| 暖候期予報資料(2023年)を読む |
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| (2023.02.18 掲載) |
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| 2月10日にエルニーニョ監視速報が発表され,また,TCC/JMAの web-site で2023年の暖候期予報資料(数値予報資料)が公開されました(sunny spot の web-site では,3か月,暖・寒候期の資料が更新されていないようです)。 |
| 資料は Tokyo Climete Center の web siteから取得しました。その他,エルニーニョ監視速報,海洋,大気の状況について気象庁の web site を参考にしました。 |
| また,モデルの検証結果については Tokyo Climete Center の web site を参考にしました。 |
| 今回は,気象庁配信の資料(FAX天気図)が手に入らないので,高偏差確率やヒストグラムといった,メンバー間のばらつきや確度について理解しやすい資料を見ることができません。したがって,主にアンサンブル平均図について見ていきます。 |
| ◆(熱帯の)海面水温 |
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| エルニーニョ監視速報(2023年2月10日)は,ラニーニャ現象は冬の終わりまでに終息し,その後,夏にかけてエルニーニョ現象が発生する可能性と平常の状態が続く可能性が同程度,と述べられています。 |
| エルニーニョ監視速報の,図5(下)の2023年1月のインド洋から太平洋の赤道に沿った平年偏差の断面図に見られる,西部太平洋域(120゚E〜180゚)の水深100〜200mの大きな正偏差(平年より海水温が高い)がゆっくり東へ広がり,かつ,海面まで平年を上回ることが予想され,エルニーニョ現象となる可能性は50%ということです。 |
| 2023年6〜8月の海面水温の予想図(アンサンブル平均)では,太平洋の赤道付近は,南米大陸沿岸で1.5〜2.0℃程度の正偏差で,また,エルニーニョ監視海域でも1.0℃程度の正偏差となっており,エルニーニョ現象を思わせます。また,西部太平洋の赤道域もでも平年を上回っており,太平洋赤道域全体が正偏差となっています。 |
| 南シナ海やベンガル湾では0.0〜−0.5℃程度の負偏差,フィリピンの東方では0.0〜0.5℃の正偏差となっています。 |
| ◆降水量 |
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| ベンガル湾や南シナ海,フィリピン付近で平年より多くなっていますが,平年より降水量の多い領域の北端が15゚N付近で,ちょっと南に偏っているような印象があります。また,海面水温が正偏差と予想されているニューギニアの北東で多い(偏差が大きい)のが目立ちます。 |
| インド洋の中・東部では,赤道から南半球側で平年より少なくなっています。 |
| 大陸から日本列島付近にかけても多くなっていますが,メンバー間のばらつきは大きいようです。日本列島付近の予測精度はよくなく,東シナ海から南西諸島の東,日本列島の南にかけて(周辺より)少しよい,といったところです。 |
| ◆200hPa速度ポテンシャル |
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| 西部太平洋で発散,インド洋で非発散偏差となっています。発散の中心はフィリピンの東です。 |
| ニューギニアの北東で降水量が多いことから,ニューギニアの北を偏差の中心として西部太平洋で発散偏差となっています。ただし,この領域の予測精度は周辺に比べよくありません。 |
| インド洋では,赤道付近から南半球にかけ降水量が平年より少なく予想されていることから,インド洋中部の南半球を中心に非発散偏差となっています。 |
| ◆200hPa流線関数 |
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| 北半球で全体的に低気圧性偏差となっています。 |
| ベンガル湾からフィリピンの東部にかけては,降水量が平年を上回ることから高気圧性循環偏差ですが,その北では低気圧性循環偏差となっています。 |
| 200hPa速度ポテンシャルがインド洋で非発散偏差ということ,降水量の多い領域の北端が15゚N付近と少し南であることで,亜熱帯ジェットがあまり北上しない,ということを示しているようです。 |
| ◆850hPa流線関数 |
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| フィリピンの東西で低気圧性循環偏差で,降水量が平年を上回る領域より少し北が中心となっています。 |
| 日本周辺は東西に広く低気圧性循環偏差で,太平洋高気圧の勢力や,日本列島付近への張り出しは強くないことを示唆しています。 |
| ◆北半球500hpa高度天気図 |
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| 北半球全体で正偏差と高度が高くなっています。大西洋側で顕著です。 |
| 日本列島付近は,5〜10m程度の正偏差で,メンバー間の差もあるようです。大陸で正偏差が大きく,日本列島の西で(正偏差ながら)谷となっています。 |
| なお,日本列島南岸の予測精度はあまりよくありません。 |
| ◆北半球850hPa温度 |
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| 日本列島付近は東西に広く0.0〜0.5℃の正偏差となっています。日本列島南岸の予測精度はあまりよくありません。 |
| ◆北半球海面気圧 |
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| 太平洋から日本列島の南にかけて0〜1hPaの負偏差,日本列島から日本にかけては0〜1hPaの正偏差となっています。太平洋で弱いながら負偏差で,太平洋高気圧は強くなく,また,日本列島付近への張り出しも強いとはいえそうにありません。日本列島南岸の予測精度はあまりよくありません。 |
| ◆雑感 |
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| ・インド洋から西部太平洋の熱帯域の降水量は平年より多いように見えますが,200hPa流線関数は低気圧性循環偏差となっています。降水量の多い領域が少し南であることによるためと解釈しました。 |
| ・200hPa流線関数が低気圧性循環偏差ということで,亜熱帯ジェットはあまり北上しない,と考えられます。しかし,500hPa高度,850hPa温度は北半球全体で正偏差と予想されています。エルニーニョ現象発生数か月後に全球の温度が上昇,500hPa高度や850温度が全球的に正偏差となりますが,まだエルニーニョ現象とはなっていないので,その影響とはいえないように思います。 |
| ・日本の南東海上に低気圧性循環偏差の領域があり,海面気圧も負偏差でフィリピン付近に連なっている,降水量も平年を上回る,スプレッドが大きい,ことから,アンサンブル予報のメンバーの中には,熱帯擾乱を形成,日本列島の南東を北東進させているような予測をしているメンバーがあるのかもしれません。 |
| ・数値予報資料から(理解できていない点もありますが),気温は平年を上回るものの,平年より曇りや雨の日が多い,といった印象をもちました。 |
| 2月25日に気象庁から発表される暖候期予報の解説に注目したいと思います。 |
| ◆季節予報や予報資料を理解する上での参考資料 |
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| (1)季節予報作業指針 |
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気象業務支援センターから 平成24年度季節予報研修テキスト として発売 季節予報や対象とする現象,注目する現象について丁寧に解説されている。数値予報モデルやガイダンスは新しくなったので,モデルの特性などは異なっている。 |
| (2)季節予報の基礎 講義ノート(2007年版) |
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かつて気象庁内の研修で配布された講義ノート。 2.何が予報できるのか? は,季節予報にはごく当たり前のことながら,余り記述されることのない基本的なことが書かれている。 ●利用上の注意 5.気象庁の行っている長期予報・季節予報 は現在では改められているので省いてある。予報資料についても同様。 平年値が1971-2000年と現行の1981-2010年と異なる(傾向的には変わらないが,数値は異なる)。 |
| (3)気象予報士ハンドブック 第5編第5章 気候・天候の監視 |
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季節予報で注目する現象について簡潔に解説している。 |