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久しぶりのがんセンターは混んでいた

10月13日(木)新型CT装置で検査

今日は血液検査、CT検査、診察の予定。
久しぶりにがんセンターに行った。
受付フロアはすごい混雑をしていた。しかし予約がしてあるのでそのままCTの受付をしてもらい、まずは血液検査をしてから検査着に替えてCTの待合に向かった。普通はここで少し待つのだが、待合到着まであと10mという所でもう呼び出しの声が聞こえる。「はぁ〜い。今行きますぅ〜」と大きな声で返事をしてヨタヨタと検査室に入った。
そんなことでCTを10時で予約しておいたが、10:15には検査が終わってしまった。30分くらい待つのは当たり前なのに驚くほど早く終わってしまった。

今回の通院ではちょっと変わったことがあった。
今までは待ち時間や検査中に「不安」を感じるようなことは、不思議となかった。それが鈍感なのか楽天的なのか、前向きなのかわからないが、とにかく「どうなってしまうんだろう」と思うようなことはちっともなくて、せいぜい「尻が痛ぇよ〜」くらいだった。ところが血液検査の順番を待つ間、他の患者の様子を眺めたり、耳に入ってくる会話を聞いたりして待っている間に、急にそわそわするような感覚になり、何か無性に不安になってきた。
耳に入ってきた話が恐ろしいような内容だからではない。むしろ隣で話していた会話は、知り合いの入院患者同士が退院して久しぶりに会って、お互いの経過がよく喜び合っていたようだった。他人事とは言え患者同類項としてニコニコ視線を送ってしまうくらいの話だ。

でも、何か不安を感じていて心が震える、という気分が去らない。
CT検査中も何か落ち着かない。新型の検査装置に関心があって見回しているのだけど、何か異次元の物を眺めているような気分だった。
なぜだろう。今読んでいる本のことがオーバラップしているのかな。

CT装置/実機
ガンセンターに導入された新しいCT装置
CT装置/東芝メディカルHPより
新型のCT装置 検査は早かった

ごく最近、がんセンターのCT装置が新型のものになった。装置はtoshiba製で型番は忘れてしまった。

患者はCT装置の部屋に入って検査台に載せられてじっと待つだけ。
看護師さんが造影剤の注射をする以外は、隣の部屋から検査の先生がコンピュータを操作して検査が進む。
「息を吸ってください。ハイ、止めて」という声もCT装置がしゃべるのだ。


メーカーのHPは専門的なことが書いてあってよくわからないが、7秒で検査ができるとか、0.5mm間隔で輪切り撮影ができるということみたいだ。
確かに台に横になって7秒くらいで「ハイOKです」となった。以前の装置でも撮影中に息を止めているのは苦になる程の時間ではなかったが、7秒だと「あれ、こんだけ?」という感じだ。新しい装置はデザインや色もソフトな感じになって心理的なストレスも和らぐものでよかったし、CT装置は内部で機械がぐるんぐるんと回っているらしいのだが、わずかな騒音しかしないものよかった。

ちなみに写真のCT装置はTSX-101Aという機種で16億円だそうだ。
違いが何だかわからないが「高画質と低被爆を両立させた実用型X線CT装置」のTSX-021Bと言う機種は3.78億円だそうだ。すごいなぁ。

ところでCT検査では点滴のようにチューブを通して血液中に造影剤を入れて撮影をするのだが、今回はこの造影剤が体内に入ってきたら、ちょうど人肌の日本酒を飲んだ時のように胸のあたりからボワンと暖かくなった。
検査中はちょっとホンワカしていい気分だったり、不安な気持ちもしたり、新型の検査装置に興味があったりとめまぐるしかった。

大抵の検査には平気な浜ちゃんだが、この日は検査後に少し気持ちが悪くなった。造影剤の影響のようだ。談話室で新聞でも見ながらじっとしていた。

平井先生の診察は午後。
検査が思いのほか早く終わったので、雑用と食事のために外に出た。
ところがこれが失敗。

車を運転中に便意がやってきた。
こうなるとせいぜい5分が我慢の限界で、目についたファミリーマートにまっしぐらに向かった。
運転中の便意は危険だ。とにかく肛門が痛くて、意識がトイレ探しに集中するので、周囲の交通状況があまり目にはいらなくなる。幸い、今まで危険を感じるようなとはなかったが、この症状が一生続くとなるといつか事件が起きてもおかしくない気がする。

幸いファミリーマートにはトイレがあり、一目散に駆け込んで事なきを得た。
…までは良かったが、トイレを出て車に雑用のモノを取りに戻った途端に、また肛門痛が始まった。そしてしばらくファミリーマートのトイレを占有することになった。
他の客がトイレにいなくてよかった。

痛みの周期を計りながら、病院に戻るタイミングを狙って、病院に舞い戻る。結局、院外食事はあきらめて売店でサンドイッチを少しだけ食べて診察を待った。

時間になったので診察待合に向かったところで平井先生と一緒になった。
先生は沢山の患者を診ているだろうに、浜ちゃんのことも覚えていてくれて、気がつくとにっこりとしてくれた。午後一番に診てもらえそうだ。

信頼できる主治医として平井先生に診てもらえることになって、本当によかったと思う。
先生は診察の時は本当に要点のみで、さっさっさっと診察を進めて行くのでもう少し話を聞いてもらったり、検査データの説明など詳しく教えて欲しいと思う面もないではない。しかし、やっぱりちゃんとツボは押さえているという信頼感はバッチリあって、先生の診察を受けると安心する。

