このお話は20年程前に出合った、ふしぎなお話なのですがとても心にのこる一作です。 短編なのでいつか機会があったら子ども達に(高学年)できればストリーテーリングでしたいと思っているのですが、今の私では残念ながら力不足です。 例えば、朝の読書タイムに朗読などで届けてあげられたらとも思うのですが…
冬のはじめ、弓子は田んぼのあぜ道でしゃがみこんでいる植木という老人と出会います。 老人施設まで送って行くと、別れ際に老人 植木から遊びに来てほしいといわれますが 弓子はうなずきながらも、行く気がしませんでした。 1年後の秋。敬老の日の作文を学校で書くことになり植木老人のことを書いた弓子の作文が 県のコンクールで入選します。そこで思いきって1年ぶりに会いに訪れますが植木は重病の床に ついていました。病弱ながらも、植木は弓子にぜひ聞いてもらいたいと昔の話を語りだします。 ―わしは、漁師で仲間と漁船にのって大嵐になって小さな島に辿り着いた。 その晩、船で寝ているとどこかから歌声が聞こえる。 なんと小人たちがおおぜい船のまわりで楽しそうに歌っておるんじゃ。 小人はあなたを迎えに来たと言う。小人は大きな家に連れて行きごちそうや音楽、踊りで大歓迎。 わしは、この島の王様になろうかとまで考えたほどいい気になっていた。 見た事もないふしぎな機械を見せられたりもした。 小人たちはその機械を使って船を修繕してくれ帰る事ができた。 見送りに来てくれた小人の中に小さなマッチ箱位の犬がいるのを見つけポケットにこっそり入れて しまった者がいた。日本に帰ったらさぞかし誰もが驚くだろうと思いつつ… ところが、小人の島が見えなくなると子犬がいない。 あわてて叫ぶと船乗り仲間は寝惚けていると笑いだす始末。夢だったのか? それから何十年かたち、このよこしまな船乗り以外は皆死んでしまった。 −植木はそこまで話し、弓子に打ち明けますがそれはとても信じられない出来事がこの後起こるのです。 (え) |
この絵本を書店で見た時、しばらく固まってしまいました。(買う、買わない、買う、買わない、買う…) 五味太郎さんという方は、幼い子供たちが喜ぶ絵本を多く出版されています。 これ程言葉の面白さやユーモアのセンスいっぱいで、子供の心をつかんで離さない楽しい作品を 手がける人はいないのではと思うくらいです。 「まどからおくりもの」 「きんぎょがにげた」 「いっぽんばしわたる」 「さる・るるる」 「みんなうんち」「ことわざ絵本」などなど… 「こういう絵本も手がけるんだ…」と思いました。これは写真絵本ですが、 よく見れば所々に五味さんらしい、イラストとわかりにくい筆記体英語が織り交ぜてあるところは、 なるほどとうなずける。
「こんなところや こんなところに あるいはこんなところや こんなところに。 確かにこの短い文章を何度か読むうちにあることに気付きました。 さあ、あなたは何を感じるでしょう? 五味太郎さんのことを詳しく知りたい方は、こちらからどうぞ。 (え)
(上記の文章を載せてから半年後、五味さんからお返事もらいました。 TVメディアを通してですが…) 『絵と言葉の使える自由がある…よく、あなたの絵本から感動した、励まされ、こう思った 云々と手紙をもらうが、表現者として、50% 読み手50%(51%?)のバランスでありたい。 読み手が何を考え、感じるかは責任とれない。 −そう、よかったね!−ボクの方がオープンでここまで!』 そう、はっきりと言い切った五味さんのスタイルにとっても納得できました。 (2003.4.27 BS2TV「週刊ブックレビュー」出演から)
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