タービュランス・リミテッド          Turbulence Ltd.車社会を化学し業界に新たな旋風を吹き込む・知的技術グループ


 

ユーロ4達成ディーゼル乗用車実車テスト

新長期規制達成への道(その3):

試験モードとEuro4の限界:

 一晩(実際には約16時間)エアコンの効いた試験室に置かれたHDi136は、再度ダイナモにセットされます。 今回は冷間時からのスタートを含む11モードですから、エンジンのかかりが悪くても、排気ガス中の有害成分を増やしてしまいます。 従来の
ディーゼルでは、十分グロープラグが温まっていないと係りが悪い事がありましたが、今はセラミックグロープラグが一般化されガソリンと同じようにスタートしても特に問題はありません。 でも良く見ていると、試験員の方は、カギを差し込み、ポジションまで廻すと、一旦一呼吸を置いて、メータを確認し、メーター上の警告灯が全て消えてから、エンジンをスタートさせました。 この間数秒ですが、かなり緊張しましたが、無事エンジンスタート、運転席右に置かれたモニター上では、既に時速0Km(停車した状態)ですが時間軸は動いています。数秒すると、ギアを1速に入れるマークがでてきて、1速にギアを入れ数秒後にスタート、徐々に車速が上昇し、2速3速へとギアを変速して行きます。 一定のモードが終わると、停車し数秒後に、また同じ運転を繰り返します。 これを見ていると、こんな運転をする人なんか絶対にいない、そんな運転モードだと言う事が良くわかります。 変速するタイミングは、正直自動車運転教習所で行えば、100%落ちるようなギアで運転されているのです。 現実離れしたこんな運転で排気ガス測定を行うなんて、おかしくないか! 同じような業界で生きてきていながら、こんな試験を行っているから、OEMは試験法に合わせた車両を開発して、当社の車は燃費が良いだの言い出すのが判るような気がします。 同時にMTがATに取って代わったのも、この杓子定規の運転モードと試験法が原因だと確信してしまうほどです。
 とはいっても、これを決めたのはこの試験機関の方ではないのですが、フェラーリの6速で時速40Kmで走るんですか?って意地悪な質問もしてみました。 回答は、xxxでした。

そんなこんなで、11モードの測定は終わり、今度は10・15モード試験です。 運転モードが異なるだけで、試験法は十分暖機を行ってから試験に入るだけで、大きな違いはありません。

さて、11モードの結果が速く判れば、ある程度結果の予想が出来るのですが、11モードの結果は教えてもらえず、結局10・15モードの試験が終了しました。 PMの測定は、自動計測とフィルターに捕らえてから重量測定する方法の2種類を使用しているようで、PMの数値がでるまで待たなくてはなりません。 測定後約1時間程度待たされ、結果が出ました。 期待はしていたとは言え、やはり本格的な対応がなされていない項目が予想とは裏腹に、かなりオーバーしています。 これに対し、その他の項目は、測定モードが異なるにもかかわらず、ほぼ同等の数値が出ています。 結果は正直なものだと言うのが本音ですが、何故NOxだけが予想とは異なったのか、正直この時点で原因は把握する事が出来ていたので、対策法は絶対にあると確信しました。 ところが、ここで大きな落とし穴があったのです。 次回試験を受けられる日程が1ヶ月以上先以外は、7日6〜7日しかないのです。 対策法は絶対にあると確信したものの、時間が無い。 1ヶ月も先延ばしにしてしまっては、本来の目的である添加剤等の試験が遅れてしまいます。 何処よりも先に多くの評価を終わらせる事ができなくなります。(この様な実車試験やエンジン試験は石油会社もOEMもまだ手をつけていません。) でも1日で準備できる事なんて何も無い。 試験のバラツキがあるのならばもしかして可能性があるのでは?等考えていましたが、考えているだけでは前に進みません。 早速予約を入れ、同時にディーゼル乗用車での試験のばらつきの件も訊ねて見ました。 答えは、ガソリンと違い試験のばらつきは非常に少ないとの回答です。 アクセルの踏み加減で、ガソリン車はかなりバラツキがでるが、ディーゼル車では非常に少なく、もう一度同じ試験をやっても数値的に差は出ないようです。 ということは、何かしなければ。 やはりEuor4でどんなに良い結果を出していても、日本のモードとは基本的に異なる為、新長期規制をパスする事は難しいと言うのが今回の試験結果からわかりました。 勿論Euro4をパスした車両の中には、新長期規制をパスできるものも出てくるでしょう。 しかし、両試験を意識して設計しない限り(=日本のOEM以外は)難しいと言えるでしょう。
でもどうやったら、新長期規制をパスさせる事が出来るのか? この業界で生きてきた以上諦める訳には行きません。 ましてタービュランスの技術は、他が真似できない環境を考えた製品開発で独自のものを造って来ました。 この限られた時間でもやることは絶対にあると思いプジョーで会社に戻りました。 

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