■女性キャラの謎

●花喃の謎

八戒の双子の姉であるところの花喃に関して、どうしても解けない謎があります。何故、彼女は自殺したのでしょう。何故悟能の前で。何故よりによって悟能が一番苦しむ方法で死んでしまったのでしょう。化け物の子供をみごもった自分の存在が許せなかったにしても、何だか優しくないやり方のような気がします。助けにきた悟能に向かって「遅いよ」…。ええ確かに!確かに彼は村人を皆殺し、妖怪を999匹殺し、花喃時間に直したら「風呂入ってメシくってビールひっかけてビデオセットしてきました」くらいにのんびりに感じたのかもれません。しかしマチルダBABYよろしく乗り込んできた騎士が姫に遅いよと言い放たれ、事もあろうに自分の持ってきた武器で命を絶たれてしまうなんて世界残酷グリム童話もびっくりの残酷さです。しかし見方を変えれば、女性という生き物はそういったものかもしれません。自分の存在を認められない以上、生きてはいられない。でも背徳の罪を冒してまで愛した男は、これから自分のいない世界で生きていく…。忘れられたくない、彼がこれから出会うどんな女性にも負けたくないと思うのが本音でしょう。彼女は目的を立派に果たしたことになります。悟能を手に入れたのです。花喃は自分勝手でわがままですが、自分に厳しく繊細で、誰よりも強く純粋に悟能を愛し尽くした情熱の人です。非常に女らしい女といえます。花喃が「悟能を男にとられる」ことまで念頭においていたかどうかは分かりませんが、きっと彼女なら許してくれると信じたいです。女は総じてホモに甘いですから。もうっやあね、悟能ったら。

●旬麗の謎

2巻登場の旬麗は、妖怪である恋人の帰りを待ち続けている純情可憐な美少女です。どう見ても百戦錬磨な悟浄の守備範疇外と思われるのですが、ちょっとワルそうな甘い声の男と一途な少女の組み合わせはなかなか美しいものがあります。川にジープごと突っ込んだ三蔵一行は、旬麗の家で恋人の服を借りることになります。悟空は年相応にパーカー、八戒は無難に白いシャツ、悟浄はさすがの黒Tできまっていますが、三蔵のコーディネイトは、何といいますか、率直に申しまして異様です。この不良高校生のような出で立ちは何事でしょう。実は彼は洋服自体を着る機会があまりないので、着こなしが下手なのです。不器用でかわいい一面がかいま見えるちょっといい話でした。さて、彼女の恋人「滋燕」はどこのどなた様だったのか今をもって不明です。そうありふれた名ではないように思われるのですが、人間で言うところのたかしあきらに相当するモーストポピュラーネームなのでしょう。悟浄兄の改名の原因がそこにもあったかと思うと死んだ母親も浮かばれません。話を戻しましょう。旬麗最大の謎は2巻ラストのおまけ漫画にて劇的に提示されます。彼女はひとつのベッドを争って取っ組み合う4人のあの場面を一目みて、とっさに5×9を連想したのです。普通しません。思考回路に妙な装置が埋め込まれている私ですら、秒速でそんな発想はできませんでした。5×3、5×8で単行本2巻分、外伝公認夫婦ですら2ページかけました。いったい旬麗は何者なのでしょう。休日はイベント予定でスケジュールが埋まっている我々の仲間なのでしょうか。

●八百鼡の謎

最初にお断りしておきます。私は彼女がちょっぴり嫌いです。ファンの方はお読みにならないでください。見目麗しいために百眼魔王に献上されるところを紅孩児に救われ、身も心も彼に捧げた薬師のお姉ちゃん。このまま攫われていれば花喃と友達になったかも知れず、八戒の過去を知る数少ない生き証人になったかもしれません。2巻のDrug and booze(この回の扉はいいですね)において八百鼡は三蔵一行を倒すため勝手に居酒屋に潜入、うるさいくらいのモノローグで自己主張、卑怯な手段で4人を殺しにかかっておきながら難なく失敗、こともあろうか紅孩児と正反対のなごみ系八戒にへろっと微笑みかけられただけでくらっとくる単純さです。タイマンを挑んでおきながらこてんぱにやられたらすぐ泣き、逆ギレて八戒の手を振り払ったくせに4ページもずるずる引き延ばしてなかなか死なず、主君自らの手を煩わせてお姫様抱っこしてもらい恥知らずにも赤面し、その後もまだ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬやかましい。3巻で「生きてあの人のお役に立とうと思います」と抜かした彼女に対応した八戒は、呆れ半分でおバカな園児を誉めてあげたようにしか私には見えませんでしたが皆さんはどうですか…。問題は何がどう薬師なのかよく分からんとこにあると思うんです。本当はもっと強く凛々しい女性なのでしょうが、今のところ彼女のしてくれたことで私が感謝できるのは、睡眠薬で悟浄をばったりいかせてくれたことだけです。むしろ抱き止めた八戒にありがとうです。あの酒場でもし全員が眠りこけていたら、眠った相手を刺し殺す気だったんでしょうか。卑怯者め!


死んで頂きます!