空疎な 6月 上旬 編
6月1日(火) 私の立場
今まで本校の成績処理は、とある市販のソフトを使っていた。しかしこれがかなり昔の、それも
DOS時代の、なおかつ2ドライヴでしか動かない、年代物のソフトだったのである。使い勝手は
悪いし、データが他のものに流用できないし(独自ファイルのためExcelにも使えず)本当に
困っていた。昨年度教務部にいたときから、ずーっと「新しいの買ってくださいよー。」と
言い続けていたが、経費削減の折り、なかなか買ってもらえなかった。しかしそこは悪知恵の
働くO-TEACHER、世間にひろがる2000年問題を頼りに「このソフトは今年限りしか
使えません。2000年になったらデータが爆発します(笑)」などとおおぼらを吹いて、色々と
折衝し回っていたのだ。そしてとうとう今年度新しい成績処理ソフトを買ってもらった。20万も
したのだ。昨年、色々なフリーソフトやどこかの学校の先生が個人的に頑張って作ったソフトやら
色々試したのだが、このソフトが一番うちの学校の現状にあっているし、使い勝手もそこそこ
だろうと判断したのだ。だから昨年度、私の名前で色々と資料を取り寄せたりしていたのだ。
ところが今年は私は部署が移ったため、何の関係もなくなった。ところが選定・発注申請まで
出したのに、担当じゃなくなり、次の人が引き継ぐことになっているのだが、全然わかっていない。
経緯どころかどういう利便性があるかさえわかっていないのだ。ソフトが送られてきたものの
インストールさえままならないらしい。そして本日業者が挨拶まわりに来たのだ。それも私を
ご指名で(笑)仕方なく業者の人にインストール及び簡単な説明をしてもらった。もちろん
教務部の担当が聞いていて、私は端の方にいたのだが...ところが業者が説明しても理解して
いるのは、私が中心。まぁ、そりゃあそうだ、いいと思って選んだ張本人だから(笑)それでも
初期設定がかなり難しく、私でもいっぱいいっぱいであった。マニュアルも軽く100ページ以上。
多分新しい教務部の担当者はチンプンカンプン。大丈夫だろうか。業者の説明にいちいち質問して
いたのは、直接関わらない私ばかり...次第に業者も私にばかり説明する。そう一生懸命説明
されても、今年は私の仕事ではないのに...。難しい説明が終わって、帰り際業者の人がひとこと、
「O-TEACHERはご担当ではないので?」
「ええ...今年は部署が替わったもので...」
「そうですか、じゃ今回はどういうお立場で?」
「えーーっと、オブザーバーっていうことで」(笑)
6月2日(水) SEは誰だ
昨日の話の続き。いちおうオブザーバーなので(笑)成績処理プログラムのマニュアルを拝見させて
いただきました。全300Pのマニュアルが3冊!ただでさえマニュアル嫌いの私が、やってるうちに
何とかなるだろう主義の私でも、昨日業者の一言が効いていた。「初めの設定が間違うとえらいことに
なりまっせ、へっへっへっ。」(BY 大阪の業者)そんなわけで頼まれもしないのにマニュアルを
読んでみた。確かにその通りだった。初期設定(マスタ設定とかいうらしい)がかなり細かくて、
並みの煩雑さではない。でもその設定さえしてしまえば後は楽そうなのだが、これを間違うと
成績処理が全然おかしくなってしまうということがよくわかった。マニュアル1冊目の100Pまで
読んでもまだ初期設定が半分までしかいっていない(笑)これはほとんど素人の教員が手を出すべき
ものではなくSE(システムエンジニア)とかの領分かも知れない。設定するまで慣れるまで時間が
かかりそうだ。誰だこんなソフトを選んだヤツは!(笑)
やれ、情報化だとかいって学校にもどんどんコンピューターが入ってきているが、それを操作・管理
できる教員があまりにも少ない。校内LANどころか、プリンタの切り替えすら出来ない教員も
多いのに。またそういう教員に限って「O-TEACHER、今度は入った成績処理プログラムで
もう通知票とか調査書書かなくて済むんでしょ?」とか言ってくる。やっぱり学校にも一人ぐらい
SEを置くべきだと痛感した。そうでなければこんな忙しい日常の仕事の合間に、こんなシステムが
構築できるわけがない。お役所仕事とは、高いソフトは買ってやるけど、出来る人がいなくてそのまま
お蔵入りになってしまうということだ。まるでどっかの国の海外支援みたいだ。なんとか埋もれさせ
ないためにも、ある程度の専門的知識のある人が必要だ。求む!SE!でも現状では誰かが人柱に
なってこういう仕事の十字架を背負うことになるでしょう、現実に。さてそのキリスト的SEは誰だ!
