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(1) 梅雨明け前後
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今年(2019年)は梅雨明けが平年より1週間程度遅くなりました。そして梅雨明け後は厳しい暑さとなりました。
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梅雨の時期には,いつにもまして,熱帯の循環,対流活動を眺めます。
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よく見るのは, Tokyo Climate Center の Animation Maps (Global Area) で,その中でも,
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OLR & 200-hPa Velocity Potential & Divergent Wind Vector (Anomaly)
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を見ます。
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この図には,OLR(Outgoing Longwave Radiation 外向き長波放射量)の平年差, Velocity Potential(速度ポテンシャル)の平年差, Divergent Wind Vector(発散風)の平年差が描画されています。
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OLR,Velocity Potential の偏差域はほぼ一致し,負偏差であれば,平年に比べ対流活動が活発で,(200hPa面で)発散,正偏差であれば対流活動不活発で,収束(非発散)となります。
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インド洋の東部から太平洋の西部,100〜150゚E の領域(インドネシア付近)で負偏差となると,大陸東岸から日本列島付近でジェットが北に偏り,高気圧の勢力が強まります。
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また,MJO(Madden Julian Oscillation)により,負偏差域は(正偏差域も)東進し,30〜50日程度で一周します(東進が明瞭でないときもあります)。
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このことから,次に負偏差域がいつ頃になるのか,いいかえると次にインド洋の東部から太平洋の西部の赤道域で対流活動が活発となるのはいつ頃か見当がつき,ジェットの北上,高気圧の張り出しも見当がつきます。
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2019年は,7月上旬から 100〜150゚E の領域が対流不活発,発散の小さな位相になり,東進モードもはっきりしませんでした。7月25日ころになって,発散がはっきりし,対流活動も平年を上回るようになりました。
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その後は,インドネシアの北,南シナ海やフィリピン付近でも対流活動が活発となり,ジェットの北上,太平洋高気圧の張り出しで日本付近は厳しい暑さとなりました。
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Tokyo Climate Center の Web site より取得した,7月18〜22日,26〜30日の図を載せておきます(日付変更線と日本列島を赤く加工しました)。
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(2)都心から富士山
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夏場に都心から富士山が見られることはあまりないのですが,2019年8月4日日没後,富士山のシルエットが望めました。また,翌5日の朝,夕にも富士山を見ることができました。
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8月4日夕刻には,台風第8号が八丈島の南海上を北西に進んでおり,こんなときに富士山が見えるのか,とちょっと資料を眺めてみました。資料は,気象庁の Web site より取得しました。
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2019年8月4日21時の気象衛星画像の水蒸気画像(第2図)です(日本列島に色をつけました)。八丈島の南海上を北西に進む台風第8号の周りに白い領域があり,上中層の水蒸気の多いことを示しています。また,岐阜県・富山県から福島県沖にかけ東西に白い領域が見られます(高層天気図等取得していないので要因のはっきりしたことはわかりません)。このふたつの白い領域に挟まれ,関東南部から東海地方にかけては灰色と,少し暗くなっており,上中層の水蒸気が少ないことがわかります。
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次に,館野の高層観測から,700hPaの温度,相対湿度を見てみました(第3図)。
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温度は,7月28日までは27日の12.1℃をのぞき,平年と同程度ですが,29日以降10.0℃を越え,平年を上回る日が続きます。
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相対湿度は,70〜80%程度で推移していますが,8月3日には75%ですが,翌4日には36%,5日には41%と急に乾いています。
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相対湿度は,大気中の水蒸気量が同じであれば,温度が高いと小さく,温度が低いと大きくなります(気圧は700hPa面なので一定です)が,8月3日から4日にかけ,温度が大幅に高くなったわけではないので,水蒸気が減った(乾いた空気が入ってきた)と考えてよいでしょう。
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台風第8号のをとりまく暖かく湿った風は日本列島南岸には達しておらず,700hPaあたりでは乾いていたことで,都心から富士山が望めたのではないか,と思っています。
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