虎視眈々たる 11月 上旬 編



11月1日(木) 50分の体内時計

       体内時計というのは不思議なもの。日頃の習慣というかサイクルがしみこんでいるらしい。今日、3時間目に授業があった。
       たまたま1、2時間目が空いていた。中間テストも返却してしまったし、さっそく新しい教材に入らなければならない。特に
       古典は専門でないので、よーく教材研究しておかないとボロが出てしまう(^^;)そこで空いている1、2時間目を使って必死に
       教材研究をしていたのだ。もちろん以前にも教えたことのある教材だから、ある意味今までの知識だけでも
       お茶の子さいさいなのだが、やはりいざというときのために、というか万全を期するために、久し振りに(^^;)かなり深い
       ところまで調べ上げた。例えば軽い例だと、「つれづれ」なんて言葉の意味は、旺文社の古語辞典ではどう書いてあって、
       角川書店の辞書ではどう書いてあるとか、その訳し方の違いとか、またたは取り上げられている用例の違いとか..。
       まぁ、そんなことを色々。

       元々集中力はある方なので、一心不乱にやっていて、ふと気がつくとちょうど1時間目が終わるところだった。つまり
       ちょうど50分終了。よーし、せっかく乗ってきたところなので、2時間目も空いているのでもう少し先の方まで調べて
       おこうと、再び勉強再開。そうなると外の音がまったく聞こえず、人から呼ばれてもすぐには気付かない。それこそ集中し
       まくって勉強していた。そんな時、何がきっかけかはわからないが、ふと時間を見ると、ちょうど3時間目が始まる30秒前。
       ぴったしの体内時計!2時間目の始まるチャイムや、その50分後、終わりのチャイムが鳴っているはずなのだが、全然
       聞こえなかった。でも身体は50分刻みで反応するように出来ていて、3時間目の始まりに気がつくように出来ている。
       うーむ、これこそまさに職業体内時計(笑)

       そういえばふだん授業をやっていても、自分で色々説明していて『そろそろかな?』と、ふと時計を見ると、やっぱり
       だいたい50分近く経っている。これは教師の特性なんだなぁと思った次第。

       そんな話を生徒にしたら、とある生徒が

         「O−TEACHER、それは先生だけの話じゃないよ。生徒だってみんな50分で授業受けているから、50分経つと
          自然と身体がわかりますよ。」
         「おおっ、そうか。やっぱりお前たちもそういう経験あるか。」
         「ええ。授業中寝ていて、しばらくして目を覚ますと、ちょうど50分経って授業が終わるところですから。」
         「・・・・・」


11月2日(金) カウントダウン

       本日、中間テストの成績処理があった。コンピュータでデータを入力して順位やら何やらを処理した。しかし如何せん
       手作業なので時間がかかる。いや処理は一瞬なんですが入力が...。おまけに相変わらず入力の仕方を覚えようという気の
       ない人も多く、時間がかかっていました。まっ、確かに入力の規則を決めるというのも意外と難しいものなのです。例えば
       風邪で休んでテストを受けられなかった生徒は0点扱い?それとも見込み点をつける?その見込み点もどういうふうに換算
       して出す?就職試験とぶつかってテストを受けられなかった公欠扱いの奴はどうする?長欠でほとんど辞める見込みの奴は
       まだ在籍しているからいちおう入れておく?等々。もう色々なケースがあって統一した基準を作るのが難しいのだ。おまけに
       ソフトの仕様でそうなっているのだが、欠席して受けていないものは空欄ではなく、点数のところに999と入力することに
       なっている。これがまたすぐ忘れてしまうのだ。確かにあり得ない点数としてソフト側が認識するように出来ているらしいの
       だが、人間様の方がもっと認識出来ていない(笑)一応マニュアルを作って配ってあるが、誰も見ていないし(^^;)教務部の
       成績処理係も大変である。結局後で誤入力の訂正やらで、すごく手間暇がかかる。コンピュータ化と言っても、こういう人
       たちの膨大な努力の成果ということを、そろそろ他の人たちも理解してあげねば。

       さてそれと並行して、欠時数のチェックをした。生徒の中には長欠傾向のやつがいて、ほとんど学校に出てこない奴もいる。
       高校は、授業の2/3以上を出席していて、初めて履修したことになる。その上で点数を取って単位修得ということになる。
       だから極端な話、テストで100点取ろうが、授業を1/3以上欠席してしまうと、その単位は取れないことになる。それが
       複数科目重なると留年、原級留置、いわゆるダブるのである。

