−テニスの執事様−
テニス部顧問奮闘記

ここは全くテニスに興味のない人には無縁なページです。ただの 「テニス部顧問日記」です。日頃部活を見ていて感じたこと、試合の様子など、 ただのテニス好きが顧問としていかに奮闘しているかを、ダラダラ書くことにしました。まっ、これもO−TEACHERの 一面ということで興味のあるかただけどうぞ。

平成16年6月6日 更新 ここをクリックすると最新のところへジャンプ!


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  • 14.顧問というスタンス

    部活のミーティングでもこれに近い話をしたのだが、改めて自分のために 書いておきたいと思う。それは私がテニス部の顧問をやる上でのスタンスについて。 こう書くと大仰のようだが、どういうつもりで顧問をやってるかということである。

    確か合宿の時の夜のミーティングで話したが、テニス部にはいるにはたったひとつの 条件があるという話。それは「テニスが(一番)好きである」ということ。 たったそれだけのことである。そんなの今更何を言うかと言うことかも知れないが 実はこれが決定的に大事な条件なのだ。つまりテニスが好きである=テニスが うまくなりたい=上手くなるためにはどんな努力もいとわない=きつい練習も 好きなテニスのためなら頑張れる..という公式が成り立つはずなのだ。 だから「テニスが好きである」ということはテニス部員でいる必須条件なのだ。 そういう根本のところが間違っていなければ、きつい練習の必然性も 日々の努力も、すべて上手くなりたいという意思の元、前向きに取り組めると 思うのだが違うだろうか。

    とは言ってもである。人間それほど強くはない。自分に厳しくなって、テニスが 上手くなるためにきつい練習を自ら課せる人は少ない。プロ意識でもない限り そうそう己に厳しくいつもいつもやっていられるわけはない。(ジュニアの選手達は やっているが)ましてや高校の部活である。 なにもみんな超スーパーテニスプレーヤーにするわけではない。 それに高校生だから、もちろん勉強もせねばならない、友達とも遊びたい、恋もしたい(^^;) テニスだけやっている熱血スポ魂高校生というわけにはいかない。 そこそこテニスで楽しみ、そこそこ楽しく遊び回る。そういうやり方も 決して否定しない。しかしそれならそのあたりのテニスクラブでも入った方が よっぽど楽しいだろう。でも私が預かっているのは高校のテニス部だ。 プロとは行かないまでも、競技スポーツとして上を目指す部分も大切である。 だからこそである。「テニスが(一番)好き」であれば、ある程度の自分の 欲求を我慢することが出来るかも知れない。遊びたいけれど部活があるから...。 友達と出かけたいけれど試合があるから...。そういうところで二者選択が迫られ くる。部活と遊び、それはなかなかうまくきれいに両立しがたいものなのだ。 本当に自分の中でテニスの優先順位が高ければ、少しはそういう遊びたい心が 後回しになり、厳しい練習に耐えたり、試合で頑張れるようになると思うのだ。

    高校の部活だから、そんなに勝つことにこだわらず適当にやればいいと いうのもわかる。しかしスポーツをした人にはわかると思うのだが、 やればやるほどはまるし、上手くなればなるほど楽しくなるし、適当にやっても 本当の楽しさはわからないのだ。それにここで一生懸命やった経験は おそらく何物にも代え難いし、長い人生の中で一番輝ける瞬間なのだ。 厳しい練習も長い目で見れば素晴らしい財産となるのだ。

    でもこう書くと、顧問の勝手な言い分だと言われるかも知れないし、確かに そうとも言える。ただ私もかつてはテニス少年だった。きつい練習に文句ばかり言い、 厳しいトレーニングを課す顧問を陰で悪口を言い、でもそれでもテニス部は辞めなかった。 それはテニスが好きだったから。試合で勝った時の嬉しさは何ものにも代え難かったから。 あの興奮と緊張感と高揚感、それはどんなレベルのプレーヤーにも平等に 訪れる、神の時間なのだ。テニスコートに立つ自分だけに与えられた、 厳しい練習を堪えた者だけに与えられた、神聖な一瞬なのだ。これは経験した者にしか わかってもらえないとも思う。試合で負けた時の悔しさ、絶望、無力感.... すべて自分の責任だという容赦ない孤独。でもそれをひっくるめてもすべて テニスなのだ。そうしてあの勝った時の素晴らしい感動を是非選手に味わって欲しいのだ。 そのためだけに顧問としての私がいると思っている。

    「テニスが(一番)好きであること」そう、それは実は顧問という立場の私に 課せられた言葉でもあるのだ。もちろん私はテニスが好きである。でも一番では ないかもしれない。でも多分自分の中ではかなり上位に入ることは間違いない。 そしてせっかくその好きなテニスで味わえる至福の瞬間を、是非選手に体験して欲しいと いつも願っている。しかしスポーツには勝ち負けが付いて回る。勝つ者がいれば 負ける者がいる。勝ったという美酒に酔うためには、その裏で倍以上の苦行が 必要なのだ。そのために、そして自分自身で厳しくできない者のために、顧問という 嫌なやつが、監督という憎むべき人が、必要となってくるのだ。

    そう、そういうスタンスで私は顧問をやっている。多分一番走るのが嫌いなのは 私である。一番きつい練習をするのが嫌なのは私である。でも、生徒が味わう もっとつらい負けた時の悔しさに比べれば、そういう嫌なことも強要せねば ならぬことも必要だと思っている。だから憎むなら憎んで欲しい。嫌うなら 嫌って欲しい。こんなにきつい練習を強要する私を。でもそれはひとえに 君たちが勝って笑顔で「勝ちました!」と報告する笑顔を見たいがためである。 君たちが勝って嬉しそうな顔をする。それが見られる。それだけの私の ささやかな幸せと願いである。それ以上のものは望まない。何もいらない。その一瞬のために 心を鬼にしてきつい練習をさせているのかもしれない。多分顧問としてのエゴと わかっていて。

    だからそういう私の立場に納得できなかったり、不満だったりする者は 是非言って欲しいと思う。多分そう言われるとしたら私が間違っているから。 その時は私が顧問を辞める時だと思う。テニス部の子たちと私があまりに乖離したら、素直に顧問を 辞めようと思う。その決意はいつでもある。もしここを読んでいるテニス部員が いたら、是非言ってください。もし私の考えに付いていけなかったら。 私の顧問としてのスタンスが納得できず間違っていると思ったら。是非言ってください。 すぐ顧問を降ります。

    そんな思いで日々顧問をやっています。いつもいつも。

    11/9

  • 15.第2回あすなろ大会〜関東選抜予選

    11月頭の3連休に第2回あすなろ大会があった。これは以前にも書いたが、県内の高校生の、それもどちらかというと初心者向けの 大会なのだ(「あすなろ」というところからもわかりますよね?)年に4回あり、それぞれ各高校のコートを持ち寄り、それぞれで 36ドローくらいのトーナメントを作り、レベルもA、B、Cと3段階に分け、それぞれの会場のトーナメントでベスト4まで入れば、 入賞の盾がもらえ、また自動的に次のランクに上がれる。一会場36ドローくらいだと3回も勝てば入賞できるようになっており、 頑張り甲斐のある大会でもある。特にうちみたいに部員が多く、なかなか試合に出る機会すら恵まれない選手にとっては、とても励みに している大会であり、本当に顧問としてもありがたい大会なのだ。

    今回はダブルスだけの試合だったが、それぞれみんなよく頑張っていた。ランクAで出たM・Fコンビは、さすがにこのクラスとなると 本当に上手いペアも多くて1回戦で敗退したらしい。それにひきかえランクCでは1年生ペアが2会場で頑張った。ひとつは本校を 会場にして行われていたトーナメントで、K井・S木ペアが頑張ったらしい(私は別会場にいたので見ていません(^^;))準決勝で 2−5と負けていたところから二人で「頑張ってO−TEACHERへ優勝したってメール送ろう!」と励まし合って逆転勝ちしたらしい。 さすがに決勝では精も根も尽き果てて0−Eで負けたらしいが堂々の準優勝。立派なものです。彼女たちからメールが来た時は とっても嬉しかったです。でも後で話を聞いたら「最後は体力負けで足が動きませんでした。やっぱりもっと走らないと...。」ねっ。 だから日頃のトレーニングって大切でしょ?

