空港 2001/02/23

空港は、一般に施設としても立派で、連日多くの人が往来する。つまり活気のある場所と言っていい。

しかし言うまでもないことだが、空港を目的地として訪れる人はいない。いくら大勢の人が空港に来るとは言っても、目的地はどこか別の場所であり、空港は目的地に至るまでの通過点に過ぎない。

だが、ここでまた空港をなぜか目的地として訪れる特殊性癖の輩が存在する。名付けて空港偏愛症候群。…という話にしてシリーズ化しようかとも思ったが、さすがにそんなやついねえでしょ。いねえよ、たぶん。いてもすごい地味。地味なバカ。ジミーくん。

そんな、各人の目的意識に照らし合わせると鼻毛みたいに関心薄い場所だが、駅とか停留所とかと較べてさらに面白いことには、待ち時間が大変長い。目的地じゃないのに下手すると半日くらいもここでつぶすことになる。下手しなくても二時間三時間は当たり前、無為な時間の大盤振る舞い状態。言わば無為なバナナの時間投げ売り、バナナな時間の投げの無為売り、売りの時間な無為の投げバナ。ていうか、バナナがなんで出てくる?食べたいから?

私は自分でもあまり柄でないと思うことには、空港には適度な回数行っている。仕事ではないが、もちろんプライベートでもない。その中間の会社行事がほとんどである。説明するまでもないが、空港に行くのが目的ではなくて、そこを経由してなんか楽しげな名前の地域に飛ぶのである。ハワイとか、グアムとか、なんかそんなようなとこ。

待ち時間同僚とかと話をしていても、あんまり話題がなく、時間の流れないこと限りない。仕事の話でもしようかと思うくらいである。あんまり時間が流れないので、ふと気付くと時間が逆に回っており、昨日になっておりましたとさ。だってだって、エスエフ世代なんだもん。空想科学エッセイなんだもん、ていうのはどうか。どうでもいいか。ワンパターンですみません。

まあ空港での暇潰しナンバーワンは買い物、ナンバーツーは食事、ナンバースリーは会話である。なんの調査も統計も取ってないが、明らかにそうである。文句のあるやつは両足縛って片手でかかって来い。私は武器持って両手両足使い放題。強過ぎて勝負にならんな。

買い物の場合、ブランド品の免税店というものがある。どういう根拠で空港だと税金納めないで買えるのか分からないが、買えることは確か。きっと飛行機代の中に巨額の税金が含まれているのだろう、知らないけど。酒とかタバコとかも安いみたいだが、あんまり興味ない。姉とか妹とかに頼まれた化粧品を買うくらい。自分の欲しくなるものはこういうところにはあんまりないことに決まっている。食事はどこでも暇潰しとしては実はポピュラー。しかしそんなに大した店がある訳ではない。一流シェフがいる店は空港なんかに店は出さない。常識とはそういうもので、不思議だが本当である。会話もまあ暇潰しとしてはポピュラー。説明不要と決定しておく。

そして私が一番することはボーッとすることである。あるいは何かしていることにするならば、そのへんの人を眺めている。人間ウォッチングと言ってもいいが、言わなくてもいいし、言わない方がむしろいい。

空港の人間模様は一種独特の感じがやはりある。空港的と言ってもいい。言わなくてもいいが、むしろ言った方がいい。

まずカップルが多い。いちゃつくなら海外である。海外で知った人に遭遇する確率は低いので、人目をあんまり気にせずいちゃつき放題である。でも、カップルはもともと人目なんか気にしていないのだから、そんなことは関係なくて、単に海外が好きなんだろう。盗み見しているこちらとしてはなんだかなあという気分である。仮にいちゃついてなくてもそもそもカップルなだけで私の法律では有罪である。カップルは罰金百万円、ただし私の場合は除く、と条文に書いてある。心の条文。新婚も多いが、子供同士みたいのも結構いる。年齢差が離れているのもよくある。私も年齢差がある女を連れて海外で気晴らしでもしたいものである。でも本心は海外より近所の方が気が休まっていい。もっと本心は吉祥寺あたりがいい。吉祥寺のラブホテル、ラ・フェスタエがいい。ニューヨークよりはラ・フェスタエの方がいい。入ったことないが。

レジャーなのでたいていサングラスしていて、常夏のところに行くと春とかでも短パンである。日本人にサングラスと短パンは似合わないと思うが、まあ決まりである。コスプレだね、ありゃ。

カップル以外にほとんど興味はないが、子連れ家族はまあいいかもしれない。子供は長い時間待つことができないので、すごい機嫌悪くなっている。行儀悪くスナック菓子かなんかつまんだりして、ダレ放題。親もいい加減疲れていて、面倒くさくなって気軽に殴ったりしている。ファイト!

あと目立つのは年配の女性の集団。言わばオバハン集団である。ま、どこに行っても同じである。楽しそうだね、ホント。仲いいし、集団行動が身についているし。私もオバハンに生まれれば良かった。十分オバサンくさいとか言ってはならぬ。

いい加減待ちくたびれた頃に、やっとノソノソと搭乗口が開き、窮屈なシートにギュウ詰めに収まって、何が楽しくてかどっか遠くに向けて離陸する。さようなら、日本。私は君たちを忘れない。

「空港」をテーマに何か書いてください。
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mail home top maruri Last modified: Tue Apr 10 18:59:34 JST 2001