躊躇ない 7月 上旬 編
7月2日(金) 対策プリントの功罪
来週からテストである。そして1学期も終わり夏休みとなる。非常に嬉しい時期になった。
こういう時は本当に先生になって良かったと実感している。でもその前に越えなければいけない
ハードルが...期末テストである。確かに生徒諸君にとってはとーっても嫌なものだろう。
でも先生だって大変なのだ。簡単にすればいいと言うけど、あんまり簡単すぎて100点ばかり
出ると、通知票につけるとき困る。一応全員10とかつけられないきまりだし...かといって
あんまり難しいのを出して点数が悪いと面倒なことになる。というのも赤点者たちは夏休みに
補習があるのだ。こっちだってせっかくの夏休み、補習なんかでつぶしたくない。だから
そこそこの問題を作らねばならないのだ。
そこで出てくるのが、テスト前の対策プリントとかまとめプリントというやつである。これは
1学期勉強したところを、まとめて書き込めるようになっていたり、大切なところが箇条書きに
まとめてあったりする。当然テストに出そうな重要なところが結構含まれていたりする。うちの
学校あたりだと、なかなか自分で自己学習というのもままならないので、こんなものを作って
少しでも赤点を取らないように、先生側の方から配慮するのだ。やれやれ。生徒の方もこれを
やっておけば何とかなると分かっているので、かなり期待している。ところがこれもけっこう
考え物なのだ。
どうせテスト前に対策プリントが配られるから、それさえやりゃあ赤点を取らないぜとばかりに
普段は全然勉強しなくなったりする。また他の出来る子から答えだけ写しまくるやつが出て
きたりもする。これでは勉強にならない。また今回のように、比較的期末テストを簡単にして
余裕を持って教えたので、特に対策プリントはいらないだろうと思って、何もしないでいると
生徒の方から「O−TEACHER、対策プリントまだなの?」「今回はないよ。」
「えーーーっ!!うっそーー、まじーーーっ、信じらんないーー、ひどーーーい!鬼ーっ!
みんな赤点でもいいと思っているんだ!」とか言われてしまう。まるで対策プリントを作らない
ことが、極悪人のように言われてしまうのだ。こんな悪習は絶たねばならないです。生徒よ!
対策プリントなど当てにせず、普段の授業を大切にせよ。他の学校はこんな心配あんまり
しないのかなぁ...。
7月3日(土) 卒業生とのデート
昨日の夜、卒業生とデーとしてきた(おおっ!O−TEACHERの大胆発言!)というか
前任校で担任を持っていた女生徒がいたのだが、卒業してからも時々手紙のやりとりをして
いたのだ。その子は卒業後すぐに、父親の里帰り転居に伴って佐賀県に引っ越した。そして
地元の短大に入り、そちらで就職したのだ。年に数度、近況を報告してくれたので、私も
その度に返事を出していたのだ。だから卒業後6年経っても、何かついこの間までの生徒の
ようで、時間が経った気がしていなかったのだ。それが今回、友達の結婚式出席のため上京すると
ということで、それじゃあ、是非会いましょうということになったのだ。
そして地元で待ち合わせしたのだが、色々ハプニングがあって(本人の名誉のため言えず(笑))
予定よりは遅れたが、無事再会できた。そして驚いた。あんまり綺麗になっているので!まぁ
確かに女性は変わるものだとは分かっていたつもりだが、連絡を取り合っていたために6年という
歳月をつい失念していたのだ。こちらとしては高校生のイメージが強く残っていたのだが、会って
ビックリ!久々のAちゃんは、24歳の素敵なレディになっていたのだ。ちょっとドキドキ。
そして初めてのデート(笑)二人で食事に行きました。
そこで卒業してからの色々な話を聞きました。みんなこうして社会人になって、色々苦労しながら
一人前の大人になって行くんだなぁと何か感慨深くなりました。こうして教え子の成長に眼を
細められるのも、教員冥利に尽きます。この仕事やっていて良かったと思う瞬間。これだから
先生は辞められない(笑)そして高校時代の思い出話になったとき、私が昔、話していた授業中の
くだらない話のことを話され、そんなこと俺言ってたの!?って感じで、記憶にないことも
ありました。でも生徒って、こういう先生の話した、意外とどうでもいい話(笑)でも、記憶に
残っているもんなんだなぁって、ちょっと思いました。これからは真面目に授業をやろう(^^;)
でもその話の中でAちゃんが言ってくれたんです。「私、O−TEACHERの授業を聞いていて
国語って楽しいなぁって感じて、だから国文科を選んだんですよ。」これには参りました。
マジで涙出そうになりました。本当に先生やっていて良かった(ジーン...)というわけで
久々に楽しいひとときでした。Aちゃん!もし結婚するときは是非、式には呼んでね!花嫁の父親の
ような心境で駆けつけますから!(笑)
7月5日(月) 高血圧の意味
待ちに待った期末考査!これさえ終われば夏休みももうすぐ。おまけに今回は自分の担当の
3年生の現代文の試験が、今日の初日にあったもので、速攻採点してしまいました。やりぃー!
