芳醇なる 8月 中旬 編
8月12日(木) 勉強できない
世間はほとんどお盆休みに入ってしまったようだ。道路を走っていても車の量が少ない。でも
ビデオ屋と本屋は盛況だ。毎年夏休み前になると、『よし、日頃できなかったことをやろう!』とか
思って色々計画を立てるものである。私は小さい頃からけっこう計画性のある子供だったので
夏休みの予定表なんてものを色鉛筆まで使って、夏休みの初日に4時間ぐらいかけて作り上げ
それでほとんどエネルギーを使い果たしてしまう。当然その後の宿題は予想のごとく、予定通りに
済まないタイプだった。計画はとても素晴らしく立てられるが、実行に腰の重い正確であったのだ。
さて今年の夏休みだが、先生ということで約40日近くも夏休みがある(笑)でも実際は色々な
仕事の関係で正味2週間。私の日記を読んでもらえれば意外に夏休みにも、仕事をしていることが
分かっていただけると思う(えっ?わかんない?)それでも普通のサラリーマンに比べれば
時間的な余裕があるので、「勉強」を集中的にするのだ。勉強?と聞いて、何だ?と思われるかも
しれないが、本当に「勉強」したいのだ。というか、している先生は結構いる。先生達は日頃
学校の授業が忙しくて、きちんと自己の知識を研鑽する時間がほとんどない。忙しさにかまけて
なかなかできないのだ。ある先生が言っていたが「忙しくて勉強する時間がない。今、俺の
教えている知識は20年前のものだ。こんな古い知識しか教えられないなんて、生徒も可哀想だ。」
と言っていた。先生だっていい内容を教えたい、わかりやすい授業をしたい。その為には先生も
勉強が必要なのだ。普段は忙しくてなかなかできないけど、夏休み中なら少しはできる。この機会に
沢山勉強して、2学期からの授業に活かすのだ。だって先生達って元々勉強好きな人が多いから。
そこで私だが、いちおう国語なので、本を読むことをしている。えっ?本読めばいいの?と
言われると説明しなければならないが、普段授業で1時間教えるために、だいたい2〜3時間の
予習が必要である。例えば「芥川龍之介」を教えるためには、その芥川の原作はもちろん
(教科書には一部しか載っていないから)、芥川のその他の関連ある作品、芥川が影響を受けたと
思われる作品、また同時代批評、文芸評論等々。その上でこの作品はどういう意味があって、どう
教えるかということになる。この時点でだいたい10冊程度は読破しなければならない。それでも
芥川あたりだと毎年教科書に載っているからまだいい。新しく載っている作家は大変なのだ。それも
よく知らなかったり、文学的評価が定まっていない作家だったりすると膨大な読み込みが必要に
なるのだ。それを忙しい授業や会議の合間にはとてもできない。たからこそこういう夏休みに
少しでも周辺書籍を読み漁って行かねばならないのだ。読書も好きな本を読むならいいが、あまり
好きでもない作家の、それも関連しているというだけでほとんど面白みのない評論本なんかを
何冊も読むのは苦痛である。ましてや勉強のためだから。だから全然勉強が進んでいるとは
思えない。今年の夏、予定読破冊数40冊(勉強に関係なく私的な本も含めて)現在21冊。全然
勉強できてない。飽きっぽい上にいろいろ言い訳をつけつつ、ホームページを更新して気分転換を
図っている私でした(笑)
8月14日(土) 有意義な夏休み
よく小学生の頃、夏休みの予定表というものを書かされた。どこかへ出かける予定とか、
おばあちゃんちへ行く予定とか、はたまた宿題のスケジュールとかを書き込むあれである。でも
よく考えてみると1ヶ月も先の予定なんて、たとえ小学生だってそうそう決まっているものでは
ない。子供の頃、母親に「予定表に書かなくちゃいけないから、いつ海に行くの?」とか
夏休みにはいる前に聞いたことがある。当然そんなの、まだ行くかどうかすら分かってないもの
だから「てきとーに書いときなさい。」「えーっ!だって提出するんだよ。てきとーじゃだめだよ。
先生に怒られるよ。」昔の私は先生を信じる純真者だった(笑)すると母親は「じゃ、8月1日
から8月20まで海って書いときな!」とすごいことを言っていたのだ。また私も子供心に
『まっ、いいか。』と思ってそう書いて出したら、終業式の日に先生に「O君の家は海の家か
なんかやっているの?」と真顔で聞かれたのは笑った。マジであった笑い話である。
というわけで夏休みの予定なんかまともに立てろと言うのが無理な話である。ましてや有意義な
夏休みを送れという教師の方が、有意義に送れていない(笑)今日、お昼にマクドナルドへ
行ったとき、隣に座っていた高校生らしき男の子二人組の会話。
「毎日何してる?」
「何にも。」
「俺も、バイト先、暇で首になっちゃったし何にもしてねぇんだよ。」
「俺も毎日ダラダラしている。暑くて外、出る気もしないよ。」
「朝っていうか、昼頃起きて『笑っていいとも』見ながら飯喰って、それからプレステして、
夕方からテレビの再放送見て、夕飯食って、夜はCD聞いてる。」
「何かつまんない夏休みだよな。俺もほとんど同じだよ。」
部活もバイトもやっていない高校生は確かにこんなものかもしれない。有意義な夏休みというのは
意外に難しいのだ。若人よ、こんな青春でいいのか!?
