んでみたり、誰かの書評を見たり、本当に大変なのだ。たった数時間の授業のためにその何倍も
        下準備にかかる。以前ほど一生懸命にはやっていないけれど、インターネットでどこかあらすじだけの書いてあるサイトがないか
        なぁと探したりする裏技(手抜き?)なども駆使している。

        そんな中、最近文庫本出ているエッセイを見つけて読んだのだが、これがけっこう面白かった。わかる人にはわかると思うが
        原田宗典っぽいノリなのだ。こういうものも書ける人なのかと感心。生徒もこれを読めば少しは興味がわくかなぁと思って
        紹介したりした。でもその時思った。こういうことが読書の幅を広げることなのかなぁと。たいがい教科書に載っている
        小説って面白くないものが多い。でもそれは教え方が悪かったりその小説の魅力に気づかないだけであったり、はたまた
        この鷺沢萠みたいに、実はこの小説家のほんの一面でしかなかったりする。この教材がきっかけに、もっと他の作品も読んで
        みたいとか思えてくれれば、実はもっと本を読むのって面白いとか、そんなふうに感じてくれれば万々歳なのである。ただ
        ひたすらそう思ってもらうためにやっているのかもしれない、国語の教員なんて。


5月31日(木) 授業見られる!

        今週から教育実習生が来ている。かつての教え子のW君。在学中は私も教えていて、ある意味とてもインパクトのある生徒だった。
        うちみたいな底辺校では、教育実習で母校へ来るなんて、数年に一人いるかいないか。久々の実習生でもあるし、そのせいで
        受け入れ体制がスムーズに行かなかったようでもあるが、それに加えて彼の在学中のインパクトある言動が、今後波紋を呼ぶ
        かも(^^;)そしていよいよ実習が始まった。相変わらず杓子定規というか、くそ真面目というか、その性格は変わっていない様子。
        悪いやつではないのだが、何かこう、融通が利かないタイプなのだ。まぁ、何とかこの2週間無事頑張ってくれよと思っていた。

        そんな彼が今日の私の授業を見せてくれと言ってきた。まぁ、別に減るもんじゃないしいいけど、そんな人様にお見せするほどの
        立派な授業ってわけでもないし、そして何よりわざわざ見なくても、在学中習ったからわかってるでしょ、そのてきとーさが(笑)
        先生たちって、唯我独尊タイプが多いし批評されるのが嫌いな人も多いので、こういう公開授業というか、人に授業見られることに
        極端に拒絶する人もいたりする。教え方というのは、その人その人の独特のスタイルがあって、これだ!っていうのはなかなか
        ないものだから、別に良いと思うけど、やはりみんな自信がないのでしょう。もちろん私だってね。

        そこで本日2時間目の3年の現代文を見られちゃいました(^^;)と言っても全然緊張もしなくよそいきにもならず、いつも通りの
        フツーの授業。もちろん途中に相変わらず雑談バシバシ、こんなの参考になるのかというくらいマイ・スタイル。でも私も教育実習の
        時とか新人の頃、色々な先生に授業を見せてもらったけど、本当に様々だった。一人として同じスタイルはなかった。口調一つ、
        板書一つ取っても、同じ内容をやってもこうまで違うのかというぐらい。ましてや説明の仕方や発問に至っては全然違う次元。
        ひどいときには内容の解釈にすら違いまである(^^;)そういうのを見てきて思ったのは『真似るべきは真似るけど、結局は自分で
        あみ出していくしかないのね。自分で自分らしいやり方を作り上げていくしかないのね。』ということ。それが正しいかどうかは
        別だけど。だから今日の授業を見ても、多分W君には、同じようなやり方は多分出来ないでしょう。私の授業はキャラ勝負の
        ところが強いから(笑)というより説明の仕方がくだけすぎて、性格的に無理でしょう。でもいいんです、ああいう説明でも
        理解してくれれば勝ちとわかってくれれば。授業中楽しくて笑える雰囲気があってもいいとわかってくれれば。さて彼はどんな
        感想を持ったのだろう。そして来週から実際にどんな授業をやってくれるのだろう。楽しみだなぁ。

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