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ユーロ4達成ディーゼル乗用車実車テスト

新長期規制達成への道(その2):

ガス検の準備:

ガス検の準備は、正直どのようにしたらいいのかわからなかったと言うのが、正直なところです。 自分で設計に係ったのならともかく、プジョーとは軽油の添加剤評価エンジンぐらいしか接点はありません。 しかし、そうは言っても新長期規制のハードルはそんなに低くないはず、出来るだけ最良のコンディションで受けないことには、簡単にパスするはずはありません。 そこでDPFやエンジンシステム等、HDi136にかかわるメーカーにコンタクトを取りました。 結局イビデン株式会社とエオリスの日本販売元・阿南化成株式会社等に問い合わせを行いました。 共に単体での供給だけで統合したシステムでのセッティングは全てプジョーが行っている為、慣らし運転後の方が良いのか、新車時の方が良いのか判断できないとの事。 エオリスに関しても、定期的に燃料に自動添加されることが判っても、DPFにある程度酸化セリウムが堆積してからの方がDPFの効率がアップするのかも実際には十分データが無い事が判りました。 やはりシステムを構築しているのはあくまでOEMでOEMは各々の効率の良いもの(価格・性能・耐久性等)を選択し組み上げていると言う事です。 それでは、一切何も出来ないかといえば必ずしもそうではありません。 タイヤを十分慣らし試験時には指定圧で最大値になるように調整。 燃料は勿論S10を使用する。 このS10の軽油に関しては、石連は離島と沖縄を除く全国の軽油はS10になったといっていますが、サービスステーションで確認するとかなりあやふやな答えが返ってくるところが多いのです。 なぜならこちらが分析をすると言うと、断るサービスステーションがかなり存在します。 結局精油所から直送されメーカーのお墨付きの軽油を入れる事にしました。 軽油の組成と排気中の有害物質にはある関係があり、細かく言えば軽油の質も重要な項目です。 今回はそこまで調整する時間も、同時に初めから調整軽油など使用するつもりは全くありません。 あとは、エンジンがなじんでいる方が良いと言う事で、1000Km弱走行し試験に臨む事にしました。
 
 車を持ち込んむ前には、車両の慣性重量を確認しておく必要があります。 これはシャーシーダイナモ上で試験を行う為、(シャーシダイナモとは、左右の駆動輪を大きな回転するドラムの上に来るように車を置き、車が動かないようにフックで留めてドラムを回転させる事で実際の走行と同じような状況を作り出すものです。 ドラムには、試験する車両の重量を事前に測定しておいて、等価荷重(走行抵抗)がかかるようにドラムの軸にダイナモ(発電機を回し電気抵抗値を変えて抵抗を調整できるの)が付いています。) きっちりと車両の重量を測定する場所で行わなければなりません。 もし車両重量が、実際の車両重量と比較し軽かった場合、ガス検の結果は無効と陸運局では判断します。 

シャーシーダイナモ上に固定されたHDi136

ステッキ状のステーを使っての暖機運転
 指定された時間に試験場に車を持ち込むと、MBやアメ車のリムジン・霊柩車(結構多いと聞いています。)等が試験に数台ありました。 どれもガソリンエンジンで、ディーゼル車両は当然ありません。 さて、車両を試験用シャーシーダイナモにセットし、牽引フックで固定、車の前面には、大きな送風機が置かれます。 送風機は走行状態に合わせて風速を変えて実際の走行状態を作る出します。 さて、始めにセッティングが終わると、試験員の方が、運転を開始、運転席のすぐ外に置かれたディスプレイを見ながら1速2速3速と各ギアを使って加速減速を繰り返した後、アクセルペダルをステッキ状のもので固定、一定速で暖気を始めました。 この時はトップギアを使い指定の速度で一定時間行われ、以後各測定機の調整を行っているようでした。 なお、排気ガスは、テールパイプにしっかりと配管が接続され、排気ガス全量が測定装置を取り付けられた配管を通過します。
              
  排気管に測定用配管が結合されています。                 運転席横のモニター。 運転状態を示しています。

 測定室は、簡単な倉庫のように見えますが、空調が完備され温度・湿度はある程度まで管理されています。 しかし、当然ですが大気圧までは管理されていません。 このあたりの影響は測定後計算にて換算されていると思われます。 
 しばらくすると、暖機が完了したらしく、油音を測定・その後試験員の方が乗車し試運転が開始されました。 運転席の横のモニタースクリ−ン上に運転モードがグラフ(速度と時間とシフトのタイミング)のように表示され、そのグラフに沿って実際の速度が点で示されています。スタートするとそのグラフに沿うようにアクセルとギアを合わせて運転します。丁度テレビゲームに似ています。 ギアは全て上段まで使うようにギアチェンジのタイミングも矢印で示されています。 グラフには最大最小の速度も並行して赤線で示され、これから外れると試験は無効になってしまいます。簡単そうで簡単ではないようです。
 そろそろ、10・15モードの試験が開始されると思っていると、今日は機器の調整だけです。 明朝8時に11モードからスタートするとの事。 シャーシーダイナモから手で押されてずらされると、そこでHDi136は一晩置かれて、コールドスタートを含んだ試験が行われるわけです。

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