@長いので結論は患者さんの症状と関係する生活習慣を改善することにより受身で治 療を受けるより治療成績が上がる A患者さん自身で自宅などで改善するのにセルフモニタリング表が有効
[研究の目的]
カイロプラクティックの治療効果を妨げる因子として考えられる「習慣的な癖」、または「生活習慣病」や「不活動な生活」に対して、「行動科学的アプローチ」と言われる人間の行動を望ましい方向に修正していく手法をカイロプラクティックと併用することでどの程度効果が上がるのかを検証していきます。
[研究対象となる方]
当センターに平均月2回以上通院(体の定期的なメンテナンス目的も含む)され、3カ月間、モニターが継続できる方が対象となります。
[手順]
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まずアンケートに記入していただきます(初回と中間と最終回のみ)
A
通常通りにカイロプラクティックの治療を受けていただきます
B
治療後、カイロプラクティックの検査測定を行っていただきます
C
最後にセルフモニタリング表をお渡しして、次回までの生活習慣改善のための「課題の 取り組み」と「目標」をお伝えいたします。
D
次回以降は治療後に簡単な測定と行動科学的アプローチに基づいたアドバイスを実施させていただくことになります。
以上が、今回の研究の概略となります。皆様が「モニター」として本研究に同意並びに賛同していただき、協力していただけるようでしたら、小玉俊彦院長にお申し出・問い合わせください。なお、皆様からいただいた個人情報につきましては、「個人情報保護法」に基づきまして、厳正に管理ならびに処理をさせていただくとともに、本研究以外の目的で絶対に使用しないことをお誓いします。
今回の研究活動が、皆様の健康生活により一層の貢献ができますことを心から願っております。
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平成21年4月9日
作成者: 京都医健専門学校 理学療法学科 稲葉 政徳
【研究の目的】
徒手療法(カイロプラクティックや東洋医学分野など)を受ける患者のうち、治療効果が思わしくない、もしくは治療計画が予定とおり進めることができないケースでは、その原因の一つとして、患者自身の習癖が関わっているのではないかと仮定する。
本研究では、徒手療法にて治療経過が順調でないうえに、習癖が改善されないまま継続されている患者を対象に、「行動療法的アプローチ」を併用することで、習癖や生活習慣を改善していくことで治療効果がどの程度向上するかを、数種類の評価方法を用いて、習癖と治療効果との因果関係を検証していく。また、徒手療法分野における行動科学的アプローチの在り方・手法を検討していく。
【研究の実際】
[実験対象者]
・月2回以上センターに通院し、カイロプラクティックを受けている患者
・現症状に関連した何かしらの身体的・環境的な「習癖」を持ち、改善が難航している患者
・生活習慣病を持つ、またはその予備軍の恐れ(健康診断による情報に基づく)のある患者
[実験機関]
平成21年5月1日より開始する。 その後の新規被験者も含め実験期間は3か月間とする
[方法]
まずA群(生活習慣病系)
とB群(習癖系)とに分類をする。
主なアプローチ方法としては、A群(生活習慣病系)にはアセスメントの特性から「理論横断モデル」を使用し、B群(習癖系)には「行動分析学的アプローチ」を用いる
【研究の流れ】
1.研究下準備事項 平成21年3月23日〜4月16日まで
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各患者の基礎データならびに治療経過・習癖等を掌握する *カルテや、あらかじめ小玉氏記載による「基礎データ表」参照
A
本研究の趣旨を小玉氏が患者に説明し、同意していただいたうえで「質問票」を記入してもらう
B
対象者を、A:生活習慣病・生活不活発病系 B:その他の習癖が改善しない系の2群に分ける
C
非検者確定→データ整理・入力
2.実験の実際の段取り
@小玉氏は治療後にそのつど被検者への問診ならびに助言(行動科学的アプローチに基づく)を行い記録(カルテ)を行う。稲葉は各ケースに対して小玉氏に対し助言に努める。
A結果を取りまとめ、統計処理を行う。