    そしてもう一ペアの1年生も別会場で奮闘。破竹の快進撃をして決勝進出。しかしこの時点で日没。決勝だけ順延かと思われたが、 ここの私立高校の会場はナイター設備がある。そこで無理矢理続行。ここでも相手の2年生はとてもうまく惜敗。でもこちらも見事な 準優勝。本当によくやりました。でも本人達は優勝したがったらしくとても悔しがっていました。でもこういう気持ちが次につながるのですよ。 でも同じ1年生の活躍に、他の1年生達にも良い刺激になったと思います。

    実はもう一ペア、Bランクで決勝まで勝ち残っていた2年生ペア、I井・O黒組も日没のため、1週間順延していましたが、この日R高校と 決勝戦。日を改めるとテンションも下がり、なかなかうまく行かないものですが、なんとか粘ってE−4で勝ち、見事優勝。特にO黒は うまいI井と組んでかなりプレッシャーもあったようだが、よく頑張り見事Bランク優勝。これで次はAへ出られます。

    さて話は変わって関東選抜大会。これは秋の新人戦でベスト8に残った学校が、関東大会出場枠2校を決めるため、改めて7人制でやる 大会です。前回うちの学校は奇跡の3位となったため、ここへ出られる栄誉となったわけなのですが、ここまで来るだけでもう夢見心地。 ここで勝とうというのはもうほとんど無謀に近い面々。例えで言うなら、メジャーリーガに一校だけ高校野球チームが混じっている感じ。 どこもジュニアの有望選手を抱え、それこそ関東どころか全国へ行ける学校が何校もいるのです。うちなんかは前回フロックで勝った ものですから、ここにいるだけで赤面の至り、申し訳ない感じがいっぱいでした。いちおう8校のトーナメントなのですが、各選手に 実績に応じてポイントが付いていて、その結果の組み合わせ。うちは8校中7番目ということで、初対戦は第2シードのTG高校。 私立の強豪校です。まさに秒殺状態でいよいよ試合となりました。

    この7人制はS1→D1→S2→D2→S3という順番ではいるのですが、いきなりS1とD1が同時開始。もちろんうちのS1は 不動のエースのT田ですが、相手はT選手という、県下でも2番3番目に強いという選手。確かにうちのT田も強いですが、県下では ベスト8が良いところ、後は彼女のミラクルに賭けるしかありません。いちおういつものように本人を信頼して私はD1の方の ベンチへ。やはりどこの高校も選手層の厚さが学校の強みとなるので、こういう7人制になると、どういう組み合わせでどこへ出すかで 明暗が決まります。しかしうちはどの学校と比べても見劣りしますので、順当に当たり前の出し方をしました。D1は、ここのところ 連敗記録更新中のM澤・F野ペア(笑)相手も強いので、個人的には目標2ゲーム取ると言うことでしたが、本人達曰わく 「1ポイントくらいは...。」(爆)しかし少しは良いプレーも出て目標の2ゲームは取れました。結果2−E、でもやはり上のチームは 球のスピードが違う。うちの選手はそのスピードに目が慣れぬまま瞬殺。

    ところが同時展開していたS1のT田が、どうやらかなり競っているらしい。どうもスコアは3−3の様子。うーん、こりゃもしかすると もしかするか?なんて思っていたら、今まで見当たらなかった向こうの顧問の先生がいきなりベンチへ。やはり少しはまずいと思ったのでしょうか。 でもさすがに実力者、そこからパワーテニスを展開され、うちのエースも押し切られ3−Eで負け。その後S2のI井とD2のS口・N村 が入る。S2の方も、相手は全然格上で、バシバシエースを決められる。それでもなんとか頑張って粘っていた。私はD2のベンチへ。 ところがここがいきなり2ゲーム先取したのだ!えっ?もしかしたらここで1勝出来る?なんてぬか喜びするが、3ゲーム以降ほとんど 1ポイントも取れずズルズル行ってしまう。最初は怖い者知らずで、普通にポーチに出たりサイドを抜いたりしていたのだが、やはり 途中から『勝てるかも』という欲が出たのだろうか、途端に動きが悪くなり守りの試合になってしまった。逆に相手は調子が出てきて バンバン打ち出してきた。こうなると力の差は歴然、S2の試合を待たず2−Eで負け。この時点で0−3で打ち切り、S3のI桁の 出番はありませんでした。

    うーん、確かに勝てるなんてつゆほども思っていませんでしたが、もう少し競る場面があっても...と思うのは顧問のエゴでしょうか。 でも良い経験になったのは確か。トップレベルの選手はこれほどのスピードや技術を持っているのだと、改めて体感しました。 でもここでまたひとつ考えさせられました。ここに出るような学校はみなジュニア上がりで、とても上手い子ばかりで当然色々な ところで勝ち続けてきて、そのために厳しい練習を続けてきた人たちばかり。それはそれで称賛に値するし素晴らしいことだと思う。 でも反面、学校ではあまり練習せずクラブ中心の練習ばかりの子も多いと聞く。この間の新人戦の県大会の時のように、他のオープンの 大会を優先して高校ごときの大会には出ない場合もある(そのおかげでうちは勝ち上がれたのだが)果たしてこの現状はどう見るべきなのか。

    確かに勝利優先で、そういう強い子を集めて勝っていくことも大切だと思う。特に私立ではそれが学校の栄誉になるのだから大事な ことだろう。でも私達みたいな公立では、そんなに公欠も認められないし、有望選手を集めることもない。当然県の上位は私立で占められる。 昔みたいに高校のたたき上げで、練習量の多さと熱意で勝てた時代はとうの昔に過ぎ去っている。だからこそ今、どういう姿勢で 部活に取り組むかが問われているような気がするのだ。中にはY高校みたいに、公立でも敢然と私立の強豪校へ立ち向かうため、 それなりの選手を集めて奮闘している学校もある。それも大事だし是非頑張って欲しいとも思っている。でも顧問の先生達の中には、 昔みたいにがむしゃらに勝ちに固守するのではなく、初心者であってもテニスを少しでも好きにさせて、うまくさせて、県大会なんか 出られなくても、あすなろ大会みたいな小さな大会で頑張らせて、勝つ喜びやテニスの素晴らしさを教えていきたいという人たちも とても多くなっている。テニスの分極化というと変な言い方かも知れないが、強く勝ちにこだわるテニスと、楽しみそれなりに頑張っていく テニス、そういうふうに分かれているような気がした。

    この大会みたいに強豪のみ集まっている大会へ出ていると、なおさらその感を強くした。顧問の先生達の中にもギラギラして勝ちを ひたすら意識している先生、ジュニア上がりで経験豊富な選手の方が、顧問よりよっぽどテニスに詳しく、どちらかというと顧問が あまり目立たない学校....様々である。果たして私はどういうふうに映っているのだろう。そして私はどういうふうにテニス部へ 接していくべきなのだろう。考えさせられた関東選抜予選会でした。

    11/23

  • 16.東葛大会団体戦

    11月の2週を使って東葛大会の団体戦が行われた。これは3つのブロックの高校が集まって、ブロック交流のためトーナメントの団体戦を やるのだ。それもなるべく多くの生徒に参加させるため、Aトーナメント(ガチンコ・レギュラー組通常団体戦)と Bトーナメント(準レギュラーのダブルス3ペアの団体)と、2種類行われたのだ。どの学校もAトーナメントには精鋭を揃え、マジで 勝ちに行く姿勢ありあり。逆にBトーナメントは少しでも経験を積ませたい選手が多数出ていて、なかなか面白いものなのだ。

    さてそこで我がチームだが、今回は色々考えた末、あえてメンバーを変えた。それはAトーナメントに1年生のメインメンバーだけで 団体チームを作ったのだ。あえて2年組をはずし。それは、ひとつには2年のレギュラー組はいつも団体の試合に出てかなり経験を積んでいる。 でも2年の中にはレギュラーでなく団体メンバーに入れないものも多い。その子たちに勝つ喜びを与えたいというもの。そしてもうひとつは 1年生の主力メンバーに強い相手と試合させ経験を積ませたい。そういう意図があって、敢えて今回はAに1年フルメンバー、B1チームに 2年の準レギュラー組、B2に1年準レギュラー組、B3、B4は1年生初心者チームと、なんと計5チームも出したのだ。それぞれ 経験になってくれれば...そういう思いで出した今回の地域交流試合でした。

