≪おはなしのおはなし≫
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ストーリーテリングの中から想い出深いおはなしや私の覚えたものをここにご紹介します。
おはなしの輪がますます、広まっていくことを願いながら書きとめてみました。
お気に入り、聴いてみたい、読んでみたいおはなしがありましたらお知らせ下さいね。
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頭の大きな男の話 [日本] 「日本の昔話Cさるかにかっせん」より 福音館書店 |
『頭に柿の木』というような類似話があります。よく知られているのは、ぐうたらで酒飲みが頭に柿の木が生えてきたおかげでさらに、そのままぐうたらで楽しく暮らしました、という結末が面白いのかもしれませんが、ぐうたらで楽をしようとして結局は痛い目にあうのが定番中の昔話。でもって、結末にこだわりをもっていた中、小澤俊夫さんによるこの再話を知って嬉しかったです。
実際に、耳で聴く機会に恵まれ、とても私自身が楽しめました。語っている方もとても好感をもちました。
今回、小澤さんの講演を聴く事になり、この機会に私も語りたいと思いました。やはり、結末がいいですね。
三度の繰り返しと、助詞の使い方の小澤さんらしいこだわりを意識して語らせてもらいました。
子ども達も楽しんでくれたのが何より嬉しかったです。結末の意味はわかったでしょうか?
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あなのはなし [ミラン・マラリーク] 「愛蔵版おはなしのろうそく2」 東京子ども図書館 |
ありえない話はおはなしではあたりまえ。一見、おもしろそうで変な話。でも、なんだか似たようなおはなしがありそう。
あのおはなしに似ているような気がする。一見、覚えるのに、そんなに難しそうには思えない。
初心者向けかな?と思いましたが案外、言葉の一つ一つに、こだわりを持って、丁寧に覚える必要がありました。
(語りは、とんとん拍子に進むことが大切で、途中、立ち止まったり、つっかえたり、もたもたしては、台無しになります)
覚えるきっかけとなったのは、コロナ禍で、朗読放送したものの、感染緩和されたら、ちゃんと生で語ってあげたいと思ったからです。
昼休みのおはなし会に語りました。男の子が喜んで、その後、すぐにこの本を借りて行きました。
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アナンシと五 [ジャマイカ] 「子どもに聞かせる世界の民話」 実業之日本社 |
おはなし会のプログラムには必ずストーリーテリングをいれるきっかけとなったお話です。共におはなし会を立ち上げてくれた、おはなしの先輩であり、友人が語るこのおはなしに触発されて「よし、頑張っておはなしを・・」という気持ちにさせてくれました。
「アナンシ話」は他にもありますがこのおはなしが最も定番で子ども達も喜んで聴いてくれます。
アナンシはずる賢い奴です。魔女が「五」と言ったものは呪われてしまうというのを盗み聞きし、道端にサツマイモの山を5つ作ります。
アヒルやウサギはまんまと引っ掛かってしまいますが、ハトの奥さんだけには通用しません。たまらずアナンシは・・・
一、二、三、四、五、と子ども達も一緒になって数えてくれて喜ばれるお話です。
※ストーリーテリングを始めた仲間たちが殆ど覚えて語られるので、長いこと遠慮してましたがやっと、私にも出番が廻ってきました。
20年も経てこのおはなしを語る機会ができました。ろうそくの灯りの下で語るとぐっとこのおはなしの雰囲気が出ることを実感しました。
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アナンシの帽子ふりおどり [アフリカ] 「おはなしのろうそく 16」 東京子ども図書館 |
上記の「アナンシ話」のもうひとつのおはなしです。くもがなぜ、髪の毛がないのか、草むらでじっとしているかというなぜなぜ話ですが、お葬式の喪が明ける意味などが低学年以下の子どもには難解だと思います。高学年以上から大人向けにはとっても可笑しくて笑えるおはなしです。ですから、いつでもどこでもというわけにはいきませんので、このおはなしを覚えようか隋分、迷いました。こういうおはなしの場数が増える事を期待しつつ、それでもよく聞いてくれる子は「ア、ハハハ・・♪」と笑ってくれたよね〜と思い起こしています。
アナンシも可笑しいですが、アナンシにとっては、いらないお節介焼きのハリネズミやウサギやヘビやホロホロ鳥の存在がこのおはなしを盛り立て引き立てていることを意識しながら語りました。
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あまがえるが雨の日にケロケロ鳴くわけ [韓国] 「ライオンとやぎ」 こぐま社 |
私が初めて覚えた想い出のお話です。まだ、ストーリーテリングの何たるかも解からない時とにかく語りたい一心で覚えました。
6月、雨の季節に最適のお話。カエルが「ローケッ、ローケッ」と鳴くところなどとても愉快です。でも、いつもお母さんカエルに逆らってばかりいたカエルは最期にとうとう、・・・
子供の頃、田植えの時期になると、農家の実家で手伝わされました。子供心に、何とかして逃れたいとウソをついて母を困らせた事がよみがえります。胸が本当は痛いのだけど・・母も解かっていたようです。大人になって子供の気持ちも母の気持ちも手に取るように解かって胸がキュンとなります。教訓話だと受け止めるかどうかは語り手、聞き手に任せるとして・・
初めて語ったときは母への思いだけを考えました。そんな私にとって大切な物語です。
※同じようなおはなしで『おばけのトッカビ』より「おやふこうなあおがえる」があります。松谷みよ子さんの再話ですがこちらのほうが短くさらりとしています。3年生は「おやふこう・・」高学年・公民館では「あまがえる・・・」を同じ頃に届けてみました。子ども達はどちらが好きでしょうね。
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あゆはかみそり [日本] 「子どもに語る日本の昔話B」 こぐま社 |
「和尚と小僧」の中に収められている一話。滋賀県のお話で元住んでいた所で語る毎に綺麗な水を想います。
鮎を食べさせたくない和尚さんがかみそりだとごまかす。そこで、小僧さんはなんとかしてやりこめようと・・・
和尚さんと小僧さんの絶妙なコンビととんちのきいた話は一休さんを思い浮かべる子もいます。
関西弁もこのお話のスパイスとして生き生き描かれています。どの地方でも通用するおかしみのある話です。
もう一話は、「あめは毒」奈良県のお話。
これも水あめは子供に毒と言われた小僧さんが知恵をはたらかせて全部なめてしまうというおまけの話です。
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ありこのおつかい [石井桃子] 絵本 岩波書店 |
2007年3月10日に百歳を迎えられた、敬愛する石井桃子さんを祝して覚えました。
中川宗弥さんの絵も素敵な絵本ですので、家庭では、幼い子ども達に読んであげても良いと思います。でも、大人数のおはなし会では、絵本よりもおはなしとして届けた方が子ども達が自由に頭の中で描いてくれるだろうと勇んで覚えてみました。
お母さんにお使いを頼まれたありこが、言いつけを聞かず道草を食ったため、かまきりに食べられ、かまきりはムクドリに、ムクドリは山猫に、山猫はくまの子にと順々に食べられてしまいます。そのお腹に入っていく時に発する「ばかぁ!」等という声が面白くて子ども達は大喜びしてくれます。でも、くまのお母さんからおしりを叩かれてまた次々と口から出てくる事になるというこのお話は「ついでにペロリ」を初めとして似たような「のまれた昔話」がありますが、これは創作という事もあってか、それらと比べると、覚えるにはやや困難という印象をもちました。
間違えたり、つまったりすると、このおはなしの面白さが半減しかねないという責任感みたいなのも感じましたね。
でも、くまの子のお誕生日にみんなが仲直りしたというラストに、子ども達も良く聞いてくれ、とっても満足感と達成感がありました。
「桃子様、お誕生日おめでとうございます♪語れて良かったです。」
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アリョーヌシカとイワーヌシカ [ロシア] 「まほうの馬」 岩波書店 |
ストーリーテリング講習会で珍しく?語り方を誉められたおはなしです。グリムの「兄と妹」にも似た話。
魔女にだまされ水底に沈められた姉とヤギに変えられた弟の行く末にぐいぐいひきつけられる昔話です。
水底からの声の一節は調子が整うように少し文章を変えた方がよいとアドバイスを頂き変えてみました。
詩のようで、歌うわけではないけど心に音楽が鳴り響くようなきれいなアリョーヌシカの声が印象深い物語です。
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いうことをきかないウナギ [イタリア] 「愛蔵版おはなしのろうそく4」 東京子ども図書館 |
「ふしぎな世界」をテーマにブックトークした際、導入として語りました。イタリアの特徴を取り入れたユーモアのある短いお話です。
かごにいっぱい「ウナギ」を入れた漁師がベニスの運河を渡ろうと料金を船頭に聞きますが「ひとり頭 5銭」という返事にウナギの頭を見ながらこれは高くつくと勘違いをした漁師がしたことが滑稽なのですが、この事を理解できるのは高学年以上かなと感じました。
「ひとり頭」という言葉の意味やイタリアがわからない子どもにはこの可笑しさが理解できないかもしれません。
でも、おまけのおはなしとしてすぐ語れますので、覚えておいておはなしリストの引き出しに入れておくにはいいかと思います。
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※後日談:おはなしの前に世界地図を開いてイタリアの場所、形を確認させました。(ギリシャも近いのでオリンピックが開催されたアテネもどこにあるか確認)そして、ベニスが入り江に位置していて水の都と呼ばれる所以を説明してから語りました。おはなしの短さに比べて説明の方が長くなったかもしれませんが子ども達はよく判ったようです。
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いちばんのねがいごと [ミヒャエル・エンデ] 「魔法の学校」 岩波書店 |
このおはなしは、ストーリーテリングとしては相応しいかどうか疑問もあったのですが、ブックトーク(テーマ:まほう)としてこの本を紹介するために覚えてみました。散文詩のような流れになっていて、願い事は子どもに限らず誰でも叶えてほしいと思わない人はいないでしょう。
この本を紹介する時も「いっぱい、願い事がある!」といっていた子もこのおはなしをしたら寡黙になってしまいました。私もかなりインパクトがあったものですから、ある意味面白いかもと冒険したのですが、当たり外れがあるおはなしかもしれません。でもさすが、エンデだという気がします。
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浦島太郎 [日本] 「子どもに語る日本の昔話A」 こぐま社 |
三大御伽噺のひとつです。
2000年の子ども読書年調査で、小学生に「浦島太郎」のお話を知っているかと聞いたところ、15%の子どもが知らないと答えたそうです。
10年後の国民読書年。今、この数字にどんな変化があったでしょう?