       で、私が持っているクラスの中でも、そういう危ないくらいまで欠席が続いている生徒が3人ほどいる。ほとんど顔を覚えて
       いないくらいの奴もいる。いわゆる時数切れが近いもの。それの残り時数などをチェックしたのだ。とある生徒は、私の
       現代文の授業の場合、年間33時間以上休むと単位が取れない。週3回授業があるのだが、1学期からトータルして、もう
       すでに28回ぐらい休んでいる奴もいる。だからあと5回休むと単位を落としてしまう。そういう計算をして担任に忠告して
       もらうのだ。そういうことをきちんと生徒や保護者に伝えておかないと、あとで「聞いていない!」とごねるケースがよく
       あるので。でも常識的に考えて、まだ11月も始まったばかり、週3回の授業はまだまだ続くのに、今までほとんど来て
       いない奴が、急に来週から皆勤で来るとは思えない。だからこそリーチがかかる前に警告が必要なのだ。いざビンゴ!とか
       言われても困るだろうし、そんなに大変なことだとは思わなかった、なんて言う親が多いのだ。言葉は悪いが、
       カウントダウンが始まる前に、事前通告をしなければならない。それを細かくチェックしていて午後は暮れていきました。
       まぁ、学校に来ない、もしくは来られないのにはそれぞれ事情があるだろうが、いちおう規則で決まっているので、こういう
       事務的な対応も仕方がない。それを知っていて頑張って休まないように来る生徒も多いのだから。何事も歯止めというか
       タイムリミットも必要だなぁと感じる仕事でした。ふぅっ。


11月5日(月) 過去を知る人?

       本日も授業変更やら色々あって多忙なり。何か今月は色々な先生の出張などが重なっているらしく、授業変更を頼まれる
       ことが多い。私の授業は交換しやすいのか色々頼まれて、全部引き受けているうちに、自分でもいつどこのクラスで授業が
       あるのかわからなくなる始末。まっ、いいか(>よくない)

       さてそんな折り、国語科準備室で昼食を取っていると、いきなり書道の先生のA澤先生が入ってきて「O−TEACHER!
       何歳ですか?」といきなりの尋問調査。はっ?何で私の年齢が知りたいの?そんな口説こうと思っても無理ですよ、私には
       心に決めた人が...えっ?違いますかそうですか。もしかしてどこかの誰かに「あいつの年齢を当てたらおごってやる。」とか
       言われたのですか?けっこう年齢不詳気味って言われることが多いので(笑)えっ?違いますかそうですか。わかった!私の
       年齢で今日のラッキーカラーが決まるとか...えっ?全然違う?そうですか。じゃ何で私の年齢が知りたいのですか?
       で、よく聞いてみると...。はぁ、そういうことですか。何かと思えば、私がいた高校にA澤先生が在任していたという話。
       それも私が高校生の時。えっ?そんなお年なんですか?いや失礼、私とさほど変わらないと思っていたもので(^^;)(ちなみに
       A澤先生は女性です)で、聞けば私が高校生の時に、やはりまだ新人の書道科の先生として赴任していたということが判明。
       「当時の書道の先生って私だったんですけど、覚えています?」いや、失礼ながら記憶には...音楽選択者だったし(^^;)
       と、そんな話でひと盛り上がり、まぁ、恩師の部類にはいるわけで、ハイ、以後何なりとお申し付けください(笑)

       こういうケースって意外に多い。だいたい学校の先生になるような人っていうのは、進学校出身者が多いので、そこで
       教育実習をしたとか、そこに勤めていた、なんてケースはゴロゴロある。特に地域が限定されていたりすると、同じ学校の
       先生同士で、先輩後輩の師弟関係がバシバシあるというケースも、割とよくある話。以前にも書いたかもしれないが、前に
       うちの学校に、やはり私の出身校にいた先生とばったり会ったことがある。それも上司として。また高校の後輩が同じ学校の
       同僚になったことも...。高校時代の後輩で、「おい、××!」なんて呼び捨てにしていたのが、今となっては「××先生!」
       ですもの(笑)でも何となく昔の自分を知られているというのは、ばつが悪い。昔の無奔放でいい加減な過去を知っている人が
       身近にいるというのは、どうもやりにくい。特に私の場合、高校時代はハチャメチャだったものですから(笑)だからそういう
       自分の過去の悪行というか若気の至りを知っている先生たちが転勤していき、ホッとしていたところに、今年転勤してきた
       A澤先生が、私の出身校に在任していたとは...。また脅されるネタが増えたかも(泣)でもお互いにお互いのことが、あまり
       記憶にないようなのでホッとしていたのですが、後でこそっと言われました。「O−TEACHERってテニスやっていたでしょう。
       やっぱり覚えているわ。そうそうあの時のテニス部だった人ね。フッフッフッ。」この笑いが怖い。恐るべきは世間の狭さである。


