豹変する 9月 上旬 編



9月1日(水) 最初からスパートすると息切れも早い

        とうとう2学期が始まりました。初日から色々ありました。まず驚かされたのは生徒の死亡事故のこと。
        夏休み中に事故に巻き込まれて亡くなったとのこと。今まで事故と聞くと「また、バイクか!?」と
        思いがちな、うちの学校ではあるが、今回は自転車で横断中、右折禁止の所を無理矢理曲がって
        きた車同士の事故に巻き込まれてたということらしい。本人に何の過失もないのに...あまりに
        ひどい話でとても悲しくなった。始業式にはみんなで黙祷をする。

        そしてやっぱり2学期が始まったと実感するのは、列挙して襲ってくる仕事の山。朝会で配られる
        連絡事項のプリントの束。会議も連発。ふうーっ。まずは明日ある課題テストの印刷。この前、
        夏休み中に来たときは出来なかったので(笑)そして会議一発目。中学校訪問の件。うちの学校では
        夏休み明けのこの1週間、面談期間と称して半日授業をやっている(小学校の低学年並)その期間の
        午後を使い、担任は夏休みにぐれてしまったり(笑)成績が不振のものだったり、また色々な悩みを
        抱えている生徒などと面談をするのだ。そして方や私ら副担任は、中学校訪問を虱潰しに行い、
        生徒集めの営業活動を行うのだ。その中学校訪問についての作戦会議。例えば中学校側から
        「来年度は推薦入試で何人ぐらいとるのか?」と聞かれたときの答え方とか。もちろん企業秘密(笑)
        そしてその後アポ取りの電話かけまくり。先生も営業活動中!(日テレ営業中のメロディーに
        乗せて(笑))

        会議二発目。コンピューター委員会。前にも書いたがソフトの予算100万円についての再審議。
        実は前回提出した購入計画書に県の方からクレームがついたのだ。それは何かというと
        Office2000のバージョンアップ版がダメだというのだ!なぜかと問うと、以前にオフィス97を
        買っているからというのだ!何でだー!どうやら以前と同じソフトはダメで、そのバージョンアップ版は
        認められていないらしい。これっておかしくない?ソフトってどんどんバージョンアップするものだし、
        より高性能なものを有効に使いたいし、新しいものを買うよりよっぽど安くつく!それがダメだと
        いうのだ。このソフトの予算は文部省のひも付きのものらしいが、どうやらそういう規定があるらしい。
        全く頭悪いとしか言いようがない。聞いたところによると、とある学校では一太郎のVer6
        (Windows3.1用)を、一太郎Ver9(当然Windows98用)にバージョンアップしようとして予算請求したら
        蹴られたらしい。なわけで、もっと生徒が使えるようなソフトを購入しろとのこと。確かに私が買って
        もらったのはユーティリティーソフトが多いけど(^^;)でも高校生が使う教育ソフトって意外に
        いいものが少ない。うちの場合、小学生用ソフトでは簡単すぎてダメだし、難しめのではちょっとと
        いうレベルだし...ましてやうちの学校あたりだと、授業で「情報」という科目があるため、
        他教科がコンピューター室を使うのはなかなか難しい。そういう現状も知らずに買えとは...
        使いもしないで買った(買わされた?)ソフトが封も切らずに置かれているのが見えるようだ。
        そんなことなら生徒も使うようにOffice2000のバージョンアップ版ぐらい買えって!
        (マイクロソフトさん、援護射撃を(笑))とりあえず辞書ソフトと百科事典ソフトを考えると
        いうことになりました。

        そして最後に情報処理室の新規4台のパソコンにインストールの嵐!ワープロ、表計算、
        データベース...と、さすがに4台もいっぺんにやると大変。昔は新しいソフトが来ると
        ワクワクしてインストールしたものだけど、最近は面倒臭くなってきた。年かな(笑)
        それにしても昔のハードディスクが少なかった頃の貧乏性が抜けない。標準セットアップなんて
        とんでもない!カスタムセットアップで、いらない余計な機能のチェックをはずしたり、
        不必要なフォントを削ったり...でも考えてみたらハードディスク、8Gもあるのね。ほとんど
        完全インストールでもへのかっぱ。そんな心配する必要ないのかぁ。ああっ、340Mの
        ハードディスクで欣喜雀躍していたあの頃の自分が懐かしい(遠い目)