「ところでさぁ、先生って夏休み、何してんのかなぁ。」
君と同じです(笑)
8月15日(日) 終戦記念日に思う
先生をやっていると時々、みんな日教組に入っていて、色々組合活動をしていると勘違いされる
ことが多い。「Oさんも、国旗・国歌法案に反対して座り込みとかしたの?」とか(笑)一概に
先生はみんな反対なのだという認識を持たれることが多い。別に反対とか賛成とかそういうことは
個人的な信条なので、あまり多くを語るつもりもないし、また多く語れるほどの深い認識を持って
いるわけではないのも事実。よくテレビとかで「君が代、どう思います?」「えっ?なんかかっこ
わるいしぃー、もっとかっこいいのにすべきじゃん。」とか「どこと戦争をやっていたか
知らなーい。」と答える、馬鹿な若者を見て頭にくるほど偉くもないと自覚している。もちろん
平和教育は必要だと思うが、「反動としての平和」ではなく、「前提としての平和」の中で育った
私には難しい。また、そこに「学校」というものが介在してもいいのかどうかにも、多少疑問を
感じる。毎回、入学式や卒業式前になると「日の丸・君が代」について職員会議で議論されるが
よく分からないのが本音。法制化することにより校長の自殺が減るのだろうか。
もちろん平和教育も大切だが、「学校」という器でなくやることも必要なような気がする。そして
そしてもうひとつ、「ルールを守ることの大切さ」も社会的に再教育される必要があると思う。
身勝手な行動がいかに他人の迷惑になるかということも。
8月16日(月) 病院にて
病院に行って来た。実は私、内臓があまりよくないので、定期的に検診に行っている。その病院で
こんな場面に出くわした。今日はお盆の時期ということで、医者も夏休みを取っていて数も少ない
ようで、とっても混んでいたのだ。私も採血と投薬だけで3時間もかかってしまった。いつもなら
30分ぐらいなのだが、まぁ仕方ないとあきらめていた。しかしあまりの混雑ぶりで、また忙しい
様子で、なんか病院自体が殺気立っていた。看護婦さんは待合いで待っている患者さんを呼び出す
時に「××さん、××さん!××さーーーん!!」と大声を出して呼んでいる。いつもに比べて
3倍のでかい声(当社比)医者も医者で、内科待合いにいる患者を「△△さん、1番にお入り
下さい。」と、いつもなら呼ぶのだが、今日は目の回る忙しさのせいか、「△△さん...△△さん..
はい、じゃ次、□□さん!」と、10秒も待たずに次の患者さんを呼び入れているのだ。だから
うっかりするとすぐ順番を飛ばされてしまう。だからみんな診療室の前で、固唾をのんで呼び出しを
聞き漏らさないようにしているのだ。患者の方も平気で1時間2時間待たされるもんだから、
いちいち受付に文句を言いに行く人もいて、受付も丁寧な言葉ながら「まだか?」「混んでるから
お待ち下さい!」の応酬。今日の病院は非常に怖かった。そして何より怖かったのは採血だった。
採血室に入ると、一人の看護婦さんが「Oさんですね?はい、じゃここに座って腕を出して。」と
と言われた。すると同じように3人ぐらいの人が腕まくりしている。『ははーん、順番にやるの
だな。』と思っていたら、なんとその看護婦さん、2人ずついっぺんにやるのだ!一人に針を刺し
試験管みたいなもので血を吸い出していると、すかさず次の人に針を刺し同じ事をやっている。
二人同時に採血しているのだ!それがまた神業みたいに手際がよい。私も小さい試験管みたいな
もの3本取られたのだが、隣の人と交互にやられた。ちょっと怖かった。そしてこの病院にちょっと
信頼が置けなくなったのだ。
まぁ、忙しいと仕事や対応がぞんざいになるという典型的な体験だった。でもふと振り返ると、
自分も忙しいと生徒にこんな対応しているのではないかと思い当たったのだ。授業の準備とかで
忙しいときに限って、無駄話をしに来る生徒に対して邪険に扱ったら「O−TEACHERは
冷たい。」と言われたり、小テストの採点も3クラスぐらい同時にてきとーにやっていたり...
忙しさは信頼を失わせますね。
8月17日(火) 海外視察へ行く!
本日から1週間、O−TEACHERは海外視察に行って参ります(笑)なんてホントは遊びです
けど。ニューカレドニアへ行って来ます。オーストラリアの少し東の方です。久々のサマーバカンス
なのでめいっぱい楽しんできます。たまには(?)リフレッシュしなきゃね、っていつもしてる
ような気が...(笑)
元々海というか南の島系が大好きなので、今までも色々行きました。タヒチ・ハワイ・バリ・グアム
など。何かとっても遊び人のようですが(笑)実は海でのんびりしているのが好きなだけなのです。
今回も多少スキューバやシュノーケリングをやるつもりですが、ほとんどはのほほんとしている
つもりです。昔は、飛行機嫌いで外人恐怖症だったので、海外旅行なんてまっぴらと思っていた
のですが、1度行ったらあら不思議!すっかり海外旅行好きになってしまいました。なんとも
言われぬ開放感にすっかりはまってしまったのです。そして何よりも色々な文化や風習を身近に
体験して、いままでの狭い自分の視野や価値観が変わるのを実感したのです。もっと早く海外へ
行けばよかったと後悔するぐらい。そしてもっとも強く意識したのは「日本」ということでした。
戦争の遺跡を前にして感じた「日本」、物売りの子供たちが口々に言う「ニホンジン、オカネモチ、
1000円、カッテ、カッテ」、常に団体行動してバンバンお土産を漁る日本人、色々考えさせ
られました。また色々観光するほど、自分は日本のこと知らないなぁと思わされました。そんな
わけで、私にとっての海外旅行は、リフレッシュと自己発見の旅なのです。とは言ってもあまり
難しいことは考えず、ただ南の島の風に吹かれてきたいと思っています。では1週間後の旅日記まで
しばしのお休みを。行って来まーす!