失意の2学期 9月編 前半


9月16日(水) 台風一過は、一家じゃないと知ったのは教師になってから

どうして台風がくると血が騒ぐのだろう。みなさんはそうじゃありませんでしたか?
小さい頃、だめと言われても台風の中外へ出て、傘がおちょこになったり、
長靴の中がぐちょぐちょになったり、はたまた色んな看板とかが飛んできたり...
台風というのは、子供心にわくわくさせるところがある。なぜか夜中起きていて
1時間ごとにしか変わらない台風情報を眺めていた記憶がある。

さて今回の台風がちょうど関東を直撃した。それもちょうど登校時間。
我が高校の校則には、台風時の対応が明記されている。まずNHKの6時の
ニュースで警報が2つ以上出ていたとき(例えば暴風大雨警報とか)または
生徒がよく使うJRと私鉄が止まっていたとき。その場合は...休校...
じゃなくて自宅待機なのだ。どうして?普通これぐらいすごければ
学校どころじゃないと思うのだが...そして10時になっても警報が解除されなければ
やっと休校。もし解除されていたら午後から登校せよ、となっている。

しかし現実問題10時に警報が解除されていても、交通機関が乱れていて、
しかもその日が5時間目までしかなかったら、ふつーこねぇーよなぁ。
そしてその休校かどうかの判断というのが、これは実は校長が決めることになっている。
昔いた学校では、決断力が鈍いというか、頑固な校長がいて、近隣全ての学校が
休校になっているのに無理矢理休校にしないで、えらい目にあったことがある。
暴風雨の中、危険な目に遭いながら生徒は登校していたのだ。
またある校長の時は、午後台風が接近し、生徒の安全のために午後授業をうち切って
早めに下校させた方がいいのに、非常に体裁を気にしていて、近隣の学校に絶えず連絡を取り、
他の学校が休校になったのを確認してから臨時休校にし、一番暴風雨の中で生徒を
下校させたこともあった。

さて今日だが、当然校則では休校なのだが、とりあえず行ってみることにした。
だって生徒のいない学校は好きなんだもーん!そして着いてみると、先生方も
半分ぐらいしか来ていない。事務室では休校かどうかの電話がひっきりなしにかかっている。
一応連絡網というものもあるが、これは意外ときちんと伝わらない。
何人かの先生と話してみると「さっき校長は休校って言っていたよ。多分、朝の
打ち合わせの時に言うんじゃない。」ひっひっひっ。わーい休校だー!さっき天気予報では
10時には台風が抜けて青空が広がると言っていたから、とっとと帰ってどこへ遊びに行こうか..
と、すっかり有頂天になっていたのだった。

そうこうして遊びの計画を立てているうちに朝の打ち合わせが始まった。
校長「先生方、この台風の中ご苦労様です。このような天候ですので本日は休校と
   します。」(わーい)
  「生徒へ休校の連絡を徹底して下さい。」(担任の先生頑張ってねー)
  「なお本日の職員の勤務ですが、」(さあ早く帰って遊ぶぞー)
  「せっかく来ていただいたのですから、最低午前中は勤務していって下さい。
   なお、台風でこられなかった先生方は、特別休暇にしたいと思います。」

   来るんじゃなかった...


台風みたいな雲


9月11日(金) 仮装は担任をうつす鏡?

暑さも和らぎ秋空の晴天が続く本日、体育祭がありました。運動会と
聞くと懐かしいむきもありますが、高校ともなると体育祭と、いかにも
スポーツの祭典の響き...しかし現実はどうかというとなかなかもって大変。
とかく行事というやつは授業と違い、その下準備が大変なのです。(いや、
別に授業が何の準備もしていないと言うわけでもないですが...)
昔ならいざ知らず今時の高校生は、「かったるい」「一生懸命やるなんて恥ずかしい」
「走るなんて疲れるだけ」「授業なら寝てられるのに」等々、はなっから
やる気のないやつが結構いるのです。昔は一喝して動かせれば良かったのですが、
そんなことでは今時の高校生、「めんどくさいからさーぽろっ」ってなわけで
学校にも来ない、いわゆる行事不参加組が増えているのです。先生たちが
一生懸命段取り、お膳立てをして参加していただく体育祭なわけです。

もちろん生徒が嫌がるような種目は極力避け、(例えば徒競走の部類など)
ラムネ飲み競争、パン喰い競争など実利をともなう競技を取り入れ、もちろん
恒例の棒倒し、綱引き、騎馬戦、クラス対抗リレーなどは意外な盛り上がりでした。
しかし最近の小学校では負けた子が可哀想だとか言うことで、徒競走では1着、2着
などをなくしたり、玉入れの数を数えないところもあるそうだ。いやはや。
小さいときからきちんと、人生には勝ち負けがあることを教えるのも大切ではないだろうか。

