6月3日【沙羅双樹】 こんな盆栽、目指したが…
 
 
 
 

お釈迦様が亡くなった所に『沙羅双樹』があったとかで、
仏教では聖木である。日本では一般的に『夏椿』を指すが、
本物の沙羅双樹は別物の熱帯産で、露地では育たないとか。
沙羅双樹は京都妙心寺が有名だが、こちらも『夏椿』だ。
同時期よく似た白い花をつける『姫しゃら』も同じ扱いで
最近では庭木としてあちこちのお宅や寺院でよく見かける。
いずれも一日花で、平家物語の“諸行無情、盛者必衰の…”
人の世の、はかなさのシンボルとして登場している。

庵主はとくに『姫しゃら』の小さめの花もお気に入りだが
そのスベスベした赤い木肌が好ましく、株を何本か調達して
寄せ植え盆栽に挑戦したことがある。雑木林の風景を
夢に描いて平鉢に植え込んだ。寄せ植えは盆栽道では
入門者篇と聞いたのが、結果は完成予想図を残しただけの、
散々な結末となった。沙羅双樹だけに、
もののあわれと、命のはかなさだけは、充分に勉強した。