きのこ日記の始まり  きのこ日記7月14日

ストーマ 〜人口肛門ってこんな門〜

「ストーマ」ってこんなもんよ

大腸と肛門の直結工事をしたので、しばらくおけつは通行禁止になりました。
その間、お腹の人工肛門をつけてうんこを出してます。

うんこを受ける袋が着いてます
マウスを乗せるとうんこが出ます

人に「人工肛門つけてるんだ」と言うと、二人にひとりは「あぁ、渡哲也もそうだよねぇ」という反応をする。

人口肛門を言えば渡哲也とばかりに有名だけど、なんと言うか、そんな悲惨なものでも、かっこいい(?)ものでもないんじゃないかな。言ってみれば、変なもの・めんどくさいもの、かなぁ。

人工肛門というのは、お医者さんでは「ストーマ」と言う。
手術前に先生から人工肛門をつけるから、と言われたとき、「へぇ、そうなんだ」と思った。人工肛門って悲惨・大変だからそんなことするくらいならいっそ…みたいなドラマのようなことはちっとも思わなかった。
まぁ、とにかくイメージが先行しすぎだ。
たかが人工肛門、多少ウンチが手につこうが、臭かろうが、命と引き換えるなら安いもの。
できれば手術のあとはすっきりさっぱり元に戻れるのが理想だけど、命と引き換えるのに、面倒も臭いも、比べるようなことじゃない。

人工肛門という言葉を聞いた時、何かピンク色のゴムみたいなものが取り付けられるのかなぁ、と想像したが、全然違っていた。モノは小腸をクリンとお腹の外にバイパスさせてるだけで、人工物はない。
でも細かいことを言うと、太目のテグス(釣糸)のような糸が通っている。せっかく引っ張り出した小腸が引っ込んでしまったりしないようにするためらしい。

これが「ストーマ」 人工肛門

昔は直腸がんになると永久に人工肛門をつけることになったらしいが、今は医療技術の進展のおかげでよほど肛門に近い部分にがんができている場合でなければ永久にはならないそうだ。
肛門と大腸を直結する吻合器というのが高精度になってうまくくっつけられるようになったためだ。

ネット上ではおけつから指を入れてがんが触れる程度の位置だと、永久コースになるとか書いてあったが、浜ちゃんの場合、バッチリ(先生が)触れたにも関わらず、ぎりぎりセーフで一時会員コースで済んだ。

先生の話では最近は永久コースになることは少なくなったそうだ。
直腸がんのあなた、安心してください♪
大腸がんのうち、結腸がんの場合は楽勝です。肛門にかからないので、ちょん、と切れば終わりなんで。

忌まわしいのはストーマから絶えず出てくるウンチを受ける袋「パウチ」だ。

皮膚保護剤という粘着質のものがお腹に袋を密着させるわけだが、こいつが常時、痛い・かゆいを起こしたり、たまったウンコが重くなったり、ふにゃふにゃしたりする。毎日数時間おきに自分のものとは言えうんこを見るのもいかがなものか。

5/16
5/23
皮膚保護剤が丸い部分。
中央の茶色の穴の周囲がだんだん溶けるようになっている。
ある程度溶ける前に交換が必要。
5/27
5/30
あせもみたいになってかゆいぞ
6/01  
6/03
でべその下の部分がちょっとただれた感じ。チクリと痛い
マウスで拡大します
7/03
あせもみたいのが収まってきた
7/07
ストーマに水泡状のツブツブができてきた
痛いとかかゆいとかの症状はないけど心配
7/21
来週手術をしてストーマはなくなります。お疲れ様でした。
水泡状のツブツブは、もともと小腸はそういう構造になっているそうで問題なし。

