■三蔵の謎

●銃の謎

全国1億2000万人と少し(八戒比)の三蔵ファンの皆様こんにちは。いまさら銃の弾がなぜ切れないのだなどという不毛な論争は致しません(分からないから)。ここで問いたいのは三蔵の銃の腕前についてです。彼の銃に関する知識と技術は完全に独学だと思われます。寺で射撃練習するわけありませんから、下山途中そのへんのとおりすがりの人間や妖怪に俺の邪魔をしたという大義名分のもと、ちょっと的になってもらったりして巧くなったのでしょう。三蔵一番の銃の見せ場は「悟浄の心臓のすぐ横の種を撃ち抜いた」場面です。さあ本題です。心臓のすぐ横ってどこ!三蔵は八戒のような異常な能力は備えていませんから種が見えようはずもありません。彼は八戒のために「絶対はずさん」と口では言いながら、見えもしない的をものすごく適当に撃ったことになります。しかし弾は種にジャストヒット。何故なら聡明な三蔵は、自分が如何なる種類の銃の使い手であるかを熟知していたのです。悟浄や悟空に銃を乱射するとき、彼は真剣に彼らを狙っていますから当たりません。仮に当てないようギリギリ脇を狙ったとしたら、あっという間に眉間をぶち抜いてしまいます。三蔵は必ず狙った的をはずす銃の名手なのです。シティーハンターでいうところの香です。悟浄の種を撃ち抜いた時、彼が照準を合わせたのは悟浄の心臓です。心臓を狙えば心臓に当たらないことを三蔵は知っていたのです。当たったところで彼自身は痛くも痒くもありません。畜生、絶対死なねえ!

●死ね!の謎

三蔵の口癖は「死ね」です。「死ぬか?」とか「殺すぞ」とか「殺す」とか「死んじまえ」とか「死にやがれ」とかバリエーションは色々とありますが要するに、二度と貴方の顔を見なくてすむようにこの世のどこからも消え失せて欲しいと切に願っていますしなんでしたら私がお手伝いして差し上げますと言いたいわけです。「死ね」という言葉はなかなか強烈で、その後何年経とうと人の心に深く食らいつく言霊をもっています。自分の存在を全否定されるのです。三蔵とて本気で3人組にまでぽんぽん死ね死ね言ってるわけではないでしょうが、実際にこれから殺す予定の相手にも死ねと言いますから、ひょっとしたら本気かもしれません。死ねと言われて落ち込むような輩など死んだ方がましという考えなのでしょう。死ねと言われてもついてくるかどうかで人を判断しているとしたら、三蔵はかなりの小心者です。自信が無いので自分なりの判断基準を強固に守り、人を従わせるのです。他人に死ねということで自分は生きる意志があることを確認しているのです。このへんの心理状態は、わりと悟浄に近いものがあります。言動が荒い人は得てして心が弱く、しかし気持ちの優しいところがあるのですが、そんなことは恥ずかしくて認められないのです。素直で率直な悟空や、歪んだ自分もわりと愛せる八戒が羨ましいのです。羨ましいと思いたくないので死ねの一言でばっさり切りすててしまうのです。結論として、三蔵はかわいい奴なんです。死ねと言われたら「またまたぁ」とにっこりしてあげればいいのです。


死ね!このまま死ね!