しっかり、今の子どもたちに聴かせてあげたいと以前から思っていました。
語るために、絵本や色々のテキストを比較してみて「こぐま社」にした決め手は、竜宮での乙姫が案内する部屋の四季が移り変わる様は、まるで、「みるなのくら」のような類似性とリズム感が好印象だったから。
島取の方言には、流石に苦労しましたが、それも語り慣れれば筋の良さをあらためて再確認させられました。
6年生の男子ふたりが真剣に聴いてくれました♪
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ウリボとっつぁん [イタリア] 「世界むかし話」 ほるぷ出版 |
私がこれまで覚えて語ったおはなしの中で最も長いお話。(25分)
ウリボの人柄、死神、悪魔等の人物設定とその性格や人柄がはっきりしていて、またその掛け合いも楽しめるもの。
はじめから、結末まで、ぐいぐいと引っ張られていってしまいます。一言で言えば、「蜘蛛の糸」とは正反対のお話でしょうか。
東京子ども図書館のおはなしの会で、元研修生の大ベテランさんが語られたのですが、とても楽しくて、ただ楽しいだけでなく感動しました。
そして、ああ、私も語りたいな、でも長いし、果たして子どもの前でできるるかと、不安はあったもののやはり挑戦してみたくなりました。
毎日、少しづつ覚えていく中で、このおはなしの素晴らしさと流れが、飽きさせないことも然ること乍ら、木村則子さんの翻訳が良いのでしょう。
あらためて、ひとつひとつの言葉や文章表現に感銘も覚えました。とっても楽しく覚えられましたね。
まずは、大人のおはなしこうかん会で聴いてもらって、6年生のクラスで語りましたが、子どもたちもよくストーリの流れについてきてくれました。それほど長さを感じさせないのでしょう。
ただ、この本が絶版で、市内の図書館に1冊しかないのが紹介しづらくて残念。子どもたちは早速、手にして読みたいと言ってくれただけに残念でたまりません。復刻リクエストしたいものです。
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干支のおこり [日本] 「日本の昔話@はなさかじい」より 福音館書店 |
新年を迎えて、図書室では、「十二支の動物名とその順番。そして、猫は何故、十二支にないのか調べよう」と、掲示され、子ども達にそれらの本が紹介される。1月の図書室の風景でよくあること。絵本ではあるものの、ここはおはなしで伝えてあげると、よりわかるのではと思い、文章も短くて覚えやすいので、語ってみました。
十二支の動物名とその順番については、聞いていた1年生の子ども達もいっしょになって、「知っている」ことを自慢げに声をあげて唱えていました。おまけに「十二支のかぞえうた」もしました。1月の最初のおはなし会には最適ですね。
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エパミナンダス [S・Cブライアント] 「愛蔵版おはなしのろうそく1」 東京子ども図書館 |
このお話は文句なしに子供を抱腹絶倒、楽しませてくれるから語り甲斐があります。
お母さんに頼まれおばさんの所へ行きお土産を貰って帰ってくるのですがとんちんかんな事ばかりの連続。
「おっかちゃん」という言い方も子供の笑いをとります。「あたまがない」というお母さんに幼い子には難しいかも?
エパミナンダスは頭が半分ないのか?と勘違いしている子に語りながら吹きだしてしまって大失敗しました。※
小学中学年からの方がおかしみがわかって喜んでくれます。でも、最後のオチはどれだけの子がわかるかな?
4年生おはなし会でも殆どの子が面白かったと言ってくれました。お手紙までもらって嬉しかったです。こちら
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※後日談(名誉のため?)「あたまがない」を勘違いした子も、後で意味がわかり私の所へきて「あたまがないおばちゃん」と親しんでくれました。「エパミナンダス」によって二次的言葉を獲得したのです。創作は昔話と違って作者の思い等が込められていますので、むやみに手を加える事を避けたいと思います。幼い子には言葉が理解できないからと変えてしまうことより、日常会話(一次的言葉)では得られ難い言葉をおはなしや絵本で習得していくものと、長い目でみたいものです。
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おいしいおかゆ [グリム] 「愛蔵版おはなしのろうそく1」 東京子ども図書館 |
ストーリーテーラーたちの大半が「初めて覚えたおはなし」に「おいしいおかゆ」がよく挙げられると思う。
短いが、しっかり聴いた感があり、おはなしにあまり慣れていない初心者の聴き手も楽しく聴けると言われているお話。
それで、他のメンバーに任せて、私はスルーしてきた。でも、コロナ禍でストーリーテリングが出来ない日々の中で、小学校の給食時間に黙食を強いられている子ども達に、放送で朗読してみた。但し、自分が覚えたお話は、朗読しないがモットー。なので、最初の朗読は「おいしいおかゆ」にしてみた。子ども達は特に、低学年が喜んでくれた。コロナ禍3年目で、マスク着用のおはなし会が図書館で、行えるようになり、まずは聴きやすいお話にしようと思った。それで、このお話を覚えて語りたいと思った。「ストーリーテリングを始めてから、23年たってからやっと覚えました。」と、言ったら笑われるかしら?
まだ、感染者があって、少数のそれも幼い子の前だから、このくらいでいいのかも?もっと長いお話で骨太のお話を語れる日が来ることを願いながら、大切に語りたいと思いました。
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王子さまの耳はロバの耳 [ポルトガル] 「子どもに聞かせる世界の民話」 実業之日本社 |
「王様の耳はロバの耳」で知られている話。でも、ちゃんとした話がこれです。3という不吉な数は昔話の定番。
3番目の妖精に呪われてロバの耳を持ってしまった王子の耳を何とかして隠そうとする王様のとった手段は・・・
葦笛のメロディーは子供の頃、劇場で聞いたふしを覚えていて実際聞いたものよりゆっくりと歌ってみました。
(軽快なメロディーにすると、このおはなしの雰囲気を壊して軽くなってしまうため)
この歌を歌うと子供たちも耳をすまして、クスッと笑ってくれました。
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おおかみと七ひきの子やぎ [グリム] 「子どもに語るグリムの昔話@」 こぐま社 |
このお話を覚えてから子どもの前で語るまで何と4年半も費やしてしまいました。
グリムは語るにも難しいし、聞き手もそれなりに聞く力を必要とされるということからグリムは長いこと敬遠していました。
このお話ならと安易な気持ちで覚えたら指導者から「貴方は本当にこのおはなしを語りたいの?」と言われてしまいました。
それで、しばらくお蔵入り。少し成長して?やっぱり、語りたいと思って最近やっと、戻して初披露できました。
熟成できた話だったでしょうか?知っているようで知らない部分も多いストーリーに子ども達はのめりこんでくれました。
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おなべとおさらとカーテン [村山籌子] 「リボンときつねとゴムまりと月」 JULA出版局 |
TVで子ども達に語りをされている方を取り上げていた番組を見ていて、このお話の虜になってしまいました。
文体が古めかしいのは作者が生きていたら百歳の方だからでしょうね。読むとどうってことない話なのに耳で聴くと面白いから不思議。
お台所から逃げ出そうとした、おなべとおさらとカーテンの結末は・・・ぷっ、何か変です?