    まずはAチーム。1回戦はIM高校。普通に強いチームでもちろん2年生が主力。ダブルスのK井・K謝組は1−Eであっさり負ける。 しかしS2のN村は逆にE−2で完勝。そこの時点で1−1で長引いているS1に勝敗がゆだねられた。相手は県大会にも出場している 強豪2年生。うちの1年のエースI桁でも2、3ゲーム取れれば良しと言うところだったのだが、これがI桁が大健闘。タイブレークにまで もつれこみ、マッチポイントも3度ほど来るが、結局大事なところで取れず競り負ける。1回戦敗退。しかしこういう強い相手とやることが 目的だったためあまり悔いはない。1年生でもここまでやれるという自信につながったのではないだろうか。

    そしてBトーナメント。こちらはB3、B4は1回戦で負ける。初心者組ですから仕方ないでしょう。でもこれも経験にして欲しいところです。 B1の2年生は危なげなくベスト4進出。B2の1年生も途中、Bチームながら強豪のNC高校を接戦で下し、こちらもベスト4。なかなか 素晴らしい戦績で勝ち残ったのだ。

    まずは準決勝のB1チーム。相手はMK高校。これがけっこううまい。さすがベスト4まで残るだけある。ダブルス1のM澤・O黒組は E−3で勝ったが、ダブルス2のK野・S口組は4−Eで負けてしまう大誤算。ダブルス3番手に勝負がかかってしまった。2年生の中で 一番試合経験が少ないY巻・S木組。案の定2−5でほとんど絶体絶命。しかしここから頑張った。なんとか挽回してタイブレークの8−6で 奇跡の逆転勝ち。見事決勝進出。勝った瞬間は優勝したような騒ぎ。でもそれほどよく頑張った二人でした。

    そしてもうひとつのB2はSM高校。こちらもダブルス1はE−4で勝つもダブルス2がタイブレークで負ける。そしてこちらもほとんど 初心者組のダブルス3I田・U山組にポイントがかかってしまった。普通3番手まで行くとうちの学校的にはほとんど負けモードなのだが、 こっちも粘り同じくタイブレークの8−6で勝ってしまう!

    そんなわけで決勝はうちの学校同士でB1対B2、2年準レギュラー対1年準レギュラーというガチンコ対決になった。両チームとも準レギュラー ということで実力は互角の対決となったのだ。案の定全ての試合で競り合う。ダブルス1はさすがに2年の貫禄でE−3勝ち。そして ダブルス3もE−4勝ち。この時点で2−0で終わったのだがダブルス2は5−5という大接戦で打ち切り。実はこの試合B1の2年チーム。 オーダーを変えて1番手に、普通の団体レギュラーダブルスのM澤・F野組で出したのだ。だから勝って当然と言えば当然なのだが、 もしこの組み方でなければ勝てたかどうか...。2年生は優勝しながらも1年生におののき、1年は負けはしたものの、自信がついた Bトーナメント決勝でした。こういう経験が、そして同じ学校の中でライバルがいることのありがたさが身にしみた晩秋の試合でした。

    東葛B1優勝チーム東葛B2準優勝チーム

    12/25

  • 17.第3回あすなろ大会〜自責の念

    12/21から25までまたまたあすなろ大会が行われた。今回またまた本校も会場となり、23日には私が会場校の試合進行を行った。 毎回思うのだが、こうやって各学校の協力により、様々なランクの生徒達が試合する機会に恵まれる幸運。本当にありがたいことだ。 スタッフ関係者の皆様に改めて感謝したい。

    さて我が校の結果だが...シングルスがほぼ全滅。これまでにないくらいダメだった。唯一ランクCで出た1年生のO原がベスト4に残り 昇格したくらい。あとはことごとく惨敗だった。中にはあと一歩で入賞という者もいたのだが、みんな敗退。うーん、どうもうちの生徒達は シングルスになると気後れしている傾向がある。戦い方(勝ち方)を知らないという部分も多いのだが、どうも苦手意識というか一人では 自信が持てないというか、いつも消極的になって負けてしまう。勝てそうな相手にもひよってしまっている。うーん、歯がゆい。しかし これも一人では何も出来ないけれどペアと一緒だと励まされて安心という、今時の子供達の弱さなのかも知れない...なんてふと 思った。ダブルスの方は、1年ペアのI桁・N村ペアが決勝まで勝ち上がり、日没のため日を変えて、宿敵M高校と対戦。

    ここでやはり書いておかねばならない。これは自分自身の顧問としての十字架なのだから。それは顧問としてのスタンスと考え方、指導法に ついての、部員との乖離についてである。私は今年から今の学校へ転勤してきて女子テニス部のサブ顧問になった。なった当初は自分の 健康に自信がなかったため、あくまでお手伝いだけと考えていた。しかし少しずつ慣れるに従って練習のメニューや練習にも積極的に 参加するようになってきた。そうすると当然自分のやり方というか、部活に対する取り組みの姿勢というものが反映され、かなりきつい 練習を課すようになってきた。私は生徒達のために良かれと思ってやっているのだが本当にそうだったのだろうか?

    実は沢山いた1年生が2人ほど辞めた。一人は秋口からそんな傾向も見えていたし、もう一人も今ひとつ部活への熱意が薄れていたように 見えたので、致し方ないと思っていた。しかし8人しかいない2年生の一人が先月「辞めたい。」と言ってきたのには衝撃を受けた。なぜ この時期に?というのが真っ先に思ったことだった。あと3ヶ月ほどで最後の大会である。そこで引退なのである。なぜこの時期に?と 思うのは当然であろう。本人が言うのには、以前からずっと考えてきたことらしく、そのきっかけを探っていたらしい。それでもズルズル ここまで来たのだが、どうも私のやり方に付いていけないと言うのが本当らしい。昨年までは割と自由に楽しく、自分たちだけで和気藹々 やって来た。ところが私が来てから、急に厳しくなり、合宿がハードになり、ランキング戦を導入して友達同士に優劣を付けたり、 ランニングやトレーニングが増えて、なおかつ休むとペナルティが加わったり...そういうやり方が自分には合わないと思っていたらしい。 彼女は中学時代までそういうきつい体育系の部活に所属していたらしい。だからこそ高校では楽しい部活をやりたいと思っていたのだそうだ。 ところが今年私が来てから、そういう体育会系部活に変わり、そういう環境が嫌になってきたらしい。だからこんな時期だが、 辞めたいと申し出てきたのだ。

    これはとてもショックだった。私のせいで辞める...そう聞こえたからだ。確かにそうだと思う。私のやり方に付いていけないから。 ショックだった。私は生徒のために良かれと思ってやってきたことが、実は生徒を苦しめることだったのか...。頑張れば頑張るほど、 そういう部活に嫌気がさしていたかと思うと、自分の独りよがりだったのではないかと思えてくる。ただみんなが強くなって試合に 勝ちたい、そう思っている部員ばかりではないということなのだ。それが見えていなかった自分に腹が立つ。自分のやり方は間違って いたのだろうか?みんなはどう思っているのだろうか...やっぱりみんな同じように顧問の傲慢と思っているのだろうか?ちょっと わからなくなってきた。本当に自分がやっていることは生徒のためになっているのだろうか。本当はそんなに勝ちにこだわらず、 ただ和気藹々とテニスを楽しみたいと思っているのだろうか?私のやり方に不平不満を持っているのだろうか?

    考えれば考えるほど自信を無くしていきます。もちろん一部の生徒は上を目指しうまくなりたいと思っている子もいるとは思うが、 もし大部分が私のやり方に納得できないでいるなら、顧問を降りようと思っています。今時こんな熱血テニスは流行らないかも しれないから。そんなことを考えさせられた出来事でした。顧問のあり方というものに自信を無くしました。私のやっていることは 間違っているのかも知れません。そしてこんな迷いながら部活をやっている顧問は、多分ダメです。でも途中で顧問を降りることも 出来ないので、3月まではきちんと全うするつもりです。その間どうあるべきか辞めるべきか、考えていきたいと思っています。 ただテニスが好きなことは間違いないけれど...。

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  • 18.「エースをねらえ」に物申す

    これはやはりテニス部顧問として書いておかねばならない。なんだあのドラマは!テニスを冒涜している! いやいい大人が大人気ないと思うが、あれはひどすぎる。なんたって私は「エースをねらえ」世代なのだ!あれを見てテニスというものを 感動的なスポーツとして感化された口なのだ。岡ひろみのひたむきさ、宗方コーチの孤高さ、お蝶婦人の優雅さ、藤堂先輩との恋... スポ魂ものの王道であり、マンガはもちろんアニメも、そして続編ビデオもすべて見た口なのに...あれはいくらなんでも...。

