■悟浄の謎

●錫杖の謎

錫杖は悟浄愛用の武器です。よく分かりませんが(ほんとに分かりません)たどたどしく説明しますと、刃が先に付いた杖で、その刃がチェーンで操られ自在に飛ぶという殺人道具です。この武器、桐生操の美しき殺人法100にぜひ推薦したいと思います。殺傷能力は勿論のこと、殺す有様が非常に美しいのです。もはや芸術と言ってもいいでしょう。一瞬空を舞ったかと思うと敵の身体はあっという間にずばっとスライス、鮮血の飛び散る様もチェーンの描く動線も非常に絵になります。恥ずかしいので具体例はあげませんが、チェーンを操るキャラクターは過去に幾度も現れ一世を風靡していますし、「北斗の拳」の(あ、あげてしまった)主人公ケンシロウの時間差気孔術(北斗神拳)より、脇役レイの敵の千切り(南斗水鳥拳)の方が圧倒的に支持されたことからも分かるように、殴ったりふっとばしたりするより「切り裂く」ほうが断然美しいのです。レイが技をくりだすと、敵の親玉までが「う…美しい!」と感嘆の声をもらし、自らすすんでレイの手にかかったほど妖しい魅力を持っているのです。悟浄も負けず劣らず美しい殺戮シーンを、特に初期には頻繁にみせてくれているのですが、なぜ誰も彼の殺人法についてコメントしないのでしょう。戦闘中にも関わらず小粋な解説で場を凍らせる最遊記界のラモス・ルイ八戒が、いつもながら美しいですね悟浄、とかなんとか言われても困りますが言ってくれてもいいのではないでしょうか。あのチェーンが無線で動いてるとか実は動物で黒龍が化けているとかでなければ、彼は腕一本で重厚な鎖と刃を自在に操っている訳ですから、それだけでも感嘆に値する特殊技能ではありませんか。特殊技能を通り越してほとんど超能力です。まさか悟浄も八戒同様エスパーだったとでも言うのでしょうか!?謎は深まる一方ですが、そもそも他の3人が悟浄を褒めるということ自体一度もありません。そんな扱いを受けているのは彼ひとりです。ただ単に誉めたら図にのるから誉めないでおこうという了解が3人の間でなされているか、悟浄自身を認めていないので何をしようと美しいなんて形容詞が出てこないといったところが真相でしょうか。それにしたって八戒くらい何とか言ってくれてもよさそうなものですのに。


…イケそう?