Platonicプラトニック
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エピローグ−−−

 窓の外に広がる綺麗な綺麗な星空。
 きっと明日はいい天気になるに違いない。
「・・・・・っ・・」
 膝枕をする形で眠るぬくもりが微かにみじろいで、又深い眠りに落ちて行く。
 瞳を閉じると更に幼くなる顔。
 愛しいこの後輩に別に無体な事をしたわけではない。
 そう・・あろう事かこの無邪気な後輩は2度目のキスをしてその身体を抱き締めているうちに腕の中で眠ってしまったのだ。
(・・・全く・・)
 好きだという思いを返して貰えるとは思わなかった。
 薄暗い道の隅でうずくまるようにしていた姿を見つけた時には、実は引導を渡されるのかもしれないと覚悟までしたのだ。
 けれど・・・。
“僕も・・好きです・・ ”
 逃げて、顔を出せずにいた自分に悩んで眠れなかったと言っていた。
 確かに顔色も悪くて、元気もなくて・・今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「・・・・すまん・・」
 あの日と同じ、けれどあの日とは違う意味でその言葉を口にして、江神はアリスの髪を撫でた。
 そうして次の瞬間視界に入ったシャツを握り締めている右手を見つめる。
 一度離そうとしたのだが半分寝ボケた様子で「やだ!!」と言われてしまいどうする事も出来なくなってしまった。そう、布団に寝かせる事も、自分が横になる事も・・・だ。
「全く・・・」
 言いながら取り出したキャビンは最後の1本だった。
 どうやらこの態勢のまま煙草もなしに長い一夜を過ごさなくてはならないらしい。
「・・・ほんまに・・煽るだけ煽って眠るのは反則やぞ?」
 だから、せめて朝起きたら、あの日とは違う眩しい光の中でキスをしてやろう。
 そうしたらこの愛おしい後輩は何と言うだろう?
「可愛い仕返しや・・」
 子供じみた事を呟いて、クスリと小さな笑い零して。
 江神は最後のキャビンに火をつけた。

Fin



えへ・・・おしまいです。
ほら、プラトニックだから、タイトル(爆)
ちなみに続編は『プラトニックじゃいられない』
タイトルだけで中身の判るような話や・・・・・ヽ(´・`)ノ フッ…(笑)