新しい平年値と今までの平年値
(2021.05.19 掲載)


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 2021年5月19日より新しい平年値が使用されることが発表されています(平年値の更新について 〜平年値(統計期間1991〜2020年)を作成しました〜  https://www.jma.go.jp/jma/press/2103/24a/210324_heinenchi.html)。

 東京の新旧平年値について,比較してみました。
 いろいろなことが思い浮かび,うまくまと纏められません。ここでは,旬平年値に限って,思いついたことを記したいと思います。

 なお,旧平年値を2010平年値,新しい平年値を2020平年値と記します。それぞれ,1981−2010年,1991−2020年の30年の観測値をもとに作成された平年値です。


 図は,旬平均気温(日平均気温の旬平均),旬降水量(降水量の合計),旬間日照時間について,2020平年値から2010平年値を差し引いた差を示したものです。
◇日平均気温の旬平均(赤折れ線)
 平均気温の新旧平年値の差(赤折れ線)は,12月下旬が0.0℃のほかは,2020平年値が2010平年値を上回っています。2月下旬から3月下旬,5月中,下旬,6月下旬から7月中旬などで差が大きく,12月は差が小さく,なっています。
 2020平年値で最も低いのは,1月中旬と下旬の5.2℃で,2010平年値では,1月下旬が5.0℃,1月中旬が5.1℃で,低温のピークがほんの少し前になったような印象があります(図略)。
 2月下旬から3月下旬の差の大きいことは,暖かくなるのが早い,ということのように思います。
 また,9〜11月では平年値の差が0.4℃程度ですが,12月には0.0〜0.1℃と小さくなっており,11月から12月にかけて気温の下がり方が大きくなったということを示しているようです。


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図 新しい平年値と旧平年値との差
赤折れ線:旬平均気温 緑棒:旬降水量 橙折れ線:旬間日照時間
それぞれ2020平年値から2010平年値を引いたもの


◇旬降水量(緑棒)
 旬降水量の新旧平年値の差(緑棒)には,差の大きな旬がいくつかあります。目立つのは,3月上旬,9月上旬,10月上〜下旬の増加と,3月中・下旬,6月下旬,8月上旬の減少でしょうか。
 東京では,冬には北西風が吹き,晴天が多く,立春のころから曇りや雨が増えてきます(2010平年値ですが,「春分  二十四節気を現代の天候から観る(2016.03.03 掲載) http://hw001.spaaqs.ne.jp/nabex/NWC/nijyushi_sekki_3.html に記載してあります)。3月上旬に大きく増加していますが,中・下旬は減少しており,2月下旬からの旬平均気温の上昇も大きいことや,3月中・下旬の日照時間の増加と,2,3月の天候が変わってきたのでしょうか。 
 9月上旬の降水量の多寡は台風に左右されます。2010年代は台風の接近,上陸など台風に関連した大雨の年が多く,1980年代は,2010年代にくらべると少なかったことでこのようなことになったと思います。 
 10月上〜下旬は,東京では秋雨の時期です。3旬にわたり増えているので,循環場にも違いが表れているように思います。格子点値等を扱う手立てがあればぜひ調べてみたいところです(注)。
 8月上旬は,梅雨明け後で高気圧におおわれ晴天の多い時期,といった印象がありますが,1980年代は,梅雨明け後も太平洋高気圧の張り出しが弱く,晴天が続かなかったり,台風や熱帯低気圧の影響を受けた年が多かったと記憶しています。この1980年代の値が用いられなくなったことで新平年値が小さい値となったのではないかと思います。

注:佐藤ら(2021)では,地球全体や北半球について,季節平均(3か月平均)について,年々の各事例における平年偏差分布の特徴に大きな変化はないこと,地球温暖化に伴い全球的に対流圏気温の上昇が見られることを指摘している。
佐藤均,佐藤大卓,2021:大気循環場の新旧平年値の比較,日本気象学会長期予報研究連絡会拡張要旨(日本気象学会 Web site)


◇旬間日照時間(橙折れ線)
 旬間日照時間の新旧平年値の差(橙折れ線)では,増えている旬が,減少している旬より多く,年を通すと日照時間は増えています。3月中・下旬,6月下旬〜7月中旬は複数の期間続いて増加しています。
 3月中・下旬は降水量のところでも記述しましたが,2月上旬から3月下旬にかけ,次第に日照時間が減り,降水量が増えていきます。日々の天気でいえば,冬場の晴天続きから,曇りや雨の日が増えてくる,数日の周期で天気が変わるようになる時期です。以前より少しばかり雨の日が少なくなったということを示していますが,天気の変動のある時期ですので,平均期間のとりかたによっても変わってくるのかもしれません。
 6月下旬〜7月中旬は梅雨期です。6月下旬は降水量も減少しており,雨の日が少なく,晴れの日が増えたことを示唆しています。7月上・中旬は降水量も少し増えており,晴れの日が増えたことと,降るときは雨量が多い,といったことが想像されます。

おわりに
 東京の旬平年値について,気づいて点を簡単に記述しました。
 降水量,日照時間は気温に比べると日々の変動が大きく,30年の平均をしても極端な値の影響が残ることがあります。
 大きな差の見られた旬について,手が回りませんでしたが,各年の状況などを見てみるとまた違った見方ができるかもしれません。





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