空疎な 6月 中旬 編



6月11日(金) 三者面談昔話

        以前担任だった時にあった三者面談の面白い話を書こう。やはり誰でも親が学校に来るのは嫌な
        もので、特に母親がちょっと特徴があったりすると尚更恥ずかしい。当然順番通りやって
        いるので、次の母子が廊下の椅子で待っている。自分の番が終わり教室を出ようとすると、
        次のやつと顔をあわす。お互い無視してくれればいいのに、そういうときに限って母親が
       「としくん、帰るわよ。」とか言ったりする。それを聞いた次の番のやつは当然、次の日学校で
        言いふらす。「昨日Kのやつ、かあちゃんに『としくん』とか呼ばれてんの!おまけに母ちゃん、
        野村沙知代そっくりでさぁー。」とか言われたりして、とてもこっぱずかしい思いをしたりする。

        生徒同士だけでなくこちらの面談する方も色々と思うことがある。とーーーっても激似な親子がいて
        思わず笑いそうになったり、すごくおとなしい子の親がとても口やかましかったり、髪の毛とか
        メッシュが入っているバリバリの親がいたり...まぁ本当にいろいろいる。あまりにすごすぎて
        ここに書けない親子とかもいた。

        その中でもとても印象に残っているのが、3年の担任をしていた時、面談で進路の話をしたとき、
        親子できちんと話し合われていないところがあった。娘はもう勉強したくないし、成績的にも難しい
        ので就職したいとずっと言っていた。ところが面談に来ていた父親は大学行くのが当然だという
        タイプでそれ以外の選択肢は考えたこともないと言う人だった。だから当然、話が全然進まない。

         「お父さん、いちおうK子さんは就職したいと言っていますが..」
         「いや、先生、今時高卒なんてどうにもなりません。絶対4大へ行かせます。」
         「私行かないから!だって勉強だってできないし、いまさら無理!ねっ、先生?」
         「うーん...」
         「バカ野郎、これから勉強するんだ!ねぇ先生、今からでも間に合いますよね?」
         「はぁ。」
         「あたし絶対行かないから!」
         「うるさい!行けっていったら行くんだ!」バシッ!(娘の頭殴る)
         「うわーーん。」

        ここまできて親子喧嘩...大変でした。またこんなケースもありました。

         「先生、うちの子全然勉強しないんですよ。本当にいっつも自分の部屋に閉じこもっていて
          CDって言うんですか、あればっかり聞いていて。おまけに同じクラスのS君でしたっけ、
          よくバイクに乗って遊びに来るんですよ、夜中に。そんで帰った後は二人で吸った煙草の
          吸い殻が一杯で、自分で片付けもしないんですから。」

        お母さん。バイクと煙草で二人とも停学です(笑)


6月14日(月) 先生の服装

        現在三者面談中のため授業は3時間。そして帰りで午後から面談。だから私のような副担任は
        別に暇なわけではないが気分的には楽。でも担任は午後から休みなく保護者が来るため、逆に
        とっても大変なのです。ご苦労様...と思いながらも、朝の打ち合わせの時に何か違和感を
        感じていた。いつもとどことなく違う...そうか!服装が違うのだ!教員というのは別に
        服装規定はなく、みんな各々好き勝手な服装をしている。それがけっこう性格が出る。年中
        ジャージの人、ラフなポロシャツの人(中にはゴルフウェアの人も)、いつもおしゃれで
        ドレッシーな人、ジーパンの人!、パンツルックの人、そりゃあ色々います。中にはいつも
        学校では白衣の人とか、エプロンつけている人とか。その中で私はいつもスーツ・ネクタイ、
        今ならちゃんとYシャツ・ネクタイで通しています。けっこうかっちりした服装をしています。
        (おお、何と真面目な!)というかこの方がいちいち悩まなくて済むし面倒臭くないからです
        けど(^^;)

        そうそう話を戻しますけど、いつもの服装とみんなどことなく違うのです。そうです、三者面談で
        親と会うからなのです。普段いつもラフな格好の人がこの時ばかりはネクタイを締めていたり、
        いつもは男勝りの格好をしている女の先生がスカートをはいていたりと、かなりお色直しが
        進んでいるのでどことなく雰囲気が違うのです。また副担任や面談のない先生方も、授業も3時間
        しかないし、午後は別にたいしたことないからいいやって感じで、いつもにもまして、よりラフな
        格好しているし(笑)だから何となく雰囲気が違うのでしょう。

        さて私は午後久しぶりに部活動に出てきました。ソフトテニス部の練習にです。このところ暑いので
        Tシャツに短パンという出で立ちで、ガンガン汗を流してきました。そして練習が終わって校舎に
        戻ってきて涼んでいたところ、私が部活動をやってきたと知らない、とある同僚の先生が一言。

         「O−TEACHER、いくら副担任で三者面談がないからって、その夏過ぎる格好は顰蹙
          ものだなぁ。」

        別に遊んでいたわけでは...