11月6日(火) 猫に小判のOS

       このところググッと冷え込んできた。寒さに弱い私としては辛い季節がやってくる。ある女子生徒が「先生、もうコート着てきて
       良いの?」と聞いてきた。別にうちの学校はコートに関しては規定があるわけでもなく、また制服みたいに、いつから冬服という
       ように決めているわけでもない。だから「いや、別に着てきても良いよ。寒かったら着てくればいいじゃん。」「なーんだ。まだ
       ダメかと思った。」「特に衣替え期間みたいに決まっていないから、今日みたいに寒い日はもう着てきても良いんだぞ。」「あっ、
       でもやっぱりだめだ!まだ着て来れない!だってまだコートに合うマフラー買ってないもん!」寒さよりファッションを優先する
       女子高生ならではの発想でした(^^;)

       さてそんな中(どんな中?)昼休みに用務員のO田さん来室。実はこの用務員のO田さん、最近パソコンを始めたのだ。元々
       興味があったのらしいのだが、事務職員のK栖さんに騙されて中古のノートパソコンを売りつけられて以来(笑)かなり
       はまっているのだ。でも元々好奇心旺盛でなかなか頑張りやなので、自分で町内会の夏祭りの会計報告をExcelで作ったりとか
       ワープロで色々打ったりとか、かなり上達してきていたのだ。そんな中、数ヶ月前に私のところへ来て「O−TEACHER、
       これどうやるの?」と質問に来たことがある。何かと思いきや、デジカメを接続して色々画像をいじりたいのだが、デジカメが
       認識しないと言ってきたのだ。見てみると、どうやらドライバがないためらしい。うーむ、やはりドライバの更新ともなると
       ちょっと初心者には荷が重いかな。はいはいわかりました、入れて差し上げましょう。ということで付属のCD−ROMから
       インストールしようとしたのだが、これがうまくいかない。何度やっても入らないし、デジカメを認識せず黄色い?マークが
       つきっぱなし。そこで力業で無理矢理入れ込んで、何とか認識させた経緯がある。でも根が勉強家だから「それはどう
       やったの?もう一度やって見せて。このリムーバルって何?ドライバって何のこと?」と質問攻めにあったのだ。まぁ、いちいち
       説明しても良かったのだが、まだまだ初心者のO田さんには理解しづらいだろうと思って、あまり詳しく教えずにとりあえず
       デジカメを認識出来るようにしてあげたのだ。

       それが今回、またデジカメをつなぐけどリムーバルディスクって出なくなった!と助けを求めに来たのだ。何かやったのかな?
       と思いつつ見てみると、何か起動画面が違う。あれ?何だよ、いきなりWindows98がWindows2000に変わっている!どうしたん
       ですか、これ?「いや、このノートパソコン、何か容量とかが足りなくて、あんまり空きがないとか言うんで、K栖さんが
       ハードディスクを付け替えてくれたんだけど、ついでにこっちの方が良いからって、そのWindows2000とか言うのにして
       くれたんだよ。」ははぁーん、これが原因かも。ハードディスクは載せ替えるわ、OSは変えるわで、それで色々セッティングが
       変わってしまったのでしょう。で、結局もう一度デバイスを認識させ、ドライバを検索して、きちんとWindows2000用の
       ドライバを入れ直す。もうK栖さんたら。初心者にいきなりWindows2000はないでしょう。これじゃあ、余計わからなくなる
       わけですよ。O田さんも「何か前の画面と違うし、何か色々変わったところがいっぱいあって、だんだんわからなくなって
       きてたんだ。」そりゃそうでしょう、初心者がついこの間までWindows98使っていて、いきなり2000じゃあ。でもよく考えると
       堅牢性を考えたら、そういう手もありかもね。でもやっぱり初心者には難しいわな。とりあえず無事セッティングし直してあげ
       O田さんも満足げ。こういう個人ユーザのサポートも情報部長の仕事です(^^;)あっ!そういえば、今度年賀状の作り方教えてって
       頼まれていたっけ...。やれやれ、ほとんど個人インストラクターですよ(笑)