6月3日(木) 緊急警戒態勢発令!
だいたい教師の突発的な仕事というのは生徒に関わることである。例えば今日あった大掃除やら
職員会議は(嫌だけど)予定通りの仕事。しかし事件は必ず突発的にやってくる。それも忙しい
ときに限って(笑)
最近登下校時に、うちの学校の近くに色々な不審人物が現れるとの情報あり。例えば危険なところ
では、登校途中の男子生徒に向かってガンをつけてくる無職少年とか、怪しい黒いバンがずーっと
近くに停まっているとか、特にこの時期陽気的なこともからみ、下校時に女生徒に向かって、
変質者(露出狂)が現れたりとか、色々出回っている(^^;)そんなわけで登下校時の安全を守るという
意味で(交通安全指導のための立ち番とは別に)登下校時の巡回が急遽設定された。
緊急警戒態勢発令である。こちとら中間テストの成績処理をしたり、コンピューター委員会の仕事を
早急にしなければいけなかったりと、とっても忙しいのにいい迷惑である。変質者もその辺のところ
考えて欲しい。今時の女子高生なんか、かえって変質者の身の方が危険である(笑)
「で、その変質者はどういうふうだったんだ?」
「なんかぁ、こんなに暑いのにぃ、コートとか着ちゃってぇ、変なやつーとか
思ってたんですよぉー。そしたらぁ、いきなりぃバッとかいってコートめくったらぁ、
下半身出してぇのぉ!超びっくりーって感じぃ。」
「で、お前たち、どうしたんだ?」
「みんなでぇ、『ちっちぇー!』とか言ってぇ、笑ったら逃げてんのー。もう笑ったよねぇー。」
ねっ?
6月4日(金) おためし機
このホームページも、ちまたではやりのホームページ作成ソフトなぞは使わず、実はウィンドウズに
ついているメモ帳で書いてたりするのだが(おお!何とpoorな!)それでも最近わざわざ
ダウンロードしなくても、雑誌の付録によさげなソフトとかがついている。お試し版だけでなく
フリーソフトもけっこうある。当然新しもの好きの私としては、いろいろインストールして試して
みたいのだが、以前というか初心者の頃、嬉しくて何でもかんでもインストールした時期がある。
当然ハードディスクがいっぱいになり、どうにもならなくなった。そしていざアンイストール
しようとしてもうまくできなくて、余計なゴミが沢山残った。おかげでどんどん調子が悪くなり
フリーズすることが多くなった。レジストリィが書き替わったのかスピードもとっても遅くなった。
それで泣く泣く初期化した思い出がある。だから面白そうなお試し版があっても、つい二の足を
踏んでしまうのだ。
そこで考えた。『そうだ!ソフトにお試し版があるのだから、ハードにもおためし機があっても
いいではないか!』というわけで最近学校のとあるコンピューターにターゲットを絞った。そして
やりたい放題のインストールをしているのだ。あのコンピューターがいつ調子が悪くなるか
心配である。(オチなし)
6月5日(土) これにあう本
つい先日、とあるパソコン雑誌を見ていたら、エプソンのホームページが紹介されていた。
そこのホームページでは、カラープリンターで打ち出される様々なものがサンプルとして
ダウンロードできるようになっていたのだ。例えばラッピングとかシステム手帳とか
ボトルラベルとか名刺とか...けっこう面白かった。どれかダウンロードしてみようと思ったが
PDF形式だし、カラーインクももったいないので学校でやってみることにした(笑)
そして実際にダウンロードしてみた。とりあえずブックカバーを数枚。そしてスーパーファイン用紙で
しかも良いプリンターで高品質で印刷してみたら1枚5分もかかった。ところがこれがとっても
きれい!本当にきれいなブックカバーなのだ。これなら本当に自分好みのものが自作できてしまうと
