寒候期予報(2017年)をふりかえる
(2017.03.13 掲載)


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 2017年の冬(2016年12月〜2017年2月)の天候や大気・海洋の状況等の資料が出揃いました。
 2016年9月23日に気象庁から発表された予報では,北暖西冷の傾向でしたが,全国高温となりました。
 寒候期予報の数値予報資料(予想天気図)と実際の状況との違いや天候への影響を考えてみたいと思います。  

 なお,資料は以下の URL から取得し,予想と実況の比較のために一部加工しました。

http://ds.data.jma.go.jp/tcc/tcc/products/model/map/7mE/map1/pztmap.php
http://ds.data.jma.go.jp/tcc/tcc/products/clisys/figures/db_hist_3mon_tcc.html
http://ds.data.jma.go.jp/tcc/tcc/products/elnino/ocean/index_tcc.html


(1)海面水温
 海面水温の予想では東経150度以東で負偏差でしたが,実況ではもう少し東の東経170度以東となっています。また,0.5℃を下回るような負偏差域も予想より実況のほうが狭くなっています。中部太平洋赤道域の負偏差は,予想より早く平年に近づき,ラニーニャは終息しました。
 余談ですが,南米大陸の太平洋岸では1℃を上回るような正偏差がみられます。沿岸の地域は,エルニーニョ時以外はほとんど降水のない地域ですが,この1,2月には降水がありました。

(2)熱帯域の降水量
 次に降水量の予想とOLR(Outgoing Longwave Radiation:外向き長波放射量)を比較します。OLRは対流活動の目安となる量です。
 赤道域の予想降水量は,東経150度付近を中心に130度以東で少なくなっています。OLRでは,日付変更線付近を中心に東経150度以東で高く(対流が不活発)となっています。予想(の系)が少し西に偏っていたようです。

OLR Rain

外向き長波放射量偏差分布(上)と降水量偏差分布の予想(下)
(2016年12月〜2017年2月)

(3)200hPa流線関数
 予想では,フィリピン付近からマレー半島にかけ高気圧性循環偏差,南半球では低気圧性循環偏差,東経150度以東では北半球が低気圧性循環偏差,南半球が高気圧性循環偏差と,ラニーニャ時の特徴的な様相を示しています。
 実況では,ラニーニャが終息したことや,降水量(OLR)が南太平洋の熱帯域で活発であったことなどから,ラニーニャ時の特徴的なパターンに比べると,東西のコントラストが明瞭でありません。

(4)850流線関数
 予想では,フィリピン付近からマレー半島にかけ低気圧性循環偏差,赤道をはさみオーストラリア北部西岸からインド洋東部で高気圧性循環偏差なっています。それぞれの東,東経150度以東は,北半球では高気圧性循環偏差,南半球では低気圧性循環偏差となっています。
 対流活動の活発な東経100度から130度付近で低気圧性偏差,不活発となる東経150度以東で高気圧性偏差となっています。

(5)北半球500hPa高度
 予想では,北ヨーロッパに負偏差,その東で正偏差でしたが,実況は逆で,北ヨーロッパは正偏差,その東,ノバヤゼムリヤからカスピ海,黒海,地中海にかけて谷場・負偏差となっています。日本の北での正偏差は弱く,EUパターンとはいえません。
 日本付近は大きな偏差はなく,予想では日本の北に負偏差域がありましたが,実況では東海上となっています。

(6)北半球海面気圧
 予想では,低圧部の中心はベーリング海で,低気圧の発達はほぼ平年並,日本の北に負偏差の中心があり,例年より西,日本列島の北で低気圧が発達することを示唆していました。
 実際には,低圧部がカムチャツカ半島のすぐ東でしたが,日本付近の偏差パターンは予想と大きく変わりませんでした。

Ps

北半球地上天気図(左)と予想図(右)
(2016年12月〜2017年2月)

 まとめると,
 ラニーニャは終息しましたが,海面水温偏差の分布は西部太平洋赤道域で正偏差,中部太平洋赤道域で負偏差と,ラニーニャの偏差を小さくしたパターンでした。太平洋赤道域の海面水温の予測が少し西に偏ったこと,それにともない降水量のパターンも西に少しずれましたが,(もともと予測可能性が大きいとはいえ)熱帯の循環の予想はよくできていたように思います。

 北半球中高緯度の予想は,ヨーロッパから西シベリアで逆の偏差パターンになってしまいましたが,日本付近の偏差パターンについては,よく予想できていたと思います。

 とはいえ,予報のような「西廻りの寒気」はほとんど入りませんでした。

 予想天気図と実況天気図と比較しても,日本列島付近の等圧線の走向や気圧傾度など大きな違いはなく,理由が見当たりません。
 あえていうならば,日本の南海上の高気圧が予想より強かった,このため,日本付近へは寒気が入りにくかった,というところでしょうか。






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