    いや百歩譲って上戸彩の岡ひろみ役は許そう。でもその他の配役があまりに原作とかけ離れていて悲しすぎる。それにテニスシーンが へぼすぎる。CGを駆使してもありゃテニスと呼べる代物ではない。テニスってああいうスポーツ?なんて思われたらテニス部員が 可哀想すぎる。うちに出入りしているウィルソンの業者が言っていたが(ドラマではウィルソンが協賛している)あまりにテニスシーンが お粗末なため、大幅にテニスシーンはカットされCGに頼りっぱなしらしい。それでテニスドラマかよ!ああ、一テニス愛好者として 嘆かわしいドラマでした。突っ込みどころ満載で1時間見るのに大変すぎ。うーん、この後見続けられるのか>俺。

    2/15

  • 19.第4回あすなろ大会を終えて

    3週に渡って第4回あすなろ大会が行われた。今回は変則ダブルス3ペアによる団体戦だった。予選リーグがあり、3チームの総当たり、 もしくは4チームのトーナメントで各1チームが勝ち上がり、決勝トーナメントに進めるというものだった。これには各校複数チームが 出場できるので、うちみたいにむやみに部員の多い学校は助かりました(^^;)

    で、毎週土日ごとに各チームが予選へ出場。Aチームは2年生と1年の混合チーム。どのペアも危なげなく3チーム総当たりに完勝で 決勝トーナメントに進める。B1チームが実は一番心配でした。2年ペアと1年2ペアの混合チーム。当たる相手も互角と思われていたので。 最初に出たのは1番手ダブルスのO黒・K野ペア。いきなり出だしが悪く1−4と劣勢。しかしほぼ同時に入った2番手ダブルスの O原・T内ペアが6−0の完勝で、2年生の応援に回る。このT内の応援の声が大きく、2年生ペアを励ましこの劣勢を次第に挽回し 6−4で逆転勝利。3番手のA美・K井ペアも楽勝し、結局このB1チームも決勝トーナメント出場。そしてB2チーム。ここは1年生チーム。 初心者達ながら成長著しい面々。こちらも競りつつも見事2勝0敗で決勝へ。そして超初心者組のB3チームだけは予選リークで敗退。 でも4チームも出している学校は数えるほどしかないが、3チームも決勝リーグへ進むなんて上出来の予選でした。

    そして決勝トーナメントでしたが、実は私は不在でH部先生におまかせして、結果のみ聞きました。AチームはF西校に0−3の完敗で 1回戦負け。B1チームもY校という強豪に競りつつも0−3負。B2チームもY台高校に同じく0−3負けだったそうです。うーん、予選を これだけ勝ち上がるなんて部内の実力は拮抗しているのですが、いざ決勝トーナメントという県中堅レベルの戦いとなると脆いところが ある。これが今の実力なのかもしれません。とりあえずご苦労様でした。

    3/29

  • 20.生徒との絆

    無事女子テニス部顧問として1年間が終わろうとしている。うーん、よく頑張った>自分(笑)もちろんテニスは大好きなスポーツだが、 前任校では運動系熱血顧問から足を洗い9年間をのほほんと過ごした。また昨年健康を害してから、なおさら運動から遠ざかっていた。 その私がここに来て、いきなり昔と同じように、こんなにテニスに熱中するとは思っても見なかった。

    元々はサブで『会計とか人手が足りない時の引率くらいでいいかな...。』と思っていたのだが、実際テニスコートに立つと、DNAに 刻み込まれた松岡修三遺伝子が(勝手に命名(爆))動き出してしまった。身体のことも省みず、少しずつ昔のことを思い出し一生懸命 頑張ってきた。その結果、良い成績を出せた時もあったし負けて悔しい思いをしたこともあった。でもそれ以上に、生徒と泣き笑いし、 共にコートで汗まみれになった一瞬が、とても嬉しい一年間であった。

    今日練習試合があって、試合後1年生を少し怒った。先輩が試合をしているのに、応援もせずコートの外で何人かで遊んではしゃいで いたのだ。こういう時、生徒との温度差を感じてしまう。こちらが一生懸命生徒のために良かれと思って、わざわざ練習試合を組んで 色々尽力しているのに、そんな顧問の苦労を知らず、全然お構いなしの一部の生徒たち...。悲しくなります。もちろん悪気はないのは わかるですが、大事な試合の最中だというのに、その無神経さに腹が立ちました。日頃一生懸命やっているだからこそ、もう少し部活に集中して 欲しいと思うのはエゴでしょうか?きつい練習をしているのだから、土日友達が遊んでいる最中に部活をしているのだからこそ、 真剣に取り組んで欲しいのです。私だって家庭を犠牲にしているところもあるのですから。そういうところがわかっていなくて、 試合を見て学ぼうとか、先輩の試合を応援しようとか、そういう気遣いなどが足りないので、そのあたりを注意しました。 今の子たちだって言えばわかるのです。ただそういうことを言ってもらう機会、怒られて注意される機会があまりに少なかったため、 そのまま来てしまっているのです。誰かが言ってあげないと、無神経な大人になってしまう...そう感じた一瞬でした。 だからといって生徒と対立しているわけではありませんのでご心配なく(笑)技術指導だけでなく、そういうことも含めて「顧問」 ということを言いたいだけなのです。

    実は男子テニス部の顧問の一人が転勤になる。今まで男子も女子も顧問は二人体制で来たのだ。それがひょんなことから不思議な噂が テニス部内に流れてきた。「O−TEACHERは男子の顧問に移る」と。これにはある程度説得力のある根拠がある。男子のもう一人残る 顧問も年数的には長い→そうすると男子テニス部の顧問が足りなくなる→女子顧問はH先生が健在で(笑)まだまだ続ける気満々→ O−TEACHERは今年来たばかりだからどうとでもなる→そうするとO−TEACHERは来年度から男子部顧問に移るのでは? という図式。一部の生徒はそう信じているらしい。確かにそういう話がないではないが、私は個人的希望は女子顧問だ。長年やってきたので、 その方が慣れているというのが本当のところ。しかし来年度も女子の顧問かどうかは、それこそ校内人事ですから、希望はしていても 内示があるまではわかりません。だから生徒にただされても「それはわからない。」としか言えません。でもそういう答えをすると 「O−TEACHERは男子(の顧問)に行きたがっている!」と受け取られてしまったのです。

    心ある部員はお世辞でも「先生、女子に残ってくださいね。」と言ってくれてありがたい。しかし中には私のきつい練習が嫌で 『男子へ行ってくれないかな。』と思っている部員も当然いるでしょう。まぁ顧問はある意味憎まれ役ですから。すると先日(3/28) 練習が終わった後に、1年生のやる気のあるIさんが「O−TEACHER、少し打ってもらえませんか?」と言ってきた。 居残り練習か、感心感心。じゃあ少し付き合いましょうと打ち合っていると、途中から涙ぐんでいる。どうしたのかと思って聞きただすと 「先生、本当に男子へ行っちゃうんですか?」と涙声で言ってくる。「もしO−TEACHERが男子とやりたいならしょうがないですよね。 でももっと私達を見て欲しかったです。まだまだ下手だから先生にもっと教えて欲しかったです。もう今月一杯で私達のこと見向きもしてくれないかと思うと、 悲しくて...最後だから思い出に打ってもらおうと思っていたんですけど、耐えきれなくて...ごめんなさい。」 これには私も感動してしまいました。こちらももらい泣きしそうでした。こんなにも慕ってくれる子もいるんだと思うと、顧問冥利に 尽きます。ありがたいことです。こういう子がいる限り、どんなに大変でも顧問は頑張れるのです。こういう生徒との絆がある限り。 私は来年度も女子テニス部顧問を頑張ります。

    4/17

  • 21.ブロック大会を終えて〜3年生の引退

    4/9(金)から3日間、総体のブロック予選がありました。団体、ダブルス、シングルスの日程で、なんとか天気ももって無事終了しました。 暑い中、生徒も顧問もヘロヘロでした。年度当初の忙しい最中、ある意味精神的にもハードな日々でした。

    うちの学校は前回の新人戦で、団体が県でベスト4に入っているため、今回はブロック予選免除で県大会出場が決まっております。そして そのおかげでブロックから県大会へ出られる枠も広まって、今回女子に関して言えば、7校中5校が県大会へ行けるという、すんごい緩い 枠となってしまいました。えーと、他校の顧問の先生、本校に感謝してください(笑)

