「モモ」 ミヒャエル・エンデ作  

時間がたつのは、はやいなあと感じる時ふと、この物語を想いだします。 ぶ厚くて小さい文字がいっぱい並ぶので小さな子どもには、むずかしいように思いがちです。

しかし、「モモ」という名の女の子が、灰色の男たちから、時間を取り返す話は、読みすすむにつれ、 しだいにおもしろくなるからふしぎです。
我家でも、長男が小学校1年生のとき、幼稚園年中の弟と一緒に灰色の男をマネて、 黒いアタッシュケースを持ち、葉巻タバコにみたてたシガレットチョコをくわえ、 家の中を走りまわっていました。

この頃から、我家のクサガメは、この話に出てくる不思議なカメと同じ「カシオペイア」 という名前になりました。我家の「カシオペイア」は、1年のうち4〜5ヶ月は冬眠していて、 30分先のことどころか、どうも今現在のこともわかっているかどうか……??? もはや、灰色の男たちから救ってくれることもないだろうと思っています。

あわただしく、いそがしく過ごし、なかなか子どもたちに向きあえない時こそ、 この本をもう1度読みたいものです。

(キョン)

ままです すきです すてきです
谷川俊太郎 文 タイガー立石 絵

『しりとり』は、今も、昔も、こどもたちが道具を用いることなく手軽に楽しむことのできるあそびで、 そこからまた、ことばのイメージが広がっていきます。
『しりとり』の本は、いくつかありますが、この本は、リズミカルなことばを絵のおもしろさで 倍増させています。
今年、1月にタイガー立石の出身地、田川市の田川市立美術館で原画展がありました。
「ままです すきです すてきです」のコーナーに谷川俊太郎さんのことばがありましたので、 ここに引用します。

「・・・・・・しりとりの面白さのひとつは、ふだんの会話の中に出てこないような突飛なことばとことばの 結びつきにあるかと思いますが、この絵本では、その結びつきをわざと強調して、 子どもたちの空想をかき立てたいと考えました。
タイガー立石が描いて下さった世界は、ことばとことばが結びつく時に現れる人間の想像の不思議に あらわれている。しりとりで遊んでいる最中は、音に合わせてことばをさがすだけで手いっぱいですが、 ふつうは記録されずに消え去っていくことばのつながりが実は、こんなに豊かなイメージを かくしている・・・・・・」

私は豊かなイメージをかくしたこの絵本を読んだあといつも、きのこがつなひきをしている場面が 心に残ります。ベニテングタケを知った時のことが思い出されるからでしょうか?!

残念なことにタイガー立石は、1998年、57歳でなくなりましたが、この本をきっかけに、 立石大河亞(たいがあ)とタイガー立石の作品と出合って楽しんでほしいと思います。

(キョン)