<Bienvenue a Tokyo!> 第1弾
東京へようこそ!
2005年4月、来日中のパリ管弦楽団の首席ホルン奏者、アンドレ・カザレさんにインタビューしました。 カザレさんとは、1995年夏の「'95 世界ホルンフェスティバル in Yamagata」でお目にかかって以来10年のお付き合い。彼は”コンセール・パリ・トーキョウ”の名付け親であり、「コンサート・シリーズ PARIS-TOKYO」の音楽顧問でもあります。 【写真は、「イナムラ・ショウゾウ」のキャラメル風味のパウンドケーキの箱を空け、香りを楽しむカザレさん。】 |
野瀬百合子(以下Y): | 私が2003年秋にパリに行ってお目にかかって以来、2年ぶりの再会ですね。でも、私は、今年3月のパリ国立高等音楽院院長のアラン・ポアリエ氏の講演(於:芸大)の際に、カザレさんのクラスの様子をビデオで拝見しましたので、最近お目にかかってような気がいたします。カザレさんはビデオの中ではピアノを弾いていらっしゃいましたが、あのビデオはご覧になりましたか? |
アンドレ・カザレ(以下A): | それは、パリ国立高等音楽院を含むシテ・ドゥ・ラ・ミュジックの紹介ビデオですね。私は残念ながら、そのビデオを見たことはありません。 |
Y: | 映像で拝見し、とても懐かしく思いまして、講演終了後、ポアリエ氏に「私はカザレさんの友人です。」と、お話ししました。公演の後のコンサートも素晴らしかったですよ。トランペットのアントワーヌ・キュレ氏がコンチェルトを演奏されました。 |
A: | 彼は何のコンチェルトを演奏したのですか?ポアリエさんとの来日のお話は、最初、私のところに来たんですが、パリ管弦楽団の仕事が決まっていて、無理でした。 |
Y: | それは残念。。。キュレさんはドゥファイエ(Defaye)のコンチェルトを芸大オケをバックに演奏されました。 |
Y: | 私は、ドゥファイエのアルファ(Alpha)をカザレさんの芸大でのマスタークラスの時に聴き、素晴らしい曲だと思いましたが、トランペットコンチェルトも良い曲でした。特にオケの管楽器との対話の部分で、楽器の特徴が生きていることに感心しました。 |
A: | 彼の作品は良いですね。彼は映画の音楽も作っているんですよ。 |
Y: | 武満みたいですね。 |
A: | 映画といえば、ブーレーズの軌跡を辿る映画が作られています。その中で私がインタビューされているんですよ。30分位話しましたが、実際に使われるのは2分位でしょうけれど(笑)。インタビューされた音楽家は3人。エレーヌ・グリモーとピエール=ロラン・エマールと私です。 |
Y: | それはスゴい!その映画、日本でも公開されると良いですが。ところで、ピエール=ロラン・エマール氏は、今年の末に読響と共演されます。私は彼の演奏を聴いたことがないのですが、素晴らしいピアニストだそうですね? |
A: | そうです!彼は本当に素晴らしい。ところで、読響との共演は何のコンチェルトですか? |
Y: | 確か、ベートーヴェンの4番だと思います。 (注:ベートーヴェンの5番のコンサートも有ります。公演情報は文末に。) |
A: | 彼のベートーヴェンの4番、これは素晴らしいですよ!或る時、私が車の中でラジオをつけたら、ベートーヴェンの4番(ピアノコンチェルト)をやっていました。あまりに上手いので、誰が弾いているか知りたくなり、最後まで聴きました。そういうことは滅多にないことなんですが。そうしたら、弾いていたのはエマールでした。私はとても感動したので、即、彼に電話して感想を伝えました。彼のベートーヴェンの4番は、是非聴いて下さい。 |
Y: | とても楽しみです。2ヶ月ほど前、パリ国立高等音楽院でフルートを学んだ台湾人の友人に会いましたが、彼女はエマール氏に室内楽を学んだと言っていました。 |
A: | 彼の室内楽も勿論素晴らしいですよ。 |
Y: | カザレさんもエマール氏もそうですが、フランスの演奏家の方々は、パリ国立高等音楽院の先生をされながら、演奏活動をされている方が多いですね。カザレさんは、パリ管弦楽団の首席ホルン奏者であると同時に、パリ国立高等音楽院の教授もされていますね。パリで、とても忙しい生活をしていらっしゃることは良く存じていますが、パリ以外の場所に招かれる場合、ソリストとしての割合と先生としての割合は、どんな感じなのでしょうか? |
A: | それは、その時によって違います。或る時は演奏家として招かれ、それ以外の時は演奏と講習の為に招かれます。時には、教えるだけの場合もありますが。 |
Y: | そうですか。パリ管日本公演から帰国された後の演奏活動についてお聞かせください。 |
A: | パリ管の日本公演の後、パリに戻りますが、4月末にロッシーニの木管四重奏のコンサートがあります。5月初めには10日ほど北京に行き、国立中央音楽院で学生の指導をします。 |
Y: | 次の録音のご予定は? |
A: | 2005年の終わりに室内楽のCDを出します。それは、Louise Farrenceに捧げられたCDで、演奏者は、Brigittte Engrrer(pf), Francois Leleu(ob), Romain Guyot(cl), Philippe Bernold(fl),そして、イザイ弦楽四重奏団のメンバー等です。 |
