哀惜の 5月 上旬 編
5月1日(土) 短い道のり、遠い道のり
世間はGW。中には11連休というおたんこなすもいるだろう。我々公務員はきちんと
カレンダー通り働いている。いつもだったら学校まで1時間半はかかるのだが、今朝ばかりは
車も少なくあっという間に着いてしまった。通勤時間なんと45分。新記録!とまぁ、
喜んではいるが世間様はお休みなのでちっとも嬉しくない。生徒も『何で学校あんだよ。』と
当然思ってるし先生も悲しんでる。ましてや土曜日、生徒のお父さんは休んでいるのに
子供は学校...生徒も大変です。ましてやうちの学校の場合、駅から遠くて通学時間が
けっこうかかるのに、土曜日2時間ぽっきりの授業のためにはるばる来るとは、偉いなー。
当然その苦労に見合う授業をやらねばならないのだが、なかなかこっちも乗らないのだ。
学校の近くの工場の駐車場も閑散としている。何とか授業も終わり、その憂さを晴らすべく
部活に励んだ午後でした。さて帰ろうと車を走らすと...全然動かない!大渋滞!行楽
帰りの車の列。とっても悲しくなりました。こちらも新記録2時間12分...(悲)
5月6日(木) 学力と行事終了時間は反比例?
GWはしっかり休ませてもらいました(笑)というより風邪をひいてしまってほとんど
ダウンしていました。そしてしっかりと学校が始まると治ってしまう私の身体って一体..
さてさて長い休み明けいきなり授業かと思いきや、実はうちの学校、今日明日と球技大会で
授業がないのだ!こんな連休明け、生徒も先生も授業って感じじゃないので、お互いの
利害も一致して、生徒会主催の球技大会なのだ。バレーボールやサッカー、バスケ、
ドッヂボールと盛りだくさんで行われるのだ。そして私の係はというと...校内巡視。
こういう行事の時は、生徒がみんなはじけていて余計なことをやらかすことが多い。以前は
球技大会で熱くなって喧嘩したり、自分の試合まで時間があるからとトイレで煙草を吸って
いたり、はたまた学校を抜け出して、近くのコンビニへジュースを買いに行ったり、と
いろいろやってくれるのです。だから先生達も校内を巡回したり、校門のところで生徒が
抜け出さないように見張っていたりと、こんな仕事ができるわけ...本当に先生って
授業だけじゃないんですよ(笑)
そんなわけで今日は途中2回ほど校門で立ち番でした。以前柵を飛び越え脱走しようと
した奴を追いかけた経験もあるので、目を光らせていたのですが、抜け出すどころか全然
寄って来もしない。わずかに2、3人の生徒が話しに来たぐらい。数年前なら本当に強行突破
するやつがいたり、暴走族のバイクが爆音立てて校門近くを走り回ったりと色々あった
ものでしたが、今年は本当に平穏無事。おかげでゆっくり甲羅干しが出来ました(笑)
そんなかんなするうちにいきなり校内放送で本日の球技大会を終了するアナウンス。あれ?
予定より30分以上も早いぞ?何でだ・・・・?
そうそれは学力が上がったからです。こんなこと書くと「えっ?」と思われるかもしれませんが
実際そうなのです。以前の大変だったときのうちの学校なら、球技大会実行も結構大変でした。
まず生徒が授業がないと来ないし、試合だといってもどっかでさぼっていてメンバーが足りなくて
呼んでくるまで時間がかかったりして大変だったのです。メンバーが足りなくて不戦敗なんて
ざらでした。そんなわけで苦肉の策として、試合と試合の合間の時間が10分以上取って
あったのです。その間に散らばっているクラスの奴をかき集めていた(笑)でもうちの学校も
良くなってきて、試合開始時間の10分前には集まっている。だから合間の時間をカットして
どんどん試合をやる。当然全体の時間が短縮されるというわけ。これは何も球技大会に限らず
他の行事でもそういう傾向になってきた。去年まで教務部で時間設定をしていたとき、朝の
SHRの後、始業式までの間15分も空けていました。それはなかなか生徒が体育館に
集まらないので、余裕を持って移動時間をとっていたのです。ところがここ1、2年生徒は
集まっているのに校長が来ていない、ということもしばしばありました。生徒は5分前集合。
校長は例年通り...いやーうちの学校も変わったねぇー。ふつーの学校みたい(笑)
5月7日(金) 球技大会の思い出
球技大会2日目。本日も暑かった。昨日に引き続き外で立ち番。もうこれでもかという
ぐらい日に焼けた。きれいな親父焼け(Tシャツから外に出ている部分だけ)特に担任
でもないと、自分のクラスを応援するというのもなくて、ましてや学年の生徒もほとんど
知らないせいか、今ひとつ見ていても盛り上がらない。そういえば自分の高校時代の
球技大会はどうだったろう...と思い出してみた。
確か私はバレーボールで出ていたはずだ。だけど自分のクラスはバレーボール部員が多くて
その中でなぜか場違いなテニス部の私がメンバーに混じっていた。当然6人のバレー部員の
活躍によって快進撃。でもメンバーは必ず一回は出なければいけないから、仕方なく
1試合につき1回だけピンチサーバーとして出してもらった(笑)でも毎回ネットに引っかけて
すぐ引っ込められた。そのせいか何と我がクラスは決勝まで進んだのだ。息詰まる決勝戦!