まだあと2年生の国語Uが残っているけど、採点も半分終わったということで気が楽。そしてその後
午後から職員の健康診断がありました。身長・体重・視力・聴力・血圧の検査をしました。
年々視力が落ち(現在裸眼で0.2ぐらい)聴力も弱り、血圧も高く、もうほとんど老人体です(笑)
おまけに今年から項目に入ったBMI値という、体重/身長×身長(m)で出す標準体型みたいな
ものがあって、これが25で「過体重」と出た。過体重!どうせややデブですよ(--*)
でもその中で唯一良かったのは血圧。高血圧気味だったのが少し下がりました。良かった。で、
その時使っている記入用紙が、過去5年ぐらいの数値が載っているのですが、3年前ぐらいの
血圧値が異様に高いのに気付いた。確かに高血圧気味ではあるのだが、ここ数年高値安定(笑)
だったのだが、そこだけ飛び抜けて高い。どうしてなんだろうと疑問に思っていた。すると
S先生の一言で疑問氷解。
「だってその時O−TEACHER、採点していて赤点続出で怒りまくっていた直後に
測っていたじゃないですか。」
そうでした。先生の健康を決めるのも生徒かもしれない。
7月6日(火) テスト巡回する困ったちゃんたち
テストを監督していると、途中そのテストの出題者が巡回することになっている。それは生徒からの
テストに関する質問に答えたりするためである。もちろん解答に関わるものは教えられないが、
印刷が薄くて読めないところや、ちょっとした勘違いをしないように、巡回して指示を出しに
来るのだ。50分間監督をしていて、ぼーっとして暇なときは一服の清涼剤になる一時でもある
(それほどでもないけど(笑))
しかしこれもけっこうその先生の人柄が出て面白い。テスト時間は50分だから、普通は生徒が
一通り問題に目を通して、疑問点・質問などが出たところを見計らってきてくれればいいものを
テスト開始5分ぐらいでいそいそと教室に来て「何か質問ありませんか?」とやるせっかちな人も
いる。当然生徒はまだ一問目か二問目だから、質問なんか出ない。すると「じゃ、質問は
ありませんね?」と言ってそそくさと行ってしまう。20分ぐらい経ってから、始めて質問したい
ことがあっても後の祭り。生徒も困ってしまう。おいおい、ちゃんと2、30分後ぐらいに来てよ。
そうかと思うと、今度は終了時間ギリギリに来る先生もいる。あと5分で終わりというところに来て
「何か質問は?」と尋ね、生徒が4、5人手を挙げて答えているうちに終了のチャイムが鳴って
しまうこともあった。質問できずにテストが終わってしまった生徒もいたりする。ちゃんと早く来いよ。
でももちろん最強の人もいる。忘れて来ない先生(笑)いや、よくいるんですよ、すっかり準備室
あたりでくつろいじゃって来るの忘れる人!生徒も大変だ。でも生徒の方も心得ていて、テスト終了後
「あの先生、テスト巡回に来なかったなぁ。」と言うと「いつものことですから。誰も気にして
いませんよ。」生徒の方が立派(^^;)
で、このテスト巡回は何度も言うように、本来生徒からの質問を受け付けるためのものなのですが
現実的には訂正のために回ることも多いのです。私も今回、テスト問題を作って見直してみると
『やべ!問七がふたつある!』ってことに気付いたのです。すでにもう印刷した後。だからこの
テスト巡回の時に「問七がふたつあるから、二つ目は問八に訂正しておくように。」と言いに
回ったりするのです。まぁこんなミスは時々あります。解答欄が一カ所足りないとか、選択肢に
正解が含まれていなかったりとか(笑)だから現実は質問受付のための巡回というよりは、訂正の
ための巡回である場合が多いのです。
そんな中、テスト開始10分ぐらいで、G先生がもう巡回に来ました。『ずいぶん早いなぁ』と
思っていると、すぐ訂正個所についての説明を始め、その部分を板書し始めました。生徒も確認して
いました。すると、どんどん黒板に字が埋まっていくのです。かなりの量になっていくのです。
生徒も始めのうちは自分の問題用紙に訂正個所を記入していたのですが、あまりの多さに途中から
投げ出し始めました。だって訂正個所が10カ所以上あるんですもの!ちゃんと問題見直せよって