Y: | 次に日本にいらっしゃるのは、いつですか? |
A: | 2006年夏にはパリ管弦楽団の金管五重奏で、2007年にはパリ管弦楽団の演奏旅行で来日します。次回のパリ管弦楽団日本公演の指揮者は、Christophe Eishenbachです。 |
Y: | パリ以外の場所でのご活動も多いので、ホテルに泊まる機会は多いことと思います。私は、ホテル関係の雑誌に1年半ほどの間音楽コラムを連載しておりました関係で、音楽家の方々のホテルに対するお考えに大変興味を持っております。次に、ホテルについての質問をさせて下さい。 |
Y: | 年に何日位ホテルにお泊まりですか? |
A: | これも、その年によって違いますが、おそらく、60日から120日でしょう。 |
Y: | ホテルに、どのような要素をお望みですか? 静かさ、心地よさ等の要素があると思いますが。 |
A: | 私は勿論、静けさ、心地よさ、そして、デラックスさといった要素を望みますが、最も大きな要素の一つは、地理的な位置です。そのホテルが歴史的な区域にあるとか、良い眺めであるとか、近くに良いレストランが有りショッピングに便利、そういったことも私には大切な事です。 |
Y: | 今までに宿泊されたホテルの中で、最も気に入っておられるホテルの名前を挙げていただけますか? |
A: | とても素晴らしい思い出となっているのは、ミュンヘンのLe Kempinski Hotel
Vier Jahreszeiten 、バリ島のMELIA BALI、そして、アルプスなどの眺望の美しい山のホテルです。 (*お気に入りのホテルのサイトは文末に。) |
Y: | 日本のホテルの特徴は何でしょうか?< |
A: | モダンで、清潔で、サーヴィスの水準が高い事だと思います。 |
Y: | ありがとうございます。ところで、今年の夏休みにご旅行の計画はお有りですか? |
A: | 殆ど音楽漬けの毎日になる筈です。。。でも、もし少しでも時間が取れたら、パートナーのヴァレリーと旅行をしたいと思います。昨年はコルシカ島の北部に行きましたが、そこは、魔法にかけられたように素敵な場所でしたよ。 |
Y: | 日本には数多くおいでで、歌舞伎もお好きと聞いておりますが、日本文化のどういった部分にご興味を持たれていますか? |
A: | 私は歌舞伎が大好きです。私は伝統的音楽の切り詰められた簡素さに心を惹かれます。美術・文学の方面では、広重、川端、三島が大好きです。日本人である武満の音楽は、他に類を見ない繊細さを持っていると思っています。 |
Y: | 東京での滞在中はお忙しいと思いますが、歌舞伎にいらっしゃる時間はあるのですか? |
A: | 歌舞伎は一幕だけでも観ることが出来るので、忙しい演奏旅行の間でも行く事が出来ますよ。 |
Y: | 美味しいものを食べるのは勿論、お料理をされるのもお好きと、うかがっておりますが、日本料理はお好きですか? |
A: | もちろん好きです、特に好きなのは、寿司、刺身、鉄板焼きです。 |
Y: | ありがとうございました。 |
この後行った鍋料理の店で、カザレさんは、サーヴィスする仲居さんの手元をじっと見ながら、ふむふむと頷いておられました。未だ彼の手料理には遭遇していませんが、食事中の会話から、料理に対する並々ならぬ情熱が伝わってきます。私も食いしん坊なので、彼との会話はとても楽しいのです。「次回は合羽橋に行ってご覧なさい。」と、料理道具街の場所を教えました。
<ピエール=ロラン・エマールと読響の共演日程>
読売日響 第472回名曲シリーズ
12月9日(金)午後7時開演 サントリーホール(赤坂)
指揮:カルロス・カルマー
ピアノ:ピエール=ロラン・エマール
■ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58
■シューベルト: 交響曲第8番 ハ長調 D.944〈ザ・グレート〉
読売日響 第122回芸劇名曲シリーズ
12月8日(木) 午後7時開演 東京芸術劇場(池袋)
指揮:カルロス・カルマー
ピアノ:ピエール=ロラン・エマール
■ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第5番 〈皇帝〉変ホ長調 op.73
■シューベルト: 交響曲第8番 ハ長調 D.944〈ザ・グレート〉
読売日響 第72回芸劇マチネシリーズ
12月10日(土) 午後2時開演 東京芸術劇場(池袋)
指揮:カルロス・カルマー
ピアノ:ピエール=ロラン・エマール
■ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58
■シューベルト: 交響曲第8番 ハ長調 D.944〈ザ・グレート〉
<カザレさんお気に入りのホテルのサイト>
Le Kempinski Hotel Vier Jahreszeiten のサイト
↓
http://www.kempinski-vierjahreszeiten.de/en/hotel/index.htm?folding=1
バリ島のMELIA BALI のサイト
↓
http://www.99bali.com/hotels/meliabalisol/index.html