空疎な 6月 下旬 編



6月21日(月) 教科書の注釈

        今、授業でやっている教材についてのネタだが、これがかなりきている。何がかって?その
        注釈がです。最近の教科書はとても懇切丁寧で、本文中にちょっとわかりづらい語があると
        下の方に、その語句の意味が載っている。以前は、というか自分が高校生だった頃はこんなに
        親切に語義が載っていた記憶がない。それでも時代は変わるというか、今時の子供たちは言葉を
        本当に知らないので、いちいち説明しないとなかなかわかってもらえないのも現実なのだ。
        例えば明治期や大正期の小説などほとんど古典扱い。まぁ森鴎外の「舞姫」や樋口一葉の
       「十三夜」なんかだとわかるのだが、漱石あたりでもけっこう語釈が必要になってくる。
        昭和初期の作家でもそうなってきている。だから教科書ではわざわざ言葉の意味をバンバン
        載せているのだ。

        ところがである。この言葉の説明がとんでもなくとんちんかんなのだ。今、鷺沢萌の作品を
        やっているのだが、この作家確かまだ31歳ぐらいで、若い女性に人気のある人気作家である。
        内容も高校生の女の子を主人公にした親しみ深いものである。ところがこの注釈がすっとこ
        どっこいなのだ。途中主人公がコンパに出るシーンがあるのだが、わざわざ「コンパ」の意味を
        説明してあるのだ。コンパ…コンパニー(company(英))。親睦会。....コンパって
        親睦会だったのか!こんな言葉わざわざ解説しなければいけないのかなぁ。生徒も笑っていた。
        こういうところが教科書のおまぬけなところなのだ。やはりおぢさんの編集員がやるとこう
        なるのかなぁ。そんなことより、途中主人公がほおずきを買うシーンが出てきたのだが、かえって
        ほおずきの方が、知らない生徒も意外にいたりするのだ。こういうものこそ写真でも載せておいて
        欲しい。また、途中主人公がウォークマンでヒューイ・ルイスを聞くシーンがあるのだが、
        生徒はヒューイ・ルイスを知らなかった...そんな世代なのね。ちょっとおやぢブルーが
        入ってしまった。
        


6月22日(火) 卒業アルバムの写真撮影

        今日卒業アルバム用の写真撮影があった。各クラスや個人写真は以前撮ったのだが、今日は
        部活動や委員会の写真だった。何かまだ卒業という気分ではないのだが、スケジュールの都合上
        こんな時期なのだ。私も一応ソフトテニス部の顧問ということで、一緒に写った。これも
        一生もんなのでいちおうそれらしく装ったりする。私の場合は別にお色直しなんかも必要ない
        ので、いつものまま素で撮ろうとしたが、女の先生の中には、本日撮影ということを忘れて
        いて、いつも通りの格好で来てしまったため「今日は撮れません!」とか撮影拒否する人
        なんかも出たりして(笑)カメラマンも困っていた。また××時○○分に△△部の写真を
        撮ります!とアナウンスしていたにもかかわらず顧問が遅れてきて、なかなか撮影できなかった
        とか....一番手がかかるのが教員です(笑)

        とここまで書いたところで、雨が降り出したため、今日の撮影は中止になってしまった。もう
        せっかくネクタイ締め直したのに(笑)


6月23日(水) パソコンゲームの通たち

        先日、I先生よりフライト・シミュレーターのソフトを借りた。I先生はショップブランドの
        ハイエンドマシンを購入以来、色々遊んでいるらしい。CD−Rを使って音楽CDを作ったり
        様々なソフトを買って遊んだり...とかなり色々やっている。その中でお気に入りは、大人の
        マニア御用達のフライト・シミュレーターにはまっているらしい。そしてどうやら、その共通の
        話題をする人がいないため、同好の士を増やすため貸してくれたらしい(推測)この手のソフトは
        それなりのマシンのパワーが必要である。3Dがグリグリ動かなくては面白さも半減である。
        ところが私のマシンは所有者同様非力なもんでちょっと手こずったが、何とか出来た。いやー
        すごいもんですね。最近のゲームって...昔ソリティアかエロゲームしかやったこと
        ないもんで(笑)こういうのがパソコンの力なのですね。あらためて感心しました。でもちょっと
        難しすぎて私には...って感じでしたけど。

