ときど記
編みながら、あれこれ思ったこと。 季節感と生活感。 2008年2月

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24日(日)
 編みものの繁忙期が一段落して、何をしているかというと本を少し読んでいます。


 理系・文系で分類すれば、100%文系!!一点の曇りもなく文系の私。文字を読むのは大好きです。

 新聞もよく読みますし、書評欄のチェックが好きで、たいていの流行っている小説本のタイトルは知っているつもりですが、なかなか実際に読んでいません。


 編みもの中は、音楽は聴けても本は読めない、ということもありますが、実は、”物語に入り込み過ぎる”という弱点があるのです。

 感動して、泣いて暮らしたり、反省させられたりするものは要注意。スリルの有り過ぎるモノも、怖くてダメです。

 映画やドラマも同じなんですが、エンターテイメントだ、フィクションだ、と割り切って見られないんですよ。

 真剣に、まるで我が身に起きていることのように、ドップリと話に浸ってしまうので、疲れます。

 適度に面白く、適度につまらないモノを・・・・と、一冊選ぶのに慎重になり、一つ読んではしばらく間を置き・・・・。我ながら面倒くさい性分です。

 高校時代には、現代文の試験で問題文に感動し、解答に手間取ることが何度もありました。
 涙で設問が読めない、そんな受験生でした・・・・。



 最近では「明日の記憶(荻原浩)」を読みました。
 しばらくは、普段通りの”ど忘れ”も”若年性アルツハイマーか!?”と怖くなったりしてました。

 今は「クライマーズハイ(横山秀夫)」に取りかかっています。
 これは、ハマリそう・・・・恐る恐る読み進めています。

 微妙にラインナップが古いのはご愛敬、ということで・・・・図書館派なんです。
 ハイリスクハイリターンの小説を、身銭を切って買う勇気のない、本当に嫌になるくらいの小心者です。





19日(火)
 線路は続くよ〜〜どこまでも〜〜
 生きているモノの時間は、途切れることなく流れますね。

 少し涙もろくなっては行きますが、昨日が今日になり明日になり、ついこの前だと思っていたことが10年前になり20年前になり、でも自分は何一つ成長しない気がしつつ・・・・頑張っております。



 ピアノのレッスンに行き、先生に「生きているうちに弾きたい曲がまだまだある、そう思うと急に練習に熱が入ります」と言うと、「それは私も同じよ〜〜ていうか、私の方が(年上だから)タイムリミット近いんだから、そんなこと言わないでよ(苦笑)」とのこと。

 さらに先生曰く、「ピアノを弾くのには体力も必要だから、40代くらいが一番脂の乗る頃よ。まだまだあなたは伸び盛り!羨ましいくらいだわ〜〜」

 生徒をやる気にさせるサービストークかもしれませんが、「そうか、まだ自分にも伸び代があるのか」と思うと、気持ちもシャンとしますよね。




 ピンポン本業の編みものの方も、そろそろ今シーズンの予定も終わりが見えてきました。

 今年も、たくさんのご注文をいただき、大変嬉しく思うと同時に、やっと一息つける・・・と正直安堵もしております。

 そして毎年、この時期には「来シーズンこそは、作品を編み溜めて、定番品のご注文に素早く対応したいし、あわよくば、実験的なモノも作って、作品展的なこともしてみたい・・・」と思うのです。

 中学生が定期テストの前夜に焦りつつ、「次のテストこそは、もっと前から準備して、余裕で臨むぞ!」と誓うのと、何ら成長していないのですが・・・・・。





 
12日(火)
 野球のコーチの急逝のショックがあって、「このことに触れずに、明るく”ときど記”なんて書けない」と思って、前回の記事を書きました。
 出来る限り正直に、そして周りの人に迷惑のかからないように・・・書いたつもりです。

 でも、ああやって書いたからって、「じゃあ、次は何を話題にしよっかぁ〜〜」なんて、急に切り替えられる筈もなく、1週間以上空いてしまいました。



 という感じで、やっと今日「このことなら書けるかも」と思ったことは・・・・

 私が毎日楽しみにしているのは、NHKのちりとてちんです。
 面白い、というより、いろんな切り口でしょっちゅう泣かせてくれるから・・・・嬉し泣き・悔し泣き、いっぱい泣かせてもらっています。
 このところは、師匠の病気が悪くなり、お亡くなりになることを前提に、しかし幸せに話が続いています。毎朝、号泣です。