        てなわけで初日から仕事をしすぎて、放課後には息切れしてしまいました。まだまだリハビリ期間は
        必要なようです。来年の夏休みよ、早く来い。


9月2日(木) 密度の濃い部屋

        本日は課題テスト。夏休みの宿題というか課題を元に、国語・英語・数学のテストをするというもの。
        でも本当の意味は、まだ暑くて授業なんかやりたくない生徒と教師の利害が一致した行事でもある。
        しかしそれでも当該教科は問題作成・採点まであってかえって大変なのだ。他教科の福利厚生の
        ための色合い強し。おまけに今回は私が2年と3年の問題、両方作ったもんだからけっこう
        大変でした。両方とも夏休みの課題として出していた漢字オンリーの問題。特に2年生なんか
        1問1点の100題。作るのは簡単だったけど、採点が漢字ばかりだとすげぇー大変だーっ!
        こんなに大変だとは思わなかった。おまけに身体がまだお仕事モードに入りきっていないので、
        全然進まない。15分やってはだらーっ、また15分やってはだらーっ、といっこうに進む気配なし。
        おまけにまたまた色々違う仕事も入ったりして、ただでさえ集中力欠けまくりなのに、こうなると
        効率が悪くて仕方ない。そしてとどめはこの暑さ。残暑厳しき折、クーラーのない学校は
        地獄の釜状態。そして極めつけは窓の開放厳禁!?夏休み中からやっている校舎の外壁工事が
        まだ続いている。そのため窓の所に足場が組んであり、落下物とかがあるかもしれないので、
        安全のため窓を開けないようにとのお達し。地獄です。この暑いむしむしした学校で、しかも
        窓を開けるなだとー!正気の沙汰じゃない。こんなところで採点なんかできるかー!

        というわけでこの学校の中で涼しいところを目指し移動。何かこの話、去年の今頃も書いたような
        気が....まっ、いいか(^^;)図書室は生徒があふれかえっている。進路室はみな忙しく仕事をして
        いるので申し訳ない。事務室は電話や来客の対応で忙しそうで気が引ける。やっぱり一番無人なのは
        コンピューター室。レッツゴー!.....何と!いつもはほとんど教員も寄りつかないこの部屋が
        今日ばかりは満員御礼。10人近くいる。採点している人あり、授業のプリント作りしている人あり、
        椅子を並べて寝ころんでいる人あり(笑)こんなにコンピューター室が、教員で密度が濃く
        なったのを始めて見ました(笑)初めて来た人なんかもいて、他の人に教えられてソリティアなんか
        している初心者もいる。多くの教員にコンピューター室へ足を向けさせるには、上意の号令(北風)
        よりも、涼を求める暑さ(太陽)の方が近道でした(「北風と太陽」より(笑))


9月3日(金) 困ったちゃんと中学校訪問

        困るんだよねぇー、まったく。生徒に手がかかるのは仕方がないけど、同じ教員でしかも年上だと
        対処に困ってしまう。それも対外的なら尚更。実は今日は中学校訪問に行ってきたのです。学校の
        資料などを持って生徒を送って下さいとPR活動。先生も営業中!4つの中学校を回ってきました。
        事前にアポを取ると中学校の先生方は本当に忙しそう。空いてる時間はほとんどない。昼休みの
        わずかな時間か6時過ぎならと言われ、なら昼に伺います(^^;)と約束を取り付け、他の学校も
        アポと言いながらもほとんど飛び込みのような感じで行ってきました。

        この中学校訪問、去年もやっているし、教務部時代は毎年やっていたので、PRポイントも分かって
        いるし、中学校の雰囲気も分かっている。どういう眼でうちの学校を見ているかとか、進路状況とか
        その他諸々わきまえている。その上、弁舌爽やかで立て板に水な私のセールス・トークで毎年
        好印象を与えていると自負しているのだ(^^;)ところが今年は結構困ってしまったのだ。
        それはペアの人のせいなのだ。

        今年はG先生と一緒に回ることになっていた。このG先生、悪い人じゃないんだけど色々な面で
        困ったちゃんなのだ。年齢は50代、でも独身。見た目は既に好々爺の域、いつもビニール袋に
        様々なプリントなどを入れ、よく物忘れをする。くだらない駄洒落を飛ばし、あちこちの部屋へ
        行っては雑談して人の仕事を邪魔している。ちょっとルーズな感じで、あまり仕事ができるタイプ
        ではない。そのためいい年なのに主任クラスへの登用なし。もちろん担任へも。学年の
        お荷物的存在と言ったらいい過ぎか。悪い人ではないがちょっと困ったちゃん。まっ、私の場合、
        今までほとんど一緒に仕事をしたことがなかったので、その困ったちゃんぶりは人づてにしか
        聞いたことがなかったから、よく知らなかったのだ。しかし今回始めて痛感した。これは是非とも
        「教師列伝」に書かねば!だいたいおかしいと思ったんだよ。
        毎年やっている中学校訪問に、万年副担のG先生が今年始めて行くなんて。中学校訪問は副担の
        例年の仕事なのに、なぜ今まで割り振られなかったか。それは...