6月16日(水) データが...

        成績処理ソフトを稼働させるために、まず第一に必要なのは生徒の名前のデータということで、
        その入力を今日やっていた。たまたま今日の3時間日課で授業がなかったもので、朝から一人で
        しこしこ入力していた。しかしこの入力画面、これがとても難物だ。スムーズに入力ができない。
        また入力するときのデータ型が色々制限がありすぎるのだ。登録番号は半角5桁、生年月日は
        プルダウンメニューで慣れない人はマウスに持ち替えたり、住所の番地や片仮名のマンション名は
        半角で。ふりがなを打っても漢字で再度打たなくちゃいけないし...と本当に入力しづらいのだ。
        そして致命的なのは、エンターキー(リターンキー)で打つと次の項目ではなく、次の人の
        入力画面に移ってしまうのだ!TABキーのみ次へ移動する。だから入力に慣れるのが一苦労。
        ここ数日やっているので少しは慣れたが、他の先生達は大変だ。なまじ打てる人もすぐリターキーを
        押してしまい、いちいちマウスで戻している。そのため1クラス打つのに、慣れている私で
        約1時間半。他の人なんか半日かけても1クラスできない...こんなデータ入力に苦労するなんて。

        ここで感じたのは、他のデータベースソフトのありがたさである。私が普段使っているアクセスとか
        桐とかは、色々入力しやすくなっている。インポートもしやすい。データベースは入力が命と
        つくづく思った。確かにこの成績処理ソフト、マニュアルをよく読むといろいろ汎用性はあるのだが
        このデータ入力画面がいただけない。まさかこんなにやりづらいとは。こんなところにソフトの
        欠陥とはいわないまでも落とし穴があるんだなぁと実感しました。

        そんなわけで朝8時から一人コンピューター室に籠もり、何と11時までひたすら一人で入力。この
        集中力はすごい!自分でいうのも何だが(笑)そして2クラスを入れ終わり、80%まで完了した
        のだ。するとそこへ同じ副担任の新人のM先生が顔を出した。「あっ!O−TEACHER、自分も
        手伝いますよ。」うーん、でも私がやった方が早いと思うんだけど、まぁ少しは休憩もしたいし、
        ここはひとつ新人に試練を与え、成長させてやるのも先輩の務めだろうと「じゃあお願い。」と
        バトンタッチしたのだ。そして準備室でコーヒーを飲みながらパソコン雑誌などをめくっていた。
        そこへ交代して5分も経たずにM先生が駆け込んできた。「O−TEACHER、ちょっと!」
        ただならぬ雰囲気。なんじゃ?すかさずパソコン室へ戻ってみると「.........」
        そこには「不正な処理をしました。強制終了します。」ほっ、ほっ、保存してないんじゃあー!
        朝からずーっと打ちっ放しなんじゃあー!その後、久々に涙目。バックアップ忘れた頃に
        ハングアップ。(O−TEACHERの格言シリーズ)こんなガラにもなく勤勉なことしたので
        コンピューターが驚いたのでしょう。もう仕事なんかやんねぇーからなぁー!
        当然、やる気も強制終了しました(笑)


6月17日(木) デジタル仕事請負人

        先日来、教務主任より仕事を依頼されていた。それは体験入学のポスターだ。古い読者なら覚えて
        いるだろうが(そんな人はいないか(^^;))昨年度、教務部にいたとき夏用と秋用の2種類を
        作ったのだ。(こんなやつ)ところが今年度また中学校に配布しようというのだが、作れる人が
        いない。去年作って配ったのに、今年はできないからなし、というわけにもいかず、困って
        教務主任から懇願されていたのだ。でもこれって教務部の仕事だし...と渋っていたら、
        「O−TEACHERは夏の体験入学の仕事は、この事前準備ということだけで、当日は何も
        やらなくていい。」と言うので、それならばと引き受けました。それで今日の午後、またまた
        籠もって作り始めました。色々と雑誌の付録のフリーイラストやバーナー、デジカメで撮っておいた
        行事の写真、その他の写真もスキャナーで取り込んだり、ペイントソフトで加工したり、画質を
        落としたり、減色したり...もちろんバーナーなんかも色々マスクをかけたりと、縦横無尽の
        下手テクニックを駆使して頑張ったのだ。それがこんな感じ。

体験入学用ポスター試作品

        しかし作ってみてつくづく感じたこと。やっぱり最後はデザインセンスだなぁと。何か野暮ったくて
        全然この学校に入ってみたいと思えないところが秀逸だ(笑)まぁこんなポスター見て、入学して
        くるヤツなんてろくなもんじゃないけど(笑)デジタル仕事請負人の力量もまだまだですな。


6月18日(金) 事務室と仲良くしよう!

