男性キャラの謎

●鷭里の謎


主役たちを除けば私の最遊好きキャラランキング堂々1位か2位か3位の鷭里様が、主役でもないのに遅れまくってようやくのご登場です。一応解説しますが、悟浄によると悟浄のダチです。あのタラシが男と同居するなんて如何に八戒が特別であるかの証!などと設定にあぐらをかき油断かましていた悟浄&八戒派が持つ同居人≠ニいうアドバンテージをドアとともに粉砕してくれたとんでもねぇ野郎であり、悟浄の友達ポジ獲得に必死で下心などない八戒の前で堂々とホモ話して性的な意識を芽生えさせ、鷭里のシンプルな主張を複雑怪奇な個人的人生事情で切り捨てた挙げ句腕力に訴えた八戒の意識に喰らいつき、その後長々と妖怪と人間の在り方について考えさせ、あとはまぁ悟浄と八戒の距離をなんとなく縮めたなど、数々の偉業を成し遂げた重要キャラといえるでしょう。しかしこれらはすべて腐的視点の偏った評価であり、客観的に見ると悟浄を金で買いあげて都合よく使い捨てただけのクズです。この清々しいほど分かりやすいクズ様に謎など一切ございません。強いて言うならいったい悟浄をなんだと思っていたのかに尽きますが、普通にダチだと思っていたのだと思います。鷭里は自分が一銭の得にもならないことはしないから他人もそうであろう、という判断のもとに悟浄に金を出し、ノリがあって喧嘩の強い悟浄といると得しかないので仲良くつるみ、悟浄の命より自分の命のほうが大事だから見捨てた、ただそれだけです。漫画の登場人物としては珍しいですが、結構一般的な感性です。悪役というほどのカリスマもなく、特に名言を吐くでもなく、顔がいいわけでも強いわけでもない、髪を金髪に染めた中途半端な小物。私はそこに惹かれるのです。彼は世の中の大半を占める何者でもない底辺代表です。鷭里は私であり、もしかしたら貴方です。つまるところ謎なのは悟浄のほうです。何故悟浄はこんなクズを、如何にやさぐれていたとはいえ自分の命より優先したのでしょう。思うに悟浄は、鷭里に初めて存在価値を認められたのではないでしょうか。それがたとえ犬や捨て駒やボディガードとしてであっても、生まれて初めて心から必要とされたのではないでしょうか。八戒は傍目にはひとりで社会生活が営めるまともな人間であり、自分が必要だとは思えなかった(当時は)。鷭里がいろんなとこが足りないクズだからこそ、出会い頭に値段を聞かれたうえ派手に値切られようと何度とんずらされようと、戻ってきたら「ばんり〜」てなっちゃったんじゃないでしょうか。
私は鷭里を愛してやみませんが、より愛する悟浄のためにも、世界がほんの少し綺麗になるためにも、野垂れ死にして正解であったと心から思います。


虫唾が走るんですよ。