そんな中で今年から3年生による担任仮装レースが加わった。前任校では何年か
やっていて、私も仮装されいい見せ物になったのだが、そこはそれお祭りごとの大好きな
私であるからけっこう喜んでやっていたのだが、その高校でもいつの間にかやらなくなった。
それは先生たちの反対が多いからである。私なんかはこういうノリは好きだから
頼まれなくったってやるのだが(オイオイ)どうも嫌がる人も多い。それは何故かというと
プライドが許さないのだ。ふだんから生徒にオイコラ的に威張っている先生は
ここぞとばかりに仕返しを受けるのだ。ある口うるさい男の先生は、思いっきり
女装させられ、まるで白昼のオカマバーもどきにされていた。また日頃何かと嫌われていた
先生は裸の王様の格好(と言っても上半身裸で提灯ブルマーに王冠といういでたち)に
されていた。そんな先生たちの惨めな仮装を見て、生徒は日頃の憂さを晴らすのだ。

でもこれって結構健全ではないかと思うのだ。生徒もたまには先生を笑いたい。
先生も笑われてもいいのだ。ただの上下関係ではなくて無礼講的なハレの日があっても
いい気がする。ところがこれすら嫌だという先生も多い。威厳が保てないというか
面子にこだわる人は結構いる。そのため先生の仮装という目玉競技はなくなりつつあるのだ。

そんな中うちの学校は、生徒の楽しみを増やそうということで敢えてやったのだ。
女装あり、流行ものあり、担任のキャラクターを考えての仮装ありと
素晴らしい盛り上がりだった。この時にこそ日頃担任と生徒の人間関係が
如実にわかるのだ。どのクラスも確かに笑いを誘うものだったが、すべてに生徒の
愛が感じられた。生徒が担任を好きなんだな、と思うような仮装ばかりであった。
観客も惜しみない拍手を送っていた。こういう不思議な一体感が担任の喜びだと思う。
とても楽しい一瞬だった。

でも数年もするとやはり教員側から反対意見が出され、仮装も中止になるのだろうか。
ぜひ続けてほしいものである。生徒がどう思っているかがはっきりわかる
バロメーターなのだから。(ちなみに私は昔、カールルイス・おぼっちゃま君・
猿などをやりました。)


綱引き



9月10日(木) ポスター作りはやっぱりセンスか

暇を見つけて日記を更新しているので、色々な出来事が前後しているのだが、
今回はポスター制作の話。実は夏休み中にやった体験入学の準備の時、今から
考えると余計なことをしてしまったと思うのだが、体験入学のPRにポスターを
作ったらどうかと思いついた。そこはそれ自称「パソコンの詐欺師」いやいや
「パソコンの魔術師」の異名をとる私だから、くそ忙しいのにやれデジカメやら
ペイントソフトを使って試しに作ってしまった。
こんなのです。

夏用ポスター簡単版

まあ、見る人が見ればわかるのだが、一太郎とそれについているイラストを
ただくっつけただけのものだ。自分的には全然納得してないし、贔屓目に見ても
これがポスター?と首を傾げたくなる代物だ。当然お遊びでただ単に
カラープリンターを試したかっただけなのである。

ところが意外に評価が高く(なぜ?)これを中学校に送ったらどうかという話になってしまった。
いつもそうなのだが、私は出来心でやったことで仕事を増やしてしまうのだ。
でも自分では納得ができなかったので、前回のB5版のただのイラストや文字装飾だけでなく
A3のデジカメ画像入りのでかいやつを作ってしまったのだ。
しかしこれがまた大変だった。雑誌の付録のイラストバーナーに字を載せる作業
いままでまともにペイント関係のソフトを使ったことがないので四苦八苦。
デジカメの画像も大きさの変え方が(リサイズっていうの?)わからないわ、
圧縮しなかったものですごーい容量になるわで、5時間以上もかかってしまった。
でもとりあえずは何とか完成し、印刷しようとしたが...げっげっ
私が使っていたコンピューターは、A4サイズのプリンターだったのだ!
こんなでかいサイズを印刷するには、別室のコンピューター室に行かなければならない。
コンピューター室