11月7日(水) 昨日の学年会議

       昨日の学年会議の話。各クラスから近況報告があった。色々と個々の生徒にかかわる情報交換をしたのだが、どのクラスも
       色々ありますね。例えば親が事業に失敗して離婚したため、急に生活が荒れた生徒とか、病気のために薬を服用していて、ちょっと
       精神的にも不安定な子とか、または勉強が振るわず真剣に退学を考えていたりとか、引き籠もってしまって全然連絡が取れなく
       なっているとか...。どのクラスにも、学校以前の問題を抱えている子が沢山いる。例えば勉強ができないぐらいなら、それこそ
       学校に来さえすれば、先生たちも含めて何とでも対応出来る。ていうか、それが私たちの仕事。でも家庭の問題とか外部の友人との
       トラブルとか人間関係となってくると、もうお手上げ。それに病気のこととか絡んできたら、もう完全にギブアップ。限界が
       あります。先生の守備範囲もだいぶ広がっているとはいえ、ほとんどそういう問題が不登校やら問題行動につながっているため
       対処しようがないのも現実。冷たい言い方だが、ある程度割り切らなければ、こちら側も潰れてしまうでしょう。そんなことを
       考えつつ、各担任の話を聞いた。そういう個々の状況を聞いても、学校側で対応出来ることはほんのわずかで、なす術なしという
       ところも多く感じた。うーむ、学校にも限界があるのだなぁと痛感しました。何か今、テレビでやっている金八先生のドラマを
       地でやっているようで、今ひとつ突破口が見えないもどかしさ。それでも担任たちはみんな頑張っているのが、唯一の救いか。


11月8日(木) 雑駁な内容です(笑)

       朝、学校で学校宛てのメールをチェックしていたら、保護者から1通来ていた。内容は「いつも拝見させていただいております。
       出来れば11月以降の行事の様子も知りたいので、行事予定表の更新をお願いしたいのですが...」げげっ、やばっ。ハイ、
       忙しさにかまけてやっておりませんでした。多分そんなに見ていないだろうと、のほほんと滞らせていたら、催促のメールが..。
       見ている人もいたのね。で、そのメールにはこんな続きが。「子供は学校のことを何も話さないので、どういう様子なのか
       知りたいので、宜しくお願いします。また出来れば3年生の進路の結果なども掲載いただけないでしょうか。」とのこと。なるほど
       ホームページが、唯一子供の学校の様子を知るしるべなのね。まぁ、高校生ともなると学校のことなんて話さないし、プリント
       とかだって持ち帰らないし、そうなるといつ学校行事でいつ休みとかもわからない。そんな時学校のホームページが頼りになるのね。

       さて、そうとなるとすかさずお仕事。行事予定表だけでなくあちこち古いデータのまま。まずは資料集め。教務部へ行き、
       行事予定表と入試情報、進路へ行き進路状況データ、管理厚生部からはカウンセラー便り、その上、古いデータを削除して
       大幅校正。スキャナーやら何やら色々活用して、約4時間の大幅更新。やれやれ。でも見てくれる人がいるというのは張り合いが
       あるものです。でも多分、本校の先生たちはほとんど気付かないでしょう。つまり内部的には全然その大変さはわかってもらえて
       いないと思います。外部の人だけ、見た人だけわかる仕事なのですね。

       さて、その他色々仕事もしていますが、本日は職員会議がありました。内容は色々あったのですが、そのうちのひとつに、例の
       「総合的学習の時間」の実施案について、その素案の提案がありました。鳴り物入りで上の方から出てきたものですが、これが
       今ひとつ実態が見えてこなくてなかなか大変。それでも素案というかたたき台として、けっこう具体的なものが出てきました。
       余り詳しくは言えないのですが、学校行事と絡めて、実際のやる内容や目標、展開例まで載っており、なかなか現実的なもの
       でした。こういう大変な作業を、何もないところから作り上げて形にして、色々批判されながらも具体化していく労力って
       計り知れないものがある。それがわかるだけに涙なくして見られないレポートでした。そういうことを考えもせずに、単なる
       好き嫌いとか感情論だけで難癖を付けていく人って、どうも許せないのですが...。まっ、今後より良いものにするために
       よりディスカッションが必要であることは確かなのですが。それにしてもH井先生の仕事ぶりには頭が下がる。こういう人こそ
       もっと給料払うべきだ。その後、最後に校長から、県の方から言われた綱紀粛正についての話あり。痴漢行為、セクハラ事件や
       体罰など、公務員として教員として、あまりに処分事件が多く、その内容についての細かい説明がありました。なんだか知ら
       ないけれど、わざわざセクハラ事件に関して分類とかしてあって、上下関係のゆがみとか、人権的なものとか、そんな分類が
       何になるのだろうと苦笑。しまいにはセクハラ事件の平均年齢は39歳だとか...(笑)こんな統計で歯止めがかかるので
       しょうか。まったく上の考えていることは今ひとつピントはずれです。今一度初心に戻って、教員になろうと思った頃の
       使命感を思い出して欲しいとのこと。とある年輩の先生がポツリ。「就職口がなくてメシの種でなった...」もちろん冗談で
       言っているんですよ。本気にしないように(爆)