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おばあさんがエプロンをながくした話 [ホープ・ニューウェル] 「あたまをつかった小さなおばあさん」 福音館書店 |
こんなおばあさんがいたら、どんなにか楽しいことでしょうと思ってしまいます。どんな困難なことに出会っても、頭を働かせて機転を利かせ上手に切り向けるおばあさんなのですが、本当に頭が良いのかわからないところにこのおはなしの面白さ、ユーモアがありますね。
全部で9編入っている「あたまをつかった小さなおばあさん」の中からこのおはなしを選んだのは季節感がなくて、いつでも語れるという事と、このユーモラスさがやはり好きだなと思えたからです。
今の子ども達はエプロンなんて作らない(以前は、家庭科で作ったような気がします)のでキャラコとかフリルをつけたら長くなるかわかるかしら?と、思いキャラコの説明とエプロンを実際に見せてから語りました。さすが、女の子はわかったみたいですね。部分的にあれれ?と思うところを男の子も突っ込んでおはなしの中に入っていましたね。
どのおはなしも、(9話全部)初め、おばあさんの冒頭の紹介部分を語ってからそれぞれの話をした方がおはなしの中へ自然に入っていくことが出来ると思います。
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おばあさんがたった一本のこったマッチをだいじにした話 [ホープ・ニューウェル] 同上作品より 福音館書店 |
上記の「エプロンをながくしたおばあさんの話」を覚えてから、7年半たってからこのお話を選びました。
きっかけは、電気のない時代の暮らしを楽しくブックトークで中学年の子どもたちに届けようと思ったからです。
その前に、大人の前で聴いてもらい気づいたことは、このお話がこんなにも笑える話だと恥ずかしながら後で知りました。
思わず語りながら楽しくて笑いそうになってしまいました。いやいや、子どもたちは笑うというより、ざわめいたりいろんなアクションがあるのでは?という意見もありました。
果たして、4年生の子どもたちの反応は、聞く力のある子とない子との差を感じました。
お話の良く分かった子が、あまり分からなかった子にこんなおもしろいのにわからんのかと、言わんばかりに説明しているのには驚きと嬉しさがこみ上げてきました。
いつか全話を語ってみたいかな?でも、このお話は語り手を選ぶとテキストにありましたから、私は選ばれた方でしょうか?
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かえるの王さま [グリム] 「語るためのグリム童話 1」 小峰書店 |
グリム童話では、No.1として掲げられているお話ですが、こぐま社の『子どもに語るグリムの昔話』では、「おおかみと七ひきの子やぎ」が筆頭にきています。「子どもに語る」ためなら、かえる・・・よりも、おおかみ・・・の方が子ども向けで、子どもも喜ぶからといういう理由でしょうか?と、まぁ、勝手な解釈をしております。実際に、私はこの「かえるの王さま」は、語りたいおはなしではなかった。というのは、忠実なハインリヒの下りが付け足しのような違和感があって、低学年の子どもには、語り難くい気がしてましたから。
それが、小澤俊夫さんの再話によるこのテキストを読んでみて、その迷いが払拭できて、寧ろとても自然で、ストレートに私の胸に、附に落ちました。加えて、ブックトークで『つくも神』の本を紹介するにあたって、「かえるの王さま」を語ることによって、子どもにより、紹介しやすいと思い、このテキストから覚え語りました。
実際に、3年生の子ども達がとてもよく聴いてくれましたので語ってよかったと思っています。
また、このおはなしを子どもに語る前に、勉強会〔おはなしこうかん会〕で、語り、聴いていただいたのですが、奇遇にも、こぐま社から語られた方がいて、その違いを比べる事もできて楽しく学べました。自分の語りに合った納得のいくテキストを選ぶことも、あらためて大事だと気付かされました。
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風の神と子ども [日本] 「日本の昔話Cさるかにかっせん」より 福音館書店 |
2020年2月末から、新型コロナウイルス感染防止のため、生のおはなしを子どもたちに届けることができなくなりました。
苦肉の策で、コロナ下での給食時間中に校内放送で朗読しました。
コロナ下2年目、緊急事態感染状況緩和になった2年ぶりの図書館おはなし会。
久し振りで子ども達も余り慣れていない子のために、このおはなしを覚えて語りました。
他のテキストよりも現代言葉でわかりやすいと思ったので子ども達も想像しやすいのではと思いつつも、果たしてどうか?となるとわからない。
ただ、私としては小澤さんの語り口調は単純で明快で昔話らしいと腑に落ちました。
因みに、このテキストは「こどものとも」ペーパーバック10月号に掲載されていたものを手直ししたもの。
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雷神さま [台湾] 「太陽征伐」 小峰書店 |
台湾には、原住民と漢民族がいるそうです。山地に住んでいる原住民は平地に住んでいる漢民族とは、違って教養が乏しくて素朴ですが、その想像力は豊かで自然の中で勇ましく闘ってきたようです。そこから、うまれ伝えられた話も豊富で、抱腹絶倒するような楽しいおはなしもあり、中でも、私はこの「雷神さま」にはとても親しみをもって受け止め語り伝えたいと思いました。テキスト本は、筑波大学中国教師の張 良澤氏の文に同名誉教授で昔話第一人者の小澤俊夫氏の監修によりますが、加えて、丸木俊さんの挿絵と、私の好きな小野かおるさんも装丁されていることに着眼しました。美術館主催の丸木俊絵本展にておはなしさせて頂きました。
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かん太さまのいびき [松岡享子] 「くしゃみくしゃみ天のめぐみ」 福音館書店このお話が昔話ではなく創作というから驚きです。それ位よくできた話。さすが、松岡さんと言いたくなります。(東京子ども図書館主宰)
6月の雨の季節から夏に語るに最適です。かん太は並外れたとてつもなく大きいいびきの持ち主で、どこで寝ても皆に迷惑かけます。
とうとう、寝る所のなくなったかん太は山へ行って寝ました。すると、雷様が降りてきて・・思わぬことになります。
馬が力抜けたり、ブタが痩せてしまったり、カエルが耳を押さえるなど楽しい場面の連続で長いけど飽きないお話です。
この本の中には、他に「くしゃみ」「しゃっくり」「おなら」「あくび」と、この「いびき」のお話が収録されていて人間の生理現象をユーモラスに語りかけ、笑いを誘うものばかりです。
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クナウとひばり [アイヌ] 「愛蔵版おはなしのろうそく10」 東京子ども図書館 |
「寒い冬がいつまで続くのか、早く春が来てほしい」という思いから、春を待ちわび、春を感じるお話を届けたいと選びました。
アイヌの自然の美しさ、福寿草の謂れ、ひばりの鳴き声の謂れ(なぜなぜ話)と相まって、現実から離れた遠い世界観を想わせるお話ですから、お話に聴きなれた子向きと思いました。
とても清澄なお話です。
私のこれまでのおはなし中で、「ゆきんこ」(冬)「北斗七星」(夏)に続く共通した精神性の高さを感じ、心を込めて語ったかと思います。
また、来年の春にも語りたい。春が待ち遠しくなる時季に語り続けたい大切なお話となるでしょう。
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月曜、火曜、水曜日 [ジョー・ヘイズ] 「おはなしのろうそく29」 東京子ども図書館 |
この2013年発行最新『おはなしのろうそく29』のテキストを手にした時は、今すぐに覚えたい気持ちはなかったように思います。
1年ぶりに、さて、新しくどのお話を覚えましょうかとあらためて読んでみてこれは、歌がある。
しかも、「メロディーなくともリズミカルに語るだけでもよい」とアドバイス付き。
でも何となく何度も繰り返し読んでいるうちに小人たちの楽しい歌が頭の中に聞こえてきたのですね♪
メキシコの創作話となっていますが昔話のモチーフで、どこか何かの昔話と似ているように思えてきて、自然に覚えられてしまった感あり。
さて、子どもたちの前で語ってみると、おはなしに慣れていない子の発した言葉が印象的でした。
「何か、アニメみたいなお話だね!」でした。(笑)
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子うさぎましろのお話 [佐々木たづ] 絵本 ポプラ社 |
ご存知クリスマスの絵本です。三好さんがとても可愛らしい絵を描かれているのでそのまま家庭では読まれても良いと思います。