        とりあえずまずN中学校へ。そこでまず困ったちゃん一発目。中学校側へ渡す資料なのだが、
        わざわざ教務部で、学校要覧やパンフレット、昨年度その中学からは行って来た生徒の様子を
        記した資料など、まとめて封筒に入れて持たせてくれたのだが、昨日預かったにもかかわらず、
        封筒がよれよれなのだ。相手側に渡す資料も、下調べで目を通して置いてくれたのはいいが、
        バラバラになっていたり、折り曲がっていたりする。またその封筒を入れていたのが、もっと
        大きめの紐で綴じる封筒なのだが、その表には宛名をマジックで消した跡...。うちの
        学校宛てに来た封筒の使い回し...。頭が痛くなってしまった。こんな時ぐらいちゃんとした
        入れ物を持ってきてよ。それに資料も丁寧に扱ってよ。恥ずかしくって渡すとき手がふるえて
        しまいましたよ。思わず謝ってしまった。でも本人はほとんど気にしていない様子。

        困ったちゃんその2。いちおう私が年下なので(というか慣れているので)話をさせてもらい、
        G先生が記録というか、その中学校の3年生のクラス数とか在籍数、進路希望の様子、推薦する
        生徒たちの様子などを、会話の中から聞き取り、記録することになっていたのだ。それがまた
        ちゃんと記録していないのだ。「そうですか、それで今年は3年生は何クラスで何人
        いらっしゃるのでしょうか?」「えーっと6クラスで235人です。」「えっ?何人?」
        「235人です。」「ほーーっ、そうですか。へぇーっ、少子化って言っても結構いるもんですね。
        335人ですか。ハハハッ。。」頭が痛い。

        困ったちゃんその3。3つ目の中学でのこと。また私が会話して、G先生が記録してくれたのだが
        その記録を何かのプリントの(もちろんくしゃくしゃ)はじっこの方にでかでか書いているのだ。
        相手の先生にも丸見え。おまけにその前に回った中学校の情報もそこに一緒に、見えるように
        書いてある。『K中学、4クラス154人。うち推薦予定50人ほど。不登校多し。』とか。
        もっとちゃんとしたノートにでも記入してくれよ。おまけにそれじゃあ、他の中学に情報を
        垂れ流しているのと同じじゃないか。勘弁してくれよ。相手の先生も私の話など全然聞かずに
        G先生の手元ばかりじっと見ている。そうかと思うと、さて話も終わり帰ろうとすると「今、
        うちのOが申し落としましたが、秋の体験入学は10月16日ですから。」とか言ったりする。
        おいおいって感じ。もう来年からは絶対一緒に行かない。うちの学校のPRどころか評判落として
        回っているようだ。年輩の先生だしなかなか注意しづらい。本当に困ったもんだ。


9月4日(土) 中学校訪問余談

        今日も忙しかった。授業の他にPTA理事会のお手伝い。そして課題テストの点数入力。その上、
        情報処理室のセッティング等々。おまけに総務部長のM先生にたってのお願いで、中学校訪問1校
        バトンタッチされたのだ。相手校の都合で今日の12時。昨日の時点で私の持ち分は終わって
        いたのだが、同じ総務部でしかも部長の頼みとあっちゃあ、断れませんよ。というより代わりに
        PTA理事会に出なくていいと言われたので、ふたつ返事で引き受けましたよ(笑)一緒に行くのも
        G先生じゃないし(^^;)

        で、土曜日で半ドンだというのに、時間外勤務ではありますが、第二中学校へ行って来ました。
        そこでまた色々とPRして必死の売り込み。推薦の定員枠の話などが話題に出ました。そこでひとつ、
        昨日の中学校訪問の余談。昨日伺ったM中学校の先生の話。

