■悟浄の謎

●沙家の謎

なんと1年4ヶ月ぶりの更新です。書き方を忘れましたが書いてるうちに思い出すでしょう。か。沙家といってもあの修羅の家ではありません。後に悟浄と八戒がふたりで住まう事になる沙悟浄宅です。流石に立地には難ありで山中の一軒家といった趣ですが、ギャンブルでしか食えない能なしの住処であるわりにはなかなか丈夫そうな一戸建てです。やるじゃないか悟浄。さて、今回はこの家の間取りを検証しましょう。正直申し上げて、漫画の中に出てくる部屋の間取りを検証するような輩は無粋と見ます。漫画という芸術作品を味わうにあたりドアノブがあっち向いてようがこっち向いてようがいいではないか。ですが沙家の間取りを知ることは別の意味で重要です。悟浄と八戒がしていたのは同棲なのか同居なのかを問う重大問題なのです。さ、滞りなくの部分が終わりました。居間、すなわちテーブルがあり椅子がありベッドがありテレビがありタンスがあり流しがある、一日の大半をここで過ごすであろう心臓部には、ふたつ扉があります。ひとつは外に通じる玄関。これをAとします。Aに向かって左手に、もうひとつの扉。この扉をBとします。「ちょっといいですか悟浄さん」と悟能が出てくる扉です。多分。Aの取っ手がコマによって右になったり左になったりしているので混乱しますが、先ほども申しましたようにそのような作品の質と何の関係もない不思議現象なぞどうでもよろしい。悟能が外に天気を見に行き(注・夜)絶好のお出かけ日和であることを確認してからAから戻ってきて「ちょっといいですか悟浄さん」と言ったという仮説も成り立ちますが、何やら少し不自然なので、ここはBから出てきたとみるべきでしょう。Bはいったいどこに通じているのでしょうか。住処に最低限必要なドアの数はふたつです。必ず、ふたつ、必要です。もうお分かりですね。玄関とトイレ。Bはトイレです。そう仮定すると、悟能がお出掛けの前に用を足したという非常にナチュラルかつ美しい水流が見えてきます。トイレ単体なのか、洗面所+洗濯機+風呂+トイレと水回りが集中しているのかは謎ですが、Bの脇に壁の突起があり、ここに水回りのパイプが通っているとすると配管の点からもばっちりです。仮にBが別室に通じるドアであるとしたら、トイレに行くのにその部屋をつっきることになります。そういう家もないではない。部屋が通路の家。うちの実家がそうでした。沙家にトイレがないということも考えられます。外で用を足す家。トイレにこだわりのない国ですからあり得なくもない。しかしトイレもないのに二部屋も作るでしょうか。トイレとは関係ない別室であるとしたら、寝込み中に居間を延々占領していた悟能が出掛ける直前にわざわざ別室から出てきた理由が分かりません。…廊下かもしれない。そう、Bの外は廊下かもしれませんが、果たしてそんな広い家には見えません。もし沙家に廊下があるとしたら、必ず廊下が描かれるはずです。廊下というのはもの凄く絵になる場所なのです。廊下があるなら先生は必ず廊下を描く。漫画家魂が必ず廊下を描かせるはずである。納得してください。しましたか。愛してます。そんな訳で悟浄と八戒は一部屋に同棲時代していたことが判明しました。ふう、解決です。後に悟浄が「俺の部屋の中を荒らすな」とまるでもう一部屋あるとしか思えない、妙に伏線的な、一気に萌え下がる、余計な発言を、元気に、力強く行っているので少し絞め殺したく思いましたが、この発言は同居を始めて随分後であることが悟浄の髪の長さからも推し量れます。増築した模様。やるじゃないか悟浄。


人のお家に入る時はお邪魔しますって言わなくちゃ…。