診察の最初は肛門の触診をした。ファミリーマートで肛門痛をやっとおさえた直後に触診は止めてほしいところだが仕方ない。手際よくツルツルと器具を入れて調べハイおしまい。
特に結果がどうという話を聞き漏らしてしまったが、何も問題ないという雰囲気だった。

従姉妹の紋子さんが花を届けてくれた

以前あった出血も最近は出なくなったと話したら、先生は表情で「そんなもんだよ」と言っている様だった。

血液検査の結果は速報分だけだった。全項目のうち半数くらいが、少しずつ基準値外になっていた。CT検査のため朝食抜きにしているからと考えられるが、どちらにしても深刻なものではない。

検査の主眼は転移や再発のチェックなのだが、腫瘍マーカとCTの画像診断は次回の診察まで待たないと結果が出ない。
抗がん剤を処方してもらって終了。

診察後に会計を待っていたら、また便意が襲ってきた。今日は本当に「襲ってくる」感じだ。
トイレに向かって踏み出した瞬間に名前を呼ばれてしまい、踏みとどまって会計をする。
ほんのわずかな時間がまどろっこしく感じる。

今にも出そうなので走るわけにも行かず、少し離れた場所にあるウォシュレット付きトイレまでがんばって到着。ふぅ。 ここで何度か出たり入ったりをして過ごす。
病院の駐車場は無料処理をしてから30分以内に出庫しないと課金されてしまう。この調子だと間に合わない。
いや、それよりトイレのが重要だ。 くだらんことを考えつつトイレに座る。

ファミリーマートのときと同じように、タイミングを計って、やっとのことで家に向かった。
しかし、家までの距離は長く、だましだまし痛さをこらえてきたが、あと1kmくらいのところまで来たところで、あろうことか、運転中に大爆発してしまった。

あぁ、道路脇にファミリーマートがあれば…

もう仕方がないのでそのまま、信号につかまらない事を祈りつつ家までまっしぐら。
やっと帰り着いて、速攻で洗濯をするが、なんとかパンツの範囲で収まってくれていた。
こう、何と言うか、これが本当に「情けない」と言う感情なのだろうなぁ。
あぁ情けない。

医者が末期がん患者になってわかったこと
角川文庫 600円

医者が末期がん患者になってわかったこと

トイレ滞在時間がとにかく長いので、トイレで本を読むようになってます。

ブックオフで見つけた本は脳外科医の岩田先生(名古屋市旭丘高校卒業)が自身で脳腫瘍を発見・診断してしまった後の記録を出版したものです。脳腫瘍にもいろいろあって、発見時点で余命1年しか持たず、回復の可能性がほとんどないという最悪のケースに、専門医である自分自身がかかってしまった。というもの。
MRIの写真を見ただけで余命1年の経過も、回復の見込みがないことも、医者仲間でも誰よりも詳しい自分が、自分に最期通告をするような事態になってしまったわけです。
いろんな意味でお薦めです。

副題に「ある脳外科医が脳腫瘍と闘った凄絶な日々」とありますが、事実それは想像するに余りある壮絶さですが、この本はその壮絶さを読み取って欲しいわけでなく、患者を中心として闘病に大切なこととは何かが伝わってきます。

医者でも脳外科医だけでなく神経科、精神科など専門医がどれほど大切な役割か、看護スタッフの支え、家族・特に妻の愛情は最大の治療だということが染み入るように感じられます。もちろん職場の人たち、友達の支えの大切さも伝わってきます。

浜ちゃんもずっと晴ちゃんが近くにいてくれたことでどんなに良い闘病生活ができているか計り知れません。その気持ちを大事にして晴ちゃんとも病気ともうまく付き合って行きたいと思います。
入院中には仕事関係の人や友達が来てくれたことはやっぱりうれしかったし、支えになったと思います。与えてもらうばかりでなく、与えられるようにしていきたいと思います。

みんな、ありがとう。

同期入社のTくんには長い間気にしていたことも話せたいい機会だった。Tくんは怪獣と異名を取るMくんと怪獣のような旧姓Mさんもつれて病院にやってきてくれた。Mくんの振る舞いは、手術創が痛いにも関わらず無理やり笑わせやがって大変迷惑だった。痛ぇじゃねぇか。
その後別な
Mくんも交えて麻雀をやった。笑いすぎて苦しかった。
どうもM軍団は痛いな。
高校の同級生のJくんは小児科医だ。ちょっとおどろかしてやろうと思って軽いノリでメールで知らせたら、速攻で、それもいきなり病院に現れた!
医者は忙しいんだろ、いいのか? 医者でもガンと聞くとびっくりするようだ。
ごめんごめん、びっくりさせて。
会社からはたくさんの人たちが来てくれた。
急に入院して申し訳ない思いがいっぱいなのに、忙しい中をわざわざ時間を割いてきていただいたのには本当に申し訳なくてたまらない。
今思えば取引先のK理事さん,H事業部長,O事業部長,N事業部長代理,I部長,Sマネージャ,I主任…偉い人たちがいっぱいきてくれました。ありがとうございました。

20日に検査の結果が出る。
検査は「問題ない」ことを確認するためなので「安心」を受け取りに行くはずなのだが、考えてみればここで「問題あり」ということは転移か再発を意味するだろう。
がんは転移して広がるところが怖いわけなので、そういう面を意識したら急に怖くなってきた。 でも、悪いニュースであるならそれはより早く知るべきだ。

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