馥郁たる 10月 上旬 編



10月1日(金) 注文の多い料理店

        昨日の話がふりになった。悪夢が現実に...本日は文化祭第1日目。けっこう
        厳しい意見も書いたが、それでも今年あたりはだいぶ活気のある良い文化祭に
        なってきた。昔は見るべきものもなく、装飾も貧弱で、やる気のない生徒たちが
        廊下にべたーっと地べたに座り、また自分のクラスでトランプをやっていたりと
        とてもじゃないが外部の客が楽しめるような雰囲気ではなかった。ある意味、
        スラム状態。せいぜい飲食店関係が活気があった程度。ところが今年は様々な
        クラスが趣向を凝らし、だいぶ文化祭らしく(笑)なってきた。未成年の主張を
        やるクラスあり、バンドも少しずつ増えてきたり(悲しいかな、バンドも今まで
        ほとんどなし)その中で出色なのは、私が副担任をやっているクラスの縁日。
        縁日なんてあまりに定番中の定番なのだが、担任のI先生の指揮の元、なんと
        和太鼓軍団を結成したのだ。単なるおもちゃ売りや金魚すくいや輪投げだけでは
        なく、きちんとした指導者を招聘して、男子6人による和太鼓パフォーマンスを
        中庭で繰り広げたのだ。これがすごく良い!一気に文化祭が盛り上がった。

        さて今日の私だが、午前中は副担任のクラスのお手伝い、もう一クラスの
        ポップコーンづくりのお手伝いとか、自分の教えているクラスのところを
        冷やかしに行ったりしていた。そして午後だが、明日一日だけやる、PTAの
        発表のお手伝いに回ったのだ。これが超大変。やるのは喫茶店とバザーと
        おでん売りなのだが、人使いが荒いのだ。荷物を山ほど持ってきて、さぁ先生、
        3階まで運んでとか、机が足りないから調達してきてとか、明日売るときの
        小銭が足りないから銀行へ行って両替してきてとか、もうちょっと切れそうに
        なった。だいたい生徒の文化祭に参加するのであれば、生徒と同じように決め
        られたルールでやって欲しい。生徒にはきちんと計画していない団体にはきつく
        言っているのに、自分たちだけはその場その場でわがまま言い放題。だいたい
        自分たちだけで出来ないのなら辞めちまぇ、自分らの力で出来ることをしなさいと
        言っているのに、父兄だけは、先生、あれやってこれやってと、これじゃ
        生徒と変わりない。ならやるなって!ルールを守ってできることをやって欲しい。
        それに私たちも仕事があるんだから、パシリとして使わないでくれ。でも仕方なく
        銀行まで両替に行ったりしましたけど...やはりこの子にしてこの親あり
        ですか?(怒)のO−TEACHERでした。


10月2日(土) 頑張っている子たち

        文化祭2日目、一般公開日。外部からたくさんの人が見に来る。ある意味、学校というところが
        どんなところか、最近の高校生ってどんなものかを知るには良い機会。生女子高生を
        見られるし(笑)今日は色々と見て回りました。というよりはこのホームページのために撮影し
        まくったというわけ。でもデジカメ持って歩いていると、色々な先生から「記録係ご苦労様。」
        とか言われ、別にそんな係りではないけど、その方が都合がいいのでにこにこしながら
        「ハイ。」とか言いながら撮影して回った。この記録は『2限目 社会』の方でUPします。

        色々見て回ったのだが、そこで実感したこと。それは今時の高校生というのは持続力がないと
        いうこと。地道にコツコツと準備するということが全く苦手。自分たちの企画であっても。
        その場のノリでやったりとか、パーッと瞬発力はあって、そこそこのものは出来上がるのだが
        手の込んだ精巧なものはほとんど見られなかった。やはりそういう大作・力作は敬遠されがち
        らしい。そんな中、目に付いたのは弱小の文化系の部活たちだった。最近はどこも部員不足で
        運動系のみならず文化系の部活もほとんど成り立っていないのが現状。それでも少ない部員で
        それも中には2、3人というところも少なくない。それでも日頃からコツコツと一生懸命練習に
        励んでいるところもある。吹奏楽部はたった6人でも頑張っていた。普段私がいる国語科準備室の
        隣が音楽室なので、いつも練習している音が聞こえてくるのだ。地道な練習の成果が出ていて
        とても良かった。また演劇部も少ない人数で、いじめ問題を扱った劇を上演していた。つくづく
        感じたのが、こういう地味で普段の学校生活で目立たない子たちが頑張っている姿だった。
        どうも派手でノリが良いクラスの発表・展示に目が行きがちだが、こういう子たちの努力に
        拍手を送りたい。文化祭とは本来、なかなか学校で身の置き所がない子たちが、意外とこういう
        クラブに入って活動していたりする。その生き生きとした活躍を目にするに付け、文化祭という
        発表する場があって良かったなぁと思う。そういう意味で文化祭は大切な行事だと実感した。