    まず初日は団体戦。本校は関係なし。しかし私は試合進行として参加。予想通りA高校とR高校の決勝。これはガチンコ勝負で実力拮抗。 どちらが勝ってもおかしくないところ。ここは顧問の腕の見せ所でしょう。ダブルス、シングルス1が終わって1−1の五分、勝負の 行方はシングルス2にかかってきました。ところが...この試合圧倒的に有利と見られていたR校の選手が苦戦、A高校の徹底した つなぎ作戦でかなりもつれました。なんと1セットの試合で、3時間近くもかかったのです!1ポイント取るのに50ラリー以上、デュースデュースの 連続で、飽くなきしこり合戦となったのです。もう見ている人たちも息を呑むほど。結局長丁場を制したのは、徹底したつなぎに 徹したA高校でした。うーん、あんな試合されたら確実に胃に穴が空く。良かった予選免除で(爆)

    さて2日目はダブルス。ここで大問題発覚。実は試合の前日に、第1シードであるT田・I井ペアに大問題が生じた。以前にも書いたが 2年生のT田は普段部活にはほぼ出て来ずクラブでテニスをしている。つまりクラブ選手なのだ。しかもレベルが関東レベル。だから 普段からあちこちのジュニアの大会へ出て、それこそ全国規模の活躍をしている。で、今回も実は韓国遠征に行くことになっていた。 それがちょうどこのブロック大会の時期と重なっていたのだ。シングルスは前回県でベスト8に残っているため予選免除で良いのだが、 ダブルスはブロックからとなっていた。で、日程をやりくりして何とかブロック大会へダブルスだけは参加するようにしていたのだ。 試合が終わったその日の夜に韓国へ行くという強行日程でいたのだ。しかしいきなり試合前日に韓国行きの時間が早まることがわかり、 なんと当日こちらを1時頃には出なければならないことになってしまったのだ!どう考えてもブロック大会のダブルスの試合が1時に 終了するとは思えない。だってこのペアは、ブロック大会ではダントツ1位のため、普通にやれば優勝してしまうのだ。しかし1時までと なると3回戦がいいところ。とても決勝まではできない。それどころか県大会出場は3ペアのため、ベスト4でもダメで、決勝進出しないと 確定しないのだ。決勝戦の予定時刻は3時...全く不可能...。つまり棄権=県大会へ出られないということになってしまったのだ。 可哀想なのはペアを組んでいたI井。彼女は3年生のため最後の大会となる。実力ある後輩と組んだが為に、県大会出場どころか ブロック予選敗退が初めから決まってしまったのだ。もう顧問としては申し訳なくてしかたがない。そうと早くわかっていたら組ませなかったのに...。 しかし全ては後の祭り。結局やれるところまでやるということで、全員に納得してもらった。I井には本当にすまなく思っている。 もっと早くスケジュール調整していればこんなことにはならなかったのに。申し訳なさでいっぱいだった。

    案の定T田・I井の第1シードは3回戦まで6−0ですべて完勝。1試合15分で終わってしまっている。ああ、このまま試合を続けたら 完璧だったのに。結局準々決勝進出でタイムリミット、ここで棄権する。くしくも相手はうちの学校の第4シードのM澤・F野ペアだった。 不幸中の幸いはこれでベスト4に残った3ペアはすべて県大会へ行けることが確定したのである。前回無念の涙を呑んだ M澤・F野ペアは、決勝で敗れたため、2位決定戦に回ったが、それでも県大会は出られる。あの悪夢のマッチポイントのスマッシュミスから 解放されるだろう。

    日曜日はシングルス。こちらも予定通り。2年生のまぁまぁの選手たちが次々と敗れ、うちの学校的には誤算が多かった。けれども 3年生はほぼみんなよく頑張った。どの子も目の色が違って、本当に真剣だった。一球たりともあきらめず最後まで追いかけていた。 2回戦で負ける子ばかりだったが、それでもほぼ1勝はして、ある程度結果を残せたのではないだろうか。こういう引退を賭けた最後の 試合まで必死になっている姿は、後輩たちの目にどう映っただろう。ただ唯一悔いが残ったのは2会場に分かれたために、3年生 全員の試合が見られなかったことである。中にはキャプテンのM澤のように、思わぬ伏兵に3回戦で敗れたケースもあった。泣きながら 携帯へ電話がかかってきた時には、どう慰めて良いかわからなかったくらいである。しかしこれもまたテニス、勝つものがいれば負ける者がいる。 悔いのないプレーが出来れば、満足できる一球が打てれば、それで今までの部活はすべて昇華されるのだ。この日はベスト8までで、 本校は第2シードのI井、第4シードのF野、そして躍進めざましい2年のエースのI桁が勝ち残った。特にF野に関しては、今までで ベストと思えるような良いテニスをしていた。彼女の場合、良い時と悪い時の差が激しいのだが、この日は良い方が出てホッとした。

    そして1週間後の17日(日)ここからが県大会出場とランキングを決める大事な上位戦。まずはシングルスのベスト8から。 最初は2年生のI桁。彼女は第1シードのI十嵐と当たる。当然勝ち上がってきたのだからどこかでシードと当たるのは当たり前。 第1シードのI十嵐は2年生ながらクラブ出身者で、このブロックの中では頭ひとつ抜けている。だから勝つということよりも、どこまで I桁が食らいつけるかがポイントなる。でもこういう朝一の試合で、しかも1セットの場合はけっこう番狂わせがある。それを期待して 見ていたのだが、こちらの方が固くなり、途中良いところも見せるが3−Eで敗退。次に第4シードのF野。こちらは相手がかなり 粘るタイプのH野。粘られまくるかと思ったら、最後まで打ち切り見事勝利。そして第2シードのI井も、けっこう打ってくる相手に 苦戦するもなんとか振り切って勝つ。これでF野とI井は県大会へのキップを勝ち取る。しかしそこからが試練。F野は第1シードに コロッと負け、I井も第3シードの相手にミス連発で0−Eの完敗。I桁も敗者復活戦に回るも、H野につながれて自滅。 うーん、上位へは届かないのか...。結局3位決定戦はうち同士となりI井がE−1で制する。ところが...ここでアクシデント。 なんとダントツと思われた第1シードのI十嵐が決勝でまさかの敗退!おかげで2位決定戦が行われることになった。つまり 決勝で敗れたI十嵐と3位のI井が2決をやることになったのだ。テニスではたまにこういうふうなトーナメントが組まれることがあるのだ。 そして3位決定戦で勝ったI井と、決勝で負けたI十嵐、勢いの差は歴然。力の差は向こうの方が上のはずだが、勢いと3年生の 意地でI井が完勝!見事2位となったのだ。うーん、最後はなかなか見応えがあった。

    そして同じようにダブルスの2決。うちのM澤・F野組とA高校のI十嵐・T田組。これは途中競るも、うちのペアのミスが多く、 本来のストロークやポーチが全然なく、結局負けてしまう。ちょっと悔しい負け方をしてしまった。

    というわけで総体のブロック予選全日程が終わる。団体は推薦で初めから行ける。個人戦ダブルスは3ペア中、M澤・F野ペアが 3位ギリギリ抜けで県大会へ。シングルスはT田が推薦で初めから、5人出場の中、I井2位、F野4位で2人が行けることになった。 まずまずの結果かも。

    うちのブロックは、女子は、本校とR高校、A高校が覇権を争っている。8校中この3校が県大会出場の椅子を奪い合っているのが 現状。今回はまだしも、新チームではより厳しい戦いになると思う。でもひとまず3年生の最後のブロック大会が終わった。彼女たちは 本当によく頑張った。まだレギュラー組は県大会が残っているけれど、ひとまず健闘を称えたい。本当にご苦労さまでした。

    4/29

  • 22.関東予選

    4/28に関東予選があった。これはもちろんその名の通り関東大会への出場権をかけた試合である。今回は団体戦で上位4校だけがいけるものである。 しかしこれに出場するのはかなり大変である。というのも県下で女子テニス部がある学校は154校ある。その中で、まずこの大会に出られるのは、 前大会の新人戦県大会でベスト8に残った学校が無条件で推薦され出られる(うちはこれに該当していたためブロック予選なしで出られた)それに加え、 総体ブロック予選において各ブロックで優勝した1校のみが出られる。つまり県下でこれほどテニス部があっても、この関東予選に出られるのは たった24校しかない、とても狭い枠なのだ。ある意味この試合に出られるのは栄誉でもある。

