ある町の高い煙突(文春文庫)新装版 発売
(2018.05.19 掲載)


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ある町の高い煙突(文春文庫)新装版 発売
(2018.05.19 掲載)

 2018年3月,文春文庫から,新田次郎 作 ある町の高い煙突 の新装版が発売になりました。
 1978年に文庫化(文春文庫)化され,その時分にも読んだのですが,印象に残っていません。約40年ぶりにあらためて読んでみました。
 この小説は,日立鉱山の銅精錬にともなう亜硫酸ガスによる農作物,森林被害の軽減に向けての,住民,企業の取り組みを描いたものです。
 煙害を軽減に向け,気象観測を開始し,風の状況により操業を変動させることや,高い煙突の有効性を検討するために上空の気象観測を行うことが書かれています。
 人名は変えてありますが,地名等はそのまま用いられています。

 舞台は,常磐道日立中央ICから少し北の谷筋が精錬所のある大雄院,県道36号線にそって,曲がりくねった道を上り,トンネルを抜け,少し下ったところが(主人公の暮す)入四間です。
 山と海が近いことや,(舞台となった地区は)精錬所の北西方向,峠をひとつ越えたところ,といったことがわかっていると,物語の中にでてくる,冬の季節風や,逆転層,霧のこともわかりやすいかと思います。
 地理院地図(https://maps.gsi.go.jp)や Google Map などを参考するとよいと思います。

 話のなかに高層観測がでてきます。ひとつは煙突建設前の観測で,この観測記録は残っていないようです。
 その後,1915年から1924年の約10年高層観測が行われたていたようです(*1)。
 高層気象台(つくば市館野)の設置が1920年,高層観測開始が1921年4月です(*2)ので,中央気象台(現気象庁)に先駆けて高層観測を実施したことになります。
 日立鉱山の気象観測は1952年に終了しましたが,これを引き継ぐ形で日立市天気相談所が発足しています。

 当時の観測記録は,現在,日立市郷土博物館に保管されており,観測データというより,歴史資料といった扱いになっています。
 この貴重な観測データは,存在もあまり知られていないようで,研究者などにお話すると,とくに高層観測データについては,驚きとともに強い関心を示されます。デジタル化され,広く研究に用いられるといいのですが。

 さて,「ある町の高い煙突」は2017年映画化することが発表され,2018年5月に撮影が始まったようです。映画の完成,上映も愉しみです。

*1 日立市天気相談所60年のあゆみ(2014,日立市)
*2 高層気象台ホームページ 沿革
( http://www.jma-net.go.jp/kousou/information/enkaku/index.html )






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