       そうそう、私が副担任をしているクラスでまた特別指導が一つ。担任のS先生は落ち込んでおりました。でもまぁ、こういう
       ことはよくあること。いちいち気にしていたら身体が持ちませんよ。ていうか特別指導が出てないクラスだって、問題がある
       生徒が沢山いて色々大変なのですから。それに比べれば、特別指導が出たって、他の生徒はみんなよい子ちゃんなのですから
       トータルでは全然良い方でしょう?ねっ。S先生!これって慰めになっていませんか?(笑)


11月9日(金) 真面目なクラス

       何を間違えたか、時々とーっても静かなクラスがある。うちの学校の場合、どのクラスもけっこう騒がしくて、というか元気で
       授業中もよく注意しつつも、うまく乗せればそれなりに授業に乗ってくるクラスが多い。ところが時々とても静かで、ある意味
       とても正常なのだけれども、うちの学校にしてはまともすぎるくらい真面目なクラスがあったりする。たまたまそういう
       メンバーが揃ったためとか、担任のキャラクターとか、色々な要因があるのだが、奇跡的にそういうクラスが出来ることがある。
       私が今年教えているクラスの中に、そういうクラスが一つある。いや本当に真面目でみんなよく勉強して、あまり私語も交わさず
       授業に集中している。もちろん点数も良いし、当ててもよく答える。授業をやるには理想的なクラスなのだ、普通は。でも
       私の場合、どうもちょっと息が詰まってしまうことがある。だいたいこういういい加減な教員だから、よく無駄話で脱線して
       授業を盛り上げつつ楽しんでやるタイプだから、こういうクラスになるとけっこう疲れる。こちらが笑わせよう、面白い話を
       しようとしても、シーンとしている。いや別にギャグが寒いわけではないと思うのだが(同じギャグでも他のおちゃらけ
       クラスでは爆笑の連続(笑))クスリともしない。うーむ、そうなるとこちらもむきになって面白い話を連発したりするのだが
       ノーリアクション...。自信をなくしてしまう。かくしてすごすごと敗北を認め、普通に真面目に授業をやってしまう(泣)
       いや、それが本当は正しいんですけどね。

       今日もそのクラスで授業があった。リベンジということで、また面白い話をふるのだが乗ってこない。相変わらずシラーッと
       している。今日もダメか...と思いつつも再び頑張る。「えーっと、この手紙を受け取った相手は、『ある人』と書いてあるが
       話の流れから、男か女か?どっちだと思う?」と言った時のこと。とある女子がポツリと「オカマだったりして。」と、席が前の
       女子とポツリと会話していた。うひひょょょん!こういうのを待っていたのだ!「いやー、だったら面白いよな。この人がオカマ
       だったらな。でも古典の世界でもお稚児さんとか、衆生とかいって、男色の世界って結構あったんだぞー」「・・・・・」
                    

               シーーーーーーン......

       ありゃ?やっちゃった?誰も乗ってこない?さっきポツリと言った女子も、クラスの雰囲気に飲まれて下を向いてしまった。
       「いや、それがさぁ...あの...この人は...オカマではないけど...その...ハイ、では続きを説明します。」
       またまた敗北である。いや、中にはそういう軽いノリの奴もいることはいるのだ。でもクラスの雰囲気がそうだから、そういう
       くだらないことを言うには憚られる雰囲気なのだ。せっかく糸口が見つかったので盛り上げようとしたのに。トホホである。
       本当はみんなもっと騒ぎたがっているくせに、どうもこういうものだと決めつけてしまっているのか、いまひとつノリの悪い
       クラスである。かくしてO−TEACHERは今日も真面目に授業をして、つまらない古典をやってしまったのだ。はぁ〜。

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