でも、集団には遠目がきかないので、ストーリーテリングで届けました。愛らしい、ましろの話をクリスマスに耳だけで聴いて子ども達が、イメージしてくれるといいなと思って語りました。サンタクロースの神様のような寛大さと無垢なましろの心の移りかたが気持ちを温かくさせてくれます。大好きなお話です。実はこのお話は初めは、絵本でなく「もえる島」という幼年童話に収録されていました。
すでに絶版なのですが長崎の図書館にあって実際に手にとって大感激しました。復刊される事を望みます。
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こじきのくれた手ぬぐい [日本] 「松谷みよ子のむかしむかし 3」 講談社 |
他の方が語られていたのを聴いて面白かったので私も挑戦しました。
おかみさんに冷たくされた乞食が下働きの娘に親切にされて、お礼に手ぬぐいを置いていきます。実はこれが不思議な手ぬぐいだったのです。どんな手ぬぐいかということがストーリーの進んでいく中で解かるのですが結構引っ張ります。これがいいのでしょうね。「何、何?」と話に引き込まれていきます。そして、おかみさんもこの手ぬぐいを手に入れようと策略してやっと、手に入ったと喜んだのも束の間、思わぬことに・・・
結末は、大体予想がつくと思ってたのですが結構、意外な展開になってしまうから面白い。短いけどとても満足感があります。
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こびととくつや [グリム] 「子どもに語るグリムの昔話E」 こぐま社 |
グリムの中でもよく知られているおはなしでしょうか。子供の頃からいつとはなしに聞いたおはなしでしたが曖昧なのは小人の人数。
10人も出て来るような絵本もありますが原作を何度も読み返してみて2人だからこそ、このおはなしが生きてくる事に気付かされました。
決して、長いおはなしではないのですが1フレーズが長くて語り難い言葉が多くて苦労しました。グリムは本当に集中力が特に必要とされると思います。それから、このおはなしには小人が歌う歌「どうだい、おいらは・・・♪」のメロディーがどうしても歌にならないのです。
このおはなしは無理かな?と思いましたが、イメージを自分の中で広げて何度も口にするうちに小人らしき歌がやっとできました。子ども達の「クスッ」と笑った顔が印象的です。それにしても初心者には向かないおはなしだと実感しましたが、クリスマス会向きのおはなしです。
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こぶじいさま [日本] 絵本 福音館書店 |
この日本昔話は、松居直さん再話による長年読み継がれてきた絵本で、2月頃、1年生の朝読に毎年読んできました。
赤羽末吉さんの味わい深い絵と言葉のリズミカルな調子が良くて、子どもたちも楽しそうに喜んでくれています。
読み手として、読み込んでしまうと本当に自然に言葉が文を見なくても出てきてしまいます。
そろそろ、視力も落ちてきたこともあり、絵のなかに書かれてある細かい字を読むよりも、子どもたちの顔を見ながら伝えたいと言う気持ちに駆られてしまいました。
それで、「よし、ストーリーテリングで届けよう」と思いました。
鬼とこぶじいさまの歌に合わせて踊る様の愉快な場面が、語りながら子どもといっしょになって楽しめるのです。
本当に語ってよかったと思う半面、子どもたちは絵本の方がよかった?と思っていないか心配です。
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こんな顔 [日本] 「子どもに語る日本の昔話@」 こぐま社 |
怖いお話というものは、聞くのは嫌いではありませんが、語るのは苦手かも?
でも、いつとはなく、語ってみたい。特に、日本の昔話からと、何となく思うようになりましたが、いざ語るとなるとどうしようかと思い迷っていました。これはやはり、知っているお話で語りやすいところからということで「このおはなし」に決まりました。(和歌山県の方言入り)
短いし、そんなに悪が強くないからいいでしょうと思ったもののいざ、語ってみると「ちと、怖かったかも?」怖いお話だから、怖くて当たり前なのに・・・(苦笑)怖いお話にやみつきになったらどうしましょう?
子ども達も、「怖くない」と言っていましたが、やせ我慢しているような気がしましたね。
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三人の糸つむぎ女 [グリム] 「子どもに語るグリムの昔話B」 こぐま社 |
まさか、このおはなしを自分が覚えて語る(?)なんて思わなかったというのが正直のところ。それ程、気にも留めないどころか(変な話)とスルーしていたのです。それが、まあ、東京子ども図書館の方が語られているのを聴いて、こんなに面白いお話だったのかと、あらためて語りの不思議さを思い知らされました。それで、よし私も語ってみたくなったという訳です。「糸車」は小学2年生以上なら分かりますとも!1年生の3学期あたりに、国語の教科書で習うようですから。早速、まずは6年生の前で語ってみましたが、やはり、この風変わりの3人女と結末(おち)が可笑しくて笑いが起こりました。
(ああ、語ってみてよかった)と、本当にすっきりした気分になりました。語り手もテキスト上だけでなく聴くことって大切ですね。
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三枚のお札 [日本] 「愛蔵版おはなしのろうそく3」 東京子ども図書館 |
おはなし会は通算700回を超えましたが、記念すべき第1回おはなし会の最初のおはなしが「三枚のお札」です。秋の栗の季節に最適。友人が語る昔話に子どもといっしょに楽しんだ思い出深いおはなしです。福音館書店からの絵本や他にも色々ありますがやはり、これがおすすめ中のおすすめです。
寺の裏山に栗拾いに行った小僧さんは、おばあさんに身を変えた鬼婆と出会います。小僧さんが鬼婆から逃れるためにお札の力を借りますがスリル満点で怖いけど楽しいお話です。話の構成や唱え言葉の小気味良さなどが面白くて子ども達が好きなおはなしです。
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三まいの鳥の羽 [グリム] 「子どもに語るグリムの昔話D」 こぐま社 |
三度の繰り返しと納得のいく結末にこれぞ、昔話の王道という満足感のあるストーリーです。
最初から、三人目が「ばかさま」と呼ばれているという面白さから聞き手をひきこみます。そして、ずるい兄さん達と王様の甘い取り決めによって運ばれていく展開に語る側は気を緩めず集中力がいることと一文が結構、長いため、一息で語らなければならないのでお腹からしっかり発声することの大切さを感じました。又、「太ったひきがえる」のイメージの取りかたも難しいながらも、魅力ある不思議な存在なので語りがいがあります。最後は、「ばかさま」が王様になり「かしこく」国を治めたというという結末も見逃せません。本当によくできたおはなしです。子ども達もひとつおはなしをしっかり聴いたと感じたのでしょうか、本の紹介時、「これを暗誦したんだ」と言われてしまいました。
それにしても、グリムの昔話って、本当に奥が深いと痛感します。
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七わのからす [グリム] 「子どもに語るグリムの昔話B」 こぐま社 |
「おおかみと七ひきの子やぎ」に替わるグリムのお話として覚えたものです。7という数字も定番です。
女の子がからすに変えられてしまったお兄さんたちを取り戻すために旅に出て苦労の末、呪いを解いて家路に着くという物語。
不思議な時空感があり、世界の果てまで行くところは最も興味とイメージが拡がる場面です。特に、女の子がお星様からもらった鍵をなくしてしまった為、指を切って鍵穴に差し込む所は子ども達も一瞬ドキッとして固唾を呑みますが先への展開の興味からとても集中して聴いてくれました。このおはなしによってグリムの世界が開けました。
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死神の名付け親 [グリム] 「子どもに語るグリムの昔話C」 こぐま社 |
特に、高学年の子どもたちの怖いおはなしを聴きたいという要望に応えるために、選んで語ったおはなしです。
一口に、怖いおはなしと言っても色々あり、聴き応えのある骨太のおはなしに挑戦するには『グリム童話』だと思いました。
おどろおどろしくする必要もなく、そのまま語るだけで充分に伝わります。
ただ、ひとつひとつの言葉、すじの流れに一文も気が抜けないで集中力を要します。もしかしたら、語りのベテランでなくては難しいのかもしれません。〜 神様に背を向けて歩いて行った男の行く末は・・・
子どもたちに、語る前にろうそくを三本見せてから、どれがいいか選んでもらって語ったのですが、これが功を成したと思います!
