5月6日 きのこ日記トップ 6月1日
大腸がんについて お散歩記録 うまい病院メシ1 人工肛門 うまい病院メシ2 リンク

病院での療養生活と家での生活

退院後の自宅療養で、随分よくなってきた。
とはいえ、病院にいる間は日に日に回復していくことを実感していたので、ある意味病院生活は楽しかった。
ベッドから起き上がるだけから、半日したら立ち上がれるように。翌日はナースステーションまで歩き、午後には売店まで行けるようになった。階段が昇れるようになり、3往復が5往復、9往復できるようになった。
痛かったり、苦しかったりはするのだけど、できるようになることの喜びは、スキーが上達する頃の楽しさに通じるものがあった。

一方、家では従来の生活ができることの快適さや、自分の布団でぐっすり眠れること、外の空気に触れられることなど、病院生活には替えられないよさがある。

もちろん、最初は家の周囲だけを散歩することから、愛知池の堤防だけを往復することから池の周囲を4分の1の往復に、3分の1の往復に、洲原池の周囲を一周できるまでになったりと体力回復を実感することもある。

ところが反面、昨日は痛くなかった傷がちくちくと痛んだり、10分歩いただけで腰が痛くて座り込んでしまったり、ストーマ
(人工肛門)の調子が悪くて気分が悪くなったりと、回復とは反対のことも起きるようになってきた。

「3歩進んで1歩下がる」状態だ。

先生は「日にち薬だ」と言っている。わかっちゃいるけどなぁ…

5月17日(火)病理検査の結果

退院後はじめての診察の日だ。
この日は手術で摘出したがんの病変部分を精密に分析した病理検査を説明してもらえる日だ。

診察の前に採血をして、まずはその結果を待つ。1.5時間かかるというので、コメダコーヒーに行って時間を潰す。
(腸のためにはコーヒーは控えるべきなのだけど…)

血液検査の結果は、腫瘍マーカは正常(CEA:1.8 CA19-9:13.2)と出た。他も特に問題なし。なんと、血糖値を示すらしいグルコースの値が68(基準70)で低く出ていた。
先生に「朝食べたケロッグがシュガーレスだったからかなぁ」と話したらウケた。


本題の病理検査の結果は、がんの進み具合を示す「ステージ」は Va との話。

[ステージ分類]
がんが粘膜にとどまるもの 100.0%
T がんが大腸壁のとどまるもの 97.1%
U 大腸壁を越えているが、隣接臓器に及んでいないもの 95.1%
Va がんが隣接臓器に浸潤しているか、第1群のリンパ節転移のあるもの 75.6%
Vb がんが隣接臓器に浸潤しているか、第2群と第3群のリンパ節転移のあるもの 62.1%
W 肝、肺、腹膜など遠隔臓器へ転移があるもの 23.5%

リンパ節転移の可能性があるので、手術でお腹を開いた時点でその可能性があるようであればリンパ節の切除範囲を広げてたくさん切り取る「リンパ節拡大郭清(D3)」をすることにしていた。
結局、病理検査の結果でも第一群のリンパ節に転移が確認され、Vaの判定がされたことになる。

ネットで調べていたらうれしいデータがあった。
上のステージ分類では5年後生存率は75.6%で、4人に1人はヤバイという数字だ。
しかし、愛知がんセンターでは91.7%で、加えてそのデータは1995-97年のデータだ。
この数字を見る限りこのまま治療を継続していけば100%大丈夫だと言っていいだろう。

5月17日(火)抗がん剤−使うのか使わないのか?

Vaつまり、第1群のリンパ節転移が見られたということは、がん細胞がリンパ液に乗って体内を彷徨っている可能性が否定できないということを意味する。
つまり、転移によって再発する可能性があるということだ。


先生によれば Va の場合、再発を予防する意味で抗がん剤投与をし、体の中にいるかもしれないがん細胞をやっつけるという治療をするのが標準的な指導だそうだ。

しかし、抗がん剤とはがんの特徴である、急速な細胞の発達を感知してその細胞を殺すというもので、一見すばらしそうなのだが、まっとうな細胞にも「急速な発達」をするものがあり、抗がん剤はこれも殺してしまうし、いわゆる副作用で吐き気や下痢を起こすという問題がある。

問題はこの副作用をどう捉えるか、
 ・再発リスクを低減させる 〜抗がん剤を使ってもリスクはゼロにはならない!
 ・副作用が起きるか否か、自分が耐えられるか 〜やってみないとわからない!
 ・場合によっては副作用によって命を落とすケースもゼロではない。

いつもの自分であれば、えいっ!と決めてしまうところなのだが…。

5年後生存率91.7%というのは、10人に1人は生きていないということを意味する。
75.6%なら4人に1人だ。自分の生死に関わる数字として見ると、決して安全な値とは思えない。

思えば、健康診断を受けた時、一緒に健康診断を受ける人達の中で「誰かは病気が発見されるだろうが、それは自分ではない」と確信に近いものを感じていた。
しかし、今その結果はどうか?
「自分がもし病気になるなら、あの人の方が先だろう」と思っていた、「あの人」はバリバリ働いてるし、あろうことか、お見舞いに来てくれた。

「10人に1人」の1人になることもあり得る。
今までの経緯は「そう考えるようにしなさい」ということを示していないか。


副作用が負担であっても、抗がん剤治療はすべきなんだろうな。  …と思っている