    今回も開催場所は、S町という県内でもかなり最西端の町で行われた。本校は県下では最北東端の方にあるため、通常で行くとかなりの時間がかかる。 そこで団体メンバーと審判要員の3年生は、前日先乗りして宿泊することにした。折しも前日は大荒れの天気で風雨とも強くかなり難渋したが、 3時頃着いて、その後室内コートを取り1時間ほど練習した。そしてその日は軽くミーティングをして次の日に備えた。

    さていよいよ当日。天気は快晴となったがまだまだ強風が残っており嫌な天気。しかし条件はどこも一緒である。前回の立役者である2年エースの T田は再び韓国遠征のため不参加。いちおう前回の実績で第7シードをもらっているのだが、エース不在では勝ち上がることが難しいと思われた。 しかし残ったメンバーで頑張るのが大事なことだと思う。当日応援に駆けつけた2年生が、なんと垂れ幕を作ってきたのにはびっくり!そこには「勇往邁進」と 書かれている。2年生の中で流行っていた言葉だ(笑)でも隠れてこっそりこんなものを作ってくるなんて、ちょっと感激。こういう後輩たちの思いも 選手には伝わったようだ。

    試合は2回戦からで試合に入ったのは13時近く。相手は1回戦を勝ち抜き勢いに乗るT大付属高校。しかし実力は互角と踏んだ。まずはダブルス。 今回色々オーダーで迷った。いつも使っているF野・M澤ペアは、ここのところ全然勝っていない。良い試合をするのだが、最後の最後で弱気になり 逆転負けすることが多い。そのチキンハートを打破するために、違うペアで出すことも考えた。しかし唯一の2年のI桁が先日来の風邪のため調子が悪い。 おまけに彼女はダブルスが不得意なため、ここはダブルスとシングルス1で勝ちに行くしかない。そこでここは決断していつもの通りF野・M澤ペアで行くことにした。

    出だしは好調で競りながらも強気の攻めでリードを保つ。そして5−3リードでマッチポイントが来た。これで行けると思った瞬間にまたも落とし穴。チャンスボールを F野がボレーミスしてから流れが完璧に変わってしまった。それまで強気だったのが急に守勢に回り、今まで手を出していたチャンスボールを前衛が 手を出さなくなった。風で戻される短いボールを後衛が必死で追いかけミス、相手が前衛を狙って打つ球をボレーミス。結局タイブレークにもつれても 3−7で敗退。またまた無念な負けとなった。このペアはこういう試合を何度となく繰り返している。勝てる!と思った瞬間から消極的になり追い上げられ、 まさかの逆転負け。そういう試合が数限りなくある。こういうメンタルな部分の弱さは宿命なのだろうか。また同じ辛い思いをさせてしまった私自身の 不甲斐なさに腹が立つ。

    そしてシングルス1。相手は両手フォアのハードヒッター。うちもエースのI井。これも実力的には五分の勝負。前半は相手に打ち切られてリードされ劣勢。 しかし途中からスライスを使い打たせないように工夫し、早めに前へ付いてボレー勝負が功を奏して競る展開へ持ち込む。ここでダブルスが負けシングルス2が 同時に入る。シングルス2はI桁。しかし風邪のため体調が万全ではない。こちらの相手もけっこう打ってくる相手。最初こそ競っていたが、ミスが目立ち 結局3−E負け。この時点で敗退が決定していたが、シングルス1も最後までやり、タイブレークまでまくったが、こちらもタイブレーク1−7で負け。つまり 0−3の完敗だった。

    無念である。ダブルスもシングルスもタイブレーク負け。ということは実力拮抗。だからこそ悔しい。もちろんエースT田がいれば楽勝だったかもしれない。でも それは始めからわかっていたこと。競った時にこそ精神的な強さがものを言うが、それがまた果たせず負けてしまった。2回戦からだったが結局は初対戦負け。 シードも守れなかった。団体戦はすべて監督の責任である。負けたのは私の責任だ。生徒に辛い思いをさせて申し訳なかった。せめてもの慰めは 最後6月上旬にある総体団体戦のくじ引きで良いくじを引いたことくらいか。今回2回戦負けのチームは第9シードから16シードのくじを引けるが、 黄金の右腕の私は(笑)見事第9シードを引いた。これでまた次につながるかも。

    私が顧問になってから大事なところではいつも勝っていないような気がする。これも自分の指導力のなさのせいか。もっと熱血的にびしびしやることも 必要なのだろうか?しかし勝つことだけが部活ではないし、テニスを楽しむことも大事である。でも勝ちたいと思って頑張っている選手を、そして勝利が すぐ目の前にある状況を、それを活かしてやれないのは歯がゆいばかりである。まだまだ精進が足りないのかもしれない。それとも望みすぎなのだろうか。 顧問でいる限りこの悩みは永遠かもしれない。

    5/5

  • 23.総体個人戦

    5/2.4とGWまっただ中、総体の県大会個人戦が行われました。シングルスの方はF野・I井・T田の3選手。まずはF野。実はこれが一番勝てる試合でした。 相手はFF高校の2番手。実力的にも普通に出きれば勝てる相手でした。しかしやはりそこは県大会。緊張からか不用意なミスを連発。相手はただの シコラー(つなぐだけの相手)だし左利きなので、左右に振り回し打ち切れば良いだけだったのですが、足が動かず逆クロス側にうち切れず、結局4−6で 惜敗。もったいない試合でした。次はI井。こちらは相手がTG高校でけっこううまくバシバシ打ってくる相手。さすがのI井も強く打たれることでミスが出て、 リターンも上手く返せず2−6で負け。

    残ったのはエースT田。今回はストレートインで第9シード。2回戦からの登場だったが、2回戦3回戦はあっさり勝つ。6−2、6−1と。こんなにも簡単に ベスト16にはいるなんてわかりません(笑)そしていよいよ正念場の第8シードのI田(TG高校)という1年生。本県はジュニアのレベルが高く、下の学年ほど 強いという逆転現象を起こしている。だから2年生のT田よりも1年のI田の方がシード順が上というわけ。さて試合の方は予想通りガチンコ勝負。はじめ 0−2と落とした時は焦ったが、その後盛り返し4−4まで競る展開。お互いリターンが良いのでリターンキープが続き、どちらがサービスをキープするか、 ファーストが入り優勢に進められるかという展開になった。ここまではセカンドサーヴになるとお互い攻められているので。

    しかし終盤の大事なゲームで相手が力で押し切り、良いコースを連発。逆にこちらは惜しいミスを連発し、結局そのまま4−6で押し切られベスト16止まり。 うーん、ここから先が壁なのかもしれない。でもまぁ再度ストレートインを勝ち取ったから良しとするか。

    4日はダブルス。M澤・F野ペア。しかしこの日は大荒れの天気。強風吹きまくりでトスもまともに上がらない状態。そんな中朝一ですぐ試合。相手はGU高校の うまい2年ペア。普通でやれば歯が立たない相手だが、この風なら...と期待していたが波乱は起きなかった。あっという間に連取され0−6で完敗。 なす術もなく。もう10時には終わってしまいました(爆)この後準決勝の審判をするために、砂埃の中待っていたのですが、試合進行の遅れのため3時過ぎになって、必要ないといわれ唖然。もう勘弁してよという感じ。結局個人戦はなかなか勝てず終わりました。

    5/16

  • 24.新チーム&校内ランキング戦

    さて新チームになり、部活の雰囲気もだいぶ変わりました。まだ一部の3年生は総体の団体戦が残っているため、顔は出しますが基本的にはすでに 新チーム。キャプテンはN村さん。これは全員一致の選出。彼女のテニスに対する取り組む姿勢、そして物怖じしない性格、友達に対してもきちんと 筋を通せるところ、もちろん信望の厚さもあり、同じ2年生、先輩、そして我々顧問も問題なく彼女を中心にやっていくことになりました。実力的なことも 含めI桁は副キャプテン、そしてもうひとりU山さんも副キャプテンで新チームとなりました。2年生は人数が多く20人もいて、なかなかまとまりがつきません。 上の方のテニス小僧組、つまり真剣に上手くなりたい強くなりたいと思っている子たち、そして下の方の初心者お客さん組、テニスが楽しめればいいと 思っている人たち。そしてその中間層。かなりの温度差があります。だから少ないコートで練習しても、なかなかきちんとした練習は出来ないし、上手い子たちは もっと!と思うし、下の子たちは「先生は上の方ばかり面倒見てる。どうせ私達は下手くそだから。」とむくれてしまい、大変です。