ところがこのポスターのデータ、でかすぎてフロッピーに収まらない。きょうび
公立高校にMOなんてそうそうない。せっかく作ったのに...と
嘆いているとお仲間の先生に「データをフロッピーサイズに分割する
フリーソフトがある。」と言われ、雑誌の付録CD−ROMを探し回って
何とかフロッピー3枚分に分割して、移動成功!(ふーっ、何か電脳補完報告みたいになってきたなぁ)
そしてやっと印刷。
夏用ポスター

ところがここでまた問題発生!あまりに色数やサイズを考えないものだから
10枚も打ち出すと青いインクだけが切れてしまうのだ!ポスターは全部で
86枚、カラーインクは1本2000円ぐらい。こんなことならカラーコピーの方が安い..
しぶる事務方を口説いて何とかインクも補充したというわけでありました。
いやー余計なことはしない方がいいねぇ、仕事を自分で作るなんて事は。

ちなみにこれは秋の体験入学用のポスターです。経験を生かし、短時間で
バランスの良い色数で、しかもサイズも小さくして...何事も経験だ。
秋用ポスター


9月8日(火) 中学校は大変だなぁ

中学校の先生と高校の先生の違いは何か? ずばり「忙しさ」なのだ!
別に高校の先生が暇なわけではない。中学校の先生が忙しすぎるのだ。

中学校というのは、地域の子供たちが入ってくるから(もちろん公立の話)
できない子からすごーくできる子まで幅広くいる。だから授業も大変。
あんまり難しいとわからない子はぐれちゃうし、できる子は先生を馬鹿にして
塾の先生の方が偉いと思っちゃう。裕福な家庭の子もいれば生活苦でPTAの
お金が払えない子もいる。悪いことをする子もいれば不登校(いわゆる登校拒否)の
子もいる。
だから授業以外にも、部活動はもちろん補習、家庭訪問、行事の準備はたまた
PTAやら警察やら、といろいろなところへ行かなきゃならなくなる。
私の友達の中学校の先生は、朝6:30から部活をやり、授業そして昼休みに
補習をやりまた授業。放課後はまた部活動をやり、夕方から不登校の子の家へ
家庭訪問。そして学校へ戻りいじめについての先生たちの会議。やっと明日の授業の
プリントを作っていたら、生徒が万引きをしたので警察へ呼び出される。その子を
家へ送り届けて時計を見たらもう10時...なんと16時間労働!もちろん
残業手当なんてつくわけない。中学校の先生は本当に大変だ。

高校の先生も似たようなものだけど、ここまではひどくないと思う。
(大きな声では言えませんが、うちの学校は似たようなもんですが...)
だからとにかく忙しくてなかなか捕まらないのだ。(やっと本題(^^;))

こちらから中学校訪問でお会いしたいとアポを取ってもなかなかつかまらない。
『そんなこちとらいそがしくてわざわざ会ってられるかい!』というのが
本音のところもある。それでも仕事なのでのこのこ出かけていきましたよ。

「すいません、○○高校から来たO−TEACHERですが、中学校訪問に参りました。
3学年主任の先生か、進路指導主任の先生にお会いしたいのですが」とかなんとか
言って無理矢理お伺いすることもあるのだ。
そして学校のパンフレットを持ってあーだこーだPRしまくるのである。
向こうも忙しいからあまり長居はできないので、ポイントを押さえて説明する。

「本校も創立15年を迎え(ただ長いだけだけどね...)」
「おかげさまでおたくの中学校様からは毎年優秀な生徒さんを
 お送りいただいて(みんな赤点ばっかりだぞ...)」
「本校の特色はこのようなすばらしい学習環境で(田舎で何もないから
 寄り道するところもないよ...)」
「またこのような充実した設備が整っており(使わなきゃ意味が
 ないけど...)」

とまあ中学生を送ってもらうためにセールスに励むのであった。いやサラリーマンの
苦労がわかりますよ。でもサラリーマンと違っていくらその中学校からたくさん
送ってもらっても給料は上がらない。くそー歩合制にしろーっ!

ところでなんで中学校の先生ってジャージの人が多いんだろう?

           


SCHOOL01


9月7日(月) 先生、営業中!

9月も2週目となるともちろん授業が始まってます。ところが先生って
ただ授業をやっていりゃあいいというわけでもないんです。実はうちの
学校、小学校の低学年並の半日授業を1週間もやっているのです。皆さ
んも覚えているかと思いますが、小学生の低学年は、休み明けしばらく
は2、3時間で帰れましたよねぇー。高学年になると6時間しっかりや
ってうらやましかったものです。でも何とうちの高校1週間も半日授業
なんです!なぜかって?それは面談週間なんです。夏休み明け、生活の
乱れた生徒はいないか、悩みを持っている生徒はいないか、進路を決め
かねている生徒はいないか、ということを個人面談して聞く期間なので
す。でも実のところ、4月当初にクラス替えして面談をし、6月には3
者面談をし、実際聞くことなんてほとんどないんです。単なる暑くて授
業をやりたくない生徒と教師の利害が一致した、ならし期間なのです。
去年担任やっていたときなんかは、超いい加減で、他の担任は一人30
分ずつきちんとスケジュールを組んでやっていましたが、そこは私、い
い加減の権化ですから、ひとり5分で、二日で終わらせてしまい、あと
の日の午後は、ゆったりと過ごしてました。(すいません!)