(それは何故か?)
最後のフレーズについて、どんな風に結ぶかは課題でしょうか?
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十二のつきのおくりもの [スロバキア] 「愛蔵版 おはなしのろうそく 1」 東京子ども図書館 |
マルシャークの「森は生きている」の原話です。これもできればクリスマスに届けたいお話です。
これが上手く語れるようになればストーリーテラーよ。と、言われて力が入りました。初めの頃は筋を追うのにやっとという感じでした。
それだけに、「上手くなったわね」と指導者からお褒めの言葉を頂いた時の嬉しかったことは忘れられません。
色彩感溢れる豊かなイメージをもったお話で、月の精の神秘性もとても印象的です。
クリスマスおはなし会で語った時の事。小降りの雪が降っていました。月の精による杖の一振りで焚き火が上がったシーンになったら、不思議に外が明るくなって一筋の光が差し込んできました!なんという偶然の自然のシチュエーションでしょう。大感激で、神様に感謝しました。
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すずおばあさんのハーモニカ [あまんきみこ] 「きつねの写真」 岩崎書店 |
このお話もまだストーリーテリングの何たるかを解かってなかった時に覚えたものです。あまんさんの作品は大好きです。
私の母とこのすずおばあさんには共通点があって、やはり母を想いながらこのおはなしに触れました。
きらきら星しか吹けないおばあさんの前にどこからか1匹のきつねがかくれていて、一緒に合わせてハーモニカを吹きます。
おばあさんときつねの心温まる物語で秋の花がこの話に彩りを加えています。
ハーモニカの部分を初めはキーボードでしてみましたが、生のお話には似使わない。子どもが音だけに興味をもってしまうので止めました。それで、きらきら星をハミングに変えてみたらずっと、自然で子ども達も静かににこやかに聴いてくれたように思います。
黒井健さんの絵で絵本もあります。
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スヌークスさん一家 [ウィリアムズ] 「愛蔵版おはなしのろうそく1」 東京子ども図書館 |
私をストーリーテラーに導いてくれるきっかけとなったお話です。ある会場で淡々と語られておられるその方のお話は面白すぎました。
こんなに愉快な話をどうして笑わずに語られるの?と思うくらい語り手になって語る事の難しさを感じました。下唇を上唇にかぶせなければ息の吹けないスヌークスさんやその反対の奥さん、息子、娘の唇の格好を聴く側も真似したくなります。その姿を見るとつい、語ることも忘れて笑ってしまう、とても可笑しな話です。そして、又、元に戻るきりなし話でもあるからたまりません。
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小さなこげた顔 [アメリカ] 「アメリカのむかし話」 偕成社 |
私の尊敬するおはなしの大先輩がこれを語られるのを聴いて、いつか私もと感じ入ったアメリカ・インディアンのストーリーです。
インディアンの生活や習慣などをまず知らなければ語れないと教えてくださいました。
誰の目にも見えない大酋長の姿のイメージが想像を絶する壮大で神格的。インディアンのシンデレラストーリーといったようなお話です。
絵本でも「みにくいむすめ」としてデヴィット・シャノンさんの絵でありますが、こちらの方がおすすめです。
絵で見るより、おはなしを頭で描いた方がイメージが拡がります。それだけに、高学年向きのような気がします。
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ちいちゃい、ちいちゃい [イギリス] 「イギリスとアイルランドの昔話」 福音館書店 |
ちいちゃい、ちいちゃいばかりが続いて何て変なお話。でも、かわいいおばあさんの話かな?と、思いきや実はドキッッ!!・・・・・
墓地で骨を拾った所からそれまでのにこやかな顔がだんだん変わっていきます。そして、子供たちは・・・
少人数向きのお話で近くに寄せて、小さな部屋ですると効果的なお話です。そして、より暗い方が尚効果的です。
失敗するとつまらない、あたりはずれのはっきりしたお話と言えます。
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ついでにペロリ [デンマーク] 「愛蔵版おはなしのろうそく3」 東京子ども図書館 |
このお話も「スヌークスさん一家」を聴いた時、次のお話として聴きました。
おばあさんの留守中におかゆの入ったおなべの番を頼まれたネコでしたがおかゆをペロリと平らげ、ついでにおなべもペロリ。次から次に呑み込んでいく繰り返しなので、とても楽しくて解かりやすいお話です。それだけに、また初めて聴いた人も語る側が話を間違えるとすぐわかってしまいます。リズミカルでテンポを効かせて語るお話だと思います。
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年こしのたき火 [日本] 「日本のむかしばなし」 のら書店 |
大晦日の昔話です。お正月を迎える準備もできないほどの貧しい、おじいさんとおばあさんの家に貧乏神が福を置いていくという謂わばサンタクロースに代わる時代の昔話でしょうか。瀬田貞二さんの舌に乗せやすい言葉の響きが好きで、語るに難しくありません。
まったりとした優しい仲の良い老夫婦だからこそ思わぬ幸せが訪れ、満足感のある結末に安心して誰でも聴けるおはなしだと思います。1年最後のクリスマスおはなし会に届けてみました。子ども達は静かに、にこやかな顔で聞いてくれました。
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鳥呑爺 [日本] 「日本昔話百選」 三省堂 |
鳥の鳴き声の繰り返しが絶妙に楽しくて、子ども達にとても喜ばれた昔話です。
山で鍬を立てて仕事を休んでいたおじいさんのところへ「あやちゅうちゅう、こやちゅうちゅう・・・」と鳴く鳥に、面白がったおじいさん。
今度は指に、次には舌に乗せて鳴かせてみせたものの思わずその鳥を呑んでしまって・・「えっ」とここで子ども達も舌を出して驚きます。
ついにはおじいさんのおへそから飛び出した鳥のシッポを引っ張ると又、鳥の鳴き声がします。さらに喜んだおじいさんは・・・
我が家では、主人がこのお話を大好きで探し物をする時に「あれはどこだ?あやちゅうちゅう、こやちゅうちゅう・・・」と言いながら探すくせがあります♪
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なら梨とり [日本] 「愛蔵版おはなしのろうそく3」 東京子ども図書館 |
三人兄弟の内三番目が成功する典型的な日本の昔話です。病気の母親になら梨を食べさせようと出かけていきますが二人の兄は岩の上の不思議なおばあさんの教え通りにしなかったために、沼の主にゲロリと呑まれてしまいます。最後に三郎がお兄さんを助けるために行きますが・・・・沼の主との格闘場面になったらおはなしに聞きなれていない子も固唾を呑んで聴き入ってくれていました。笹の「ゆけっちゃ、がさがさ。ゆくなっちゃがさがさ・・」や、ふくべ(ひょうたん)からす(啄木鳥)のリズミカルな音は耳に心地よく響きます。
さらに、クライマックスのなら梨の歌はこのおはなしを盛り上げてくれます。特に、男の子が喜んで聴いてくれたお話です。こぐま社の「子どもに語る日本の昔話」にも収録されています。
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二ひきのよくばり子グマ [ハンガリー] 「子どもに聞かせる世界の民話」 実業之日本社 |
むかし、むかし・・・で始まらない、最初のフレーズがとても綺麗な言葉だと感じ入って覚えました。
ただ、大人なら最後のオチは題名からして想定できますが幼い子、低学年が喜んで聞いてくれました。あまり、教訓ぽく語らないことでしょう。
こういう短いお話は、いざというときにいいですね。内田莉莎子さんの訳がいいのでしょうか。絵本も読んでみたい気もします。
※子どもたちに紹介する時は、「こども世界民話(下)」の方が良いと思います。
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ねことねずみのともぐらし [グリム] 「子どもに語るグリムの昔話A」 こぐま社 |
ねことねずみが共に暮らしたらどうなるか?
