Concorde Special


フサイチコンコルド

フサイチコンコルド号

生誕:1993年2月11日生
性別:牡馬
毛色:鹿毛
競争成績:5戦3勝
所属:栗東・小林稔厩舎
馬主:関口房朗
生産者:社台ファーム

現在、種牡馬として、社台スタリオンステーションにて

Caerleon
1980 鹿
Nijinsky
1967 鹿
Northern Dancer
1961 鹿
Nearctic
1954 黒鹿
Nearco 1935 黒鹿
Lady Angela 1944 栗
Natalma
1957 鹿
Native Dancer 1950 芦
Almahmoud 1947 栗
Flaming Page
1959 鹿
Bull Page
1947 黒鹿
Bull Lea 1935 黒鹿
Our Page 1940
Flaring Top
1947 栗
Menow 1935 鹿
Flaming Top 1941 栗
Foreseer
1969 黒鹿
Round Table
1954 鹿
Princequillo
1940 鹿
Prince Rose 1928 鹿
Cosquilla 1933 鹿
Knight's Daughter
1941 黒鹿
Sir Cosmo 1926 鹿
Feola 1933 黒鹿
Regal Gleam
1964 鹿
Hail to Reason
1958 黒鹿
Turn-to 1951 鹿
Nothirdchance 1948 鹿
Miz Carol
1953 鹿
Stymie 1941 栗
No Fiddling 1945 鹿
Ballet Queen
1988 鹿
Sadler's Wells
1981 鹿
Northern Dancer
1961 鹿
Nearctic
1954 黒鹿
Nearco 1935 黒鹿
Lady Angela 1944 栗
Natalma
1957 鹿
Native Dancer 1950 芦
Almahmoud 1947 栗
Fairy Bridge
1975 栗
Bold Reason
1968 鹿
Hail to Reason 1958 黒鹿
Lalun 1952 鹿
Special
1969 鹿
Forli 1963 栗
Thong 1964 鹿
Sun Princess
1980 鹿
English Prince
1971 鹿
Petingo
1965 鹿
Petition 1944 黒鹿
Alcazar 1957 栗
English Miss
1955 鹿
Bois Roussel 1935 黒鹿
Virelle 1942
Sunny Valley
1972 鹿
Val de Loir
1959 鹿
Vieux Manoir 1947 鹿
Vali 1954 黒鹿
Sunland
1965
Sharlottesville 1957 鹿
Sunny Gulf 1951
日付 場所 レース名 条件
騎手




時計 ペース 通過点 上り
3F
体重 2着馬(1着馬)
96/01/05 京都 新馬 芝1800良 55 藤田伸二 14 7 12 1 1 1.49.9 (37.0-35.8)S 3-2 34.7 492 ヒシビート
96/03/09 阪神 すみれS 芝2200良 55 藤田伸二 13 8 12 1 1 2.16.0 (37.0-35.1)S 8-7-6-3 34.5 490 セイントリファール
96/06/02 東京 東京優駿 GI 芝2400良 57 藤田伸二 18 7 13 7 1 2.26.1 (35.5-35.4)H 7-6-5-5 34.9 494 ダンスインザダーク
96/10/19 京都 カシオペアS 芝2000良 57 藤田伸二 11 8 10 1 2 2.00.3 (37.4-34.3)H 7-7-5-3 34.6 512 (メジロスズマル)
96/11/03 京都 菊花賞 GI 芝3000良 57 藤田伸二 17 2 4 2 3 3.05.2 (36.6-34.4)M 6-8-3-4 34.4 508 (ダンスインザダーク)
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バレークイーン産駒
1994年 グレースアドマイヤ(父Tony Bin) 繁殖牝馬
1995年 ミラクルアドマイヤ(父Tony Bin) 種牡馬
1996年 フサイチミニヨン(父Sunday Silence) 繁殖牝馬
1997年 ネオクラシック(父Sunday Silence) 繁殖牝馬
1998年 ボーンキング(父Sunday Silence)
1999年 ピタゴラス(父Sunday Silence)
2000年 ボレロ(父Sunday Silence) 種牡馬(韓国)
2002年 メガトンカフェ(父Sunday Silence)
2003年 バレークイーン03(父Sunday Silence)
フサイチコンコルド産駒

2001年(21世紀)デビュー

戦後最短(3戦無敗)でダービーを制覇

出走全レース、上がり3ハロン34秒台
まさに音速の末脚であった。

写真:1997年11月15日 東京競馬場 引退式

− コラム 音速の貴公子 −

1996年1月5日、1回 京都1日目 7R 新馬 芝1800mでデビュー。
年が明けた最初の京都競馬場の開催で、フサイチコンコルドはデビューした。 後日、ある競馬雑誌を見た私はこの馬の勝ち方に興味を覚えた。正確に表現すると衝撃が走った。 そこには、父Caerleon、母Ballet Queen、母父Sadler's Wells、Northern Dancerの3×3のインブリード、 という一流馬となるべくして産まれた血統が載っていた。 フサイチコンコルドは海外で種付けされ日本で産まれた為、父がCaerleonであっても内国産としてデビューすることが出来た。 当時、日本では父Sunday Silenceの仔の活躍が目立っていた。 1995年の朝日杯3歳S(GI)は、父Sunday Silenceのバブルガムフェローが優勝(その後故障し4歳3冠レースには不出走)。 また暮れのラジオたんぱ杯3歳S(GIII)では、1着ロイヤルタッチ(皐月賞2着、ダービー4着)、 2着イシノサンデー(皐月賞1着、ダービー6着)、3着ダンスインザダーク(ダービー2着)と独占していた。 そんな中で父Caerleonの仔に注意を払うことなど考え辛かったが、注目すべき点は血統以外にもあった。 それは上り3ハロンである。フサイチコンコルドの上り3ハロンは34秒台で、更に全て11秒台であった。 生涯で最初で最後となるかもしれない衝撃が走った。「この馬は今年ダービーを制する」と...