思った。良いプリンターを使って、良い紙を使えばいろいろと出来るんだなぁといたく感心した。
その出来上がった綺麗なブックカバーを持って司書室に持っていき、司書のE先生あたりに自慢して
しまった。中でもこれはえらくお気に入りの様子。

でも数学のH先生に見せたところ、「うーん、このカバーにあうのはフランス書院の本かなぁ。」
おいおい。
6月7日(月) 足抜けできない
先日新しい成績処理システムソフトが来たことを書いたが、この初期設定が面倒くさい。稼働して
しまえばどうということはないのだが、初めに教師名やら教育課程やらを入力し、当然点数設定や
評価の仕方、帳票の選択まで、今後しばらく同じ形で使うので細心の注意が必要なのだ。また
どうやらC言語で書かれているソフトなため、専門的な設定はほとんど素人には手が余る。そして
その設定だが、ざっとマニュアルを見せてもらったが、これもちょっと素人にはわかりづらいもので
あった。そこで僭越ながら私が授業の合間を見て、しこしこと初期設定を四苦八苦して50%ぐらい
やっていたのだ。その間教務部の成績担当の先生は全く手出しせず(笑)とは言ってもこのソフトを
選定して買ってくれるように強く望んでいたのは私だったので、まぁその手前もあって部外ながら
お手伝いしていたのです。新しい教務部主任もその辺は「元教務部」ということで依頼されたもので。
しかし今はちょうど私の所属する総務部があまり忙しくないので手伝えるのだが、本来他分掌の
仕事なもんで、その手の出しどころが難しいところ。
実は今週末から三者面談が始まる。授業が3時間で終わり、午後から面談。担任は忙しいが、
副担任は少し楽になる。そこを狙って副担任の先生方に、この成績処理ソフトへ生徒の名前の入力
及び操作の仕方をレクチャーしたらいいと考えていた。csv形式でやれば指名データは簡単に
入れられるのだが、そうすると何でもかんでもこっちでやってくれると簡単に考える人が出て
くるのだ。だから敢えて全員で入力する態勢を作った方がいい。そのためにはこの三者面談期間が
ベストなのだ。ところが担当の先生はそんなこと何にも考えていないらしい。以前にちょっと話すと
「そんなに難しいの?できるかなぁー」だって...今のうちから段取りをしておかないと、
それこそ高いソフトが、1学期末の成績処理に間に合わない、宝の持ち腐れになる。そんな懸念が
あるので差し出がましいが、教務主任に忠告してしまった。こんなことばかりやってるから、まだまだ
教務部と勘違いされるのかなぁ...すると教務主任が一言。
「そうそう、ところでO-TEACHER、夏の体験入学のポスター、去年の要領で作って
くれないかねぇ?」
まだまだ足抜けさせてくれそうにない。
6月8日(火) おとなしい男たち
たまたま2年生の授業で恋愛物の小説をやっている。主人公の女子高生が失恋する話だ。そして
当然恋愛の話になった。今日教えていた4組はたまたま男子クラスなのだが、それとなく今まで
付き合った経験があるか?と聞いたところ、約40人中30人ほど経験なしだった。果たして
これは割合的に高いのか低いのか。よく世間で賑わせている高校生たちはかなり進んでいるように
取り沙汰されるが、実際は結構おくてなのだ。その教材の中で女の子から告白するシーンが
あったのだが、これも聞いてみた。今までに告白した経験があるかどうかと。これもほとんど
0に近い。もちろん恥ずかしがって言わないだけかもしれないが、でもこのクラスはみんな意外と
本音をバンバン言うクラスなので(女子がいない分)けっこう真面目に答えている。まだ
高校2年生だから...いやもう高校2年生だから、付き合った経験はないにしても、告白する
ぐらいの勇気が欲しいものだなぁと思った。当たって砕けることにより、人間的に大きくなれる!