10月4日(月) つわものどもの夢の跡

        今日は文化祭の代休ということで半日のみ。それも午前中後片付けと閉会式・表彰式。授業はなし。
        だからとても気が楽だった。しかしその後片付けというのもけっこう大変。力を入れてやった
        クラスほど、より一層大変なのだ。担任たちの顔もげっそりこけている。さてその後片付けだが
        これがまたなかなかきちんとやらないのだ。今時の高校生、ノリはいいから準備などは意外と勢いで
        やるが、片付けは大嫌い。笛吹けど全然踊らず、結局担任が先頭に立って片づける始末。これ
        だからやりたくなくなるのだ、先生達は。自分たちでやったんだから自分たちで片づける。こういう
        当たり前のことがなかなかできない。小さいときから誰かがやってくれるという習慣が身について
        いるのだろう。かと言って動くまで待っていると、机はない椅子は移動していると、授業が明日から
        始められない。また担任が尻をたたいて何とかやらせる一苦労。

        ところが片付けをやっていると、机やら椅子やらが必ず足りなくなる。人のクラスを使っているのに
        いい加減に管理していたり、断りもなくちょっとどっからか拝借してきてそのままだったり、
        ある教室には椅子が15脚も余っていたり(笑)とあるクラスは教壇が紛失!そのあたりの
        チャリンコを罪悪感もなくパクってきてしまうように、他人の物自分の物の区別もなく罪悪感もない。
        学校の備品も文化祭ともなると行方不明続出で、毎度大捜索。担任も探し回ってへとへと。そして
        本来は午後代休でゆっくり先生達も休みたいのに、外部から物を借りてきたりしたものなら、その
        返却まで担任が付き合う始末。ちなみに外部から頼んで借りてきたのに壊してしまうというような
        マジかよ!ってことも多々あり。先生達には今日も文化祭は続いているのです。えっ?クラスで
        打ち上げだって?てめぇーら、酒とか飲んで捕まったらただじゃおかねぇーぞ!(笑)


10月5日(火) とどめはワックス

        文化祭の疲れもとれぬまま2学期中盤戦スタート。今日からワックスがけ週間。文化祭でヘロヘロに
        なった身体にはきつい。文化祭で汚れた学校を一気に美化してしまおうという怒濤の連続出動!
        それも初日に普通棟3階廊下という、途方もない広範囲を任命されました。仕方ない頑張ってやるか。
        実は今週末に出張があるため、授業変更をして本日、授業が4連続でした。連続4時間
        喋りっぱなし、喉は痛いわ声は嗄れるわで放課後には髪の毛真っ白状態でした。でも行事は
        待ってくれない。先生とはかくも辛き仕事かな。担当のクラスの精鋭(?)6名を引き連れ、
        いざ戦闘開始。教員を長くやっていると、ポリッシャー(汚れ落とし用の回転ブラシ機械?)の
        使い方とか、ムラのでない、しかも少ない量で効率的にかけるワックス塗布の技術とか、きっと
        他ではほとんど役に立たないスキルばかり上達していく(笑)

        とりあえず動かない生徒を叱咤激励し、洗剤による汚れ落とし。ここで手を抜くと仕上がりが悪くなる。
        ところが生徒は早く終えたいものだから、どんどん手を抜く。昔は私もそうだった。しかし手を抜いた
        ために、ムラが目立ちやり直したこともあったのだ。だから生徒に細かく指示をしながら、目を光らせ
        いた。はっきり言ってこっちの方が年季が入っているので、動かない兵隊なんぞいくらいても邪魔
        なんだけど、公共心を植え付けるのも大事なこと。生徒はすぐに「こんなとこ使ってないから。」とか
        「別に汚くてもいい。」とか、それに対していちいち諭しながらやるのも気骨が折れる。