一進一退の攻防。緊迫したラリー。ジュースにつぐジュース。私も身を乗り出して応援した。
しかし相手のクラスもバレー部員が混じり、さながらバレー部の高度なマジ試合と化して
いたのだ。しかし我がクラスの奮闘虚しく、とうとう相手にフルセットの末マッチポイントを
握られてしまった。嗚呼!我がクラス最大のピーンチ!するとそこで審判の先生が笛を吹いて
試合を止めた。みんな「へっ?」「何だ?こんな緊迫した場面で!」と思っていると、
その先生がおもむろに「3年2組!まだ全員出ていないだろ。もう試合が終わっちゃうから
ちゃんとルール通りメンバーチェンジしなさい。」と言い出した。そこでハタと気が付いた
のだ。この試合、私がまだ出ていない!あまりに緊迫した試合のため、全員必ず出るルールを
クラスメートどころか当人の私まで(笑)忘れていたのだ。しかしこれには困った。こんな
大事な場面で素人の私がのこのこ出ていくなんて!確かにみんな忘れていたけど、この期に
及んで...それまでの試合は全てどうでもいいところで替えてもらい、さっさと
サービスミスして引っ込んでいた私が、よりにもよってこんな場面で...相手チームの
もらったという顔、それと対照的に応援していたクラスの女子のため息。私だってこんな
場面で出たくないよ。足を引っ張るだけだし、これで負けが決まってしまうかもしれないし。
おまけに9人制でサーヴは全員やらなければならない。サーヴ権に関係なくポイントが入る。
ということで相手にマッチポイントがかかった場面で、ピンチサーバーとして私が出なきゃ
ならなくなった。最悪。私のせいで負けが決まるという最悪の登場なのだ。本当にこの時
ばかりは神を恨みましたよ。『あーあ、クラスの女子に嫌われるだろうな。Oのせいで
負けたんだって陰で言われるんだろうな。ちぇっ、俺のせいじゃないぜ。もっと早く
出してくれて、さっさと交代させてくれれば良かったのに、みんな忘れているんだもん。
(自分だって忘れてたが)あーあ、どうせ俺のせいで優勝できませんでしたよ。
すいませんねー』と心の中で自棄になっていた。でも友達は優しくて「いーよいーよ、O、
ミスって負けてもお前のせいじゃないから。気楽にいこう。」と言ってくれた。ありがとう、
友よ。でも半分自棄になって打ったサーヴはこの日一番の会心のドライヴサーヴ!見事
決まってしまった!嘘のような本当の話!みんなも本人も驚いてしまった。応援席は大歓声。
その後なぜか2本続けてサーヴが入り、長いラリーが続いたが粘って、なんとうちのクラスが
勝って優勝したのだ!すごーい!まさに日陰の男がここ一番でヒーローになってしまったのだ!
こんな嘘のような本当のことが、O−TEACHERの過去(その2)にあったのだ。
でもそれ以来運を使い果たし、スポーツに関しては華々しい活躍はその後皆無である(笑)
しかしそんな優勝の歓声の中、当時クラスで好きだった女の子に言われた一言は今も忘れて
いない。
「O君って、悪運が強いのね。」