        元々学校の事務というのは、私たち教員と違って先生ではない。当たり前ではあるが県の
        事務職員である。でもある意味、お金やら福利やら色々取り仕切っているので、実は一番の情報通で
        あり、陰の実力者でもある。例えば転勤者の情報などは、校長に電話で取り次ぐため、実は一番
        早い。また予算などについても、もちろん決定は事務長や校長なのだが、その必要度や優先度を
        把握しているのも事務の人たちなのである。だから例えば今回みたいに「パソコンが買って欲しい!」
        とか言っても、事務の心証を悪くしては執行が滞ったりするのである(うちの学校ではなく他校の話)
        人事・経理などが一体となったとっても重要なセクションなのだ。だから事務の人たちと仲良く
        しておかないと色々困ったりする(らしい)

        さて私はというと、本人が思うに意外と仲良くしてもらっている方だと思う。中にはとっても横柄な
        先生とかがいて、いつも偉そうに言っている人もいて、例えば「これはどうしても買ってもらわねば
        困る!」とか、ごり押ししたり、何でもかんでもまるで私用の秘書のように用事を頼む人もいたりする。
        だいたいこういう人は嫌われている。その人に電話がかかってきても、その人がいつもの場所に
        いないと、すぐ「席を外しています。」と言って切ってしまうこともあるらしい。その点、私なんぞは
        どこにいてもあちこち電話を回され、いつもつかまってしまう(笑)まぁそんなわけで事務の人とは
        仲良くしておいた方がいい。

        3日ほど前、不思議な夢を見た。いきなり教頭先生に「本日付けをもって、事務職への転属を
        命じる。」という辞令を受け取ったのだ。もちろん夢の中だから、たいして変だとも思わず、
       「はい。」とか言って事務室へ行った。すると事務の人たちは露骨に嫌な顔をして、仕方なさそうに
       「じゃあ、O−TEACHERの机はここね。」とか言って、一人だけ事務室の端の方に、それも
        壁へ向かってみかん箱を置かれた。なんてひどい仕打ちだ!と思って「僕だけここなんですか?」と
        聞くと、「あなたの今までの事務への態度を考えたら当然でしょ!」と言い返され、そうか、自分は
        今まで事務の人たちへとっても横柄な態度でいたのだなと、反省していた。という夢を見たのだ。
        そしてそのことを笑い話として、事務へ用事があったときに雑談で話した。

         「いやー、こんな夢、見ちゃったんですよ。事務からそんなに嫌われているかと思って、
          おろおろしちゃいましたよ。ははははっ。」
         「やっと気付いたの?正夢じゃない?」
         「えっ?」


6月19日(土) 激論!PTA理事会

        今日はPTA理事会があった。総務部としては大事なお仕事なのですが、私の場合割り振られた
        仕事はジュースを配るのと受付と資料閉じ(笑)たいしてやることはなかった。でも他の総務部の
        先生方はそれぞれのPTA理事(各クラスの保護者の代表)と会って、色々な行事のお手伝いの
        お願いや様々な決議事項のための打ち合わせをしていた(らしい。見てないけど)

        そして11時頃から全体会があったのだが、私はそこで受付をしていたのだ。そしてその全体会で
        色々な報告がされ、様々なことが決められ、最後に質疑応答の時間になった。そこからが
        すごかった。

        とあるお母さんがいきなり発言した。「私は学年の副委員長なんだけど、委員長さんが出られない
        ときは勝手に休んで、全然PTAの話し合いの内容が伝わってこない。どうなっているのか!」と
        語気荒く発言したのだ。よくよく詳しく聞いてみると、委員長さんと副委員長さんの連絡がうまく
        取れていないだけであって、別にこんな全体会で言う内容ではなく、お互いにコミュニケーションが
        とれていればどうということがない問題なのだ。それをまるで名指しして罵倒するがごとくひとり
        激昂しているのだ。みんな唖然としたようだった。

        すると何人かの父兄が意見し始めた。始めは優しく「お互いで話していただければ...」と。
        ところがその怒っているお母さんは怒りが収まらないらしく、まだ何度か同じ発言を繰り替えしていると
        他の父兄たちが口々に「そんなのはそこだけで話し合え!」「全体で言うべき事か!」などなど
        だんだん激論化してきたのだ。いやーこの父兄のパワーはすごい。私は受付をしながら呆然として
        しまいましたよ。まぁたいして紛糾せずに収まったのですが、なまじ保護者が揉める方が生徒より厄介
        ですね(笑)

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