        そんな中、普段授業でしか接することが少ない生徒が、ワックスを塗りながら色々私に話しかけて
        きた。あんまり目立たなくておとなしめの子だが、色々と話しかけてきて、こんな子だったのかと
        新たな発見をした。そういえば文化祭でも、全体的にみんなハイになっていたせいか、やはりあまり
        話したことがない生徒が、急に饒舌になって話してきたりもした。本当はもっと色々話したかったんだ
        ろうけど機会がなく、ここぞとばかりよく話しかけてくる。そんな不思議な交流もあった本日の
        ワックスがけでした。....と、話ながらやっていたので明日、すごーくムラになっている
        だろうなぁ(笑)


10月6日(水) 気を使う授業

        朝の打ち合わせで社会科のS先生が「急ですが、本日の5限目に3−6で5年研の研究授業を
        やります。お手空きの先生は是非見ていただきご指導よろしくお願いします。」と言った。
        5年研というのは正式名称、経験者研修というもの。先生達は節目節目にこういう研修を
        受けなければならないことになっている。5年経過したところで、10年経過したところで、
        今までの新人の頃とは違い、その経験により磨きをかけるべく県の方から指示され、学級経営や
        学校経営をも視野に入れた研修を1年間積むのだ。ちなみに私はもう5年研も10年研も
        とっくに終わってます(すでに教員歴14年目の爺(笑))この経験者研修というのも、年間を
        通して5、6回あって、色々なところへ行き、講義を受けたり、集まって討論会したり、果ては
        ゴミ拾いのボランティア活動までしたりするという、スペシャルメニュー目白押しなのだ。
        そのうちのひとつが自校での研究授業なのだ。指導案なる、その日の授業の台本みたいなものを
        書き、他の先生に見守られる中、授業をするのだ。そして他の先生方に、ああした方がいいとか、
        こうした方がいいとか色々アドバイスしてもらうとかいうものなのだ。しかし新人の時なら
        いざ知らず、もうすでに教員も5年、10年もやっていると、授業のやり方なんて人それぞれ。
        すでに独自のスタイルを確立している。もちろんアドバイスもありがたいが、なかなか変えられる
        ものでもない。また人にアドバイスするほど素晴らしい授業をやっている人なんてそんなに
        いないと思うし(笑)まぁ、言い方が良くないけど経験者研修というのも通過儀礼のようなものか?
        でも今更、他の先生に自分の授業を見せるなんてかなり緊張もする。あんまり恥ずかしい授業は
        できない。くだらない無駄話もできない(私だけ?(笑))

        そんなわけで暇なら見に行こうかな、冷やかしで(笑)と思っていたが『ああ、そうだ。今日、明日からの
        出張で5時間目授業入れちゃったんだ...ちぇっ、見に行けないや。』とぼーっと考えていた....
        えっ?3−6!?やばい!5時間目の授業、3−5だ!隣のクラスじゃないか!ということは、
        研究授業だから校長も教頭も見に来る。他の先生方も見に来る。いっぱい見に来る。生徒も
        わきまえているから3−6の生徒もシーンとしてきちんと授業を受けるだろう。3−6の教室へ
        行くには3−5の教室の前を通らなければ行けない。当然色々な先生に見られるだろう。やばーい。
        いつものようにガヤガヤと騒がしい授業なんてできない!困ったーっ!そんなわけで5時間目の
        3−5の授業は隣を気遣って、うるさくならないよう、ひたすら漢字の書き取りの作業に終始。
        いやー、気を使う授業でした(笑)
     


10月7日(木) 初心者から上級者まで

        今日明日と2日間連続で出張です。今回は県の情報教育センターが行っている研修講座の
        「ホームページ作成応用」というもの。この県の研修講座というのは毎回申し込みが多く、
        初心者向けの「Windows98入門」やワープロ・表計算の講座など、毎回倍率がかなり高い。
        2、3種類申し込んでひとつ当選するかどうかというほど。もちろん無料だけど、受け
        られるようになるまで一苦労。教員のコンピューターリテラシーが叫ばれている中、意欲が
        あっても、その機会が少ないんじゃあねぇ。何をいう私も、この情報センターの講座は
        何年も前からあらゆるものを受けてきた。OSから始まりワープロ・表計算・データベース
        プレゼンテーション・インターネット...初級、上級とかなり受け倒しました(笑)
        でも本来、初心者向けの講座が主流のため、そろそろ受けたい講座が無くなってきた。
        今回の「ホームページ作成応用」がそろそろ打ち止めかも。まっ、学校さぼって
        (研修です(笑))コンピューター習えるのは良いけどね。

