ユーロ4達成ディーゼル乗用車実車テスト計画(その2)
実車スペックについて:
多くの選択条件を満たした車両は、フランスのAutomobiles Peugeotの307 HDI136 DPFつきのモデルでした。 日本では、プジョーのディーゼルと言ってもなじみは薄いかもしれませんが、軽油用燃料添加剤の評価試験用エンジンとしてプジョーXUD9は業界では非常に一般的です。 このXUD9は、大型トラックトラック用ではなく乗用車用1.9L副燃焼式エンジンで、インジェクターの清浄性等の評価に使用されています。 今回実車試験用車両を選択するにあたり、プジョー車となったのは偶然ではないような気がします。
307には、3/5ドアハッチバックと多目的のSWのモデルが存在しますが、今回試験には通勤や一般業務の移動にも使用する事やSWはハッチバックモデルより重たい点を重視しハッチバックモデルとしました。 本来燃費の良さを強調できる1.6Lモデルは、車両の重量が1.4トンにも達している為、エンジンへの負担が大きい為か2.0LモデルよりNOx・PM・CO・HC全ての項目に対し劣っている為、選択から外しましたが、実際日本の10・15モードや11モードで走らせると逆転する可能性もあります。 同時にエンジンブロックが既にアルミに変更され、より計量でる点、より軽快にまわる等魅力的ですが、少なくともEuro4テストモードではHDi136を上回ることは出来ていません。 ご参考までに、1.6Lエンジンは、トヨタも採用している1.4LHDiエンジンをより発展させたモデルです。 なお、1.6Lエンジンは、ボッシュ製コモンレール、2.0Lはシーメンス製を使用しています。 共に最高燃料圧力は1600bar 噴射システムだけが、電磁式とピエゾ式と異なっています。 この事が排気ガスレベルの違いが出ている可能性は十分考えられます。 ピエゾ素子を用いた噴射バルブは、より正確な噴射タイミングをコントロールさせる為、ボッシュやデンソー等が第3世代コモンレールとして最近になって投入している新機構です。
エンジンスペック
エンジンスペックは次の通り
エンジン型式: DW10
排気量 1,997 cc
ボア x ストローク 85 x 88 mm
最大出力・回転数 100 kW (136 PS)/4000rpm
最大トルク/回転数 320/340 Nm* /2,000 rpm
シリンダーブロック Cast iron
16-valve シリンダーヘッド Aluminium alloy
燃料噴射システム シーメンス社製コモンレール直噴式
燃料噴射最高圧力 1,600 bar
加給気システム ギャレット社製VGT(バリアブルジオメトリー)インタークーラー付きターボ
排気ガス浄化装置 イビデン社製DPF及びEolys添加システム
排気ガスレベル Euro4
注 * オーバーブースト時

このエンジンは、フランス・モーゼル地方のトレメリー工場で生産され、日産2300台を誇る主力エンジンです。
その3: Peugeotの排気ガス低減システムへ 
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