悄然たる 12月 中旬 編



11月10日(水) 教材研究の話...

        現代文の授業の中でホームページ作りをやろうという話を以前書いた。こういう画期的な
        試みには(笑)かなりの試行錯誤が伴う。先日も書いたマニュアルも独自のものを作らなければ、
        実際になかなか作業できない。それもいきなりポンとソフトを立ち上げて「あなたも1時間で出来る
        ホームページ!」なんて書いてあるマニュアルを見ても、そうそう簡単にできるわけはない。
        確かにタグを使って一からやるわけではないが、それにしても一朝一夕にはできない。それを
        何とかやるためにはかゆいところに手が届くばかりの下準備の綿密さが要求されるのだ。
        『たぶん、生徒はここのところは迷うだろうから、こういうふうに説明しよう。』とか『この
        表現だと言葉が難しいから、こういう言い方に替えよう。』とか、ありとあらゆる事に気を使う。
        それでもなかなか上手くいかないものなのだ。でもそれぐらいの下準備=教材研究が、
        わかりやすい授業のためには必要なのだ。どの先生も多かれ少なかれ、そういうわかりやすい
        授業目指して、教材研究に余念がない(はず)(笑)

        さてそのホームページ作り授業だが、かなり綿密に計画を立てて、オリジナルのマニュアルを作って
        臨んだつもりなのだが、早くも壁にぶち当たった。まだ実際にコンピューターにも触ってない
        段階から(泣)簡単なホームページの説明と、その構成までは良かったのだが、内容についての
        ところで止まってしまった。元々生徒の個性を生かしたホームページ作りをするつもりだったのだが
        これが出てこないんだ、内容が。自分の好きな内容のホームページにしていいぞ、と言っても
        「何、書いていいかわからない。」「別に書くものがない。」とのリアクション。要するにコンテンツが
        思い浮かばないのだ。別に特に自分から情報を発信せよと気張る必要もなく、自分の趣味に
        関すること、興味を持っていることでいいと言っているのだが、これもなかなか出てこない。
        自分から発想する、何かを創造するという力が本当に弱いのだ。文化祭の出し物決めでも然り。
        思いつきでもいいから何か出てこないかと期待していたのだが、そういうことがうまくできるのは
        ほんのわずか。ほとんどのものはまったく思い浮かばず。しかたなく思いつかない者には、
        1 私の好きな音楽 2 私の友達紹介 3 私の学校紹介 の中から選ばせた。そうやって
        例示するとそこそこやり始めた。最近の子供は与えられて言われた通りのことはできるけど、
        無から何かを想像して生み出す、創意工夫して自己主張する、という部分が本当に弱く、発想も
        貧困だ。でもこのホームページ作りを通して少しでもそういうことが出来て欲しいと願っている。

        というわけでまだまだコンテンツの内容を考えて、とりあえず書き留めておくという、
        全行程の1/8(当社比)ぐらいまででした。まだまだ下準備・教材研究が甘いか?このままだと
        卒業までに完成できなさそう(^^;)


11月11日(木) 巨大プロジェクト発動

        悪いときに総務部となった。なぜなら来年度、創立20周年だから...えっ?何でと思われる方も
        いるだろう。それはなぜかというと、学校というところは不思議なことに、こういう節目節目に、
        大がかりな記念行事をやるのだ。創立10周年とか50周年とかに。で、本校はちょうど創立
        20周年に当たるのだ。運が悪いことに(^^;)で、その記念式典行事というのを大々的に、過去の
        関係者とかを集めて盛大に行い、そして祝賀パーティーとかもやるらしい。そしてその取り仕切りと
        いうか、計画実行というか、ようは下働きが総務部なのだ。でもまぁ、記念式典なんて半日のこと
        だから全然大変ではない。段取りだけつけておけばある程度なんとかなる。それよりも大がかり
        なのは20周年記念誌の作成なのだ。これが今までの学校関係の様々な記録を網羅する、一大冊子
        なのだ。超保存版完全記録集みたいなもの...これを作らなければならないのだ。過去、本校に
        在籍していた職員や関係者から当時の様子を事情聴取、もとい回想してもらったり、今までの
        在籍者氏名、分掌の変遷、部活動の推移、在籍数の変化等々あらゆるデータを、まさに蒐集する
        のだ。この資料集めが天文学的な数に上る。そしてその整理と無限大に大変なのだ。考えただけでも
        死にそうである(気死)前任校で10周年記念担当の総務部長も、これで身体を悪くしたくらいの
        激務...あーあ、10周年の次は100周年ぐらいまで飛ばせばいいのに。そうすれば関係者も
        みんな死んじゃって資料も散逸して楽になるのに(笑)