        今日放課後コンピューター室で仕事をしていると、2年生の生徒が「コンピューター使わせて
        下さい。」と来た。そしてなにやらこそこそ、はじっこのほうで数人で使っている。たまたま
        ホストコンピューターの所にいたので、彼らの使っている画面を呼び出してみることが出来たの
        だが、何をしているかと思いきや、ビートマニア(DJ風にしてやるゲーム)のパソコン版
        ゲームをやっていた。それもどうもフリーソフトっぽかった。どうやらインターネットで
        ダウンロードしたものだろう。いやー、先生も生徒もパソコンゲームの通が増えたなぁ...


6月24日(木) コース選択の意味

        今日の学年集会で来年度のコース選択の話をした。みなさんも学生時代にあったかも知れないが
        文系・理系とか私立文系・国公立4大とかのあれである。うちの学校の場合、2年生の時から
        文系・理系・情報と3つに分かれ、その中でも文系はさらに3年次に文T・文U・文Vと
        分かれるのだ。まだ2年生の1学期のこの時期に早々と来年度のコースを決めるなんて...と
        思われる方もいると思うが、これでも遅いぐらいなのだ。

        それは何でかというと、教員の身や事務的なことが原因なのだ。まず来年度の教科書の発注が6月
        いっぱいなのだ。どの教科書を何冊発注するかということは、当然来年度の文Tクラスが何クラスに
        なって、生徒が何人いるかということがわからないとできない。うちの場合生徒の希望を極力重視する
        ため、始めっから文Tが2クラス!とか決まっていないのだ。これが事務的な理由。そして次に
        教員の人数の話。例えば文Tのクラスの授業が、他のクラスに比べて国語の授業が多く、理科が
        少ないとすると、当然国語の教員が足りなくて理科の教員が余ることになる。だから来年度うちの
        学校は国語が何人必要で、理科が何人必要かということを、県の方へ報告しなければならないのだ。
        これが人事とかに複雑に絡んでくるのだ。

        だからまだ1学期というのに、自分の進路にあわせたコース選択をさっさと決めなければならない。
        自分が高校時代の時はそんなに早く進路が決められるか!と思ったものだが、実際教員になると
        早く決めてくれーっ!と言いたくなる(笑)でも実際問題、まだ高校2年生の1学期では、自分の
        進路どころか、その適性や、それどころか文系大学か理系大学か、はたまた大学なのか専門学校
        なのか全然考えていないのが現状なのだ。生徒もなかなか決められない。そりゃあそうだろう、
        一生の進路を決めるためのコース選びだから...でも今考えると、コース選択なんてあんまり
        関係がないと思う。自分だって高校時代理系だったけど国語の先生になってるし(^^;)本人のやる気
        さえあれば文系だろうが理系だろうが関係ないと思うけど...でもこれは生徒には言えないなぁ(笑)


6月25日(金) 新しいソフトを買おう!

        コンピューター委員会があった。今年度のソフト購入予算についてであった。最近文部省の強い
        力入れで、小学校から高校までほぼ100%近い学校にコンピューターが入った。お上のほうも
        ハードだけではただの箱、ということがわかってきたようで、新しくコンピューターを導入もしくは
        更新した学校にはソフト購入の予算を付けてくれる。まぁソフトがなければ何にもできないわけで(笑)
        当然といえば当然。それが導入・更新した年から3年間約100万ずつ付けてくれるのだ。えっ!?
        100万×3年=300万!と驚く人もいるだろうが、生徒用コンピューターとして約50台入って
        いるのである。だから当然不正コピーしてソフト1本で済ますというわけにはいかず(笑)50本分
        買うのだ。一太郎を50本、EXCELを50本...と買っていくとほとんど100万なんて
        あっという間になくなってしまう。おまけにその予算というのはバージョンアップの費用には使えない
        ことになっていて、3年前に一太郎Ver7をいれたはいいが、世間ではすでにVer9になっているという
        時代遅れさ加減。もちろんOSもWindows95のまま。可哀相な学校だといまだにWindows3.1だったり
        する。もう3.1のソフトなんて売ってないって!所詮お上のやることですから融通が利かないことも
        甚だしく、ソフト購入も先見の明があって選ばねばならないというわけ。だってこの機会を逃すと
        5年ぐらいはほとんど何も買ってもらえないんだから。そしてとどめの馬鹿さ加減は、当然3年前
        購入のコンピューターだから当然ハードディスクの容量もせいぜい2Gほど。買ってもらったは
        いいが空きがなくてインストールできない!という全く笑い話のようなことになってしまうのだ。
        ソフトはあるが空きがない...やれやれ。

