寒候期予報(2017年)
(2016.09.23 掲載)


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 2016年9月23日,気象庁から冬の予報,寒候期予報が発表されました。
 Tokyo Climate Center の Website に数値予報資料(予想天気図)が掲載されていますので,それらを見ながら,資料の特徴やどのような点に着目するのかまとめてみました。

 なお,資料は以下の URL から取得しました。

http://ds.data.jma.go.jp/tcc/tcc/products/model/map/4mE/map1/zpcmap.php
http://ds.data.jma.go.jp/tcc/tcc/products/model/map/7mE/map1/pztmap.php


◆予測資料の特徴
(1)海面水温(図の左上に SST と表記されています)
 赤道域は東経150度以東で負偏差,日付変更線以東では負偏差は0.5℃を超え,1.0℃を超える領域も見られます。東経150度以西は0.5℃を超える正偏差となっており,ラニーニャ時の海面水温の偏差分布と似た様相を呈しています。南シナ海はわずかながら平年を下回っています。

(2)熱帯域の降水量(RAIN)
 赤道域は海面水温に対応するように,東経150度以東で少なくなっています。熱帯域(赤道域のすぐ北やすぐ南)では,西部太平洋熱帯域からインド洋東部にかけて平年より多く,とくに南半球で顕著に多くなっています。降水量が多いことは,その領域で対流活動が活発であることを示します。
(赤道域:おおむね北緯5度〜南緯5度,熱帯域:おおむね北緯20度〜南緯20度,ということで使っています。)

(3)200hPa速度ポテンシャル(CHI200)
 熱帯域の降水量の空間分布に対応し,西部太平洋からインド洋東部で平年より発散が大きく,中部太平洋で平年より収束が大きくなっています。
 西部太平洋からインド洋東部の熱帯域で対流活動が活発であることを示しています。

(4)850流線関数(PSI850),200hPa流線関数(PSI200)
 850hPa流線関数では,フィリピン付近からマレイ半島にかけ低気圧性循環偏差,赤道をはさみオーストラリア北部西岸からインド洋東部で高気圧性循環偏差(注:南半球ですので高気圧性循環偏差で示されますが,低圧になります)となっています。それぞれの東,東経150度以東は,北半球では高気圧性循環偏差,南半球では低気圧性循環偏差となっています。対流活動の活発な東経100度から130度付近で低気圧性偏差,負活発となる東経150度以東で高気圧性偏差となっています。
 200hPa流線関数は850hPaとは逆に,フィリピン付近からマレイ半島にかけ高気圧性循環偏差,南半球では低気圧性循環偏差,東経150度以東では北半球が低気圧性循環偏差,南半球が高気圧性循環偏差となっています。
 これらはラニーニャ時の特徴的な分布です。
 200hPa流線関数の北半球中緯度(北緯30〜40度帯)を見てみると,華中から東シナ海にかけて,北米大陸西岸,大西洋に高気圧性偏差の中心があり,その間では,高気圧性偏差であるもののいくらか弱くなっています。
 850hPa流線関数では,高気圧性偏差の中心は200hPaと近い位置にあり,その間,日本列島付近,北米大陸東岸では低気圧性偏差となっています。

(5)北半球500hPa高度
 カスピ海からその東にかけてアメリカ西部カリフォルニア付近,大西洋に正偏差の中心があり,ヨーロッパからヨーロッパロシア,ユーラシア大陸東岸から日本付近,北アメリカ大陸東部で谷場で,日本付近は弱いながら負偏差となっています。大気の蛇行を示しています。ただし,民間気象事業者向け資料の QLVX62 の PROB. OF H.ANOMALY AND HEIGHT を見ると,カスピ海付近,カリフォルニア付近は大きな正偏差の可能性が大きいものの,大西洋の正偏差,日本付近の負偏差が大きい可能性は大きくありません。

(6)北半球海面気圧
 500hPa高度と同様のパターンです。低圧部の中心はベーリング海で,低気圧の発達はほぼ平年並と見てよいでしょう。日本の北に負偏差の中心があり,例年より西,日本列島の北で低気圧が発達することを示唆しています。

(7)北半球850hPa温度
 東日本沖,西日本,南西諸島から華南にかけ,弱いながら負偏差となっています。


◆資料から日本の天候を考える
(0)肝
 海洋の変動は大気に比べゆっくりです。長い時間にわたり同じような状態の続くことで大気へ大きな影響を及ぼします。 エル二―ニョやラニーニャは,1年を超えるような長い時間継続し,また,変動の幅が大きいことから,熱帯域の海洋の変動とその応答としての熱帯大気の予測が,寒候期予報のような先々の予測に対して情報をもっています。
 これらをふまえ,日本付近など中高緯度の大気の流れについて評価する,ことが肝要です。

(1)ラニーニャ,熱帯域の対流活動
 海面水温がラニーニャ時の様相を呈し,熱帯域の対流活動もラニーニャ時のような分布になっています。熱帯域の大気の循環はこの対流活動に対応し,ラニーニャ時の特徴を示しています。
 これまでの経験では,西部太平洋熱帯域で対流活動が活発であると日本列島付近は低温となる傾向があります。

(2)大気の蛇行
 200hPa流線関数,北半球500hPa高度の偏差パターンは,日本付近が谷となるような蛇行の可能性を示唆しています。
 500hPa高度の予想では,バイカル湖付近は,正偏差の可能性が大きいものの,強い正偏差の可能性は小さく,また,日本付近も強い負偏差の可能性は小さくなっています。長期にわたり,日本付近に寒気が南下する,ということではなさそう。

(3)寒気は西
 ベーリング海で発達する(海面気圧が負偏差となる)ようであれば寒気は北日本に流入しますが,今回の予想では,例年に比べ,低気圧が日本の北で発達することを示しており,このような気圧配置では,寒気は西日本に入ります(大陸の高気圧を固定し,低気圧の位置をずらしたとき,大気の流れ(風)を考えてみてください)。

◆まとめ(?)
 予報すると法律違反になるので,予報資料の特徴や留意すべき事柄を記述しました。
 予報は気象庁や気象業務許可を得ている民間気象事業者のものをご覧ください。

◆季節予報や予報資料を理解する上での参考資料
(1)季節予報作業指針
 気象業務支援センターから 平成24年度季節予報研修テキスト として発売
 季節予報や対象とする現象,注目する現象について丁寧に解説されている。

(2)季節予報の基礎 講義ノート(2007年版)
 かつて気象庁内の研修で配布された講義ノート。
 2.何が予報できるのか? は,季節予報にはごく当たり前のことながら,余り記述されることのない基本的なことが書かれている。
●利用上の注意
 5.気象庁の行っている長期予報・季節予報 は現在では改められているので省いてある。予報資料についても同様。
 平年値が1971-2000年と現行の1981-2010年と異なる(傾向的には変わらないが,数値は異なる)。






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