11月12日(金) 年間行事までは遠し

        そんな総務部の仕事の一つに年間行事作成というのがある。各分掌や学年から出される行事や
        予定をとりまとめ調整して、年間の行事計画を立てるというもの。ところがこれもなかなか難しい。
        ただ単に要望通り埋めていくと、当然色々な行事が重複する。例えば体育祭やら進路講話とか。
        そもそも自分が担当する行事にとって都合のいい日程というのは、他の行事にも都合がいい(^^;)
        だから下手をすると4つも行事が同じ日に重なったりする。いくら何でも除草作業(草むしり)
        しながら体育祭やって全校集会は出来ない(笑)で、それを調整するのが難しいのだ。どこの
        分掌も自分のところの担当行事を一番良い日程でやりたいに決まっている。それを変更して
        もらおうとすると、色々言い訳をつけて譲ってくれない主任が多いのだ。いちおう連絡調整委員会と
        いう各分掌の長や学年主任が集まる会議があるが、当然そこでなんかも我の張り合いで
        決まるわけない。結局、係の私が慎重な根回しと拝み倒しと口八丁で(笑)まとめ上げるしか
        ないのだ。ちなみに前任校でもこの係をやっていたので、今年度初めてといってもだいたい見当は
        つく。何よりも大事なのは各主任クラスの力関係と人間関係。この人は頼めば何とか考慮して
        くれるとか、この人は、あの人との譲り合いでは、絶対難癖つけて譲らないだろうから、こういう
        理詰めで行こうとか、この人は私から言うより、あの人から口を利いてもらった方が口説きやすい
        だろうとか、なかなか権謀術数で策士でなければ簡単には行かないのです。やだやだ大人の
        世界って(笑)だから去年までの担当者も苦労していたようです。

        さて何でこんなまだ今年度(3月まで)も半分しか終わっていないのに、来年度(2000年4月〜
        2001年3月)の年間行事予定表なんて、鬼も笑う間もないぐらい気の早い話をしているかというと
        昨日も書いた20周年記念のせい。その日程を決めるためには、必然的に来年度の行事予定が
        見通せてないと計画できないのです。だからこんなに早くから来年度の年間行事予定の作成に入った
        わけ。仕事の前倒しにしてはちょっと早過ぎるけど。そこで各主任へ空の行事表を渡して、早速
        各分掌の予定を書き込んでもらい提出してもらった。それが今日集まって、よし、うまく調整して
        やるぞ、教員間の人間関係をうまく読んで見事なまでの調整をして、誰からも文句のでない素晴らしい
        年間行事予定を立てるぞ!....と意気込んでいたのだが...おいおい、勘弁してくれよ。何で
        日曜日に行事が入っているんだよ。これも第2土曜日だから休みだろ。創立記念日にも入っているし
        あれあれ、だから来年から体育の日は10月の第2月曜日だって...。調整どころか始めっから
        間違いだらけの仮予定表でした。やれやれ。


11月15日(月) J先生に春は来るのか?