ところが、今年副担任なんですけど、思わぬ仕事がありました。それは
中学校訪問というやつです。担任の先生が面談をしているのに、副担任
がのほほーんと遊ばせるわけにはいかない!お前たち、中学校へ行って
こーい!という校長鶴の一声で、中学校訪問となったわけです。この中
学校訪問とは一体何か?それはこの少子化の折り、生徒の数がめちゃめ
ちゃ減っている。公立高校といえども、その危機感たるや結構すごい。
私立高校の中には生徒が集まらず、つぶれかかっているところも意外と
多い。公立高校も募集定員が埋まらないと、2次募集と言って、追加の
入試をやらなきゃならなくなる。そうすると校長も査定に響くし、私ら
も春休みまで入試をやらなきゃならない。だもんで生徒集めのために中
学校へ生徒を送って下さいと頼みに行くわけです。まさに営業活動!

もう公立高校の教師も(もちろん公務員ですが)外回りして、受注...
じゃないや、受験のお願いにまわるわけです。とほほ先生もつらいよ。
その中学校訪問のトホホ話は、次回で。

SCHOOL02


9月2日(水) かっ、かっ、課題テストー!

さて始業式の後いきなり授業かというと、そうは問屋がおろさない。
みなさんも経験があると思うが、小学校(特に低学年)の時は、半日
で学校が終わったはずである。あれはまた少しずつ学校生活に慣らそ
うという、生徒のためを思ったありがたーい制度である。ところがこ
の制度は、そのまま先生にも当てはまる。先生も慣らせてほしいので
ある。ところが高校となると訳もなく半日で生徒を帰らすわけにも行
かない。そこで何があるかというと課題テストなのだー!学校によっ
ては色々呼ばれていたり、中には業者テストなんてやったりする。そ
の課題テストで、夏休み中の学習の成果・宿題の確認などが行われる
のだ。本校もこの課題テストを、国語・数学・英語と3科目やってい
る。生徒は夏休みボケした頭にいきなりテストとはちとかわいそう。
でもいきなり6時間授業をやるより、3時間で帰れるからまぁいいか
と半分納得済み。先生たちも学校に体を慣らす上で、この午後のリラ
ックスタイムは嬉しい。本当に思うのだが、生徒のいない先生たちは
生き生きしている。しかし喜んではいられない。私は国語の先生なの
で採点があるのだ。それも明日から授業だからすぐやらなければいけ
ない。他教科の先生はのんびりと教材研究をやっているが、国数英の
先生たちは、他の先生の福利厚生のために、必死で採点なのだ。何か
割に合わない。


カレンダー


9月1日(火) 休み明けはお互いぼけぼけ


とうとう始まってしまった。お仕事とはいえ、悲しい気持ちである。
さて2学期の一番はじめというと、始業式だが、この始業式というや
つ、意外とくせ者、なかなか侮れない。まずお約束のように校歌を歌
って...司会「校長先生のお話。礼っ。」あれー?校歌は?って思
っているうちに校長先生のお話が始まった。(実は校歌を歌うという
指示を忘れていたのだ!)さて校長の話だが、いつもながら今ひとつ
まとまりに欠けている。なぜそうなんだろうか。もしかして校長昇進
試験の時に、つまらない話筆記試験でもあるのだろうか。今まで何人
かの校長に巡り会ったが、話のうまい校長というのは滅多にいない。
当然2学期当初は、2学期へ向けての心構えと、9月1日にちなんで
防災の話である。この手の話は、生徒も小学校の時から多分10回近
く聞かされているので、みんなぼーっとして聞いている。しかしもっ
とぼーっとしているのは教員である。みんな目がうつろだ。1ヶ月半
という、サラリーマンから怒りを買うようなバカンスをエンジョイし
すぎて、どうもみんなボケボケ状態なのである。生徒も夏休み中の夜
更かし癖が抜けず、あくび連発、おまけに寝不足による貧血者多数。
しかし校長の話はまだまだ続くのであった。


あくび



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