B結果を分析することで、徒手医学分野に行動科学的アプローチを導入したことによる効果判定ならびにA群とB群との差異などを見ていく。
C
実験ならびに結果について考察をしていく。
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習癖改善を目的とした行動科学的アプローチに基づいた調査表作成
稲葉政徳 (京都医健専門学校理学療法科
, 畿央大学大学院健康科学研究科在籍)
小玉俊彦 (コダマカイロプラクティックセンター)
東山明子 (畿央大学大学院健康科学研究科)
Drawing
up the questionnaire survey based on the behavioral science approach to improve
learing habits
Masanori
Inaba,Toshihiko Kodama,Akiko Higashiyama
1.はじめに
今回、習癖改善が治療効果に好影響をもたらすと仮定し、カイロプラクティック患者を対象に日常での習癖を特定し、患者にセルフモニタリングを課して実験を行った。徒手療法に行動変容技法を併用することは珍しく、そのための調査表の類も例がないのが現状である。そこで、実験と並行して被験者からの情報収集が効率よく行えることを前提に、面接時に用いる基礎データ表ならびに患者が行うセルフモニタング表を作成し書式等を検討したので報告する。
2.方法
対象者:カイロプラクティック治療を月1回以上受けている患者で、本研究に同意を得た男性4名(平均年齢55.5歳)、女性14名(平均年齢47.5歳)に対して平成21年6月より一人3か月の実験期間を設けた。
実験の流れ:治療後、傍脊柱起立筋に対する表面筋電計測定ならびに改善度スケールによる評価を用いた。その後、行動科学理論に基づき1)カウンセリングを行い、初回は患者とともに標的行動ならびに目標を設定し、二回目以降のカウンセリングにてモニタリングを行い、目標設定や取り組みの見直しを図った。次回来院までは被験者自身がセルフモニタリング表を用いて習癖改善に取り組むこととした。
調査表の検討:徒手療法家が行動変容技法を導入する際に使用しやすい基礎データ表モニタリング表をはじめとした調査票作成の検討を行ったまず、初回面接の際に用いる基礎データ表については、足達2)が示す聴取項目を参考に作成し、被験者のライフスタイルの全体像を把握し、標的行動を絞りやすくできるよう工夫した。セルフモニタリング表については対象者自身による記入箇所が多い足達2)のものや、初期段階用のシンプルな竹中3)らのものをベースに、さらに目標設定や標的行動を見やすくし、手順や記入する記号(○・△・
×)の意味を明確にした。また、習癖行動の種類に関係なく共通して用いることができるよう共通事項を表内に記載するよう配慮した。
3.結果
全被験者が2回目以上のモニタリングを受けた時点で18名中17名が順調に習癖行動改善への取り組みが進められ、症状の改善も全員に認められた。
4.考察
基礎データ表はむしろ必要事項を絞り込み、簡素化したことで治療者の「併用」する負担軽減につなげられたことは、使用した治療者の感想からも推測できる。セルフモニタリング表については、17名全員が使いやすさを評価しており、1枚1週間として見やすくし、目標設定や標的行動、手順を明確かつ簡潔にしたことが功を奏したと推測できる。
【引用文献】
1)
Bess H.Marcus ,LeighAnn H.Forsyth :下村輝一ほか(監訳), 行動科学を活かした身体活動運動支援,
2006,pp102-139,大修館書店
2)
足達淑子編著:ライフスタイル療法T,2006,pp18-25, pp85-86,医歯薬出版
3日 4日大阪府内の桃山学院大学で開催された、「日本健康行動科学会 学術大会」での共同研究者の稲葉氏の口述およびポスター発表が無事に終わりましたので、ご報告させていただきます。
彼の発表に対する参加者の反応はとても良かったそうです。
セルフモニタリング法や表面筋電計に注目が集まっていたとの事でした
11日 12日 東京ビックサイトで日本カイロプラクティック徒手医学会でもポスター発表がありました。
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