         「そういえば先日N高校の校長先生もいらっしゃいまして、おたくの高校の話をしていましたよ。」
         「ほーっ、どんなことを?」
         「いやー、『あの学校は昨年度、推薦で定員の7割もとるというようなことをしましたが、
          あれはルール違反ですな。一応規定では定員の3割程度ということになっているのに7割ですぞ!
          まあ今年は県の方からも指導が入ったようですし、3割しか取らざるを得ませんでしょう。
          ハハハッ。その点うちの高校は去年は2割程度でしたから、今年は4割は堅いですよ。』って
          言ってましたよ。」

        目が点になってしまいました。確かに去年うちの学校は暴挙に出たというか、けっこうすごいこと
        やっちゃって、近隣の学校には顰蹙もんでした。でも今まで万年定員割れだったものですから、
        少しでも生徒を確保したいということで、また県の方からも毎年の定員割れを何とかしろと
        言われてたから、ある意味、県の方でも仕方ないと言われていたのです。それがやはり近隣の
        高校ではわかってもらえなくて、こんな発言になったのでしょう。思わぬところで本音が聞けました。
        それにしても毎年3割だからといって、去年2割+今年4割で帳尻が合うという考え方も
        どうなんですかね?でもこれだけ少子化が進むと、中学校訪問だけでなく、中学生の青田刈りというか
        生徒確保のための足の引っ張り合いというか、何か嫌な世界になってきたと実感した次第で
        あります。


9月6日(月) 情報処理室の管理人の独り言

        先日も書いたが、約100万分のソフトが来たが、ユーティリティーソフトが多いため、いまいち
        パッとしない。この手のソフトになると普段使っている人が中心になるわけで、その利便性を
        知っている人が中心に使うことになる。ますます初心者には取っつきにくくなるのかもしれない。
        情報処理室もオープンして、機器・ソフトともほぼセッティングが終わったのだが、誰も使いに
        来ない(泣)元来この部屋は、各教科から出ていた教科で欲しい物として、コンピューターが
        一番多かったのだが、希望教科に全て行き渡るほど予算がない。だからここにまとめて4台入れて
        ここで使って下さいというわけなのだが、私は始めからやめた方がいいと思ったのだ。元々
        コンピューターなんて、自分の身近にあって、すぐ使えるから重宝な物であって、わざわざ
        この部屋まで足を運んで仕事をしに来るなんて億劫で仕方がない。日常的に身近で使えるからこそ、
        コンピューターのスキルも上がるものなのだ。それを単に予算の面からだけで、こういうふうに
        してしまうと、なおさら死にコンピューターが増えるだけなのだ。先生にコンピューターを
        使わせたいなら、一人に一台ずつノートパソコンを与えるぐらいの英断を見せて欲しい。

        といいつつも、この情報処理室が私の砦となったのも事実(笑)教務部を追い出されて以来、自由に
        使えるコンピューターがなくて、あちこち渡り鳥のような生活をしていたのだが、ここにきて
        最新機種のコンピューターが4台も!うーん、使い切れない(笑)個人的に欲しかった
        ノートパソコンもあるし、至れり尽くせり。これで仕事バリバリやりますよ(嘘)そしてソフトも
        豊富。でもまだほとんどインストールしていない。あまり色々入れすぎると、相性のせいで
        調子が悪くなったらなぁと考えてしまうからです。ハードディスクを遙かに超えるソフトの山を
        見ての独り言。


9月7日(火) 業者群の暗躍

        学校というところは様々な業者がやってくる。出版・教材・旅行・保険等々。公金を目当てに
        甘い汁を吸おうと集まってくる。ちょっと席を離れると、いつの間にか旅行のパンフレット、
        参考書のサンプル版、何とか生命のPRが書いてある飴とか...。一頃より景気が悪くなった
        せいか、以前なら様々なアメニティ・グッズを配りまくっていたが、最近ではメモ帳や飴玉、
        ティッシュ程度。まぁ、一時期、旅行業者と癒着して修学旅行を独占していたところが
        あったりと、学校との業者の付き合いというのはなかなか根が深い。私のところなどにも
        国語で1年次に買わせている辞書類に関して、とある出版社などは日参していたときもあった。
        確かに一冊2000円前後する辞書を、1年生300名近く買ってもらえばいい利益になると
        いうもの。また教科書会社も然り。プリントを作る用に原文データが欲しいと言ったら、速達で
        送ってきました。どこも色々サービスをして何とか学校に食い入ろうと大変なのです。以前
        定番にしていた修学旅行業者も、ある時以来業者を代えたら、その人はいきなりリストラに
        あってしまったという話も...。業者もつらいよ。