このおはなしの冒頭の段階で、子ども達から「トムとジェリーだ」という声が上がりました。でも、このおはなしは違っています。
2匹が蓄えておいた大事な食べ物をねこは名付け親に頼まれたと偽り、ねずみを騙して出かけて行き、3回に分けて、こそっと食べて独り占めしてしまいます。ねずみは最後に騙された事を知りますが所詮、ねずみはねこに勝てる筈がありません。
グリムはその真髄をからりと三度繰り返される「名付け子の名前」のユーモアを交えながら伝えているのでしょう。
そのおかしみが素直に伝わる幼い子ほど面白がって聞くようですが、成長するに従い「ねずみがかわいそう」と感じるようです。
ある大人の方は「そう、世の中ってこんなものですよ!」の結語に残酷感があり「仲良く暮らしていたのに、ねこはねずみを裏切った悪い奴」と言われました。でもこのお話をよく味わえば、初めからねこの企みがわかります。ねずみの間抜けさも・・・
ねこがねずみを食うのがねこの本性なのです。それを、「かわいそう」と感じることができるのが人間なのですね。
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ねずみじょうど [日本] 「愛蔵版おはなしのろうそく2」 東京子ども図書館 |
「おむすびころりん」として知られているおはなしです。地下の中に入っていく不思議さとねずみの世界の様子が印象的で楽しいお話。
黄金を持ち帰ったおじいさんが羨ましくて隣の目くされじいさんもまねをして行きます。が、ねずみがお米とぎしている最中に、ねこの一声を出したため明りが消え暗闇の中でとうとう目くされじいさんはモグラになってしまうというお話です。あまり結末は知らてないようで子どもたちから驚きの声がありました。現実と穴の世界の違いとスピード感を出す場面、ゆっくりと表現する所など課題は多いですが語っていても本当に楽しいお話です。ねずみたちの歌は威勢のいいリズミカルなふしにすると、このお話が生き生きとしてきます。
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ねずみのすもう [日本] 「日本のむかしばなし」 のら書店 |
このおはなしには想い出があります。わが子が幼稚園時代に読書会の保護者で人形劇をすることになりました。
とっても、お人形制作の上手な方がいて、本格的な人形と小道具ができました。台本も素晴らしく出来上がって、子どもたちからも好評でした。
初めての人形芝居を実演してから、ストーリーテリングの良さにふれました。
なので、このおはなしだけは、ストーリーテリングでは、しないつもりでいました。でも、3年生の国語の教科書に「日本のむかしばなし」のら書店が紹介されていて、3年生で語ることになりました。
「おはなしのろうそく」と同じ瀬田貞二さんの再話ですが、多少異なる言い回しがあるもののほぼ同じ。むしろ、このテキストの方が口にのりやすいと思いました。
子どもたちも、よく聞いてくれましたね。
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ねむりひめ [グリム] 絵本 福音館書店 |
2012年は、グリム童話が出版されて生誕200年の記念すべき年。尚且つ、フェリクス・ホフマンさん、生誕101年です。
ストーリーテリングを始めたばかりの頃に、尊敬する大先輩が語られているのを聴いて、私も覚えるなら、この絵本からと思いました。
胸の中にストン!と落ちていった感動が忘れられなくて。
ただ、瀬田さんの訳は、言葉が重厚で初心者にはハードルが高いと思い、『いばらひめ』こぐま社から覚えてみることも考えました。
でも、一度、自分が「このおはなしが良い」と、思ったら妥協してはいけません。時間がかかってもやり抜くがモットーです!
記念すべき年だから、尚更、子どもたちにも紹介したい。ましてや、バラの美しい季節に語りたいと、じっくり時間をかけて取り組みました。
あの思いから数年。やっと、6年生の前で語ることができました。心配していた男の子が意外によく聴いてくれて嬉しかったです。
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はんぺらひよこ [スペイン] 「世界のむかしばなし」 のら書店 |
因果応報なんて言わないで下さいね。私は、このひよこちゃんに悪い奴だけど憎めない気持ちを持って語っているのですから・・
末っ子のひよこは体が半分しかないですが、怖いもの知らずで好奇心旺盛です。ある日、王様に会いに行くためにめんどりの止めるのもきかずに旅に出ました。途中、小川の水や、焚き火、風などに助けを乞われますが「そんな暇はない」と冷たくあしらって行きます。
やがて、お城に着いたひよこでしたが思わぬ災難に遭います。風見鶏は何故、屋根のてっぺんであんな格好をしているのでしょう?という「なぜなぜ話」として受け止めてもらえると嬉しいです。
福音館書店から「はんぶんのひよこ」として、又ほるぷ出版からも出ていますが「はんぺら」という響きが好きで、口に乗せやすいと思ったのでこちらにしました。以前、学習研究社から出版されていたものです。
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ふしぎなたいこ [日本] 「ふしぎなたいこ」 岩波書店 |
上記「ありこのおつかい」の次に覚えたおはなしです。もちろん、引き続き、百歳を迎えられた、敬愛する石井桃子さんを祝して覚えました。
『子どもに語る日本の昔話』の「鼻高たいこ」や『日本昔話百選』の「源五郎の天昇り」が類似話としてありますが、比べてみると、石井桃子再話によるこのおはなしの方が幼い子から大きい子まで楽しめると思いました。
それに加えて、滋賀県琵琶湖にまつわる昔話であることから、いつかは語ってみたいと思っていましたのでタイムリーでした。天の川が出てくる事からも、6月から7月にかけて届けるに最適だと思います。
たいこのばちが「ばちがあたった」というオチも愉快ですね。(幼い子は理解できないかもしれないですが、あえて説明は不必要かと思います)それにしても、「フナの味噌漬」は、食べたいなァ〜。
「桃子様、お誕生日おめでとうございます♪語れて良かったです。」
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ふたりのあさごはん [にし ゆうこ] 「愛蔵版おはなしのろうそく8」 東京子ども図書館 |
今更、このお話を覚えました。というのも恥ずかしい気がします。それほど、初心者は「おいしいおかゆ」に並ぶ勢いで(?)まず覚えますね。
だから、私は覚える必要もなかったし、語る機会もありませんでした。今回、それが必要となり急遽、覚えたわけですが短いお話というのは、簡単に覚えやすいようで、間違えることができない怖さがあると、語りの講師が言われてました。
なるほど、まさにその通りだと語ってみてつくづく思いましたね。 でも、子どもたちの「またぁ♪」と言って笑う顔が可愛いですね♪
ほんと、嬉しくなってしまいます。
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文福茶釜 [日本] 「子どもに語る日本の昔話A」 こぐま社 |
何となく知っている昔話?でも、案外、あれ?自分が子どもの頃、絵本か童話で知ったストーリーと違っていると大人の方が言われます。
もしかしてあの場面が違うのかな?とはいえ、昔話にはよくあることです。
「道具」をテーマにしたブックトークで語りたいと思い覚えました。3年生では、社会科「昔の暮らしと道具」について学び七輪で火起こし体験するのでそれにあわせてブックトークを毎年していますが・・・昨年度よりも今年度の3年生の方がレベルが低いから、それにあわせて下さいと、3年担任兼学校図書担当教員からの注文です。 子どもたちにとっては、一期一会だということを 初心忘れるべからず ということを 肝に銘じて語ったおはなしです!