言いたくなりましたよ。これじゃあ全6クラス訂正し終わるためには、こんなに早く来なければ
回りきれないって!生徒もさぞやお怒りと思いきや...「いつものことですから...」
生徒諸君ご苦労様。
7月7日(水) モデルな生徒
「O−TEACHER、見ましたか?」
「えっ?何を?」
「やだなー、早耳のO−TEACHERなら、もうとっくに知っていると思いましたよ。」
と、手渡されたのは一冊の雑誌。女子高生モデルを載せているグラビア雑誌だった。
「あれ、この表紙の娘!制服は違うけどF組のNじゃない?」「そうなんですよ!」
やれやれである。この娘は中学生ぐらいからある、プロダクションに所属し、時々グラビアモデル
とかをやっているとは話に聞いていた。そのせいでよく取材だ撮影だとか言ってよく休むもんで
けっこう困っていたのだ。親も意外と放任主義で、欠席が多いのもあまり気にしていない様子。
先日も撮影だとか言って、サイパンだかグァムへ行って1週間ほど休んだのだ。うらやましい。
確かにちょっと見は可愛いのだが、先生としてはこれだけ休まれると、進級の方が心配である。
公立高校だから、出席日数が足りなければ原級留置(いわゆる留年・ダブり)になる。私立なら
いざ知らず、そんなに芸能活動したいなら堀越とか明大中野へ行けって(ちょっと古いか?)
そんなわけで彼女はほとんど学校へ来てなくて、もう退学寸前という感じだったのだ。別に
学校としても芸能活動を奨励していたわけではないけど、ほどほどなら黙認していたのだが
これじゃあねぇ...
それでこの雑誌なんだけど、いわゆる女子高生モデルがミニスカートの制服を着て写っていたり
水着グラビアがいっぱい載っていてる、いわゆるおじさんたちが鼻の下を伸ばして喜びそうな
感じの雑誌なのだ。そしてその娘が載っているところにこんなコメントが...『これからも
いろいろ頑張って女優になりたい。』じゃ、学校はどうすんの?おまけに来月写真集が出ます
だって...最近色んな生徒がいて先生も大変ですよ。そう言えば昔、卒業してすぐAVに
出ていた生徒もいたなぁ...。やれやれ。
7月8日(木) いちいち聞くな!
本日はテスト最終日。明日は採点休業日で明後日は第2土曜日...ということで3連休!
嬉しいっす!でもその前に採点をパパッと終わらせねばならないのだ。でもこれからが先生は
忙しいのだ。提出点・出席点・平常点・もちろん中間テストと期末テストの平均など、諸々
加味して成績を出す。不振者には課題、そして夏休みの宿題の準備、担任の先生は出席簿の整理
等々。この2週間は超忙しい。でも生徒は試験が終わったもんだから、お気楽極楽になっている。
廊下を歩いているとよくこんなふうに話しかけられる。
「O−TEACHER、夏どこに行くの?また海外?」
それどころではないのだ。まだまだ仕事が忙しいのにそんな心躍らすようなことを言わないで
欲しい(笑)でもそれはまだいい。一番困るのはテストの点数を聞いてくることだ。
「先生、あたし何点だった?」とか「O−TEACHER、俺って赤点?」
そんなの知るか!だって考えてもみてくれ。今日テストやったばかりでなぜ30分後に
点数が出ているのだ!そんなわけないじゃないか。おまけに今年の私みたいに240人も教えて
いると、個々の点数なんていちいち覚えているわけないじゃない!ちょっと失礼だけどすごーく
頭のいいやつとか、超危なさそうなやつとかだったら点数気にしているけど、その他大勢の
一般ピープルは覚えていない。ていうか可もなく不可もなくでしょ、普通は。悪いけど。だから
いつも「何点だった?」と聞かれてたら「もちろん赤点だったよ。」「うそーー!」と答える
ようにしている。そうすれば、後で違うとわかってホッとするし、いちいちしつこく聞かなく
なるだろうから(^^;)
「教頭先生、例の××の出張申請明日まででしたよね?」
「いや、もうとっくに過ぎているよ。」
「えーーーっ!マジっすか?やばーーーい!」
「なんてね。..って答えればみんな早く出すようになるし、自分で確認するようになるからね。」
「教頭先生....」