    しかし1年が入ってきて、そういう2年生も少しずつ変化。1年生はほとんど初心者ばかりで、かなり厳しいのですが、やる気だけはあるようで、何事も 積極的です。当然2年生が多いためトレーニングやランニング中心なのですが、嫌がりもせず頑張っています。それを見て少しは先輩の自覚が出てきたのか、 下の方の子たちも大人になってきました。後輩の面倒を見つつ、ちょっとだけやる気も増してきたようです(当社比10%(笑))こうやってみんな先輩に なっていくんですね。

    さてそんな中、さらに戦う集団としての意識付けをするべく、校内ランキング戦を実施しました。生徒たちは口々に「やりたくない。」を連発。そりゃそうでしょ、 仲の良い友達たちと骨肉の争いをするのですから。でも昨年もずっとやってきましたが、たしかに効果はあるのです。もちろん団体戦やその他の 人数制限がある試合に出すメンバーを決めるという実効的な意味もあります(ちなみに私は顧問が勝手に選手を選びません。校内戦の結果を 何よりも優先しています。その方が生徒も納得するから。)でもそれよりも、試合で勝つやつが強い、一番苦しい時にこそ実力を試される、一番 やりたくない相手に勝つことが自分を高める、校内戦よりも他校の生徒とやった方がよっぽど気が楽...そういう意識を根付かせることの方が主眼なのです。 切磋筑摩してお互いに「負けたくない!」と強い気持ちを持たせるためにも、私はとても重視しています。いつも一緒にやっているからこそ、同じ練習量の 仲間に、それも同じレベルくらいであるならなおさら...そういう意識を持って欲しいのです。どうも女子の部活は仲良しグループになりがちなので、 こういう修羅場というか追い込むべきシチュエーションも必要となります。そうでなければ本大会の大事な時に、ここ一本と言う時に弱気になり、自分を 信じられなくなるからです。合宿で意味もなく長距離を走らせるのも、こういう一番嫌なランキング戦をやるのも、精神的にタフになって欲しいからなのです。

    でも生徒たちは、昨年から何度もやっているので、どうも自分の実力はこれくらいで、この人には勝ててこの人には勝てない、と勝手に自分の実力を 計ってしまい決めつけている節があります。そこで今回は新チームになったのを気に、オールシャッフル一からのスタートにしました。まず19人の2年生のうち 上4人をシードとして、決勝トーナメントから出させることにしました。そして残りの15人はくじ引きで4グループの総当たり予選リーグをしました。しかも 予選はすべてタイプレーク形式!一ポイントがいかに大切か、それを味わわせる意味でもそうしました。それなら下の方のやつにも勝つチャンスがあるということです。

    案の定ひとつのリーグで大波乱あり。一番下と思われた選手が、中堅の選手に勝ち上がりDブロックリーグ1位!中堅選手たちは顔面蒼白。でもこれが テニスです。一ポイントの怖さ、タイブレークの恐ろしさを思い知ったでしょう。そして各予選リーグから上位2名が決勝トーナメントへ。ここからは4ゲーム、1セット の試合としました。ここでも波乱。予選リーグ免除のシードである2選手が、予選勝ち上がり組に敗退。大混戦となりました。そして各予選リーグ3位以下の 選手は再び下位同士の総当たり戦、途中で負けた子たちも順位決定戦と、もうこれでもかというくらい細かく試合をさせ、誰からも文句の付けようのない ランキングが出来ました。

    当然1年生も同じ。まだ初心者ばかりで試合のやり方すらわからないのに、総当たりで試合させランキングを決めさせる。中には運動部初めてで、「個人の試合」 というのすら初めての子もいて、なんか足が震えていました。ひとりソフトテニス経験者がいて、ちょっと打てるかなという子も、ひとりでバックアウトして初心者の子に 負けて泣き崩れるシーンもあり、1年生も真剣です。そして最後の最後に1年生の上位2名と2年生の下位2名の入れ替え戦まで行い、2年生がひとり 負けるという結果付き。

    結局、一日でなんと92試合!ほとんどがタイブレーク形式ですが、朝から晩まで試合漬け。もう生徒も嫌になるくらい試合させました。顧問も嫌でしたが(笑) その結果、以前のランキングと比べると上位2名は変わらないまでも、3位から8位くらいまでの2年生は、今までと違った顔ぶれ。日頃頑張っていた子たちが 上位に上がり、今まで安穏と上位に君臨してい子たちが落ちるという下剋上の結果。ましてや1年生も2年生に食い込むというオチ。これで少しは 気持ちが変わってくれたでしょうか。この結果で次のT大会へ出ることになります。負けた者はリベンジに燃えて頑張ってくれるか、勝ったものは結果を出せるか、 こうして長い校内ランキング戦は終わりました。

    6/6

  • 25.総体団体戦

    いよいよ3年レギュラー組の最後の試合が来た。本当に大詰めの総体団体戦の県大会。しかし日程がきつかった。6/4(金)からだったのだが、なんとこの日 第1回試験の最終日だったのだ。うちの学校の場合二期制のため、試験が他校と微妙にずれてよく試験にぶつかることが多い。そして生徒も進学を考えているため、けっこう勉強を優先して考えている。当然試験一週間前は部活停止なのだが、団体メンバーだけ放課後、本当に軽く30分程度だけしか打てない。 当然試験の間も。だから連日試験で遅くまで勉強し、ほとんど調整というか練習すらできないままこの試合を迎えるのだ。おまけにレギュラーの3年生は 3人だけで、他の3年生は早々と4月のブロック大会で引退している。他の友達はみんな受験体制に入ってカリカリ勉強している。自分たちだけこんなに 部活していて良いのだろうかという不安も手伝い、その短い練習すら身が入らない有様。これでどうやって最後の大会へ臨めというのだ。こんなにモチベーションが 低くてはとてもとても。その良い例が前回の関東予選かもしれない。そんな漠然とした不安のまま試合となったのです。

    6/4(金)快晴。我がチームは前回の関東予選でベスト16だったので、籤の結果第9シードの一を引いていた。しかしこれが思いも寄らぬ激戦の山となっていた。初対戦はF橋西高校。ここはブロックこそ2位抜けだが、かなりの実力校。そして次もCK高校、ここも同じように強い。そしてベスト8がけでは宿敵C女子高校。うーん、どことやっても強い。かえってこれなら同じブロックのA我子高校の山の方が楽だったかも...なんてうらやましがったり...。でも考えてみれば どこでも一緒。うちはモチベーションが低いしテスト中、良い条件は何も揃っていない。初対戦負けも仕方なし。それが実力なんだと開き直り私も腹をくくった。

    ところが試合進行が遅くなかなか試合に入らない。朝8時に集合して実際に試合が始まったのは2時!おかげで本日テストを受け終わってから応援に駆けつけてくれる予定だった2年生3年生とも間に合う。ありがたや。メンバーだけではテンションが下がり気味だったので。するとここで3年生からプレゼント。なんと 必勝祈願の折り鶴!3年生の手作りのもの。これにはメンバー一同感動。ふだんチームの練習には一切参加せず、ある意味助っ人的存在で、どことなく チーム意識の低いT田さえ「すごい...。」と感動し、実は彼女の闘争心に火を付けるきっかけとなった。こういう思いやりというかチームのことを大事に考える 3年生たち。こういう子たちがいるから顧問としては励まざるを得ないのです。団体メンバーたちはかなり気合いが入ったようでした。

    必勝祈願の折り鶴

    待ちに待たされて初対戦。2回戦から。相手は予想通りF西校。ここでいつも考えるのはオーダーである。テニスの団体戦はダブルス1本とシングルス2本の計3本で戦う。そのうち2つ取れば勝つわけだが、この組み合わせによって勝敗が決まるため監督としては悩みどころである。しかしある意味ここが監督としての存在価値が問われる一番大事なところかもしれない。しかし今回はあまり迷わなかった。大エースのT田(2年)は紛れもなくシングルス1。問題はシングルス2。今回は 2−0打ち切りのため、ダブルス、シングルス1が負けたら出番がなくなってしまう。だから1−1になった時だけ唯一出場のチャンスがあるのだ。でもシングルス2が出る時はチームの明暗がかかっている時。そんな大事な試合で使う選手の条件とは?もちろん実力があればそれに越したことはないのだが、やはりそのための 条件がいくつかあると思う。たとえばつなぎのテニスが出来る方がよいとか精神的にタフだとか。そういう選手が理想だろう。しかし私には信念がある。それは 「この選手で負けたら仕方がないと納得できる選手を出す!」というもの。