梅雨明け後、暑くなってきてまたあせも状になって来ました。
手術まであと少しの我慢。

パウチの排便操作も随分慣れたところでストーマとの付き合いもあとわずか。せっかく慣れたという思いと、やっとこれで、という思いとが交錯してます。

でもやっぱり、早くおさらばしたい…
7/25
手術を前にして、またポツポツができてしまった。
明後日27日を前にしてまたあせも状になってかゆい。

明日26日に入院するので写真撮影もこれが最後になります。パチリ。
8/05
ストーマ閉鎖のあと
ストーマ閉鎖手術の痕

手術で穴をふさいだので、パウチを貼っていた跡の丸が小判型に縦長になりました。何やら黄金色になっているところを見ると小判が貼ってあるようでもあります。

そういえば、この周囲を触るとちょうど小判型に少し硬い感じがします。もしかすると手術の時に先生が小判を埋め込んだのかもしれません。

へその下の傷が写真左側に引っ張られて曲がってしまってますね。
2007
5/06

術後
2年
手術後、無事2年が経過しました。
手術痕も上の写真に比べれば、かなりきれいになったけど、へそは曲がったままですね。

その後、発達した鼠径脱腸の手術をしないといけなくなりそうです。
こんどは、おなかの下の方の左右に傷ができそう。
2009
12/4

術後
4.5年

手術後、無事4.5年です。
写真では目立った変化に見えませんが、すっかり落ち着いていて、傷跡を触っても脹らみはなくなっていて触った感じでは判らなくなってます。
上の写真はお腹がパンパンな感じですが、普通な状態に戻ってきてます。

鼠径脱腸の傷跡はちゃんとありますが写真に写ってません。

パウチ交換

うんこをためておくビニールのパウチは状態により数日置きに交換をしなければならない。
パウチにもいろいろ種類があるが基本機能は同じで粘着性の皮膚保護材がストーマを覆うように張り付いて出てきたうんちを袋にためる。

この皮膚保護材がだんだんと溶けて行くとうんこは皮膚の直接ふれてしまうことになるが、小腸から出ているうんこは強いアルカリ性のために皮膚を傷めてしまう。その状態になるとチクチクするようだ。たぶん。

パウチ交換をする間はうんこが出てこないことを祈らなければならないが、これがいつうんこがでるか、まったく想像できない。だから写真のようにパウチ交換をしている最中はいつも出てくるうんこを拭き取りながら作業をしなければならない。 結構疲れる。

うんこの排出

パウチにはうんこが溜まる。
だいたいゲンコツくらいが満タンだ。当然人肌でむにゅむにゅしている。

本来うんこは大腸を通る間に水分を吸収して小さくなるものだが、その前にパウチに出てしまうので水分の多いうんこだ。しかし大腸で熟成されていないので、本物のうんこのような臭さはない。

たまったうんこはトイレで排出するが洋式といれで座ってゆっくりやれればよいが、和式だと結構難しい。
パウチに溜まったうんこを手で押し出して完了なわけだが、ビニールなので出そうとしていれば結局プチっと手につくことになる。そうでなくても袋の先端部分にうんこは残ってしまうので手につかないように気をつけていてもなかなかどうして、そうは問屋がおろさない。当然トイレットペーパーで手につかないように拭いてるんだけど。

パウチのメーカーにもっと工夫した製品を作ってくれ、って訴えても、ほとんど聞いてくれません。
世界中で今日もうんこがついているというのに…。

オストミー協会

人口の排泄手段のお世話になっている人を、イレオストミー(うんこ系)とウロオストミー(おしっこ系)という。
こうした患者同士が経験談を共有しあったり励ましあったりする場を提供するための団体として、オストミー協会というのがある。(正式には前に「日本」がつく)

これは製品提供するメーカが主体になって会を作っているようなのだけど、会員人口の主体が年季の入った人が多いからか、結局メーカのいいようになっているみたいだ。

製品改善を訴えている人もいるらしいが、声を上げても会員もあまり積極的に賛同するとか反対するとかの反応もなく、協会の代表などが一応取り上げるが、メーカが本気で取り組んでいるようには見受けられず、メーカの何がしかの人が、「いい提案だけどボツですよ」という、見方によっては「面倒なこと言い出すなよ」とでもいいそうな否定説明をして終わってしまってるみたいだ。

パウチは一個700円くらいする。ちょっとしたビニール袋なのに…
ずいぶん儲かっているはずなのに、製品改善やユーザの声に積極的に取り組んでると思えないのは腹立たしい。 あ〜ストレスはがんには敵でしたね。忘れよ。