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北斗七星 [トルストイ] 「おはなしのろうそく25」 東京子ども図書館 |
2004年5月に新刊されだばかりの「おはなしのろうそく25」を手にして、このおはなしに電気が走りました。「これは、すぐにでもおはなし会で語りたい」と思ったのです。一度読んだだけでこんなにも今すぐに覚えてしまいたいと思うおはなしは珍しく、実際に即、覚えてしまいました。
日照りで、水のない日が続く中、ひとりの女の子がひしゃくに水を汲んでお母さんに飲ませてあげたいと水を探しに出かけますが何処を探しても水は見つかりません。くたくたに疲れた女の子は・・・
作者はロシアの文豪 トルストイです。静かで清らかな満足のいく展開、そして、最後の北斗七星の謂れがさすがという気がします。
下記の『星の銀貨』ともどこか雰囲気が似ています。
これは夏のおはなし会で届けたいと思いました。夏の夜、満天の星の中でも、探しやすい北斗七星をまず、子ども達に説明をしてから後はおはなしに身を委ねて誠実に語るのみ。短いのに満足感があって好きなおはなし、もち話になりそうです。
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星の銀貨 [グリム] 「子どもに語るグリムの昔話B」 こぐま社 |
やはり、クリスマスの季節に、ふさわしいおはなしです。身寄りのない少女が神様だけを頼りに出かけていく中で困っている人たちに持っている全ての物をあげてしまいます。すると、空から星が銀貨になって落ちてきて・・・・
最後に女の子はお金持ちになりました。という終わり方が気になり、いろんな方のアドバイスを頂いて女の子は幸せになりました。と変えて語りました。
このお話は「子うさぎましろ・・」に比べると三分の一の短いお話なのに、しっかり聴いた気分になるから不思議です。そして、語る側も集中力と研ぎ澄まされたような神経でいるからでしょうか、短さを感じさせません。イメージを大切に心を込めて語りたいおはなしです。
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ホレおばさん [グリム] 「子どもに語るグリムの昔話@」 こぐま社 |
いつの頃からか知っていたグリムの中では好きなお話の一つです。やはり、他の方が語られていたのを聴いて、とても心に残りいつか私も覚えて語ってみようと思いました。
ドイツのヘッセン地方では、雪が降ると「ホレおばさんが羽根布団をふるっている」と言い伝えられています。不思議な力をもつ老婆、ホレおばさんによって、かわいそうな気立ての良い娘が幸せになり、怠け娘は報いを受けるという繰り返しのある典型的な昔話です。井戸の上に止まっている雄鶏の存在は長さを感じさせないような一役を買っているように思います。「タール」というものがどんなものか子ども達に理解できるか心配でしたので、少し説明を加えました。私の中では「ホレおばさん」を語る事によって、「グリムおばさん」に近づくのでは?と思いましたが果たして・・・。
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マッチ売りの少女 [H・C・アンデルセン] 「おはなしのろうそく23」 東京子ども図書館 |
「おはなしのろうそく23」が刊行されるまでは、アンデルセン童話をストーリーテリングでは聞いたことがありませんでした。
それだけ、語りでは難しいと思われてきたのでしょうか。この「マッチ売りの少女」を知った時も美しい文体だと思いましたが、どういう人が語るのだろうと他人事のように考えていました。でも、2005年がアンデルセン生誕200年と知ってから、これは是非、2005年のクリスマスおはなし会に子ども達に届けてみたいと思いました。一見、よく知られているアンデルセン童話ですが、抄訳されたものやアニメ絵本でしか知らない子どもが多いような気がします。
この新井督子訳は、原作に忠実で洗練された言葉が読んで覚えて繰り返す中で、私の内に美しい映像となって染み込んできました。
決して、センチメンタルなお話としてではなく精神性の高い、清らかなお話であることが語れば語るほど、味わい深く解せました。
これは絵本ではなく、(絵本をいくつか探してみましたがやはり適当なものはありません。絵が邪魔になるのです。)ぜひ、言葉だけを聞いて頭の中で想像で描いてほしい。そんな思いで語りました。完成度の高いおはなしです。
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豆と炭とわら [日本] 「日本昔話百選」 三省堂 |
この昔話は、絵本、紙芝居等、数名の作家、出典から多く出されています。
それで数年前までは、子ども読書の日のおはなし会に、牛乳パックで紙芝居風にしておはなし会最後のお楽しみとしていました。
その子どもの反応に、お話そのものを楽しんでいるのか、単なる「からくり」の不思議と驚きから歓声が沸くのではないかと思い続けてきたことです。
最後のお楽しみの位置づけとしてしていることへの「後ろめたさ」も多少感じ始めていました。
今回、語りでしようと思ったきっかけになったのは「ある女の子」の存在。この子の為に覚えようと思いました。(詳細はヒミツ)
覚える決心をしてから、おはなし会までは1週間を切っていましたのでプレッシャーでしたね。
「グリムの昔話、つまりドイツでも同じお話があるのよ」と説明すると、驚きと興味を持って聴いてくれている子どもたちが目前にありました。
やはり、おはなしそのもので伝えることが一番と思った瞬間でした。
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むかしむかし [E・ファージョン] 「ムギと王さま」 岩波書店 |
アンデルセンの次といったら、そりゃぁ、ファージョンでしょう?「第1回アンデルセン大賞」受賞ですもの。岩波文庫ではこのおはなしは収録されていませんでしたので、これは大人になってから知りました。子どもの生活風のおはなしだったり、昔話風、ナンセンス、風刺を交えたもの、寓話など多彩です。不思議な魅力をもった彼女のみずみずしい感性を石井桃子さんの美しい文体で訳されていると思います。「文句なしにこの言葉だからいい、この翻訳でなくてはならないし、この言葉で子どもに届けたい」と偉そうに思ってしまいました。「十円ぶん」も「小さいお嬢さまのバラ」も好きですが、語るとなると私のキャラではない(キャパ?)ように思えて敬遠してましたが、この「むかしむかし」は語りたいとずっと思っていました。古風でありながら、現代に生きるおはなしだと思い、語りたいというより「ねぇ、この素晴らしいおはなしを聞いて下さい」そんな電気みたいな感覚が体に走りました。覚えるにはフレーズの長いところや古風な文体は難しいというより覚えがいがありました。そして、語り終えたとき、とても、清清しさを感じました。
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※後日談:確かに、奥が深いこのおはなしを高学年の子ども達には知ってもらいたいと思い、早速、5年生に語りましたが、「花園を歩いていた時、何を見つけたと思います?」と語ったとき「四葉のクローバー!」と言った男の子がいました。この子の感性も素晴らしいと思いましたね。「花です」と聞いた時、彼はどう思ったか少々気になります・・・
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魔法のユビワ [レアンダー] 「ふしぎなオルガン」 岩波少年文庫 |
おはなしの先輩であり、友人が語るこのおはなしをはじめて聴いた時、とても感動して好きになりました。
あるお百姓が魔法使いの指図通りにした事から小さな金のユビワを手にします。1つだけ願い事を叶えてくれるユビワだと知らされます。
さて、お百姓はこのユビワにどんな願いをしたのでしょう・・・。興味からぐいぐいと話にのめり込んでいきました。
おはなしの結語にとても感じ入りました。「・・悪いものでも良い人が手にすれば、いつでも、悪い人が手にした良いものよりも、ずっと値打ちが出てくるものです。」と。高学年以上におすすめです。
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まめたろう [イラン] 「愛蔵版おはなしのろうそく10」 東京子ども図書館 |
おそらく、テキストからだけたったら、私はこのおはなしを語る気にはならなかったでしょう。「読む」と「聴く」とは大違いだと今更ながら思います。84歳だったHさんが語られたこのおはなし。(本当に囲炉裏端で聴くようで、間合い、流れるような言葉が活字ではなく、ご自分の身体から言葉が生まれているっていう気がして、身震いするほど素敵だった。これぞ語り・・・たまらない。)と、当時の『つぶやき日記』に記しています。
まめたろうが本当にかわいかった。ご高齢であることを感じさせない語りで、いきいきとまめたろうが飛び跳ねていて・・・
そんなHさんは昨年(2011年の夏)、永眠された(90歳)
私は、勿論、彼女のようには語れないが彼女を思うとき、このおはなしが思い浮かびます。
4年生にまず語りました。いろんな似たような昔話を併せ持つこのお話。子どもたちがぐいぐいと入り込んでくることがわかりました。次の展開が予想できて、でも、意外な場面に驚いている様子が可愛くて共有できる喜びが私の中にありました。
本当にHさんに感謝です。すてきなおはなしを届けてくださいました。お疲れさまでした。安らかにお眠りください。
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ミアッカどん [イギリス] 「イギリスとアイルランドの昔話」より 福音館書店 |
これまでの私だったら、語らないお話でした。
でも、模擬おはなし会をすることになり、長めの中心となるおはなしの他に、「6分くらいで、語れるおはなしない?」と聞かれて、困ってしまいました。7分か、5分はあっても、6分って何がある?出てこない・・・
よ-く考えて、このおはなしなら、6分で丁度、語れそう。でも、直ぐに覚えられるような話ではない。これまでの昔話とどこか違う文体に、やや手こずりました。少し時間をかけて、やっとなんとか覚えました。言うことを聞かない子どもへの脅しのようで、こういうストーリーはずるいと言う意見もあったのですが、それは、大人目線だからではないかと思われます。
やはり、子ども達は違っていたみたいです。ドキドキ感がたまらないようでしたね!
