<専有部分と共用部分の区分け明細>
Q マンションの専有部分と共用部分の具体的な区分けはどうなりますか。また、区分けする意味は何でしょうか?
A 専有部分は区分所有権の目的となっているスペース又は建物の部分をいいます。それ以外の共同で使用するスペース又は建物の部分を共用部分といい、専有部分に属さない建物の付属施設及び規約により特に共用部分と定めた部分(管理室など「規約共用部分」)も含まれます。専用庭・バルコニーなど専用使用部分も共用部分です。これらは管理規約で明確にする必要があります。では、一般的な例を具体的に見ていきましょう。
◆ 専有部分と共用部分の境界「上塗り基準」
一般に採用されるのが「上塗り基準」です。外壁、隣戸との境界壁、天井・床等の専有室内の空間に触れる部分までをいいます。つまり、息を吹きかけて触れる部分です。壁紙、天井材、床材、窓ガラスの内側(カーテン)、玄関ドアの内側に囲まれる空間が専有部分です。したがって、室内の間仕切り壁などは専有部分です。ただし、室内であってもコンクリートの壁は耐震の意味があり共用部分となります。
◆ 専有部分内にある共用部分、配管の区分
専有部分の空間内にあっても、火災探知機、オートロック設備、TVアンテナ配管の端子以外の配管、通信線の配管内の設備、室内を通る排水縦管などは共用部分です。また、給水管、ガス管及び電気配管は、各戸メーターまでが共用部分です。排水管は縦管に接続する継ぎ手の手前までの枝管が専有部分です。
◆ 玄関ドア、窓の区分
玄関ドアは、錠、ドアチェーン、郵便受け箱及び内部塗装部分が専有部分です。ドア自体はもちろん、外部塗装部分及び小口(ドアの上下左右の厚み部分)は共用部分です。外部の面格子、雨戸、網戸、窓枠及び窓ガラスは共用部分となります。したがって、窓ガラスを勝手に色付きのものに変えたり、玄関ドアの表側を自分の好みの色に塗り替えるなどはできません。
◆ 区分けする意味
専有部分は区分所有者が自由に使用、変更できますが、共用部分も自由に変更などすると様々な支障がでます。壁のコンクリート部分ですと建物の構造上の安全に直接影響が出ますし、玄関ドアや窓ガラスを勝手に変更すると外観上の不統一や防犯・防火上の問題が生じるからです。また、配管のメーターを勝手に変えると不正使用にも結び付きます。修繕工事の費用分担では、共用部分は管理組合が負担することになります。バルコニーや専用庭は普段の管理は区分所有者が行いますが、修繕・変更などは個人ではできません。

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