男を磨ける!とか色々体験談を交えて(笑)「人に気持ちを伝えること」の大切さを語ってしまった。
そしてO-TEACHERからの提案!三者面談中、半日授業になるから、是非この機会に
告白しよう!と提案。告白週間と命名!好きな女の子に当たって砕けようと言ったのだ。もちろん
冗談でだけど(笑)でもちょっとは本気だったけど。まぁそれぐらいの勇気を持とうとはっぱを
かけたわけです。最近女の子ばっかり元気で、男の子の方がおとなしいもので。するとクラスの
男子の何人かがポツリ。
「別に女の子にはあんまり興味ないんですけど...」
オイオイ。
6月9日(水) 二度手間
2年生の国語の授業で、毎時間授業の始めに漢字の小テストをやっている。それを教科係に採点
させているのだが、これがけっこうくせ者である。3人ぐらいで昼休み学年室に来て、こそこそと
採点してくれるのはいいのだが、これがまたけっこう間違っている。あとでよく見返してみると
ちょっとしたミスというより、あきらかに違う字まで○がしてある。以前生徒に漢字の小テストを
返却したとき、とある生徒が「O-TEACHER、これ間違っているのに○がついているよ。」と
持ってきた。確かにそうだった。ためしに他にいないか聞いてみると5、6人出てきた。教科係の
子たちが、つけ間違えているのだ。そこで一度採点したものを再度私が点検することにした。
(今までは生徒を信用していたのだが)するとあるわあるわ、何とクラスの2/3がつけ間違いが
判明!うーん、これでは訂正するのに時間がかかってしまう。かえって二度手間だ。こんなことなら
こちらでやるか?いやいや待て待て。生徒にやらせることに意味があるんだ。ここは二度手間には
なるが、生徒の成長と仕事への責任感を植え付ける意味で我慢か...いやーこういう
「待ちの教育」って効率悪くて苦手なんだけどなぁ。でも生徒のため、二度手間でも我慢しよう。
「おっ、O-TEACHER、いいところにいた。」
「あっ、教頭先生なんですか?」
「いや、君にいつもやってもらっている、あの出欠統計や成績集計ねぇ..」
「はぁ。」
「早くてとてもありがたいんだが...そのー、ちょっとミスが多くてねぇ。この間なんか
とあるクラスの欠席が100を越えていたよ。多分全学年分を足したんだと思うが..
こちらのほうもいちいち確認して二度手間になるから、よく点検してからお願いしますよ。」
「....」
6月10日(木) 言うことを聞かない大人たち
待ちに待った三者面談週間!本日より来週いっぱい3時間授業だ!わーい、午後は遊びだー!って
そうは問屋がおろさない。オブザーバーにも関わらず成績処理ソフト稼働準備計画第2弾として
副担任の先生方に生徒データの入力をやってもらうことになり、その入力アドバイザーとして
コンピューター室に詰めていたのだ。しかしこの生徒氏名データの入力というのがけっこうくせ者
だった。まず分散入力ができないということがある。学年クラスごとにどんどん入力できれば
いいのだが、これができないのだ。正確にいうとできるのだが、ファイル形式の変換や後の調整が
必要で、当然誰かがやらねばならない(ていうか、私がやらされそう)だから一括入力方式で
それも1組の1番から順次一台のコンピューターで副担任が入力していくという形を取ったのだ。
そしてその入力するそばにいて、何かトラブったときに、ヘルプするという役割だったのだ。
だからほとんど必要がなくて、居るだけでいいだろうと、雑誌などを持ってクーラーの効いた
コンピューター室でのほほんとしていようという計画だったのだ。
ところがである。そうそううまくはいかなかった。各クラスの副担任が自分のクラスを入力する..
しかしワープロができない人もいるのだ!だからはっきり言ってワープロの使い方を教えるところから
スタートとなってしまったのだ。
「O-TEACHER、この登録番号って?」
「えーっと入学年度、学年、クラス、出席番号ですから、今の3-1の1番のヤツは973101です。」
「あれ、このふりがなって普通半角じゃないの?」
「そこに書いてある通り、全角で打って下さい。」
「ええーっ、面倒くさいなぁ。いいじゃない、半角でも。」
「いや、そうなってますんで。あっ!そこ!名字と名前の間はスペースで空けて下さい。」
「いいよ、こっちの方が見やすいし..」
「そういう問題じゃないんですけど!それから名前の漢字は正確にお願いします。『さいとう』は
正しくは『齋藤』じゃないですか。先生の打っているのは『斉藤』ですよ。」
「だってどっちも同じ読み方じゃない。O-TEACHERは細かいよ。」
「...」
「O-TEACHER、変換ってどうやるの?」
「何度もいいますけどスペースキーで変換します。」
「スペースキーって?」
「一番下の長いやつです。」
「なら、そう言ってよ。」
「....」
「それとこの字、変換しても出ないんだけど。」
「そういう場合は一文字ずつ打って..」
「あれ、間違って消しちゃった!」
「だから言われたとおりにやってくださいってー!」