1、事前準備

@おはなし会の概要を知る

対象年齢 :何歳位の子ども達か。読書の体験はあるのか。・・・ 初めてか、経験はあるのかどうか
参加人数 :何人くらいか

  • 幼児の場合は小さい子ほど少人数で
  • 幼稚園児・小学生(訓練された集団)は1クラス程度が限界(40人以内)
場所 :どんな場所か。広すぎたり、狭すぎたり騒がしかったりする場合は工夫・・・ 下見をしておく必要がある

 《広い部屋の場合の工夫例》・・・広すぎると落ち着かない

  • 聞き手が絵本に向かった時、聞き手の視野が壁ではばまれるように座ってもらう
  • 壁は絵本が映えるようにシンプルな方がよい(飾りすぎない)
  • パーテーションや机で仕切って、落ち着いた空間を作るとよい。 (あまり、派手でない布などをかけてみるのもよいが、小さい子の場合は、 潜り込んだりするので逆効果の場合もある)
  • 敷物を敷き、その上に座ってもらうだけでも気分が集中しやすくなる。 敷物が大きすぎると聞き手が広がってしまうので小さめに折り畳んで。
  • 学校の教室などでは、机を後ろに集め、前の方に集まって座るなど、 聞き手を絵本に近づける工夫をする。
開始時間 :どんな時間帯なのか。時間帯によって子どもの行動パターンが違う
  • 子供や親が参加しやすい曜日や時間帯を知り、 他の施設と行事が重ならないようチェックをする。
    (お昼寝の時間帯・・・ 乳幼児は朝の11時ごろがよい、 幼稚園児の送迎時、学校行事などを考える)
所要時間 :時間の長さはどのくらいか
  • 読み聞かせに集中できる時間のめやす・・・幼児30分以内、小学生45分以内 (学校授業の1校時)
年間計画 :子どもたちの成長に合わせて1年間の計画を立てる・・・ 同じ学年でも、4月と3月では成長に差がある
  • 年間計画を立て、広報しておくと、会が定例化し長続きする。 あらかじめ本を読む人や係りの人を決めておくと、 前もって季節や行事に合わせた本を探すのにも便利・・・ 駆け込み本選びではなく、 先行した事前の準備を心がけておく
担当する人 :何人でおはなし会を受け持てばスムーズにできるか
  • 本を読む人(1人でも複数でもよいが。多すぎるのはあまり好ましくない
    ・・・5冊を5人で読むより少数の方がよい。 次々人が変わると目移りする )
  • 会場内を見守るサポート係(時には聞き手に注意する事も係の役目 ・子どもたちの反応などを観察し、メモ を取っておくと後の反省に役立つ)
    ・・・ここの場面でこんな反応があったと記録しておくこと は大切な役割なので余力があれば実行したいこと
  • 案内係(出入り口の外で、本の合間に子供を入れる等おはなし会の雰囲気を壊さない 配慮が必要)
    ・・・場の盛り上がりを妨げない、 出入りの混雑を防ぐ役目
  • サポート係と案内係は1人で兼ねることもできる

☆学校との打ち合わせを忘れずに
  • 学校に受け入れを申し込むときには、前もって連絡をし、相手の都合を聞いてから、 まずは少人数で話しに行くなど、慎重にしましょう。
  • 会場の設営など希望があれば、事前に学校と具体的な打ち合わせをし、 お互いの思いがすれ違わないようにしておく。

Aプログラムの立て方

ア 基本的考え方・・・メリハリのあるプログラム作り
   聞き慣れているかそうでないかなど、読書経験に プログラム作りが左右される。

  1. 導入の工夫 子どもを集中させる工夫・・・ コミニュケーションを整えてから
    • いきなり始めない。簡単な手遊び・指遊びをしたり、季節のことや自分のことなどを 少し話したりして、子どもがお話を準備ができ、集中できるように持っていく。
  2. おはなしや本の組み合わせの工夫  ※長いおはなしと短いおはなしを組み合わせる・・・ 原則
    • 長いおはなし一つと短いおはなしを一つか二つ
 ※おはなしの内容や順番を考える・・・ 集中力がないと聞けない話
  • 長いおはなし、まじめなおはなし、短くても内容に重みのあるおはなしでは、 子どもの集中度の高い冒頭に持ってきたほうがよい。
  • 似たようなはなしを一緒にしない。・・・ トム・ティット・トット と大工とおにろくのような名前あてや昔話と昔話
  • 一般的にいって、おはなしの取り合わせは、すじ立てや雰囲気など、際立ってちがったもののほうがよい。お互いのはなしの味を生かしあえる。
    例)<勇壮活発なお話→軽くて明るいお話> <長くて重たいお話→短くてとぼけた味のあるお話>
 ※対象年齢を考える
  • 異年齢の集団の場合は、原則として小さい子に焦点を当ててプログラムを作る。 途中で「小さい子の時間はこれでおしまい。」 と言う風に区切って大きい子のためのおはなしをする方法もある。 人手などがあればできるだけ分けて実施した方がよい。
  • 幼児・・・できるだけ細かく分けて  例)「1〜2歳」「3〜4歳」「5〜6歳」
    • 1歳−本とであうのが目的。 ・・・お母さんとわらべ唄や手遊びなどを楽しむ合間に短い絵本を。
    • 2歳−おはなしの絵本が少し聞けるようになる。 (赤ちゃん絵本が中心)お母さんと一緒の手遊びと短い絵本。
    • 3歳−少し長めのおはなしが聞けるようになり、 手遊びなども自分で楽しめるようになる。
    • 4歳〜5歳−いろいろな絵本を一番楽しめる時期。 合間の気分転換にて遊びを入れる程度でよい。
      ・・・無理に指遊び、 手遊びを入れる必要ない
    • 幼稚園・小学生−異年齢集団での読み聞かせもよいが、「学年毎」、 「低学年・中学年・高学年」、「低学年・中学年以上」に分けるなどの工夫を
3、子どもを飽きさせない工夫=子どもが楽しかったと思える会に