 人の死ぬのは、嫌ですね・・・でも、全員、いつか死にますものね、必ずや。
 こどもの頃から変わらず襲われる、死への不安感や恐怖感。これが無いと、人間堕落しますよね。
 コーチも、TVの中の草若師匠(渡瀬恒彦)も、こうして時々、「頑張って立派に生きよう!」と思い直させてくれるために、神様に選ばれてしまったのでしょうかね・・・・・。




4日(月)
 悲しいことがありました。
 長男が、少年野球でお世話になったコーチが、急死されました。
 47才、脳幹出血で、本当に本当に急に、いなくなってしまいました。



 先月の最後の私の記事・・・天気のことしか話題にならないくらい、平和で平穏に過ごさせてもらっていることに感謝・・・そんな、呑気な文章を、PC前で考えていたまさにその時、コーチは苦しんでいらしたということ、家族のみなさんがどんなお気持ちだったのかということ・・・・・

 考えようとしても、考えられない。想像しようとしても、とても出来ない。
 ただただ、なぜ?と思う。どうして?と。
 ショックが大きすぎて、脳が働かない時間を過ごしました。
 でもその間も、私は息をしていて、お腹も空いて、眠くもなりました。そしてその度、「コーチはもう、こんな感じを持たないのか。そして、奥さんは、こどもたちはどうしているのだろうか」と思うと、また何もわからない・・・なぜ・・・という堂々巡りをしていました。



 お通夜には、野球のメンバーがユニフォームを着て集まりました。
 去年の夏にチームを辞めた長男は、平服を選びましたが、仲間達が「一緒に座ろう」と輪の中に呼び入れてくれました。優しい仲間達は、逞しいユニフォーム姿のくせに、みんな泣いていました。

 コーチは、うちの長男が野球から離れてしまっていた時、「しばらく休むってことで、いいじゃないのか?一緒に6年生で卒業するまで、やろうや!お母さんも悩みすぎるな。ゆっくり待ってやればいいんだよ」と言ってくださいました。

 でも、一度スッキリしたい、と親子で思い詰めてしまって、結局は退団した時、すぐに我が家へ電話をくださり、「どうしたのよ〜〜?何が嫌になったのかな??原因があるなら、俺がなんとかしてやるから、心配要らないのに! 俺はS(長男)のこと、辞めたモノだとは思っていないから、待っているからな!」と、何度も言ってくださいました。


 野球を通して、いっぱい怒鳴ったり褒めたり、子にも親にもたくさんのものをくれたコーチでした。
 ”褒めたり怒鳴ったり”ではなく、まず怒鳴っている印象が強いのですが、全く嫌な感じのない、むしろ周りで見ている大人達はクスクス笑ってしまうような、楽しい”怒鳴り声”が耳に残っています。
 亡くなられたその日も、放課後に練習の予定があったそうで、本当なら、またたくさん、こどもたちを怒鳴ったり褒めたりしてくれた筈なのに。


 なぜ・・・?神様、間違ったでしょ?ひどいよ・・・・


 まだ、「ご冥福をお祈りします」なんて、なんだか白々しくって書けない気持ちです。


 でも時間は当たり前に流れ、それぞれに生きているものは食べて寝て、予定の行事は進みます。お通夜に行く前、私は頭の中がぼんやりで、自宅の鍵を落としました(見つかりましたが)。しっかりしないと!と気を引き締めています。


 昨日は長女の発表会がありました。長男も少しだけゲスト出演させてもらうなど、準備がいろいろだったのですが、亭主(長期出張で単身赴任から帰宅中)の協力はもちろん、こどもたち本人も成長し、無事にプログラムが進みました。

 でも他の子の演奏を聴きながらなぜか涙が出てしまいました。こうして我が子や、一緒に頑張ったこどもたちの成長ぶりを、見たり聴いたりすることができる幸せを思うと・・・・。


 遺されたご家族のことを思うと、私なんかが何ごとを言うのか?という思いはありますし、本当にまだ、この文章をまとめるような、何か解ったようなこととか言えないのですが、書かずに通り過ぎることは絶対に出来ないと思いました。
 ごめんなさい、コーチのこと、ネタにしました!って謝れば、「ネタ提供料、高いよ〜〜」と笑ってくれると思います・・・・



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