    昔の学校で顧問をしていた時、若気の至りで、自分の監督としての能力を過信して、色々いじってオーダーを出しとことがあった。『あの相手にはうちのこいつみたいなタイプが嫌だろうから、あえて裏をかいてこの選手をダブルスに使って...』などと策を弄していた時があった。ところがそういう時こそうまく行かないもの。 ダブルスとシングルス1で勝つつもりが、思わぬ敗戦によってシングルス2まで回り、私の明らかなオーダーミスで負けてしまったことが一度や二度ではない。 そんなとき「私が出ていたら勝てたのに。」「あの子が出ていたら勝ったよね。」という声を何度も聞いた。その時思った。シングルス2というのはチームの大黒柱で、 「この子で負けたら仕方がない!」そう誰もが納得できる子を使うべきだと。そうすれば選手もチームも、そして何よりも 私自身が負けても納得できるから。それ以来そういうポリシーで選んできた。

    そんなわけで我がチームのシングルス2はI井に決めた。我がチームを先頭で引っ張ってきて、彼女のタフさ、そして技術はチーム全員の認めるところである。ちょっと 強引なところもあるが、T田がいない時は絶対的な柱である。彼女で負けたら潔く納得できる。変に「ボレーがうまいからダブルスで使って」なんてよこしまなことを 考えると墓穴を掘る。事実先週やった練習試合でも、けっしてダブルスとしては機能していなかった。よく他校の先生から「I井をダブルスで使ってF野をシングルスで使った方が勝てるんじゃありませんか?」と言われるが、けっしてそうは思わない。私が一番近くで生徒たちを見て、一番近くで彼女たちと汗を流してきた。 私が一番彼女たちを知っている。テニスプレーヤーとしての技量もメンタルも、こんな時にどんなプレーをするかも。こんな時どんな精神状態かも。一番 私が理解していると自負している。ある意味彼女たちは私自身なのだから。だから迷わない。一番納得できるメンバーを選べる。そして決めた。

    まずはダブルスから入る。F野・M澤ペアはずーっと勝っていない。ことごとく負け続けている。自信喪失どころか本人たち曰わく「勝ち方がわからない。」 しかし彼女らが頑張らねばチームの士気は盛り上がらないのだ。2回戦、対F西高。しかしことのほか二人の調子は良く、たいしたミスもなくトントンと取り あっさりE−3で勝つ。こうなると怖いものなし。S1のT田はE−1であっさりと勝ち2−0で3回戦進出。まずは初勝利。

    そして次は3回戦。対CK高校。オーダー交換をしてびっくり。1番手と3番手をダブルスで組んで出してきている。やはりうちのT田には勝てないと踏んでダブルスと シングルス2で勝負に来た感じ。案の定ダブルスは強く、3−3までは競るが、その後相手の自力が勝り3−E負け。シングルス1のT田はE−1と楽勝。ただ 途中ですっころんでだいぶ擦りむいていたが(笑)そしていよいよシングルス2勝負!相手は4番手の選手。ここではじめて出番が回ってきたI井。とんとんと ポイントを取り良いペース。危なげなく4−0リード。と、ここで日没サスペンデッド。日曜日に持ち越しとなる。うーん、調子が出てきただけにやりたかったが仕方がない。いちおうリードしているので無理をしないことが大事と戒めこの日は終わる。

    そして6/6(日)この日はうってかわって雨模様の天気。コートはオムニのため水が浮くまでは雨が降っていてもやることとなつた。朝一番でI井の続き。こうやって 日が変わるとペースが代わり大逆転が起こるものだが、この日のI井は落ち着いていた。危なげなく10分ほどで2ゲーム取ってE−0で完勝。結果2−1で4回戦進出。ベスト16進出。でも考えてみると相手高も大変である。金曜日に絶体絶命の0−4から残り2ゲームのためだけにこの日試合にやってきたのだ。 いや大逆転があるかもしれないが、実力差はけっこうありなかなか難しい状況。生徒も顧問も10分のためにわざわざ来るのは大変だと思う。

    そしていよいよ正念場。ベスト8をかけて宿敵C女子高校と4回戦。実はこの学校とは因縁があって、実は過去何度もやっている。しかしながらいつも分が悪く ことごとく負け続けている。ある意味ここに勝つことが今回の目標ですらあったのだ。まずはダブルス。しかしここの学校、ダブルスはめちゃくちゃ上手い。今まで ダブルスでは完敗を期してばかりいたのだ。試合は1−0、1−1、2−1とリードしながらも競る状態が続く。そして運命の分かれ目は3−3から。ここで F野のボレーやスマッシュがことごとくミスする。対して相手はみんな決めてくる。その差が出始め結局3−Eで落としてしまう。しかし個人的にはよく粘れたと思う。 それは確かに勝つチャンスがなかったわけではない。でももっと圧倒的な差で負けるかと思っていたが、途中よく競れたので私的には満足。雨でボールが 重くなり、思ったより勢いが半減され、うちのチームに有利だったのかもしれない。

    そしてシングルス1はまたあっさり勝つ(爆)こういう絶対的なシングルス1がいるとどれだけ気が楽か。本当にT田様々である。そして勝負のシングルス2。I井対Y本。この二人は練習試合を含めて何度かやっているが4:6くらいで分が悪い。内心厳しいと思っていた。試合は一進一退のシーソーゲーム。しかし前半は I井の強引な打ち込みや無謀なネットプレーミスが多く劣勢。かなりやばい状況だった。4−5とリードされたところで雨のため2度目の待機。これがある意味 ついていた。I井は元々あまり深く考えないタイプなので、こういう時にけっこうすぱっと切り替えられるタイプなのだ。15分程度の中断だったが、これが功を奏した。ここから長い1ゲームが始まった。相手も譲らず打ち合い打ち合いで、一球も気を抜けない展開。おそらくデュースは15回近くやったと思う。そのうちほとんどが こちらにアドバンテージが来ているのに、あと1ポイントが取れない。焦って前についてボレーミスしたり、強引に打ちに行ってアウトしたり。途中2度ほど相手に アドバンテージが行きマッチポイントが来てしまった。しかしそこから猛烈に粘り、デュースデュースからやっとこのゲームを取った!この時の応援はすさまじかった。 まさにみんなの気持ちが乗り移ったゲームだったと思う。これで5−5のタイ。こうなるとこちらに流れが向いてくる。次のゲームも当然粘り合いになり、一球も 甘いボールがなく、長いラリーの応酬。しかし最後の最後で打ち切り見事6−5アップ。そして最後はそのままの勢いで見事F−5勝利!2−1で第8シードを 破ったのだ!一同大歓喜!ベスト8進出!本当によく頑張った。見事な勝利であった。

    次は第1シードのS谷M張戦だが、あっという間に粉砕される。ダブルス、シングルス2とも0−Eでマッハ負け。シングルス1は天下の高校チャンピオンT雄との 対決だったが、T田が1−5と負ける一歩手前で0−2打ち切りとなった。しかし最後の最後で超高校級と出来て、花道を飾れて良かったかも。見事ベスト8に 残り念願が果たせた思いでした。

    この後最後にレギュラーだった3年生から、応援に来てくれたみんなへお礼の言葉、そして後輩達への託す思いなどが語られ、引退式が行われた。 後輩達も今日の試合を見て感じ入ることがあったと思う。勝ちたいという強い思い、テニスへ対する情熱、そして最後まで諦めない闘志。そういうものが 沢山見られた試合でした。こういう先輩を見て、自分たちも恥じぬプレーヤーになりたい、そう思うことこそ伝統の力となると思う。自分たちもここへ(県大会の 会場へ)来年来るぞ!そういう思いが芽生えてくれれば、そう思わずにはいられなかった。いくら顧問が口を酸っぱくして色々言っても、先輩たちの 必死で頑張り、必死でボールを追いかけている姿。それに勝るアドバイスはないのかもしれない。後輩達よ、この先輩達のDNAをまた受け継いで 頑張ってくれ。この雨も幸運の慈雨として新しいチームにやる気を根付かせてくれるでしょう。3年生諸君ご苦労様。そしてありがとう。君たちと一緒に テニスが出来て嬉しかったです。

    チーム

    「テニスの執事様」(1〜13まではこちら

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