        さて本校は今年更新3年目ということで最後のソフト購入となる。逼迫財政の折り予算もなぜか
        90万に..。各教科に授業などで活用できるようなソフト購入希望のアンケートを聞くことに
        なったのだが、これもけっこう難しい。なぜかというと、あまり詳しくないのに、たまたま雑誌で
        見たのか、業者の口車に乗せられたのか、あまり知らないのに書いてくる人も多いのだ。業者の
        ほうから「このソフトを使えばこんな授業が展開できます。これからの世はマルチメディアです!
        (もうすでに死語だと思うけど)」とか言われて、その気になっているのだが
        そういう人に限ってコンピューターの操作ができなかったりする(^^;)また、せっかく買って
        もらったはいいが、その先生が転勤してしまったため、一度使ったきりで二度度使わなくなったり、
        ひどいのになると開封すらしてないソフトまで出てくる。本当に税金の無駄遣いになりかねない。

         「なるほど、O−TEACHERの言い分はわかりました。そういう無駄になりそうなソフトの
          購入には慎重に検討しましょうと言うことなのですね?」
         「はい。その通りです!」
         「ところでこのO−TEACHERの提出された画像処理ソフトとかインターネット関連ソフトは
          生徒のコンピューター学習に必要なのですね?」
         「はっ、はい!その、あの、これからの情報化社会にインターネットは不可欠ですから。」
         「ではこの『MP3ソフト』とか『CD−Rライティングソフト』というのも必要なのですか?」
         「.....」


6月28日(月) 信じるべきか信じぬべきか

        先生と生徒は信頼関係で成り立っている。...とは言うものの果たして本当かどうか。実は
        先日こんなことがあった。昼休み、国語科準備室でだらーっとしているといきなり「失礼
        しまーす!J先生いらっしゃいますか?」と女生徒が入ってきた。「あのー、家庭科の
        調理実習で作ったんですけど、J先生に食べてもらおうと思って持ってきたんですけど。」と
        丼もの、みそ汁などをお盆に載せて持ってきた。うーん、こういう時は非常に悩む。J先生も
        困った顔で「ありがとう。」と言いながら受け取っていた。するとその女生徒たち、帰り際
        クスクス笑いながら「失礼しましたー!」と言って走り去っていった。怪しい。何か入って
        いるのではないだろうか?まぁ、普通の学校ならありがちな話だが、うちの学校となると..

        よく人気のある若い先生のところには、憧れている女生徒が手作りものを持ってくるシーンも
        あるがJ先生はもう40歳だし...(でも一応独身(笑))逆にとても嫌われている先生なら
        それこそ何か中に混ぜて日頃の恨みを...というパターンも考えられるし。いやー難しい。
        食べるべきか食べぬべきか。というより生徒を信じるべきか信じぬべきか。それが問題だ!
        そう悩みはじめると、さっきの帰り際のクスクス笑いがどうも疑わしくなる。

          「で、食べるんですか、J先生?」
          「うーん、怪しいけど一応、生徒がわざわざ持ってきてくれたんだし、信じてみようかと。」
          「そうですか。そういえば自分が高校時代、クラスの真面目な女の子たちが、いたずら半分で
           カラシ入りオムレツ作って、何の恨みもない担任に食べさせたことがありましたよ。
           そうしたらその担任、お腹壊しちゃって2日間休んだことを思い出しましたよ。ハハハッ。」
          「.....」


6月29日(火) ストレスのない人

        今日は午後から教育相談の職員研修があった。これは毎年ある先生達の研修会で、毎年色々な
        講師を呼んできて講演してもらったりして、研修に努めるというもの。まぁ午後授業がないので
        とっても嬉しいのだが、でもこの研修に出るのもちょっと億劫なのは事実。まぁ職員全体研修
        ですから、出ないわけには行かないのですがで、何か理由を付けてサボる人がここ数年多いのだ。
        だもんで朝の打ち合わせでわざわざ教頭が「授業をカットしてまでやる大事な研修です。必ず出る
        ように。」とのたまったりする。まるで生徒にサボるなと言っているようで、生徒も教員もあまり
        変わりなし(笑)

