2021年 この夏感じたこと
(2021.09.07 掲載)


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 2021年の夏は,厳しい暑さがあったかと思えば,雨が続いたりと,例年より変動の大きい印象があります。
 この2021年の夏について,感じたことを記しておくことにします。

 天気図は https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/diag/latest/index.html をご覧ください。

◆夏全体(6〜8月の3か月平均)の大気の流れ
※200hPa風速
 風速の大きい領域(ジェットの位置)は3か月平均では平年と同じような位置で,暑かった2018年のようには北偏していません。
 ただし,月毎では,6月平年程度,7月はっきりしない(中・下旬北に偏るも風速は大きくない),8月平年より南で,とくに7,8月にはジェットの南北の変動が大きかった印象があります。
 このため,天候も暑い時期があったり,大雨や曇りや雨の日続き,気温が平年を下回る時期があるなど変動が大きかったと思います。

※海面水温
 8月の解析図は11日更新なので,6,7月の状況を記します。
 太平洋赤道域では,ラニーニャ現象が終息し,全体的に平年からの差は小さくなっていますが,まだ,西部太平洋で平年を少し上回る状況で,表層水温も西部で平年を上回り,東部では平年を下回っています。

※熱帯の対流活動(3か月平均)
 インド洋では,平年に比べ,赤道付近や南半球側で活発となっており,ベンガル湾など北半球側では平年より対流活動が弱くなっています。
 西部太平洋域も同様で,赤道付近や南半球側で活発となっています。南シナ海からフィリピンの東にかけては,赤道〜15゚N帯で弱く,その北20゚N帯で平年を上回る対流活動がみられました。台風第5号,第6号,第9号,第10号,第12号がこの領域を通過しています。
 サブジェットの北上との相関の大きなエリア(SAMOI:Summer Asia MOnsoon Indices 領域)では,6月−1.5, 7月−0.6(8月は未公開)と平年より不活発となっています。ちなみに,暑かった2018年は,6,7,8月それぞれ,1.1,0.6,0.7 で平年より活発でした。

◆梅雨明けのころ
 毎年,梅雨明けのころは,熱帯域の季節内変動(MJO:Madden Julian Oscillation)に着目しています。熱帯域の対流活動活発域が,インド洋から西部太平洋域に進むことで,サブジェットが北へ押し上げられ,太平洋高気圧が日本列島付近へと張り出す,というイメージを持っています。毎年このようなわけではありませんが,MJOの位相(対流活動活発域)を追うことで,梅雨明けの時期を想像しています。
 2021年の熱帯域の対流活動は,7月上旬にはインド洋の赤道付近で平年より活発でした。中旬には対流活動の活発な領域は西部太平洋に至り,その後,20゚N帯で平年より活発となりました(台風第6号,第8号もこの時期この領域で発生しました)。
 関東甲信地方の梅雨明けの発表は 7月16日ですが,その頃の 500hPa高度天気図を見ると,大気の蛇行により日本列島の北西〜北で尾根(高気圧性循環偏差)域があり,太平洋高気圧はこの尾根と一体となるように強まった印象を持ちました。

◆梅雨明け発表後富士山が
 関東甲信地方の梅雨明けが発表された 7月16日の夕刻,ベランダから富士山が望めました。その後も22日まで,朝あるいは夕刻に富士山を見ることができました。
 夏場に富士山はあまり見えないと思ったので,館野の高層観測データを見てみました。7月中旬の各日の21時(日本標準時)の 850,700,500hPaの温度,温度平年差,ジオポテンシャル高度,相対湿度についてみてみました。
 温度は,850hPa,500hPaでは7月16日に前日より2.0℃上昇,700hPaでは15日に1.9℃上昇しています。ジオポテンシャル高度は,15日に前日差,850hPaでは30m,700hPaでは45m,500hPaでは48mの上昇となっており,大気の状況もこのころに高気圧の勢力下となったことを示唆しています。
 さて,相対湿度です。850hPaでは16日に51%と前日に比べ27ポイント下がっています。その後も40%程度となっています。700hPaでは15日に73%と21ポイント下がり,16日には9%にまで大きく下がっています。500hPaも16日に5%と大きく下がっています。
 相対湿度は,温度が上がれば水蒸気量,露点温度が同じでも下降します。露点を算出し,相対湿度の下降が温度によるものでないことを確かめました。3層とも7月16日に前日に比べ大きく下降しています。乾いた大気におおわれており,太平洋高気圧というより,北の高気圧の大気のように思えました。

表 850hPa,700hPa,500hPaの温度と平年差(℃)
館野 7月11日〜20日 21時
850hPa 平年差 700hPa 平年差 500hPa 平年差
7月11日 18.2 0.3 7.8 −1.1 −8.2 −2.7
7月12日 17.5 −0.4 8.2 −0.8 −8.4 −3.0
7月13日 15.5 −2.5 7.1 −2.0 −8.2 −2.9
7月14日 16.8 −1.3 6.2 −2.9 −7.5 −2.2
7月15日 16.8 −1.3 8.1 −1.1 −7.0 −1.8
7月16日 18.8 0.7 10.0 0.8 −5.0 0.2
7月17日 19.6 1.4 11.9 2.6 −4.4 0.7
7月18日 20.6 2.4 11.1 1.8 −5.7 −0.7
7月19日 21.2 3.0 8.3 −1.1 −4.9 0.1
7月20日 20.7 2.4 10.2 0.7 −4.9 0.0


表 850hPa,700hPa,500hPaのジオポテンシャル高度(m),
相対湿度(%)    館野 7月11日〜20日 21時
高度 高度 高度 相対湿度 相対湿度 相対湿度
850hPa 700hPa 500hPa 850hPa 700hPa 500hPa
7月11日 1519 3153 5849 65 79 60
7月12日 1518 3153 3164 87 75 60
7月13日 1533 3164 5860 90 87 92
7月14日 1557 3184 5875 71 94 82
7月15日 1587 3219 5923 78 73 81
7月16日 1591 3231 5945 51 34 5
7月17日 1563 3211 5936 52 9 4
7月18日 1561 3211 5928 49 32 38
7月19日 1566 3208 5926 37 58 9
7月20日 1556 3200 5920 46 58 14


表 850hPa,700hPa,500hPaの露点温度(℃)
館野 7月11日〜20日 21時
850hPa 700hPa 500hPa
7月11日 12 4 −15
7月12日 15 4 −10
7月13日 14 5 −9
7月14日 12 5 −10
7月15日 13 4 −10
7月16日 8 −5 −39
7月17日 9 −20 −37
7月18日 10 −5 −16
7月19日 6 1 −33
7月20日 9 2 −28





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