        病休でお休みのO先生の替わりに、先週の水曜日から新しい講師の先生が来ている。女性の
        Y先生(推定20代後半)。いきなり着任してすぐ授業というのもなかなか大変だと思う。何校か
        講師の経験があるらしいが、それでも学校によってやり方や内容も違うだろうし、何より生徒の実状は
        千差万別、慣れるまでが大変だと思う。さてそのY先生だが、国語科の講師というわけだから、当然
        普段いる部屋は国語科準備室(国語科教科室)になる。ところがこの国語科準備室、今のところ、
        常に常駐しているのがJ先生だけなのだ。他の国語科の先生方はそれぞれ各分掌の部屋に机を
        持っており(例えばS先生は進路指導室、A先生は司書室、もちろん私は情報処理室(笑))
        国語科にはほとんどいないのだ。

        そんなわけで講師のY先生とJ先生だけが、いつも国語科準備室でふたりっきりになるというわけ。
        そのJ先生は独身30代後半...そう、ある意味とてもラッキーな条件なのだ。A先生言うところの
        「J先生にも春が来たわね。ここを逃すと一生独身よ!ラストチャンスよ!」というわけなのだ。
        ところがJ先生とてもシャイだから、ふたりっきりになってもほとんど話をしていないらしい。教える
        学年も一緒なのだから共通の話題というか、いろいろ親身になって面倒を見ても良いはずなのだが、
        如何せん会話があまりないらしい。しまいには緊張感が高まってJ先生が席を外すこともたびたび
        らしい。まずいなぁ、何とか頑張って下さいよ、J先生。この日記も最近ネタに困っているんだから(笑)

銀杏の木 銀杏の木2
別に意味はないんだけど、私が停めている
学校の駐車場のすぐ脇に生えている銀杏の木
昼バージョンと夜バージョン


11月16日(火) ホームページ作り授業いよいよ始動!

        と言うわけでとうとうホームページ作りの授業が実践に入ってきた。今まではコンテンツの内容を考え
        プリントに書き込むだけという、全然ホームページとは思えないような地道な、と言うより何をやって
        いるのだか、あまり実感のない作業続きだった。ところがとうとう本日から実際にコンピューターを
        使って作業に入ったのだ。このクラスは情報コースのクラスなのでワープロぐらいはお手の物...
        スムーズに進むと思いきや、個人のスキルというか能力が格段に差があったのだ。始めに
        コンピューターを立ち上げた後、ホームページソフトを起動させたのだが、その時「じゃあ、
        見づらいからウィンドウを最大化して。」と何気なく言ったのだが、それがわからないやつが何人か
        いたのだ!わかっているやつは屁とも思わずやっているが、数人は「先生、大きくするのって
        どうやるの?」「最大化ボタン押せ。」「最大化ボタンって?」という始末。このクラスは2年次に
        コンピューターの授業週2時間、3年次の現在では週4時間もやっている...それなのに最大化が
        できないとは...よく聞いてみると実は2年生の時からわからなくなっていたらしい。要するに
        2年次からコンピューターの授業で落ちこぼれていたのだ!うーん、こういう展開は予想だにして
        いなかった。おかげで進むペースがガクンと落ちてしまった。

        さてまず本日は、簡易作成できるウィザードに沿って壁紙やアイコンボタン、タイトルやサブページの
        名前を打って保存するだけで精一杯。予定の約2/3。それでもただ「はい」や「OK」や「次へ」
        だけをクリックするだけで簡単に出来てしまうホームページ。生徒はとても喜んでいた。
        ホームページが身近に感じられた様子。できる子などは早速デザインや背景色、イラストなどに
        こだわり、手直ししたい感じ。こんなに簡単に30分でホームページができる世の中になったん
        ですね(しみじみ)それに引き替え私なんか、このホームページはしこしこタグ打ち(笑)
        というわけで正味50分じゃ全然進まず。次回からいよいよコンテンツの打ち込みだ!生徒の個性と
        センスに期待!


11月17日(水) 遠隔操作

        今年は英語科のT先生の副担任をしているわけだが、実は二人はメール仲間でもある。T先生も
        ボケボーでメールをやり始めた当初は、嬉しくて意味もないことを送りあって(笑)お互いやりとり
        していたが、そのうち実用的に使うようになってきた。私が朝起きたら必ず学校へ行く前に
        メールチェックをすると聞いてから、時々業務連絡が入るようになってきた。

         「本日休暇のためクラスよろしくお願いします。なお日直はSさんです。連絡事項その1、PTAの
          出席票回収。その2、Y君に昼休み、体育科のG先生のところまで行くように連絡。その3、
          最近掃除をちゃんとやらない男子が多い。注意する。以上。」