        さてというわけで今回の講座なのですが、1日終わった時点でかなり失望。あまりにぬるくて。
        もともと講座の紹介には「フレームタグの利用・JavaScriptの記述、組み込み関数の使用法、
        オブジェクトとプロパティ、メソッド・CGIの仕組み、Perlによるプログラミングの概要」と
        けっこう難易度A的なの説明がしてあった。私も自分のホームページをよりレベルアップするために
        (決して学校のではない(笑))ハイパー電脳ティーチャーズ・ホームページのパワーアップを
        目論んでいたのに、羊頭狗肉も甚だしいお粗末な内容だった。だっていきなりホームページとは
        って内容から入るんですよ。午前中はほとんど講義。それもwwwの説明やらLANとWANの
        違い、クライアントとサーバーの違いなど用語の説明。やっと実習かと思ったらタグの説明を
        延々とする。挙げ句の果てには「でも今時メモ帳あたりでタグを打つのは時代遅れですね。」と
        ぬかしやがった。覚えていろよ、Uシステムの派遣講師(怒)これで本当に中級かよと思う
        ような初歩的な内容。がっかりです。講座説明と全然違うじゃん!期待してきて損した感じ。
        途中からはFrontPage98を使い、簡単なホームページ作成に入ったが全然意欲そそられず。
        これだからお役所の研修っておざなりだといわれてしまうのだ。だって一番はじめに「自分で
        ホームページ作ったことある人は?」って聞いたとき、ほとんどの人が手を挙げていたのに、
        ということはほとんどの人が中級者以上なのに、もうすでに作ってあったマニュアル通り
        ホームページとは、なんてところからやりはじめるんだもの。全くの時間の無駄。もっと
        臨機応変にバシバシやってくれないかなぁ。みんな眠そうでした。このへんが親方日の丸と
        一般企業の違いなんですかね。以前にも書いたF情報ビジネス専門学校の「高校の先生のための
        パソコン講座」の内容を見ろ!日常業務に密着した素晴らしい内容、わかりやすいマニュアル、
        こっちのニーズに応えてくれるフットワークの軽い有り様。あれならお金を払っても
        惜しくないと思える。本当にこんなぬるい内容が明日も続くのかね。早起きして2時間もかけて
        くるのが馬鹿らしくなりました。....

        とここまで書いたのが午前中。ところが一転して午後はCSSなんていきなり超難しくなった!
        俺の声が聞こえたのか?しかしこれもいきなりスタイルシートの記述なんて飛び過ぎや
        しませんか?今度は私も真剣(現金な奴)でも逆に2/3ぐらいついてこれない感じ。いやはや
        中級者と指定しておいてこの落差は何?でも翻ってみればこれについていけるなんて、私の
        スキルも少しは上達したってこと?それにしても明日はどうなる事やら。


10月8日(金) 試練の2日目

        昨日に引き続き研修の出張。今日は少しはましかと期待したが....いきなり昨日説明した
        スタイルシートの細かい設定の仕方を記したプリントを配り、延々1時間以上説明。この時点で
        もう耐えられそうになかった。その後にJavaScriptで作ってきた色々なファイルを自慢げに披露。
        細かい変数やらの説明までし始め、もう(爆)このあたりほとんど記憶なし。やっと作業が始まった
        のが、2時間以上たってから。それも何をしろというわけではなく、「こういう風なJavaを色々
        試して下さい。」試したらどうすんの?はいはい、わかりましたよ、日付が出ますね、新しい
        ウィンドウが開きますね...それで?えっ?このソースを自分の作っているホームページへ
        コピーすればいいの?別にいらないよ(笑)そんなわけで何とか午前中終了。

        午後はFrontPageについている、色々な便利な機能についての説明。えっ?スクロール?フォーム?
        じゃさっきわざわざ打ったScriptはいったい何のため?「まぁ、このようにプログラム的なことを
        全く意識しなくてもこのようなことはできます。」てめぇー、午前中は無駄かよ。そして午後は
        ほとんど自分のホームページ作りの演習となった。でも私の場合、ここで作っても別に何の得にも
        ならないし、かえって違うソフトで作っても分かりづらくてイライラする。やっぱりメモ帳が
        一番(笑)ちょっと頭にきていたので、目を盗みそのコンピューターにこのホームページを
        お気に入りに追加したり、この日記をこそこそ書いたり、しまいにはこの講座と講師のていたらく
        ぶりを糾弾するページを作っちまいましたよ。あーあ、疲れた2日間だった。.....あっ!
        あの悪口だらけのホームページ削除してくるの忘れた!.....

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