質問
●2.計画の基本条件で説明されている
"それ相当の危険"を具体的に教えて下さい。
回答
●建築主への最初の提案にはニ通りの提出方法があります。
 
A提案-計画の用途や規模,階数,面積,形状等の法令で制限される内容の説明図を提出。
      適用法令の種類や調査項目数等で多少異なりますが、有資格者の建築士であれば
      提案内容の差は少ないと思われますので
問題は少ないと思います。
  B提案-上記のA提案に加えて内部の間取りや外観等の企画構想を提案する説明図を提出。
      提案するには法令制限に加えて計画の基本条件が明確になっている事が必要です。
    ★事前に明確にされる
基本条件の具体的項目は主に下記の内容です。
    *建築主名と特性及び事業方式 *計画の動機と目的 *敷地,立地の概要と特性
    *現状の施設資料と利用概要及び特性 *将来計画の概要 *関連する事業や施設等
    *工事の種別 *用途構成と業態 *希望の構造形式 *希望の階数 *希望の延面積
    *利用予定者の構成と特性 *利用形式や動線の特性 *商品構成,客単価等の予定
    *希望の建築イメージや参考建物 *希望の材料や色調 *特殊な家具や装飾品等
    *所要室名と室面積 *所要天井高 *所要性能 *所要設備 *特殊な設備や機器等
    *共通の性能優先順位 *共通の所要性能や品質と希望グレード *共通の収納面積
    *外部の利用概要と所要施設及び所要設備 *希望の保存品や再使用,支給品等
    *希望の完成時期 *希望の建築工事依頼範囲 *希望の建築工事予算又は工事単価
    *設計者選定の条件,方法,契約条件等 *営業許可基準等 *資金や収支予測等,その他

無料サービスによる場合(上記のA,B提案共有り)の危険要素は主に下記の内容です。
  *A提案の場合は建築主の基本条件を検討する資料として作成される事が多くて問題は
  少ないが、B提案の場合は無料の為に現状調査や建築主との打合や検討をする充分な
  時間と手間をかけられず
後々迄尾を引く中途半端な選択肢を狭める提案になり易い。
   (注)建築主の要望を適切に反映した提案をするには
事前の綿密な調査と打合せが不可欠。
  *一旦提案が出されると図面に目を奪われて文建築本来の目的の利用に合わせた建物
  ではなく、提案の建物に合わせた利用に陥り易い。
(
本末転倒)
  *計画の提案は大変責任の重い業務で、無料サービスでやれる程簡単な業務ではない
  建築主の人生賭けた計画に応える提案の重要性に対して認識不足と思われる。
  重要な提案を軽視する体質の専門家では、建築主が満足される設計等とても望めない。
  *
無料サービスとは簡単に済ます又は別の形で報酬を頂くという人を欺く体質と言える

設計コンペによる場合(上記のB提案が目的)の危険要素は主に下記の内容です。
  *設計コンペは
計画に関する大まかな要望施設の利用条件程度で実施される事が多くて、
  
利用者の住み心地や使い易さや予算等より専門家のアイデアやデザインが優先され易い。
   (注)建築主の要望を適切に反映した提案をするには事前の綿密な調査と打合せが不可欠。
  *建築主の要望を反映した
適切な応募要項の作成と応募案の適正な評価が大変難しい。
   (注)選ぶ側に提案内容や工事予算,建設期間,業務内容等適正に評価する能力が必要
    尚コンペは形だけで、実際は裏の話し合いで談合する
擬似コンペの危険もある。
  *専門家を決める上で最も重要な関連業種との中立性等の業務体質担当予定者の経験や
  
実績,人柄
は、会社調査や実績見学,担当予定者の面談等を行なわないと評価できない

  *一旦提案が出されると図面に目を奪われて選択肢が狭まり文建築本来の目的の利用
  に合わせた建物
ではなく、提案の建物に合わせた利用に陥り易い。(本末転倒)

  *専門家をコンペ案で決める為、後日内容に問題があっても原案を大幅には変更し難い

  *コンペの提案は身上書のない見合い写真問診や検査抜きの手術の様なもので、コンペ
  の運営経験がない建築主にとっては
最適な設計者を選ぶ事は大変難しい様に思われる

●担当者にはアイデアやデザイン等の構想能力や条件の把握.対応能力,設計図等の作成能力,
 工程や工事費の管理能力,見積内訳書の査定と金額交渉能力,工事監理の検査.指導能力等の
 
幅広い専門能力と実績が必要ですが、最も必要なのは本人の人柄や良識,情熱,責任感等
 
人間性建築主の潜在する要望を反映した複数の提案をする建築主重視の業務姿勢です。
 
目先の誘惑に惑わされずに、内在する危険についてぜひ冷静にお考え頂きたいと思います。
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