         「急用のため2時間遅刻しますので、朝のSHRお願いします。連絡1、頭髪服装検査の再検査の者
          昼休み学年室へ。2、授業変更、本日2時間目の倫理が世界史に変更。以上。」

        ほとんど遠隔操作状態です(笑)でもいちいち朝から、自宅まで電話して迷惑かけるよりもよっぽど
        いい。だんだんこういう時代になってきたのですね。そのうち生徒からの欠席連絡や親からの相談も
        全部メールでくるようになるのかなぁ。電話による連絡網なんてなくなってメール網になったりして。
        世の中変わりましたね。ところでT先生、学校に着いたら連絡する内容、すっかり忘れてしまいました。
        ごめんなさい(笑)


11月18日(木) 人集まるところに噂あり

        今日の6時間目に漢字の書き取り練習をやらせている時、女子たちが書取をしながら噂話を
        していた。

         「S先生っていい人だよね。」
         「そう?だって太ってんじゃん。」
         「えー、やせたよー。前はもっと太ってたけど今は普通だよ。」
         「だからってあのサスペンダーはないでしょ。」
         「えー、あれが渋いんだよ。」

        聞くともなく聞いていて何となく笑ってしまった。先生の品定めというところか。かたや外見より
        性格重視もいれば、やっぱり服装や外見から入る子もいる。また、ある先生のたった一言ですべての
        評価を決めているやつもいるので先生も大変である。

         「この間さぁ、Tのやつさぁ、『×××』って言ったんだよ!信じられるぅ?」
         「えーっ、マジー?信じらんないー、サイテー!超嫌いになった!」

        この年頃の生徒は、ある一部分だけを取り上げて好き嫌いを決めてしまうので、非常に困った
        ことになる。私なんかもたまに本気で怒って注意すると「O−TEACHERに裏切られた。」とか
        言われてしまった(笑)
        まっ、こういうことってよくある話で、いまさらって気もするけど...。

         「ねぇねぇ、O−TEACHER、知ってる?A先生って、あの年まで独身なのは××だかららしい
          のよ。やーねー。」
         「.....」

        こうなると生徒の方がよっぽど罪がない。


11月19日(金) 芸術鑑賞の意味

        今日は芸術鑑賞会でした。これはなかなか生の芸術に触れる機会のない生徒に、本物を見せようと
        いう趣旨で毎年行われているもので、古典芸能や劇、音楽などをホールなどで見る行事なのです。
        今年は音楽系ということでしたが、一部では有名な「わらび座」という劇団の中の、音楽班みたいな
        グループの公演でした。劇団出身らしく、合間の劇や太鼓・三味線を入れた音楽でした。まぁまぁ
        かなという感じ。

芸術鑑賞会

        しかしこの芸術鑑賞会というのも年々難しくなってきている。ひとつは予算のこと。だいたい劇団でも
        落語家でも、呼ぶとなるとけっこうお金がかかる。で、単独で呼ぶと予算的にきついので、市内の
        7校で共同で呼び、日をわけて連続公演してもらい、それで何とかやりくりしている。生徒の数が
        激減している昨今、ますます開催自体が難しくなってきている。
        そしてもうひとつは生徒の側の問題。年々聞くマナーが悪くなっている。それでも今年なぞは
        いい方だが、シーンとしたお芝居など、じっとして見ていられない奴も多いのだ。まぁ、普段の
        授業からしてそうなのだけれども(笑)きちんと聞くということが出来ないのだ。よく喋るし、
        お菓子は喰ってるし、しまいには携帯まで鳴る始末。ここのところ口を酸っぱくして言っているから
        うちの学校の場合は大過ないが、他の学校ではけっこう大変で、こんなにちゃんと聞けないなら
        辞めようというところもあるみたい。特に携帯とかはひどいらしく授業中に鳴り出すこともたまに
        ある。でもこれって高校生だけじゃなくて、電車の中でもけっこう平気で大声で話している大人も
        多い。マナーの悪化は社会全体の傾向か...。生徒にも芸術鑑賞会を見せる前にマナー講座が
        必要かも。

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