どろぼうの神さま  コルネーリア・フンケ 作

 竜の騎士 / コルネーリア フンケ の同作者で、(この作品が良かったので)これは期待できると思い読んでみたのですが、途中まで確かに面白く、このまま最後までいけると思っていた筈なのに・・・?500ページの内、後30ページ程の最終場面で疲労感を覚えたのです。あまりにも展開が期待していたものと異なったからでしょうか? 決して、読み難くなく、長編と言えども高学年で本好きの子なら読めるでしょう。ましてや、チューリヒ児童文学賞、ウィーン児童文学賞受賞作で、大人は子ども時代を懐古するんじゃないかと。ただ、児童文学でありながら、ちょっと昔、子どもだった人へのアプローチにも思えます。 冒頭からして 「大人はよく 子どもの頃はよかったという それでまた子どもになることを、夢見たりもする でも、ほんとに子どもだった頃は、一体何を夢見ていたんだろう?なんだと思う?早く大人になりたいと思っていたんじゃないかな・・・」 と、こんな風に始められたら、まず大人の方が読みたくなると思いませんか? 数人の子ども達が結託して、秘密の基地を持ち、リーダー格的な存在がいて(この場合は、もちろん、どろぼうの神さま)スリルと冒険の物語って一見よくある話でしょう―と、まあこんな文句がでてしまうのは、大人になって出合ったからなのかもしれないと、しばらくして気付いたのです。


 確かに私が、子どもの頃に読んでいたら、もっと楽しめたのではないかとも思え、そこで再度読み返してみました。「大人になりたい子ども達」がキーワードなのですから、、、ああ〜、大人になったがゆえにわからなくなっているのです。子どもの時に感じた「大人」との距離感やもどかしさを振り替えって、絡まってしまった糸を解くように、辿りながら読み返してみたものです。
 
 私のように迷路にはまらないように、そして心を盗まれないように。出来れば子ども時代に、是非、出合ってほしいファンタジーだと思いますね。

 

(え)