当然、次走が気になる私は毎週フサイチコンコルドが出走しないかチェックを入れていた。 そんな中、2戦目に選ばれたのがデビュー2ヶ月後の、1996年3月9日、1回 阪神5日目 9R すみれS(OP) 芝2200mであった。 この時既に皐月賞トライアル弥生賞で後のライバルとなるダンスインザダークが勝っていた。 皐月賞は4月14日に行われることとなっていたのに、2戦目に3月9日のレースしかもオープンを選択してきたので理解しがたいものがあった。 普通であれば、皐月賞に出る為には賞金を稼いでおかないと抽選待ちということになってしまう。 しかし、ここには理由があった。フサイチコンコルドはこの2戦目も1番人気にこたえ快勝することとなった。 デビュー戦と同様、上り3ハロン34秒台であった。

2戦2勝となったフサイチコンコルドはどうにか皐月賞への出走は可能な賞金を獲得していたが、皐月賞に出走することはなかった。 フサイチコンコルドはその強烈なインブリードの為か、逆体温(昼に体温が下がる)で熱発を繰り返すという弱い体質であった (フサイチコンコルドを評する時、この言葉が必ず出てくる)。関係者は、皐月賞には目もくれず目標を日本ダービーとした。

ダービーに出走する前に3戦目に選ばれたのが、1996年5月11日、3回 東京7日目 10R プリンシパルS(OP) 芝2200mであった。 このレースはダービートライアルに指定されており、2着までが優先してダービーに出走することが可能であった。 が、この時、フサイチコンコルドは輸送で熱発。出走することが出来なくなった。このレースを勝ったのはダンスインザダーク。 この馬も熱発を発生し皐月賞に出走することが出来なかったが、このレースを勝ったことによりダービーでは1番人気となる。 フサイチコンコルドは、たった2戦でダービーに向かうこととなった...

1996年6月2日 4回 東京6日目 9R 東京優駿(GI) 芝2400m 晴れ 良馬場
賞金が微妙であったフサイチコンコルドだが、なんとか出走枠に入ることが出来た。 しかし2戦しかしていない馬に高い評価が得られることはなく、1番人気ダンスインザダーク、2番人気ロイヤルタッチ、 3番人気イシノサンデー(全て最終人気)とSunday Silence産駒に注目が集まっていた。

レース開始の2日前の金曜日。
ダービーの馬券はWINS後楽園にて金曜日から前売りが開始されていた。 私はダービーと有馬記念をこの金曜前売りで買うことが習慣となっており、この時も同じように後楽園に向かった。 そして、買う馬券は当然フサイチコンコルドであり、単勝を1点だけ購入した。 この時点では、フサイチコンコルドの単勝は16、17倍あたりであったが...

レース開始の前日の土曜日。
フサイチコンコルド熱発のニュースが流れる。またか、またなのか、いよいよ本番であるのに。 当然のごとく単勝の倍率が上がっていく。(おかげで大変なことになったが)

レース当日。
私はテレビ観戦となった。パドックではたった2戦しかしていない若駒らしくなく、とても落ち着いた様子だった。 この時多くの人間がフサイチコンコルドが勝つとは思っていなかっただろう。 テレビ画面に映し出される映像はSunday Silence産駒ばかりであった。 1番人気ダンスインザダークに騎乗の武豊騎手はこれまでいくつかのGIを勝っていたが、まだダービーを勝ってはいなかった。 今回がその最大のチャンスと言われていた。
この時フサイチコンコルドの単勝は27倍、7番人気となっていた...

ファンファーレが鳴り響き、ゲートが開く。
フサイチコンコルドは少し出遅れる。 彼は13番枠からのスタートで他の各馬の後ろからするするとインコースに滑り込むように1コーナーを目指した。 レースはサクラスピードオーがハナに立ち、やや縦長の状態で進んだ。 フサイチコンコルドはうまくインコースに入り込めた為、ダンスインザダークの直後の5、6番手につけてレースを進めていた。 4コーナーを回りダンスインザダークが早くも先頭に立つ。 そしてその直後にフサイチコンコルドが外から音速の末脚を繰り出し、独走体制に入り誰もが勝ったと思ったダンスインザダークに並びかけ、 遂にはゴール50メートル前でかわした。 ゴール板に入ると同時に騎乗していた藤田伸二騎手が高々と右手を挙げていた。 その時、テレビの映像が乱れていた...なぜなら、私の眼には...

オーナー関口房朗(ふさお)さんから付けられた冠名フサイチ、超音速旅客機コンコルドから付けられた。

3歳戦が行われるようになった1946年以降では3戦目の優勝は初めて。

前走すみれSから85日目の勝利は最長。

無敗のダービー馬は、フレーモア、ガヴァナー、クリフジ、トキノミノル、コダマ、シンボリルドルフ、 トウカイテイオー、ミホノブルボンに続き9頭目。

前年に2戦で英ダービーを勝ったラムタラがいた為、「和製ラムタラ」とも言われた。