        それにしても保険のおばちゃんもまたすごい。こちらの昼休みを狙って攻撃をかけてくる。
        忙しい仕事の中で唯一の休息時間なのに、保険のおばちゃんの攻めにはまいる。

          「でね先生、やっぱり老後のこともそろそろ考えてね、これなんかね、保障がね...」
          「すいません、今、ちょっと忙しくて...」
          「あらいやだわ先生、何もしてないじゃないですか。」
          「いや、これからコンピューターで生徒の成績を入力しなければいけないので、部外者には
           マル秘データですから...」
          「大丈夫よ先生、あたし見てないから。気にせずやってちょうだい。耳だけ貸してくれれば
           いいから。それでね、このガン保険なんだけど...。」

        えらい大変です。また先ほどの修学旅行業者なんかは、

          「O−TEACHER、夏休みどこかへお出かけの予定は?」
          「うーん、帰省しようと思っているだけだけど...」
          「なら、チケットは私の方で取らせていただきますよ。良い席が安く取れますから。」
          「いや、別にいいよ。まだいつとかはっきり決めていないし...」
          「何なら特別にクーポン券なんかもつけますよ。ですからひとつ再来年度の修学旅行は
           当社で...。」

        中学校訪問で私たちが受験生集めをして四苦八苦しているように、業者も指名されようと躍起
        なのね。


9月8日(水) 名刺入れがない!

        昨日車をぶつけられた。幸い怪我もなく大したことなかった。自宅近くの細い道で、前方車と
        同じように右折しようと停止していたら、前方車がいきなりバックしてきて私の車に
        ぶつかってきたのだ。たまたま右折しようとした道に対向車が来ていたので、細い道で
        進入できないと見て、後方を確認もせずにバックしてきたのだ。こちらはもちろん停止して
        いたから何の咎もない。幸いボンネットがちょっと歪んだくらいだった。そしてその後、
        相手の人と事故についての話し合いをして、お互いの氏名や連絡先を確認したり、警察や
        保険業者と連絡を取ったりと色々あった。でもたいしてトラブルもなく無事済んだ。その後
        ディーラーに車を修理に出したりして、すべて終わったのが夜になってしまったのだ。

        やれやれ、今日はついていない。もうさっさと寝ようと思って明日の準備をしていると...
        あれ?名刺入れがない。確か事故があったとき、相手の人と名刺交換をしたとき、鞄から
        取り出したよなぁ。そしてその後鞄から手帳を出して、近くの雑貨屋から警察に電話して
        そしてその時鞄を電話機のところに置いて...と記憶を辿っていると、おかしい。きちんと
        鞄にしまった覚えがある。でもいくらひっくり返しても名刺入れがない。名刺には学校名は
        もちろん、メールアドレスまで書いてある。もし誰かが悪用したらどうしよう...。誰かが
        あの名刺を使って「O−TEACHERです。」と名乗って良からぬことをしたら...。
        まずいなぁ、あのアドレスを使って悪いことバンバンされたらどうしよう...と不安に
        なったのだ。そして再び記憶を辿るが、どうも電話をかけたときの記憶が怪しい。あの
        雑貨屋の電話のところへ置き忘れたのかもしれない。そう思い直し、夜も更けてきたが、
        とりあえず雑貨屋へ向かった。そして電話機のあたりを探したのだがない。もしかしてこの
        雑貨屋に落とし物として届いているのではないかと思い、尋ねてみようと思ったが、もう
        すでに閉まっていた。やっぱり違うのかなぁと思いつつ、電話機の近くから立ち去ろうと
        したその瞬間、あったーーー!俺の名刺入れだーーっ!良かったー、見つかって。悪用
        されずに済んだーっ。ほっとして帰路についた私でした。

        さて名刺入れはどこにあったかというと、電話機のすぐ横に、パン屋が小売店や
        コンビニなどにパンを運ぶときに使う、パンを入れるケースというか箱みたいなやつの
        ところにあったのです。雑貨屋だからパンも売っているわけで、その空ケースが電話機の横に
        置いてあったのだ。多分無意識に電話をかけるときに、そこへ鞄を置いたとき、名刺入れが
        するりと落ちたのでしょう。でも帰ってから考えてみると、夜更けに雑貨屋のパンケースの
        横で、「あったーーっ!」とか叫んでいる男って、けっこう不審ですよね(笑)

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