        さて今年の講師は、本校のスクールカウンセラーであるF先生に「教職員のストレス」という題で
        ストレスについて話してもらった。確かに教員はストレスがたまりやすい職業。毎年精神的ストレスで
        病気になったり辞めたりする先生も増えている。事実うちの学校だって例外ではなかったりする。
        だからけっこうその内容に期待していたのだ。

         「K先生、今日の研修って『教職員のストレス』って内容だそうですよ。」
         「ふーん、そうか。じゃあ俺はパスだな。」
         「えっ?だって今朝、教頭が...」
         「いいんだよ、俺はストレスなんか溜まったことはないんだ。健康なんだよ。だから
          出る必要なし。ガハハハハッ。」

        とまぁ、相変わらず困ったちゃん先生も多いが、この講演の内容にも参った。まるで大学の心理学の
        講義のようだったのだ。教職員のストレスの話どころか、精神病の分類に始まり、クレペリンだか
        なんだかの学説の紹介、はたまた心因性何とかかんとか、内因性うんたらかんたら...とすごく
        眠くなるようなお話でした(悪いけど)あたりを見回してもみんな船を漕いでいる。私も時々
        タイムスリップしてしまった。約2時間だったけどこの講演の方がストレスが溜まりそうな気が(笑)
        逆に授業がわからない生徒のつらい気持ちがよーくわかりましたよ。わからない授業を一日6時間も
        ずーっと我慢して聞いていて、おまけに寝ていると起こられるし...今、自分が高校生なら
        耐えられない(^^;)そして最後に質疑応答の時間があった。その時こんな質問が出た。

         「ストレスが溜まらない人っているんですか?」
         「まぁ、普通はないですね。もしいるとしたらよっぽど傲慢で、自分に自信過剰な人でしょう。
          唯我独尊というか、そういう人ですかねぇ。」

        K先生...。


6月30日(水) 理想の先生像

        「ああいう先生がいたらいいよね。」「ほんとほんと。」
        ああ、やっぱり。何の話かって?昨日テレビでやっていた「GTO」の話である。知らない方のために
        簡単に話すと、鬼塚という型破りな先生が(反町隆史)今時の女子高生たちに囲まれて、色々な
        破天荒な行動を繰り返すが、最後には生徒の気持ちを考えた、良い先生として描かれている
        テレビドラマだ。ちなみに昨日は特番で、以前1クールやっていたときはすごくいい視聴率だった
        そうである。

        こういうドラマがあると自然と「こんな先生がいたらなぁ。」という話題になる。でも本当にそうか?
        あんな先生がいいのか?ていうかあんな先生がいたらすぐ免職ですけど(笑)所詮ドラマだけの
        世界だけですけど。でもどうもああいう先生にというか、学校生活に憧れるらしい。生徒の気持ちを
        分かってくれる先生だから?でも回りの迷惑はわかってないようだけど。私だって「グレート・
        ティーチャー・O−TEACHER」ですけど(笑)なぜああいうドラマに憧れるか?正解は一つ。
        授業のシーンがほとんど出てこないからです。そりゃ授業がない学校は最高ですよ(笑)

        そういえばいつの時代も理想の先生像というのがある。私が学生時代は金八先生真っ盛りだった。
        もっと後(前?)は熱中時代の北野広大先生だったし、もっとずーっと前は夕陽が丘の総理大臣の
        中村雅俊だったし...でも実際自分が先生になってみると、あんな型破りなことやったら、
        教育委員会に怒られる前に、生徒の方から飽きられると思う。確かに始めはいいかもしれないが
        そのうちいい加減さが、色々と鼻について困ったことになるだろう。だから憧れるのはテレビの
        中だけにして欲しい。私にも鬼塚みたいなキャラクターを求めないで欲しい(誰も求めてないか...)
        顔だって反町似じゃないし(笑)でも生徒はあんな可愛い子ばかりならいいなぁ(失言失言(^^;))

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