 ※本の魅力が色あせるような派手な演出は逆効果。
 ※導入時に集中力を高めたり本と本との合間のリフレッシュ、満足する終わりのための工夫が必要。
 ※おはなしや絵本以外の出し物を入れてみる。・・・視聴覚資料(本の後、気持ちを解放させ読み聞かせとは異なって演じるもの)

  • 紙芝居読むのではなく演じた方がよい。紙"芝居"なので、華やかで、演じ手のパワーでひっぱっていくもの。(演技力)紙芝居の後に耳を済ませて聞く必要のある読み聞かせをやるのは難しい。読み聞かせのあとに紙芝居の方がよい。
  • パネルシアター・エプロンシアター合間の息抜きに使えるが、お楽しみの色が強い物なので、最後にパッと華やかに終わらせたい時に効果的。紙芝居と同じで演じ手の演技力が必要。
  • ペープサート−登場人物の少ない寸劇タイプの物やクイズ、歌遊びのような物は、合間の息抜きに活用できる。大掛かりな物は最後のお楽しみに。
  • 指人形・軍手人形会の始めに子ども達を集中させたい時などに便利。合間の息抜きにも使える。人形を短い詩や言葉遊びを暗唱させるのも良い。
 4、子どもに本を手渡す工夫
  • プログラムを配布する
  • プログラムを部屋の壁などに貼る等本につなげる工夫も必要
 イ いろいろな場合
  1. 朝の読書の時間 ポイント!集中させる
 ※目的は、聞く習慣をつけることと本を結びつけること。
 ※所要時間は10分。7〜8分のプログラムを考える。
 ※導入に遊びの要素はなるべく避け、集中させる工夫を
―例)子どもに声を出させるようなものもよい。自分が声を出したり動いたりする方が集中する。共に詩などを読むのもよい。季節感があると尚よい。
 ※絵本は、力のあるしっかりしたものを選ぶ。(おすすめ本のリスト等を参考にするとよい。新しい本がいいとは限らない。しっかりと本を見る目を養って。
―例)1年生などは、短い絵本を二冊ぐらい読む(絵本に絞る)2〜4年生は、昔話や、ストーリー性のある絵本を選ぶ。
 ※どんなに読んでやりたい本でも、時間内に終わらないような物は、中途半端になるので読み聞かせしない方がよい。
  • 毎日でも読めるならば、長編を少しずつ読み聞かせても良いが、月に1〜2回程度の場合は、その場で完結する本を読んだ方がよい。どうしても紹介したいときは、クイックブックトークで。ただし、絵本も読んでクイックブックトークもは時間的に無理

  2. お昼休み時間 ポイント! 少しは遊びの要素も

 ※お昼休み時間の特徴・・・異年齢の子ども達。開放的な時間。日によって違う人数(天気の影響も)。入室がバラバラ。
 ※所要時間は20分程度。17〜18分のプログラムを考える。
 ※導入時、手遊びなど途中で子供が入ってきても大丈夫な話を持ってくる。途中から入ってきても、関われるものを始めに入れる。
 ※プログラムは緩やかで、融通が利くようにしておき、子ども達の顔を見て、プログラムの変更ができるようにする。
  • 多めに本を用意する。予定していない子が来た時に変更できる融通性が必要
  • ただし、似たような本が重ならないよう事前の打ち合わせをきちんとやっておく
  • 1年生から6年生までの異年齢集団ではやりにくいので、分けて行なうなどの工夫をしているところもある。
    例)学年を指定してお話会を行なう「今日は1年生」と言ったように
    高学年・低学年に分けて行なう。このようにすると高学年でしっかりした本が読める。
 3. 授業時間 ポイント! 子どもに合わせて無理をしない
 ※所要時間45分。35分程度のプログラムを考える。
 ※所要時間が長いので、本の組み合わせや順番にメリハリが必要。
 ※事前にしっかりとプログラムを作っておく
  • 集中力のある時間に長い本を。
  • 最初と最後が大切。どの子も満足して終われるように工夫する。
  • 流れを考える。
    時間が長いので前半と後半に山を作り、途中でわらべうた・手遊び・短めの読み物・参加型の物などを入れるとよい。ただし、あまり長くなく、あまり解放しすぎない物を選ぶ。
 ※聞き手が、本の世界に入り込みやすい工夫を。
  • 本のテーマを決めてプログラムを組むという方法もある。
  • しりとりのようにつないでいく組み方もある。
  • 季節感も大切

B参加者を集める工夫

 ア ポスターなどを作って積極的に広報する。
 イ 役所の広報誌などへの掲載を働きかける。
 ウ 口コミ

  • 毎回参加者を満足させれば口コミで参加者は増える
 エ 会員証などを発行する。
―例)会員証にシールを貼ったりスタンプを押したりして、全部集めた子ども達に手作りの物など小さなプレゼントをする。