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みみずの女王 [村岡花子] |
ご存知「花子とアン」の影響でございます。花子さんの最終話のお言葉が忘れられません。「物語にはいくつかの曲がり角があります。私は本の力を信じています。一冊の本が心の支えとなって、自分をたえず、はげまし勇気付けてくれるのです。・・・」
あのお話が気になり、子どもたちに語ってあげたいと思ったのです。しかし、TV放映が始まったばかりの頃は、このお話を手に入れる手段は国立図書館の電子ライブラリーにしかありませんでした。童話集の中身は素敵なさし絵に、旧かな使いの上、言葉の難しさにためらいつつも覚えてしまったのです。でもね、語るには困難極まりません。でも、その内、語り慣れてくると体の中にフト子がいました。
メンバーの前で初めて語ったときの一声は「残酷な話!?」とドン引きされてしまいましたが、子どもの前では違っていましたね。「どうか10歳位の子どもになって聞いてください。お小さい方たち、ごきげんよう」と・・・聴いてくださればきっと面白いお話に違いないと思います。
私は、このお話を食べてしまいましたとさ。(ごきげんよう <(_ _)>)
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茂吉のねこ [松谷みよ子] 「茂吉のねこ」 偕成社 |
『雪女』と同様、松谷さん独特の世界が醸し出された創作民話。実際に、東北地方に纏わる民話を独自に創作され、辻司さんの絵による絵本もあります。
私は、この本の中の短編として、というより、この作品は「黒ねこ四代」から始まる猫物語を通して、味わってみると、絵本の絵とは異なる自分の中に描き出される「茂吉のねこの世界」が、広がることを覚えました。そして、最初は、怖いお話なのかと思っていましたが、寧ろ、これは「怖いお話」としては語りたくない思いに駆られました。(実際、不気味な場面もあるので、おどろおどろしく語っている方もおありのようですが。)私の感じた『茂吉のねこ』を語り伝えたいと、思い奇しくも「10周年おはなし会」で、語らせてもらいました。そして、その後、高学年の子ども達の前で語りました。《昔のくらしと古道具》について、学んだ子ども達に感じるものがあるのではないかと思います。
私は、不気味さよりも、さりげない茂吉の思いと猫の思いが愛しくて切ないおはなしとして伝えたいと思うのです。
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雪女 [日本] 「松谷みよ子のむかしむかし」 講談社 「やまんばのにしき」 ポプラ社 |
いつかは『雪女』を語ってみたいと、数年前から思っていました。
ただ、出典に随分迷い、多数の類似作品をこだわりをもって色々何冊も読みました。一般的には、小泉八雲原作の怪談話として良く知られていますが、怖い話というよりも、切なさの残る日本古来の類話になっている松谷さんのおはなしの方が好きで選びました。
ところが、不思議な事に『雪女』という同作品を同じ松谷さんの文でありながら、私が調べただけでも5作品もあるのです。(同作品を同作者で4つもあるとは!もっと、あるとご存知の方は教えてほしいです)こんなことって、他にはあまり例のない事ではないでしょうか?出版社によっても異なり、よく読んで見ると読者の対象に合わせて文を変えておられたり、歳月を重ねる中で、ある種のこだわりをもたれたのでしょう。それだけに、語り手としても慎重になりました。私なりに、こだわりをもって、口に乗せやすさと流れの経過を考えて、上記2作品から言葉を選び、語らせて頂きました。心を込めて語りたいと思いました。また、自然とそうなるおはなしでしょうね。
語り終えると、「し〜ん」と静かな余韻が残ります。
雪の季節になる度に、このおはなしを語りたい気持ちにさせてくれるのではないかと思います。
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ゆきんこ [ロシア] 「ストーリーテリングについて」 子ども文庫の会 |
雪の季節に最適のお話。「ゆきんこ」によって、おはなしの産みの苦しみを知りました。どうしても老夫婦の悲しさを先に考えてしまって失敗の連続。それだけに、このおはなしを聴いて感動したと言われた時は嬉しかったです。私にとって大切な宝物のようなおはなしです。
子どものいない老夫婦が雪で子どもを作っていく場面のイメージ、不思議な人の言葉の難しさ。女の子がお日様を怖がる場面。何も知らない子ども達が純粋さからゆきん子をたき火の炎の中に誘う場面。それに答えようとして消えてしまうゆきん子。子ども達は起こった事が理解できなくてゆきん子を遠くまで呼び続けます。美しい清らかな雰囲気のあるロシアらしい昔話です。不思議な場面が多いので子どもの想像力を深いところで動かすようです。
絵本でも「ゆきむすめ」(福音館書店)としてありますが、6歳以上なら、こちらをおすすめします。
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よい子どもたちに [サカリアス・トペリウス] |
美術館主催の丸木俊絵本展にておはなし会をさせて頂きました。その際、ブックトークを兼ねて語った導入のおはなしです。
あまり、通常のおはなし会向きではないかもしれませんが、アンデルセンと並んで北欧、特にフィンランドでは、尊敬され親しまれているというトペリウス作品を知る良い機会になりました。
フインランドの森にいる一羽の小鳥に向かって、天使が子ども達に歌と物語をしてあげなさいと伝えます。自信がない小鳥でしたが、神さまに預けて務めをやりとげることを教えられ小鳥は歌いました。その小鳥の清らかな歌と物語が春風に乗って子ども達のところへきたのですよと優しく投げかけている、その言葉が美しく、気に入り、おはなしの会の導入として紹介しました。
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ラプンツェル [グリム] 「語るためのグリム童話 1」 小峰書店 |
2014年に映画も歌も大フィーバーした「アナと雪の女王」。原作はウォルト・ディズニー。その前後の作品も留まる事を知らない人気の高さ。図書室のディズニー本も、次から次へと借りていく児童たち。次の映画「ラプンツェル」の影響で、『塔の上のラプンツェル』も取り合いの勢いです。グリム童話が原作だから、グリムも読むように奨めても、中々読むには至らない子たち。これはもう、語ってあげるしかありません。
しかし、私はこれまでグリム童話の中でも、「ラプンツェル」だけは語らないつもりでした。どうしても、ひとつ引っかかる場面があって、他人が語るおはなしを聴いた後でいつも疑問が残る箇所があったからです。『おはなしのろうそく』も、『子どもに語るグリムの昔話』も、読んではみたものの・・・。
それが小澤先生の再話を読んで、とてもスッキリしました。ただ、魔女を固有名詞として取り上げているのには聊か気にはなりました。他の出典も読んだ上で、納得のいく語りやすいテキストにして覚えました。
果たして、子どもたちはディズニーとの相違点を知ったでしょうか?何であれ、楽しんで聴いてくれたらいいのです。子どもたちから「おはなし会で聴いたラプンツェルを読みたい」と言ってくれたから、これは大成功でしょう!
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りこうなおきさき [ルーマニア] 「りこうなおきさき」 岩波書店 |
子供たちはなぞなぞが大好きです。このお話はなぞなぞの要素があるので子供達を飽きさせないどころか興味をもって、おきさきのなぞときを待ちます。例えば、冒頭からいきなり、「羊を売って、そのお金と一緒に羊を持って帰るには?・・」「馬に乗らず歩かず着物を着るでなく、着ないでもなく、土産を持つでなく持たないでなくお城へ来るように・・」との王様の命令におきさきはどうやってお城に出向いたのでしょう?他にもこのような、なぞときがいくつかあらわれます。ていねいに王様の性格とおきさきの若くて聡明なイメージを大切に語ってあげたいです。3年生以上の学年でのおはなし会でクラスの友達同士で聴くと楽しさ倍増するのではないかと思います。
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ロバの耳はなぜ長い [イタリア] 「世界むかし話」 ほるぷ出版 |
「なぜなぜ話」の典型的なお話だと思います。他の方が語っておられたのを聴いて楽しくて好きになりました。語りながら笑ってしまうので笑わないように語るのに苦労しました。神様が付けてくれた名前を忘れてしまったロバは何度も何度も聞きに行きます。
聞いてもまたすぐに忘れて又聞きにいきますが・・根気よくその都度教えてあげていた神様もついに癇癪をおこしてしまいます。神様のした事は・・・・・・・?!そして、とうとうロバは名前を忘れませんでした。子供たちは、にこにこして聞きます。
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(追補)
かにむかし [木下順二] 岩波書店 |
ストーリーテリングの第一歩になったのは、このお話を覚えたことからです。ただし、パネルシアターとして届けるために覚えましたが、最近ではストーリーテリングとして届けてみようかとも考えています。絵本では清水崑さんの絵が素敵なので読み聞かせでもいいと思いますが、五大日本昔話の一つなので耳だけで聴いてもらいたいとも思ってます。さるかに話は色々ありますが個人的には繰り返しのリズムや話の構成など全ての面においてこの作品が一番好きです。 |
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