| 暖候期予報資料(2019年)を読む |
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| (2019.02.12 掲載) |
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2月9,10,11日と寒い日が続きましたが,2019年2月10日に,暖候期予報(夏の予報)の資料が公開されました (スーパーコンピューターシステムの障害の影響は大丈夫だったのでしょうか) 。 |
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暖候期予報資料について,気づいた点を記します。 |
| 資料は Tokyo Climete Center の web site から取得しました。その他,エルニーニョ監視速報や,海洋,大気の状況については気象庁の web site を参考にしました。 |
| ◇(熱帯の)海面水温 |
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| 海面水温に注目するのは,大気より変動がゆっくりであることから,ずっと先の大気の予報への重要なシグナルになるからです。 |
| 現在エルニーニョ(現象)が起こっていますが,2019年2月12日のエルニーニョ監視速報によれば、赤道域の海面水温には 160゚E〜180゚ に 1℃以上の正偏差域が見られます。また西部熱帯太平洋域ではところどころ平年を下回る海域も見られます。 |
| エルニーニョ監視速報は,「夏にかけエルニーニョ現象が続く可能性が高い」といっています。 |
| さて,予報資料の 6〜8月の海面水温は,160゚E〜180゚ に 1℃以上の正偏差域があり,海面水温自体も 30℃を越えています。さらに東の 170゚W〜100゚W でも 1℃以上の正偏差となっており,エルニーニョ現象の続くことを示しています。 |
| 一方,日付変更線から西でも海面水温は平年より高い,ことを資料は示しています。 |
| ◇降水量 |
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| 熱帯域の降水量の多寡は対流活動の活発・不活発の目安です。 |
| モデルの降水量は海面水温に敏感ですので,海面水温の高いニューギニアから日付変更線付近にかけ,降水量は正偏差となっています。フィリピンや南シナ海,ベンガル湾などでも,海面水温は弱いながらも正偏差であることから,平年を上回る降水を予測しています。 |
| ◇200hPa速度ポテンシャル,200hPa流線関数,850hPa流線関数 |
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| 200hPa速度ポテンシャル:発散の中心位置はフィリピン付近と平年とあまり変わらないですが,発散自体は平年より弱いと予測されています。 |
| 200hPa流線関数:フィリピン付近の発散が平年より弱いことから,30゚N以北では低気圧性偏差となっており,サブジェットは例年より南(北上しない)ことを示唆しています。 |
| 850hPa流線関数:太平洋の 20゚N帯で高気圧性偏差,その北の日本列島付近では低気圧性偏差となっています。気温の極端に高かった2018年6〜8月は,南シナ海から東シナ海,日本列島の南で低気圧性偏差,日本列島付近は高気圧性偏差とこの予測資料とは逆のパターンでした。 |
| ◇北半球500hpa高度天気図,地上天気図 |
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| 北半球500hpa高度:北半球全体で500hpa高度が平年より高い予想となっています。エルニーニョ発生後,数か月後に全球的に高度の上がることが知られており,そのようなパターンです。 |
| 日本付近の5880mの等高度線は西に延びています。また,5820mの等高度線は,極端に暑かった2018年は朝鮮半島の付け根付近から仙台付近でしたが,予測資料では朝鮮半島南部から茨城県と福島県の県境あたりで,また走向も日本列島付近で南に凸となっています。 |
| 大陸沿岸からオホーツク海にかけては,分流はあるものの,尾根も北へ大きく張り出してはいません。この緯度帯の予測精度はよくありませんが,資料はオホーツク海高気圧などによる寒気をあまり予測していません。 |
| 地上天気図:東日本以北では負偏差で,また等圧線も西や北西に延びておらず,太平洋高気圧の日本付近への張り出しは強くありません。 |
| ◇まとめ |
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| (1)海面水温や対流活動活発域 160゚E〜180゚ 付近の海面水温が高く,このあたりで対流活動が活発であると日本付近への太平洋高気圧の張り出しはあまり期待できません。 |
| (2)200hPa速度ポテンシャル・偏差,200hPa,850hPa流線関数偏差 対流活動に対応し,サブジェットの北上,太平洋高気圧の張り出しがあまり期待できず,夏空におおわれるというより不順な天候がイメージされます。 |
| (3)500hPa高度偏差,850hPa温度偏差は高温を示唆しています。 |
| (4)地上天気図では,太平洋高気圧の日本付近への張り出しは弱くなっています。 |
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(5)予測成績は熱帯がよく,中高緯度は熱帯より悪い。 |
| これらをどのように勘案するか,気象庁が2月25日に発表する暖候期予報を注目! |
| ◆季節予報や予報資料を理解する上での参考資料 |
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| (1)季節予報作業指針 |
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気象業務支援センターから 平成24年度季節予報研修テキスト として発売 季節予報や対象とする現象,注目する現象について丁寧に解説されている。 |
| (2)季節予報の基礎 講義ノート(2007年版) |
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かつて気象庁内の研修で配布された講義ノート。 2.何が予報できるのか? は,季節予報にはごく当たり前のことながら,余り記述されることのない基本的なことが書かれている。 ●利用上の注意 5.気象庁の行っている長期予報・季節予報 は現在では改められているので省いてある。予報資料についても同様。 平年値が1971-2000年と現行の1981-2010年と異なる(傾向的には変わらないが,数値は異なる)。 |
| (3)気象予報士ハンドブック 第5編第5章 気候・天候の監視 |
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季節予報で注目する現象について簡潔に解説している。 |